16.大峰山系・芦迺瀬川本流 ・沢登り 
大峰山系・芦迺瀬川本流 ・沢登り 

【 題名 】 Y形さん退院祝山行

【 期間 】 2001/07/19〜21

【 参加 】 CL:K谷と  SL:K原   記録食料:K谷み   医療会計:Y形

【 山域 】 大峰山系 

【 山名 】 芦迺瀬川本流

【 形態 】 沢登り

【 地図 】 山と高原地図「大峰山」

【 資料 】

 

コースタイムは省きます。

-------------------[感想]-----------------------------------------

 

後立山縦走から帰ってきて2日しかったっていないのだが、そそくさと沢登りの準備をしていたら、家族に「仕事をしろ!!」と怒鳴られてしまった。確かに今週は2日間しか仕事をしていない。毎年、夏場はこうである。仕事よりも山を優先させてしまう。仕事の取引先には、山に行くから良い仕事(デザイン)ができるのだ!ということを完全に納得させているつもりだが・・・(本当は少しあきれられている)

退院後、始めての沢登りということで、角ちゃんが退院祝い山行を計画してくれた。今回の山行に関しては、全く何の補助もしていない。全て角ちゃんに任せきっていた。本当に何から何まで感謝、感謝です。

さて、沢ガイドには「シャワークライマー憧れの沢」など記してあるが、はたしてどんな沢だろうと心弾ませながら、現地へ向かう。今回はピークには行かないので、下山の煩わしさをカットし沢の魅力を十分に味わえ、おまけに沢中一泊で焚火を囲みながらの夕食付きという、非常に贅沢な山行だ。車2台で行き、沢の終了点付近に1台止め、もう1台で取り付き点に向かう。七泰ダムの脇の林道沿いに車を止め、出発。

朝だというのに、かなりの暑さだ。早く、沢に入りたい!ダムの横から谷に降り、白石のごろごろする河原少し行く。明るく開けたこの沢はいかにも本流らしく、水量は豊富で時々流木がかなり高い所まで押し上げられている。水量が多い時にはこの河原も水の底に沈むのだろうと思いながら足を進める。10分ほどでバックに70mの大岩壁「ワサビグラ」を従え、落差10mほどの七泰の滝と出会う。ズルズルの滑りやすい苔むした右岸を巻くと、5mの保色滝、10mの槙滝と次々と滝が現れる。ここも右岸を巻く。ここから「百間グラ」までは小滝が連続するが、別に泳がなくても良いような所でも暑さに耐えかね泳ぐ。水はエメラルドグリーンに輝きどこまでも澄んでいる。水に浸っていたら、何と気持ちの良い事か。疲れがいっぺんに吹き飛ぶ。高さ100m、幅200mという大岩壁「百間グラ」を左手に見ながら、流れの中をザブザブ遡る。「焼グラ渕」(写真)も遡行図には100m泳ぐと書いてあるが、水量が少ないせいか結構背が立つ。つまさきで立ち、口のラインぎりぎりまで歩き、一気に泳ぐ。泳ぎー取り付きー登るー泳ぎ−取り付きー登るの連続だ。

流れに逆らいながら泳ぐのは楽ではない。おまけにザックが浮いてくるので頭を圧迫し思うように息継ぎができない。首の力でザックの浮力に打ち勝ちながら泳ぐ、足も上に浮いてくるのでなかなか泳ぎ辛い。ほとんど手だけの泳ぎである。本当はこうならないようにザックの大きさとパッキングは考えるのだが・・・

「焼グラ渕」すぐ後のナメ滝下で大休止。昼食をとることにした。今回は一日目の昼食までも共同で、やはり沢とくれば「ソーメン」とくるかと思えば、意表をついて「にゅうめん」!原料は一緒で、暖めて、だしを入れただけの事だが、これがなかなかのヒット!みんな、ペロリと平らげてしまった。奥様になったにたちゃんは益々食事には磨きがかかってきたようである。(にゅうめんごときで誉められても嬉しくないか?)少し雲が出てきて、寒さを感じるようになり、泳ぐのもそろそろ飽きてきたころこの谷の核心部がやってきた。

約15m泳いで取り付き、残置ハーケンの打たれた右手を登るのだが、少し手強そう。日が陰ると体に感じる温度が一気に下がり、みんな少し震えがち。果敢にも角ちゃんが15m泳ぎザイルを流してくれる。ザイルに捕まり引っ張ってもらうのは、なんと楽な事よ!しかし、問題はその上の5mくらいのツルツルの岩を直登しなければならないということ。

残置ハーケンは少し動いているし、あまりアテにはならない、スリングも少し腐り気味。ガタさんビレイで角ちゃんがリードをする。絶妙のバランスでここを突破。あとからトップロープでみんなは登ったのだが、ツルツルの濡れた岩はホールドや足掛かりがまったく安心できない。一か八かの世界で、ツルっといったら、釜の中に落ちるしか無い。バランスと度胸がものをいう。そこをリードした角ちゃんはさすがである。あっぱれ!

核心部を過ぎてホッとしたのもつかの間、再び泳ぐ。が、今までの様にしんどい泳ぎではない。ナメ滝の間の渕を泳ぐと言う感じだ。トビワタリ谷に差しかかる頃にはまた、太陽が再び顔を出し暑くなってきた。

沢はいままでの様相とはガラっと変り、穏やかなナメと小滝が連続する。みんなの顔は楽しそうで、沢の魅力を存分に楽しんでいる。途中、鹿と出会う。まだ子供の様で「鹿の子模様」がしっかりとついている。僕達を見つけ、あわてた様子で急勾配の左岸を跳びながら登っていく。みごとな登攀能力というか、跳躍力というか・・・

時間もそろそろ終盤に近付き、今夜のテン場を捜しながら歩く。細谷の手前でちょうど最適な場所が見つかり、そこで一日目の行動を打ち切る。全員で見事なタ−プを作りツェルトで風避けを作る。芸術的な仕上がりで、今夜の快眠は約束された。濡れた沢具や靴を干し、草履に履き替える。流木を集めて、焚火の準備。その後、角ちゃんはフライフィッシング、K原さんはえさ釣り、にたちゃんは夕食準備、がたさんは・・・ただボーっと沢を見つめている。K原さんのえさ釣りでは、2日合わせて10匹のアブラハヤ(食べられない)が釣れたのだが、その餌はなんとヒル。いつも食われている僕は一言ポツリ・・「たまには食われる立場になってみー」角ちゃんにフライの極意を伝授してもらったガタさんは、やみつきになってしまいそうである。

にたちゃん特製山飯とくれば、やはり激辛カレー!見るからに汗が出てきそうなそれは、いつぞやの合宿で暑さに耐えかねてみんなテントから飛び出した事を思い出させる。でも今回は違った。かなりマイルドになっている。やはり「味は性格を表す」ということで人間丸みが出てきたのだろうか??にたちゃんごめん!焚火がたかれ、ビールで乾杯!炎にうつるみんなのニコニコ顔が本当に素敵だ。時折、「火の神、K原大明神」が「ヴッォー、ヴォー!」と凄まじい勢いで、炎に活力を与えている。ちょうど食べ終わる頃、ポツポツ雨が降ってきた。みんなタ−プの下に避難きたがなかなか止みそうにない。遠くの炎を見ながら「仁田原家特製梅酒」で再び乾杯!これがまた絶品!!すばらしい仲間とうまい酒と共に夜はふけていった。

朝、ゆっくりとした目覚め。シュラフで寝ていた僕は暑いくらいだったが、角ちゃん夫妻はシュラフカバー一枚だったため少々寒かったみたい。朝からまた釣りをし、朝食を食べ、8:20出発。かなりゆっくりとした出発だが今日の予定は2〜3時間沢登りをして後は帰るだけ。気分的にはとても余裕がある。陽が当たってくると、再び暑くなり、S字の渕をすぎたところの2つのプールで滑り台をしてみんな子供にかえる。狼返しの滝を過ぎ、20mの渕を泳ぐと終了点の林道との出会い。沢から上がるのが、本当に惜しいいつまでもいたくなる気持ちをぐっとこらえ帰路についた。

帰りは十津川の湯泉寺温泉「滝の湯」でひとっ風呂あび、手作りの蕎麦を食べ京都に帰った。沢で一夜を過ごすことは昔懐かしい気がして、思わず「When the night〜」と例のあの曲が頭の中をぐるぐるまわっていました。すばらしい沢とすばらしい仲間とすばらしい酒に乾杯!!