[上越国境宝川ナルミズ沢遡行報告書]

 初秋上越沢〜遊紀行

【期日】 01.9.14(夜)〜9.16

【目的】 初秋の上越沢でゆったり、のんびり

【山域】 上越国境

【沢名】 宝川ナルミズ沢

【形態】 沢登り

【メンバー】

CL  Y形     SL,気象   T嶋こ  食料    T嶋あ   装備、釣  K原 記録会計  N川ゆ   医療 K谷み U田   関東組   N田   関東組 K野    

 

【コースタイム】 

14日 午後 9時15分 京都出発(T嶋号、Y形号)

      午後 ?時   関東出発(N田号) 

 

15日  午前 5時20分 林道ゲート付近到着〜仮眠 

  8時45分 出発

      10時45分 徒渉点 休憩

       11時43分 出発

午後12時45分 大石沢テン場到着

        沢遊び、釣り、食事用意

       5時10分 夕食

       8時20分 就寝

 

 

16日    午前 4時半  起床

         6時11分 出発-沢登り8名、ハイキング1名(K野)

        7時10分 二股手前 

 8時15分 沢登り終了 原っぱで遊ぶ

10時15分 ジャンクションピーク

        10時50分 朝日岳山頂 休憩

        11時43分 出発  

        12時50分 大石沢テン場〜撤収

      午後 1時25分 出発

         3時 5分 徒渉点

  5時   林道ゲート〜帰路             

17日    午前 3時30分 京都着

 

 

【持ち物】 共同装備:テント(アライ3名用*2、ダンロップ3名用*1)

           ツェルト*2、テントマット*3、ガスヘッド*2、カートリッジ

           タープ、ザイル*4、コッフェル、ストック(タ−プ用)

      個人装備:沢登り装備一式(沢靴、ズボン、速乾性の長袖シャツ、

           ハーネス、8環、シュリンゲ2本、ヘルメット、手袋、)着替

           え、シュラフ、シュラフカバー、マット、ヘッドランプ、レ

           スキューセット、ゴミ袋2〜3枚(防水用)新聞紙、個人コッ

           フェル、ハシ、スプーン、行動食など、できればザックは小

           さいものより中くらいの方が良いです50〜60リットル位

 

【地図】 茂倉岳、藤原(1/25000)

 

【温泉】 宝川温泉、テルメ谷川

 

【費用】 約14000円/人

 

【感想、記録】

 

 「郷愁にも似た、昔懐かしい感じのする沢」ガイドブックにこう記されているのを見て、いつか行ってみたいとリクエストしてみたところ、こうも早く希望が実現するとは思いませんでした。沢はまったくその言葉の通りで、みんなを子供の頃にフィードバックさせてくれました。本当に楽しかった夏の終わりの思い出を綴ります。

9月14日

pm8:30 K原家「ピンポーン」

Y形「こんばんは、Y形です。誘いに来ました。」

K原「ok,じゃあ行きましょかー、天気だいじょうぶかなあ」

Y形「まあ、とりあえず行ってみますか」

 

出発の2日前から天気図とにらめっこしていたY形は、初秋の天気の気まぐれというやつに付合いきれずに、すでに運を天に任していたのである。京都駅についても、何人かに同じ質問をされたが同じように答えていた。かくして、念願の沢行が始まったのである。

京都駅で雪稜OBの秋田さん、今西夫妻、富永さんに偶然出会った。彼等は編笠山にお月見山行に行くのだそうだ。編笠山というのが何ともシブイ。

 

T嶋号とY形号は運転を変りつつ、高速道路を疾走する。でも、なかなか着かない。信州とは違い上越国境(特に群馬県)というのは、何て遠いんだろうか。おまけに関越道では霧で視界がきかないありさま。関東組との集合地点でもある宝川沿いの林道ゲートに着いたのは、明け方の5:30だった。

8:00まで仮眠をとるつもりが、地元の林業の人に7:00に起こされた。何やら林道ゲート付近は2台しか車を止めてはいけないとのこと。連日の大雨で沢沿いの林道が崩壊し、その工事車両が頻繁に出入りするので、遠慮してほしいとのこと。

見れば、N田さんたち関東組はもう着いていた。N田号だけを下に移動してもらい、皆は出発の準備にかかった。空は曇り空だが明るく、時折、陽がさしている。テレビや携帯電話は通じず、車のラジオだけが頼りで、天気予報を聞くが秋雨前線の動きがつかめず、エスケープの仕方をいくつか考えて出発。(携帯用のラジオを持ってくるべきだった。天気予報で頼るのは携帯電話と勘のみ)このナルミズ沢は晴れれば快適な沢行となるが、沢中で雨になると逃げ場がなくなる。ツメ部分は草付きで、沢巾は狭いと予想されるだけに雨天となれば、沢行中止もやむを得ないとし、とりあえず登山道との分かれで、今日のテン場でもある大石沢出合いに向けて歩き出した。

「ダメだったら、大石沢から引き返して武尊山にでも登ろう」と言う言葉に励まされつつ先を急ぐ。林道から登山道に入る手前の板幽沢(布引山につきあげる沢、ここも登れるらしい)の増水で林道が崩壊してしまったようである。工事をしていたが、「また雨が降ると落ちてしまう」と言っていた林業のおじさんの心配そうな顔が目に浮かんでくる。それほど、この辺の沢の増水は凄まじいのか!地図を見る限りそれほど流域面積が広い訳でもないが、岩場と草地が多いだけに保水量が少ないのだろうか?色々心配する僕に以前、湯檜曽本流を遡ったK野さんが追い討ちをかける。「この辺の沢は1時間立たない内に水位が1m上がりますよ、私が経験者です」「ギョエ〜〜〜!!」これは、しゃれにならない!でも、今さらどうこう考えても、どうしようもなく「それは湯檜曽の話、ここは宝川、だから大丈夫!」となんの根拠ももたない楽天的な僕に、K野さんはすかさず「でも本流ですよ」「ギョエ〜〜〜〜!!」

とまあ、楽しい沢行が始まったのでした。登山道は途中から宝川本流をかなり高く巻いていて、所々岩場もありゴルジュの高さを物語っている。また、各枝沢では登山道が崩落していてザレ場泥地獄と化している。登山久し振りというK野さんには、少々きつそうである。ドロドロになりながら、何とかかんとか徒渉点に到着。みんな裸足になり徒渉。そんなに水量は増えているようには思えない。K野さんもロープにつかまり徒渉。ここまで約2時間半ここから大石沢まで1時間半で今日の日程は終了する。徒渉点で大休止をとり大石沢へ向かう。今度は右岸を巻くようになるが、ここもまたドロドロのぬかるみ道、登山靴の中はすっかり泥だらけ。しばらくでウツボギ沢出合いの大河原に出る。テントが5張ほど張れるスペースがある。非常に快適そうなテン場である。僕達とほぼ同じ時間に沢に入ってきたパーティは大石沢より上の二股でテン場をとるとのことで、それ意外に先行パーティはいなかっただけに、テン場確保は安心していたのだが、いざ大石沢についてみるとテント3張を張れるスペースに苦労した。「早い目に行って、テン場確保してお いたほうが良い」というT嶋さん、大正解!!午前中明るかった空は、だんだんと暗黒の度を増してきて、今にも泣き出しそうである。本来はウツボギ沢から沢登りする予定だったが、気温も低く、沢に入る気にならない。沢登りは明日にかけ、雨が降る前にテントを張ろうと、みんな協力しテン場設営。K原氏は大石沢手前から釣り登るということで、沢中の遡行。しかし、肝心の岩魚は魚影すら見えない。あきらめて、大石沢で釣りを始めたが、こちらでは2匹の岩魚が釣れた。でかした!K原さん!!でも、2匹の岩魚を9名で食べるのは少々きつい。急いで、あと7匹がんばってもらうことにした。

テン場では流木を集められ(流木はあまりなく、倒木を鋸で切って薪にした)焚火の準備が整っている。雨避けのため、ツェルトでタ−プをつくる。食事も今回は豪華でワインも日本酒もビールもたんまりある。N田さんが、色々な種類のぶどうと梨を差し入れてくれた。岩魚は結局2匹だったがみんなで齧ることにした。

こうして盛大に沢中宴会は始まったのだが、焚火に映るみんなの顔はやる気満々だ。やはり、ハーモニカとウクレレを持ってきた方が良かったか?!でも少し天気が気になる、陽が暮れると稲光りとともに雷鳴が轟いていた。いつ、雨が降ってもおかしくない状況だが、降ったのはみんなが寝静まった後、約1時間ほどだった。

宴会が終わると、みんな寝不足のせいかあっという間に寝てしまった。

16日午前4:30

空はまだ暗い。外へ出ると満点の星空!「ラッキー!!」思わず、そう叫んで沢行の準備にとりかかる。K野さんを除いて、8名が出発したのは6時10分。K野さんは昼過ぎに下山し、徒渉点で待ち合わせをする。沢はとても美しくエメラルドグリーンの釜が点在し、そこには小さな滝が様々な表情を見せて流れ込んでいる。来たことはないが、どこか懐かしい感じのする沢で、遡る者に心からやすらぎを与えてくれる。「来て良かったなあ、いつまでもこんなところにいられたら・・」と思う頃に早くもツメの草原地帯へと出た。「え〜早すぎるぞ〜」と思っている間にも水流は伏せてしまった。ここまで約2時間、あまりにも早く終わってしまい物足りない事この上ない。こうなりゃ、早くテン場に下り、沢下りを楽しもうと気分は早くも下山方向。しかし、朝日岳につづく稜線はけっこう距離がありそうだ。おまけに今まで稜線を被っていたガスが晴れ、展望はよくなったが暑いのなんのって!ツメ地帯は一面草原になっていて、ロマンチックなムード、何年か前に遡った巻磯山の米子沢を思い出させる。草原でもやはりみんな子供にかえり、いもむしゴーロゴロとかでんぐりがえりとか、おまけに人文字まで作って遊んでいる。ヤレヤレかくいう僕も思いっきりノっていたが・・・

けもの道程度の登山道を稜線からジャンクションピークにつきあげ(ここからは非常に整備されている)携帯電話で天気予報を見る。このとき携帯電話の防水をうっかり忘れてしまっていたみたいだ、後で痛い目に合う。

朝日岳山頂で大休止、ビールで乾杯したのはいうまでもない。山頂からは谷川岳が一望できた。一目散に大石沢に下山し、テント撤収。そこから、沢遊びをしながら徒渉点まで沢下りをした。遡った沢がぶっ跳んでしまうほど、沢下りは楽しく、みんな登りが短かったせいか欲求不満で、飛び込み、泳ぎ、滑り台とかなりはしゃいでいる。思う存分遊び、満足気に徒渉点に到着するとK野さんが待っていた。遊び過ぎてかなり待たせてしまった。反省。ザックの中の水を出そうと、中を開けた時、無惨にも携帯電話が丸出しで水没していることに気がついた。「オーマイガ〜〜〜〜〜!!」何と言う事だ!6月に機種変して最新の503iに変えたとこだというのに・・・・・・トホホホホホ〜こんな訳で、そこからのの2時間ほどの行程は憂鬱極まりなかった。走り出したい気分だったが、そこは自分を押さえつつ林道ゲートまで戻った。K野さんは行きとは想像できない早さで歩いていた。山登りに御無沙汰でも、少し歩けば勘を取り戻す、流石ですね。宝川温泉には間に合わなかったが、テルメ谷川に入りトンカツを食べて、帰京した。帰りの道中は行きのそれより長く感じ、京都についたのは午前3:30だった。ナルミズ沢にこの日程で行くのは、少しハードだったかもしれない。もう一日あれば、余裕をもてたかも・・・でも、みんなの心にはすばらしい沢に思い出ができたことでしょう。やはり沢は最高ですね。また、行きた〜い!!