明星山クライミング&ハイキング

山行名 新緑と残雪の山を登る(雨飾山、明星山) 山域 頚城山系
期日 2002.5.31-6.2 山行形態 ハイキング、クライミング
参加者 名前 担当 名前 担当
T嶋こ L しま  
T嶋あ   N田  
T井い 食料 K野  
N川ゆ L T岡  
A木 会計    
H澤      
T橋      
日程 天候 コースタイム
5・31   京都21:00→
6・1 雨/晴/雨 →展望台2:30/7:30→フリースピリッツとりつき8:00→終了点3:30→雨飾山登山口
    以上、登攀チーム(T嶋こ、T井い)
    →展望台7:00/7:30→左岩稜とりつき8:00→2ピッチ目終了点→とりつき→展望台→雨飾山登山口
    以上、登攀チーム(N田、T岡)
    →雨飾山登山口→雨飾山→雨飾山登山口
    以上、ハイキングチーム(T嶋あ、N川ゆ、A木、H澤、T橋、しま)
6・2 鎌池(泊地)→明星山展望台8:00→明星山登山口→明星山→明星山展望台→明星山展望台→糸魚川→京都
    以上、ハイキングチーム(T嶋2、T井い、N川ゆ、A木、H澤、T橋、しま、K野)
    鎌池(泊地)→明星山展望台→左岩稜とりつき→終了点→展望台→豊科→東京
    以上、登攀チーム(N田、T岡)
食料 土曜日夜 なべ ほか各自
装備 クライミング用具一式(キャメロット1セット)、ハイキング用具一式
概算費用 10000円
備考 糸魚川温泉1300円(11枚つづりの回数券は8000円!)

 

キャプチュードにトライして3年がたった。思えば、あのときのコンディションは最悪だった。一人で全行程を運転、少ない睡眠時間、猛烈な暑さ、ギア不足、水不足…。

あれから左岩稜を登った。こいつは造作もなく片付けたが、下降に手間取った。途中から雨が降った。目印の松の木が見当たらない。強引に降りてみたが、なんども懸垂を繰り返し、体中をブッシュにひっかけながら降りてきた。山椒のきつい香りが汗や雨と混じりあう。

要するに、ここ明星山にはいい思い出がないのだ。ところがまた来てしまった。

 

6/1

2時半頃に展望台につく。明け方、雨が降る。いやな感じだ。関東からN田さんとT岡さんが来ることになっていたが、起きたときに彼らの車は来ていなかった。携帯も通じない。待ち合わせ場所を間違えているのかと思い、上流のほうへ行ってみるがいない。展望台へ戻ってきたときに、ちょうどやってきた。この日、雨飾山に登るはずのK野さんもなぜか一緒だ。話によれば、道に迷った挙句、いまようやく到着したとのこと。N田さんは夜通し運転し、寝る間もなくクライミングをするはめになった。雨飾山に行き損ねたK野さんは、ここで休息。N田&T岡パーティが左岩稜へ、T嶋&育さんがフリースピリッツへ向かう。N田&T岡パーティがトポをコピーしわすれたというので、左岩稜のコピーを渡す。

小滝川の水は、それほど多くはなく、渡渉は易しかった。水が冷たいのは仕方ない。さて、取り付きを探すが、岩場の全体図をコピーするのを忘れていたことに気づく。鷹の巣ハングを目印に壁の右へ右へいって、なんとかそれらしきところにたどりつく。準備をしはじめて、昼ごはんを忘れてきたことに気づく。キャプチュードのときの教訓を生かして、水を2リットルも持ってきたのに、食料がないのでは…。育さんが分けてくれるというが、一気にテンションが下がる。そして追い討ちをかけるように、上から落石。これが一つや二つではなく、こぶし大のがいくつも落ちてきた。壁際に避難する。しばらくしてようやく止まった。育さんに、ここを登るか念を押す。当たるも当たらないも運命だということで、予定通りフリースピリッツにとりついた。

 

8時に登攀開始。

1ピッチ目(?)。ブッシュ帯を左上。常に落石が気になる。岩の部分はまだいいが、砂のところは神経を使う。

2ピッチ目(?−)。テラスからさらに左へトラバースする。

3ピッチ目(?−)。最初の核心。右上するフレークをアンダーでとらえながら登る。体が露出する分、おもしろい。しかしここで暑さのため頭がくらくらしてくる。終了点がすぐそこだが、ランナウトしてもう一歩がでない。そのうち、意識が遠のいてきて、下の支点までクライムダウンする。水を飲んでおけばよかったと後悔する。しばらくすると落ち着いてきて、また登り始める。さきほど引き返したところで、よく周りをみると、右手にハーケンの頭がちょこっと見えた。難なくクリアーしてビレイ点へ。育さんが登ってくるやいなや水を飲む。この先が不安だ。

4ピッチ目(?)。いったん右上してから右下へクライムダウンし、さらに右上。ハングの真下でビレイ。

5ピッチ目(?−)。2番目の核心。ハングの基部にはしるクラック沿いに左上。ピンは豊富。つきあたりのところがいわゆる「うめぼし岩」。手前でピッチを切ろうと思ったが、つっこむことにする。「うめぼし」の左側にキャメロットをかまして左側から越える。ピンは右上にある。どうやら「うめぼし」の右側がルートらしい。そこで、右側に移って、そのピンにロープをかける。そこから右へトラバース。ところがロープが動かない。うめぼしの右にかましたキャメロットが原因だ。やむなくテンションし、ちょっと下ろしてもらってキャメロットを回収する。そこからのトラバースは「身長がないとつらい」というトポ通り。身長のある僕は、それほど苦ではなかったが、育さんは辛かったみたいだ。

6ピッチ目(?+)。ビレイ点から直上。3メートルほど登ってから、右手のカンテをまたいで、右手のフェースにでる。正規のビレイ点を通過し、凹角を抜けたところのブッシュでビレイ。

7ピッチ目(本来?+)。緩傾斜の岩場だったので、育さんにリードしてもらう。S字状にルートをとってもらうつもりだったが、左へ行き過ぎてしまう。少し下りてもらってビレイしてもらう。

8ピッチ目(?+)。支点はほとんどなし。もろい凹角を越えと、中央バンドに出た。ここで大休止。昼食をとる。育さんの昼食はあまり多くない。このあとのことも考えて、控え目にとる。

9ピッチ目(?)。中央バンドを横切る。ガレガレ。ブッシュでビレイ。

10ピッチ目(?)。最初はピンがあったが、そのうちなくなる。なんでもないランペを右上。フィックスロープがたれている。その末端でビレイ。

11ピッチ目(?)。凹角状のフェースを登る。ルート図(『日本の岩場』)ではこのピッチはS字状になっている。凹角状の上部から右のランペに移る。そこからピンに導かれるように、ハングの基部まで上がる。なにかおかしいと思ったが、もう後戻りできない。ハング下の岩場を左上。かなりやばい。あとで調べたところ、マニフェストに入ってしまったらしい。

12ピッチ目(?)。ルート図では、ビレイ点からさらに左へトラバースすることになっているが、どうみても不可能だ。ピンもない。凹角状の抜け口から左へ行くのが正規ルートだろう。フォローしてきた育さんを下ろす。フィックスロープがかけてあるところでビレイしてもらう。僕も懸垂で降りる。ルート図には「パノラマトラバース」となっている。露出感がすごいのだろう。そこから上に上がってみる。左に狭いバンドが続いている。すこしいってみるが、ピンもないので、引き返す。ルート図をみてもどうも判然としない。下のバンドがルートかもしれない。カラビナを残置して、降りる。ビレイ点から左へトラバースしていく。ピンはなく、キャメロットで支点をとりながら、次のピッチの凹角をめざしてトラバースしていく。行けどもいけどもそれらしきものはない。おかしい。一旦戻る。もう一度上に行ってみる。わからない。一か八かで狭いバンドをトラバースしてみる。岩を回り込んだところにピンがあった。あとは小川山のセレクションを思い起こさせるような快適なトラバースでビレイ点にたどりつく。かなり時間をロスしてしまった。(この2ピッチ、『日本の岩場』はあまり正確ではない。『アルパインクライミング』の方が正確。下山してから気がついた)

13ピッチ目(?−)。上部の核心。これまでとうってかわって細かいホールド。しかしけっこう「カチカチ」で、よくよく見れば、うまい具合にホールドがある。ピンの間隔も短く、快適にクリアする。このフェースを越えれば、もう終わったも同然だ。

14ピッチ目(?)。緩傾斜帯を左手の稜線むけて左上。2時半終了。握手を交わし、燃料補給する。

心配していた下降だったが、松の木が意外とあっさりとみつかる。前回に比べれば、まるで天国のように楽ちんなくだりで小滝川へ。鉄管をわたって、とりつきにもどる。

 

雨飾山登山口へ向かう途中、深山の湯に入る。みんなに合流したあと、鎌池にうつり、宴会。雨に降られる。

 

6/2

昨日、3ピッチ目で敗退したN田さんとT岡さんは、再度左岩稜をアタックすべく、明星山に向かった。僕は、この日は天狗原山でブナ林を観賞する予定だった(こちらがむしろ今回の山行の主目的だった)。朝ごはんを食べた後、地図をみていると、取り付きまで車でいけると思っていたのが、その道が通行止めになっていたことを思い出す。往復3時間の林道歩きはあまりにもったいない。そこで行き先を変更することにした。僕のたっての希望で明星山を一般コースから登ることに決まった。

登山口へいくまえに、N田さんとT岡さんの様子を見に行く。ちょうど1ピッチ目を登っている最中だった。2ピッチ目のリードが終わるまで見ていた。そこから登山口に移動。地図もなにもなく、道標にしたがって、林道を歩く。実は、岩場の展望台からすこし奥にはいったところからも頂上へいく登山道があった。そしてそちらの方が短かったのだが、そうとは知らず、岡部落のほうから登ってしまったのだ。林道は意外と長かった。ブナの林は美しかったが、なによりもよかったのは頂上からの展望だ。一時間ほど頂上で展望を満喫し、下山する。岩場に戻ったが、N田さんT岡さんの姿はなかった。どうやら岩を登って下山中らしい。いつ帰ってくるかわからなかったので、申し訳ないがK野さんをその場に残置し、3時前、京都組は一足先に帰らせてもらった。糸魚川温泉で汗を流し、家には午後10時に帰れた。