神童子谷

 

山 行 名

大峰屈指の名渓をゆく

山   域

川迫川 神童子谷

目   的

沢で快適なチェルト生活をする。

期   日

平成14年6月21日(金)〜23日(日)

山行形態

前夜発 1泊2日

参 加 者

K谷、K原、Y形、H谷、M山

日 程

6/21(金)

JR京都駅 八条口21:00⇒<Y形号>⇒

6/22(土)

川迫ダム テン場2:00⇒起床7:00⇒上白石谷出合(駐車場)着8:50⇒発9:10⇒赤鍋の滝10:40⇒

 

ノウナシ谷出合11:35⇒発13:05⇒一ノ滝13:40⇒レンゲ坂谷出合(テン場)14:00⇒就寝21:00

6/23(日)

起床5:00⇒テン場発6:32⇒ジョレンの滝2段60m8:00⇒山上辻9:13⇒稲村ヶ岳10:00⇒発10:25

 

尾根EL1500m 11:40⇒尾根EL1372m 12:00⇒下サンゴウジ谷 二股出合13:25⇒EL990m 14:25⇒

 

本流出合14:35⇒上白谷出合(駐車場)発15:10⇒天川温泉16:30⇒宇治 大久保駅20:30解散

概 念 図           (遡行図)

 

地形図

国土地理院 1:25,000 地形図

弥山、洞川

昭文社 1:50,000 エリアマップ

大峰山

参考文献

ナカニシヤ出版

近畿の山 日帰り沢登り P142

エスケープルート、緊急時の対応

増水時は、往路逆行あるいは最短距離の登山道に向かいます。

食 料

日  時

<朝>

<昼>

<晩>

6/22(土)

各自

にゅう麺

バーベキュー

6/23(日)

雑炊

行動食

食堂で各自

 

 

 

 

 

行動食 1食分   予備食 1食分

非常用装備

ツェルト( 1 張)、シーバー(  台)、携帯電話( 1 台)

概算費用(一人当り)

合計3060円(内訳:車利用料金:1500円(237km)、食糧費:1560円、天川温泉510円)但し、行動食6/23夕食省く

           

 

神童子谷は、大峰山系では弥山川とともに沢登り発祥の地として知られる名渓といわれているらしい。渓流釣りばかりしていた頃からもその名は聞いていたので機会があれば是非行ってみたいと思っていた。今回のメンバーは、K原氏、Y形氏、H谷氏、M山氏(以下氏略)とK谷の5名であった。

 

雪稜クラブの待ち合わせ場所としては、お馴染みのJR京都駅の八条口に21:00に集合。偶然にも、高嶋氏らの錫杖岳行きのメンバーとバッタリ出会う。集合時刻が同じだったようだ。天気予報では北の方向はあまり良くはないと聞いていたので、彼等が雨にたたられないこと祈りながら見送った。我々もY形号にザックを積み込み21:30に出発した。

 

行きの運転は、Y形、K原にしていただいた。京奈和自動車道を経てR24を南下し、R309を川迫川沿いに右岸側を走行する。有名な御手洗渓谷を通過すると徐々に道幅が狭くなり、左側は切り立った岩壁となる。本当に国道?と言いたくなるくらい悪い道だ。対抗車に合うこともなく、なんとか川迫ダムのバックウォーター付近まで来る。2:00。丁度そのあたりに公衆トイレがあり、駐車場も比較的広くて普通車10台くらいは駐車出来そうだ。ここから、神童子谷まではそんなに遠くもなく、他車もなかったことから、取りあえずここをテン場にした。一応、お定まりの小宴会を開いたが、時間も遅いので直ぐに就寝した。消灯して直ぐにホトトギスが鳴いた。昼間の鳥が夜中に鳴くなんて、悪い夢でも見たのだろうか。河原では、カジカ蛙が鳴き、金属音のようなヨタカの鳴き声も聞こえた。

 

翌朝、車道を通過する車の音で目が覚めた。起床時刻の7:00までに20台くらいは通過しただろうか。5:00頃から弥山行きの登山者と釣り人の車が通過し、起こされながらもだましだまし寝ていると、辺りで小鳥のさえずりが聞こえはじめる。時折、遠くのほうでアカショウビンが鳴いている。アカショウビンの鳴き声を聞いたのは、これで2度目だ。他にもアオバトの鳴き声やキツツキの木をつつく音が聞こえた。テン場の周囲にこれほど多くの鳥が生息しているなんて。本当に驚きだ。

起床後、各自朝食を摂り、共同装備の分担をして、沢登りのパッキングを行い8:30に出発する。舗装された林道を走り、8:50、思ったより早く終点の駐車場にたどりついた。

H谷とM山は、沢登り初体験ということもあり、K原にハーネスの着用方法の説明を受ける。9:10に駐車場を後にして、上白谷の橋を越えた辺りから作業道を下り、渓に入る。作業道は、渓谷を300〜400m遡ったところまであり、支柱は岩盤に打ち付けられたスチール製の頑丈な作りであるが、所々落石により損傷していた。

入渓地点の河床幅は、20m程度と広く、全体的に明るい沢のようだ。山ぎわでは、何気なくドウザンツツジが咲いている。淵と瀬が続く河原を歩いていると、直ぐに両岸が切立ったヘッツイサンのゴルジュが現れる。ここは、膝上までの徒渉で越える。

赤鍋ノ滝は、扇状の滑り台のような射流8mのナメ滝だ。ここは、左岸から釜を廻り込めば突破できそうであるが、念のためザイルを張る事にした。K谷がトップで登り、ヘツリで左岸に取付き、勾配は緩いがホールドの少ない滑床の斜面を登る。セカンド以降はY形、H谷、M山の順でプルージックで登り、アンカーのK原がヌンチャクを回収する。次に続く3m、4mの滝では、左岸から右岸へと谷を泳いで渡り、ナメの斜面を滑り落ちないよう注意して渡る。10:40。赤鍋の滝から先も川原は広く、明るい沢を小膝までのシャワーを浴びせながら軽快に遡行する。H谷、M山も徐々に水なれしてきたようで調子がよさそうだ。

上サンゴウジ谷の出会いに11:07に到着。更に進むと直径30m程の大きい淵を持ち、直系5m程度の円弧状の美しい形状の甌穴をもつ釜滝2条7mが現れる。みんなで肩を組んで、滝をバックに記念写真を撮る。ここは、右岸を高巻けば直ぐにノウナシ谷の出合いとなる。11:35。ここらで一本取ることにして、昼飯のニューメンは、Y形料理長に一任し、作ってもらう。K原、K谷は調理の合間だけアマゴ狙いで少々釣糸を垂れるが、先行者がいたようで手応えはなかった。ちなみに昼食は、素麺の予定であったが今日は曇りで肌寒かったためニューメンに変更した。どど甘い、トワイニングの午後の紅茶を飲んで、13:05出発。右側の小笹谷を過ぎるとニノ滝斜瀑8mと一ノ谷直瀑10mが連続して現れる。ここは、左岸側に巻き道がついており、いとも簡単に巻くことができる。途中、一ノ滝の淵のまえで最後の釣り人と出会う。魚篭を見せてもらうと15〜25cmの幅広のアマゴが30匹くらい入っている。K原とK谷は、思わず恨めしそうな顔をしてしまう。一ノ滝の先は、緩やかな流れとなり、瀬と小さ な落ち込みの連続する流れだ。アマゴの魚影も濃く、落ち込みの下流端に必ずといっていいほど魚がついている。われわれが、通りすぎる度に岩陰に俊敏に逃げ隠れする姿が見える。14:00。右側から合流するレンゲ坂谷の出合で、ツェルトを張るのに適した平坦な場所を見つける。テン場としてはこのうえない適地だ。暗くなるまで時間があるので、みんなで薪拾いをし、バーベキューの準備にかかる。ここでもK原,Y形,K谷が性懲りもなく渓の蛋白源をもとめて、あの手この手でひっ捕えようとするが、犬取滝3段25mの直ぐ下とポジションが悪く、あえ無く敗退。期待していた酒の肴が消えてしまった。気を取り直して食事の準備に取りかかる。今晩の食事は、Y形の提案により豪勢なバーベキューとした。ただし、味付けはシンプルで塩のみであるが、ただの塩では芸がないとY形推薦のクレージーソルトなるものを使用してみた。これがまた素材を引き立たせる良い味加減になった。夏の懇親会の参考になりそうだ。ボッカした牛肉、鶏肉は直ぐに売り切れ。アルコールも入り、たき火を囲んで笑い声と煙が闇夜の沢に流れていく。トイレにいく足取りが、頼りなくなったので21:00消 灯する。

 

翌朝4:20頃、ヨタカが鳴き始めてK谷だけ先に起床。予定の5:00より早く目がさめた。昨夜の残り火から火を起こし,ご飯の支度をする。今日の行程は比較的長いので、テキパキと準備し雑炊と味噌汁を食べる。食糧が減った分荷物の分担を再編し、パッキングし直す。

6:32発、歩き出して直ぐに勾配がキツクなり、両岸が切立って、直瀑の犬取滝3段25mが豪快な流れを滝つぼに落としている。ここは、右岸を遠巻きに、次の8m滝も含めて高まく。再び沢に下りるところでは、傾斜もゆるかったが高度もあったので、7:20、懸垂下降の練習を行った。

次に小ナメや小滝を軽快に越えていくとこの谷で最大のジョレンの滝2段60mが現れる。右側には、少し細いが裏見ノ滝25mがかかっている。右岸にもそびえる岩壁を大きく高巻いてこえる。但し、この沢は遡行するものが多いのか、それなりに踏み跡が残っているのでわざわざルート工作をする必要がなさそうだ。樹木にも所々ポイントとなるところにビニールテープが巻いてある。歩いていると、つい足元を気にしがちだが時折上方に目をやることも必要だ。このあたりは、獣の糞がいたる所にあったが遂に姿を見る事が出来なかった。滝をこえたところで1本休憩。8:20発。滝より上流は、瀬と小滝の続く穏やかな流れとなり、水量も少なくなる。幾つかのナメ滝を越えると二俣となり、右から枝沢が合流する。ここで、水筒に水を補給していると、K原が小声で叫んでいる。見ると、鮮やかな尾びれのヤマドリのオスが飛んで行くのが見えた。K原しか見なかったが、本当は雛をつれて、ぞろぞろと歩いていたらしい。ひょっとしてオスは、敵の注意をひくためにあさっての方向に飛んだので あろうか。8:50。そこから13分で二股。今度は、右に入り細い枯沢を歩くと直ぐに登山道の橋がみえた。遡行はここまでで、登山道を左に進み9:13、山上辻の稲村小屋に到着。稲村ヶ岳には10:00に着いた。そこで、ボッカしていた八朔を一人1個づつ食べる。あいにくピークでは、ガスに巻かれて展望は利かなかった。ビタミンでにわかに元気が出たところで10:25、出発。

 

本来なら、ここで登山道を洞川方面に下っていくコースが一般的であるが、今回はY形号だけで来ているので、もとの神童子谷まで戻らなければならない。稲村ヶ岳より南方へ伸びる尾根には登山道がないので、それなりの藪こぎが強いられる可能性がある。メンバーの調子を確認し、やはり全員で藪こぎルートを下降することにした。周囲一帯の植生は、ヒノキと赤松の林になっており、手入れされていないので無尽蔵にのびている感じだ。雪舟の水墨画に出てきそうなヒノキの根っこが邪魔で歩きにくい。尾根より少し横側のほうが、障害物が少ないので歩きやすい。時折現れる獣道を道標にしてくだる。遠くでツツドリが鳴いている。それ以外は、静寂そのものだ。EL1530m付近から辺りの植生がシャクナゲに変わる。EL1500mに11:40着。そこから尾根はS字にまがりEL1372mの三角点近くまでくる。すでに笹薮になっており、下サンゴウジ谷まであと一息と言ったところだ。しばらくすると枯沢らしくなり、浮石のおおいガレ場となる。途中で、M山が足を踏み外し、膝をすこし気にしてい る。少し前にサッカーの練習中に痛めたところらしい。本人は大丈夫と言っていたが、念のため、M山の荷物の半分をメンバー全員で分担して持つ事にした。EL1140mで下サンゴウジ谷出合に到着。13:25。残念ながら沢はまだ枯れたままだ。ここから、EL1100mまでは傾斜も急なところが多く、懸垂下降を3回も強いられた。EL990mに14:25。ここまで下っても、殆ど伏流水に近い細い流れで、沢登りの対象にはならない沢のようだ。更にゴーロを進むとようやく開けた本流との出合に到着した。丁度、昨日通ったヘッツイサンのゴルジュの手前で作業道の終点ともなっている。一同、緊張がほぐれて安堵の顔になる。出合では、釣り人に話しかけられ、「わしも長いこと来るけど、この沢から人が出てきたのを見たのは始めてや」といっていた。沢をくだり、駐車場に戻ったのが15:00。帰りは、天川温泉で汗を流し、Y形、K谷、K原の順で運転し、JR大久保駅で解散。帰宅の途に着いた。