白山 牛首川<岩屋俣谷>別山谷


2002年7月28日(日) 大塚孝二(単)

  
急にパートナーが行けなくなり悩んだ末、一人で行く事にする。前夜発、市の瀬で仮眠をして、6:15出発。入渓点で準備をして、7:00に遡る。いきなり綾部の立岩程の岩が三個も転がっていて沢の大きさに驚かされる。この後はゴーロ状の谷を右に行ったり左に行ったりしていると、6年程前に黒部の上の廊下を一人で遡行し、赤木沢をつめたことを思い出す。そして無数の小滝をやりすごすと12メートル逆くの字滝に出会う。左の草付をだましだましの冷や汗もののトラバース。やっと滝の上に降りたものの今度は25メートル大滝。これも左の草付のルンゼ状のとこを上がり、尾根を木登りし、懸垂二回でなんとか沢にもどる。この二度の高巻きで、気持ちが弱くなってくる。ここまできたら先に行くしかなく大休止して、気を取り直して歩き出す。この後5メートルのチョックストーン滝と10メートルの滝は、飛沫を浴びながら右側を登る。このころからガスが出はじめて明るい沢が、うっそうとしてくる。三段40メートルの末広がりの滝は左のルンゼから巻く。100メートル以上もある壁の奥の15メートル滝は直登不可能。しかたなく右のスラブを、きわどいスメア リングでなんとか巻きあがる。次の10メートル滝は右側の砂利付草付を樹林帯まで上がり本流に戻る。傾斜が強くなってきて5メートル前後の滝を何度か、シャワークライミングで越えていくと雪渓が道をふさぐように現われる。雪渓をやり過してしばらくすると、水量が少なくなり源流域に入ったことを知らせてくれる。水の細くなった小滝の連続を遡り、水が切れるとこでペットボトルに水を満たし、岩屑で埋まったボロボロのV字谷を登り、高度感のあるフェイスを、息を整えながらグイグイ高度をかせぐ。稜線直下の背の低いハイマツまで行くと登山道が見える。ハイマツをガサガサこいでいると、三人のパーテイーがびっくりした様子でこっちを見ている。稜線に出ると急に元気になり、ニッコウキスゲ等の歓迎を受け、別山へ向かい一人バンザイ。12時45分終了。ガスであたりが見えないが、満足感にひたり、ゆっくり長いチブリ尾根を下山する。今回の沢登りでは、高巻きの恐さを痛感させられた山行であった。