北山川古和谷 |
【日程】 2002.9.23
【メンバー】 T嶋夫妻
【コースタイム】 林道終点8:15→古和谷出合8:45/9:00→二俣11:30→林道13:20
【記録】
柳又谷が二度目の延期となり、ぽっかり連休が空いてしまった。第一候補は、6月に行きそびれた栗駒・産生女川だったが、3日間の日程では少ししんどいということで、南紀の沢にした。一本は北山川古和谷。泳ぎ主体の沢だ。もう一本はどこかナメがきれいなところということで、一日目の溯行のあと決めることにした。古和谷はあまり有名な沢ではない。なぜここにしたかというと、二つ理由がある。一つは『登山体系』の「出合いからずっと両岸が高く険しく立ち、ところによっては極端に狭い廊下やゴルジュを作って、泳ぐかゴムボートを使わなければ突破できない」という記述。とくに「ゴムボート」というところが気持ちをくすぐった。もう一つは、『登山体系』に溯行図が載せられていないことが、想像をかきたてた。
金曜日に仕事から帰ってから決めたものだから、午後9時前にようやく出発、先週も通った169号線を南下した。168号から44号に入り、赤木の集落で仮眠をとる。
赤木に自転車をおいて、北山川へ向かう。やがてダートとなるが、先週のことを思えばなんともない。すぐに終点。朝食を食べて支度を済ませ、出発。最初は斜面の何となく道っぽいところを歩くが、けっこう歩きにくい。そこで下に降りて河原を歩くことにした。ここはいわゆる「瀞八丁」のすこし上流にあたる。両岸は奇岩がせりだし、水は深い緑色をしている。もう少し下れば、右岸から立合川が流れ込む。古和谷は、そのすこし手前で左手から北山川に流れ込んでいる。右岸には道路があるためか、釣師の姿がちらほら見えるが、こちら側は誰もいない。しかし、残置ロープがあるので、釣師もここへ来るのだろうか?約30分で古和谷の出合である。見るからに陰惨な感じがする。
出合から両岸は壁が続くが、沢自体は楽に歩ける。15分ほど進んだところで、沢が行き止まりになっていた。下流から見えないが、そこで沢は右に曲がり、深いゴルジュを作っている。南紀とはいえ、この時期の水は冷たい。その後もひっきりなしにゴルジュが現れ、泳ぎ、へつりを繰り返す。どこからどこまでがゴルジュなのかわからないほどだが、ロープを出すようなところはない。そしてようやく両岸が低くなり、穏やかな沢となる。右手には昔の鉱山道が残っている。このあともまたゴルジュが何度か出てくるが、泳ぐ場面はもうなかった。
『登山体系』ではコースタイムが8時間となっていたが、たった3時間で二俣についてしまった。本流の右俣は平凡な流れで、あと1時間もあるけば林道に出る。寒くて早く温泉に入りたかったので、右俣に未練が残ったが、左俣をとる。ところがいきなり水が伏流してしまい、つまらないゴーロ歩き。やっぱり右に行っておけばよかったかな。20分ばかりゴーロを歩くと、目の前にゴルジュが現れた。先は全く見えない。細い廊下を通り抜けると、三面が岩に囲まれた広場になっており、正面の空から絹糸のような白い水の帯がさらさらとこぼれおちていた。『登山大系』は左岸を大きくまくとあるが、すぐ横の左岸のルンゼ状を登ってまいた。このあとは、『登山大系』と同じコースを辿ったか定かではないが、三俣(正確には左、そのあと右に沢を分ける)の真ん中の滝を登る。上部の滝すべてにいえることだが、順層で登り易い。三つ道具は不要だった。いくつか滝を越えたところで壮絶な二俣。水が多いときは、両方とも滝となっているであろうが、渇水の現在は右のみ水流がある。左をつめることができそうだが、右の滝を登ってみた。しかし2段目は登れず、そこからバンドを伝って左のルンゼに入り、ルンゼを詰める。高度感があるが、難しくはない。登りきったところから、また右に戻る。水流はすぐに消え、まるで階段のようなルンゼを登っていく。最後は、急傾斜のぼろぼろの岩場となり、そこを慎重に越えると、地形図には載っていない林道に出た。
そこから赤木まで約1時間の林道歩き。そのあと6キロほど自転車をこいで、車を回収。勝浦へ向かう。ガイドブックにも載っていた「勝一」は値段が高いだけで、量も少なく、味も特別いいわけではない。失敗した。いつもどおり、ホテル浦島で温泉に入った後、再度食堂に入って腹ごしらえ。昨夜の寝不足から、もう登る意欲は薄れてしまい、翌日は竜神温泉のみとした。この日は波止場で寝る。
朝、ゆっくり起きて、熊野本宮にお参りを済ませ、竜神温泉に入る。ところで、以前、橋本で「猛烈食堂」なるものを見つけた。そのときは食事の時間でもなく、通りすがっただけだが、赤い倉庫風の建物が妙に印象的だった。今回、ちょうど食事どきに橋本についたので、猛烈食堂にチャレンジしてみることにした。その名前、外観からして、にんにくぷんぷん、ご飯も強烈なのが出てくるに違いないと思っていたところが、予想に反して中に入ってみると、おしゃれな無国籍居酒屋でびっくりした。味はとりたてていいわけではない。唯一、「猛烈」だったのは、シューマイ。手の平くらいの大きさがあったが、ひたすらミンチを食べているという感じだった。ちょっとがっかりだったが、長年気になっていただけに、すっきりした。