雨飾山(山スキー)

メンバー カワハラ、ヤマガタ
期日 2002年4月19日〜20日
山域 新潟県 頸城山塊 雨飾山
山行形態 山スキー
地形図 雨飾山(1:25000)
文責 ヤマガタ

山行の概要

コースタイム

4月19日
22:00京都出発−3:00小谷道の駅到着(仮眠)
4月20日 晴れ
8:20 小谷温泉から出発−9:30 ワセ谷出合−11:30 P4−14:00 P2登頂(休憩) 15:00−17:00 ワセ谷出合−18:00 小谷温泉着-小谷道の駅(温泉、仮眠)
4月21日
8:00京都着

装備

山スキー用具(スキー板、シール、スキーアイゼン、兼用靴、ストック、サングラス、ゴーグル)、登攀具(ザイル沢用、ハ?ネス、8環、シュリンゲ3本、、カラビナ、アイゼン、ピッケル)、手袋、着替え、レスキューセット、帽子、日焼け止め、ガスヘッド、カートリッジ極小1、ショベル、ビーコン

報告と所感

雪がない!! のになんで通してくれへんにゃ〜〜!ヤマガタは林道を歩きながら、ぶつぶつ文句を言っていた。小谷温泉の山田旅館前から歩くことは予想していたが、雪がない林道ををスキーを担いで歩くのはいささかうっとうしいものである。去年、同じような時期に大渚山に登ったときは、同旅館の裏側からしっかり雪が積もっていて、すぐにシール登行ができた。今年は雪解けがかなり早く、小谷温泉付近ではほとんど雪の姿が見えない。 もともと富士山に行く予定だったのだが、出発当日スカイラインが5合目まで開通していないということで、富士宮口からは入れなく、またスバルラインのある北斜面はまだかなりのアイスバーンということで、「楽しい山スキー」をモットウとする僕達はどういうわけか雨飾山を選んだのだった。去年行った妙高、火打といい春の頸城、特にこの海谷の山々は何となく懐かしい感じがして、いるだけで心が落ち着く・・たぶん、気持ちがそっちへ向いていたのでしょう。 今回は時間があればP1にも行こうということで登攀用具一式も持ってきている、それだけに重さがずっしりと体に伝わってくる。 雨飾荘を過ぎたぐらいから一面まっし・・いや、一面まっ・・・!茶色〜〜〜!!の雪というか泥というかにおおわれた世界となる。今年は黄砂が非常に多く、4月の始めに大毛無山に行った時も一面砂だらけで、自然ブレーキがかかる雪の上を恐々降りてきたものである。スキーは滑るより滑らないときの方が恐いのだ。 湯峠に続く分岐を見送り右にそれると、この辺りから雪は量を増し両面2〜3メートルの雪壁に挟まれ、ほどなくで夏場の雨飾キャンプ場のあるワセ谷出合に着く。 @まってました!! とばかりにそそくさとスキー板にシールを付け、いざ出発! 新しく買ったばかりのG3の巾広シ−ルが心地よく雪を噛んでくれる。 右には滑り降りるかもしれない南尾根の末端を見ながら、雲一つない絶好の天気に恵まれワセ谷を行く。ワセ谷上部から人が一人出合にいるのを確認しただけで、後にも先にも山スキーをしている人間は僕達以外に誰もいない。 南尾根は雪融けがかなり進んでいて、下部ではトリ−ホールが発達してまるでホルスタインの牛マークみたいになっている。「ちゃんと滑り降りれんにゃろか・・」一抹の不安を残して進路を北へ南尾根に取り付く。途中まではシール登行、1350メートル付近からは急勾配でつぼ足に切り替える。P4直下はブナの原生林となっているが、急勾配な上に所々横にクラックがはしっていてとても危険な状態。雪は柔らかいものの一歩間違えるとやばい!・・と突然、目の前で跨ごうとしていた直径50センチほどのブナの幹が雪の下からいきなり飛び出て、幹の上にあった5メートル四方くらいの雪を全部流してしまった。「ぎぎぎぎぎーーー!!」とまるで生きてるかのごとく(生きてんにゃけど)それは僕の行く手を阻んだ。タイミングが悪かったら、僕も流されていたかもしれない・・慎重にその雪が流れた後を横切る。そこはまるでゲレンデにピステンが入ったかのように、きれいに縦のラインがついている。 P4からP3を経てP2直下まではシール登行、シールは登る時はいいが滑る時は嫌いだ。 少しでも障害物や滑らない要素があるとすぐに止まる。おまけにかかとが浮いているため 必ずと言っていいくらい前のめりに頭(顔)からこける。 今まで山スキーで何回顔を雪に埋めたことやら・・やはりテレマークも練習しないね・・ P2への最後の登りはきつく大雪面となっていて、滑れば下まで行きそうだったので、僕はストックをピッケルに持ち替えつぼ足で歩く。カワハラ氏はシール登行を続けている。時折トリ−ホールならぬ笹&ブッシュホールが落とし穴状態になっている。あまり端には寄らずにキックステップで直登する。最後の登りはかなり足にきていたがなんとか到着。目の前には鷲の羽の様に双耳峰の雨飾山P1がそびえている。時間がなかったのと、スキーを存分に楽しみたいのでP1はパスすることに・・(ほんまはビールが飲みたいだけ!) とりあえず乾杯!「ビールはアサヒ、野球は阪神」と訳のわからないノリで、東には妙高火打、西には後立山の北部の山々を見ながら、一時間ほどのんびりしていた。その間に白馬主稜組に携帯電話をいれたが、登攀中で失礼してしまった。 @P2からの滑降 はとても素晴らしく登ってきた大斜面を一気に滑る。誰もいない誰も滑っていない大斜面に自分だけにシュプールがついていく。登るのに1時間以上かかった標高差350メートルの斜面をわずか30秒で降りる。めちゃくちゃもったいない様な感じだが、必死で稼いだ位置エネルギーを一瞬の内に解き放つ、この爽快感がたまらない。これぞ究極の贅沢と言えるかも知れない。 P2大斜面の後は進路を東の沢にとった。南尾根の融雪が激しいのと東の沢が滑るのに魅力的であったことなどが理由であったが、この選択が後で思わぬ事態を招くことになる。 僕とカワハラ氏で交互にビデオ撮影をしながら沢を降りていくと、夏道を歩いている1パーティと出会った。夏道沿いに行けば雪があるとのことで、安心して樹林帯を滑る。 倒木、ブッシュが激しくそれを避けながらの滑降は気を使う。 大海川の上部50メートル程きた時、進路に雪がないことに気付く、地図を正確に見て道を選んだはずなのに・・・仕方なしにスキーを外して、急なブッシュ帯を慎重に降りる。 しばらく藪こぎをしてやっと雪のあるところに出たのだが・・そこは奥ワセ谷の支沢で、僕たちが出た地点より少し上部では5メートルほどの滝が水しぶきをあげている。水流は雪渓の中を流れていて明らかにそこはスノウブリッジになっている。そこを横切るのは非常に危険であるが他に行く方向がない。つぼ足は余計に危険と判断しスキーをはいて一気にそこを通過することを決断した。谷は浅く、落ちてもさほどではないかもしれないが、やはり危険である。意を決して一人ずつ滑った。うまくいった! ほっとして大海川まで降りていったのだが、そこでまた信じられない光景に出会った。 大海川まで降りると後は雪の上の湿原地帯をワセ谷出合まで行けばいいと思っていたのだが、そこには雪がなかった。雪があるのは対岸と同岸なら50メートルほど下流からだ。 行く手を阻まれ思案しつつも、右の斜面にカワハラ氏がトライ!しかし、そこは急すぎてスキーのエッジがたたなく、乗り越えられない。おまけに吹き溜まりの雪の下は空洞になっていてそこにはまったカワハラ氏が抜け出すのに苦労している。 残る方法は来た道を引き返すか、川に入るしかない。考えたあげく50メートル先の岸まで川の中を歩くことにした。徒渉というより川下りでスキーブーツのまま板を担いで川に入った。川の水は思ったほど冷たくなく、しかし雪解けが早いせいか水量は多く濁っている。スキーブーツで川の中に入るのはさすがに初めてで、滑らないように慎重に歩く。 やっとのことで、岸辺にたどり着き、雪壁が2メートルほどあるところをよじ登る。 雪の上でブーツの水を抜いている姿にお互い大笑い! あとはワセ谷出合まで戻り、下りの林道はショートカットしてスキーで滑って帰った。 今回の山行は非常に内容が濃くおまけまで付いて、かなり印象深いものになりました。 それにしても、人の少なさがとても気になるのですが、単に時期が遅かったのかもしれません。来年はもう少し早い時期にきたいですね。 また、行きと帰りに寄った道の駅「小谷」は非常にすぐれものです。温泉はあるし食べるものうまいし、仮眠はできるし(横に東屋付きの小さな公園があるのでテントもはれるかも)、一度立ち寄られてみては?

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