サマーコレクション(クライミング)

メンバー CL高嶋こ、中川は、玉田、津久井み
期日 2003年4月26日夜〜2003年4月27日
山域 台高
山行形態 クライミング
文責 津久井み

記録

 「サマーコレクション」は関西にあるフリーのロングルートで、前から噂は聞いていて、いつか行ってみたいと思っていた。しかし、最高グレードが10+でわたしにはまだまだ先かな?と思っていたので、今回、思いがけず、行けることになって、嬉しいような、不安なような複雑な心境だった。

 夜、8時に京都駅集合。大台には初めて行ったのだが、意外と遠く、特に最後の林道はすごく長く感じた。大台の山頂付近の駐車場に着いたのは、12時ごろになっていたと思う。林道の途中から、かなりガスってきていたのだが、着いた時は更に風もきつく、気温も低く、テントを張るのも大変だった。

 12時50分ごろ就寝。明日は天気予報通りきっと快晴のクライミング日和になるだろう!と期待しシュラフに入る。しかし、朝まで強風は止まず、風の音がすごくて、テントごと飛ばされそうだった。風の音が気になりつつも、いつの間にか夢の中へ。

 翌朝、5時40分ごろ、外の人の声で目が覚める。ちょっと寒かったこともあり、もう寝られそうになかったので、ごそごそシュラフなどを片づけ始める。みんなは6時ごろ起きてきた。空は雲が厚く、まだ風が強く、ガスっている。おまけに寒い! みんな一気に気分も萎え、車の中で朝ご飯を食べながら、しばらく様子をみる。しかし、ずっと車の中にいても仕方がないということで、とりあえず取り付きまで行って様子をみようということになり、「寒い寒い!」と言いながら準備をする。

 すると、横に和歌山ナンバーの白い車が・・・。よくお顔を見ると、以前、一度だけ星田のクライミングウォールでお会いしたことのある和歌山岳連の上西さん、白子さんだった。上西さんは、かな?り、個性的なおじさまなのですぐに分かった! お話を聞いてみると、上西さんはサマコレの右側に「サンダーボルト?赤い稲妻?」というルートを開拓されたそうで、この日は2登めで、ロクスノ夏号に載せる記事を白子さんにルポしてもらうために来られたそう。最高グレードが11もあるらしい!! 

 そんなこんなで用意もでき、7時15分、駐車場を出発。「山の家」方向に向かって少し歩くと、道標が出ていて「シオカラ谷」(←おつまみのような名前で覚えやすい!)と書いてある方に進む。しばらく下っていき、石段を降りきったところで、右側に大きな看板でふさがれた水平道があり、そこを入っていく。途中、骨だけになった鹿の死骸があってビックリした。大台はとにかく鹿が多かった!まさに「鹿の森」といった感じ。(さすがは奈良県!) 水平道を行くと道の左右に赤テープがあるルンゼにぶつかる。そのルンゼを下っていき、横を流れる大滝の音が近づいてくるあたりで右の壁にむかってトラバース。すると、上西さんたちが「サンダーボルト」の取り付きで準備をされていた。「サマコレの7ピッチあたりで近くなるから、声を掛けるね?」と言ってくれたが、私たちが遅かったせいか、結局分からなかった。残念。サマコレはもう少し、壁にそって下るとすぐに取り付きに着いた。

7:15 駐車場を出発
8:30 サマコレ取り付き到着
9:00 2ピッチめ登攀スタート
11:10-11:50 5ピッチめ終了点、中央バンドの手前で昼休憩
13:00-13:35 7ピッチ終了点で休憩
14:00-14:30 8ピッチ終了点で休憩
15:00 9ピッチめ登攀スタート
15:30 登攀終了
15:40 出発
16:15 駐車場到着

1ピッチ 40m 5.5

みんなノーロープで登る。わたしは念のため、ここでクライミングシューズに履き替える。いくら簡単といえどもロープなしは怖い?! まだまだ体は固い。

2ピッチ 30m 5.10

ここからが本当のサマコレのスタート。開拓者のプレートが、ビレイ地点に遠慮気味に打ってある。高嶋さん、リード。わたしはフォローで続く。出だしからちょっといやらしいけれど、フリーで通過。

3ピッチ 50m 5.10-

高嶋さん、リード。わたしはフォロー。今回はできるだけ、フリーで行くぞ!と思っていたが、最後の方でワンムーブ、さっそくA0やってしまった。すでに微妙に腕にきていて、ビレイ地点にのっこすのも一苦労・・・。

4ピッチ 15m 5.10+

噂の核心。高嶋さん難なくリード。わたしは弱気になり、空身でのフォローをお願いする。しかし!! 罰が当たったのか、すぐ上で、ザックがわたしのメインロープとひっかかってしまい、タルタル状態で登る羽目に・・・。涙。絶対フォールできない状態。核心の手前で、ようやくザックとロープの絡みを解き、核心のワンムーブをまたもやA0で突破。

5ピッチ 30m 5.8

4ピッチの終了ビレイ地点を5ピッチの途中まで伸ばしていたので、5ピッチめの後半をわたしがリード。出だしは岩が苔むしっていて、おまけに濡れていたので気持ち悪かったけれど、あとは木登り状態のブッシュなので、そんなに問題はなかった。中央バンドの手前でビレイ。

ここで40分ほど、お昼を取りがてら休憩。この時点で、後続組の中川・玉田ペアとパートナーを交代しようかという話が出て、しばらく待ってみるが、まだ時間がかかりそうだったので、結局、先に進むことにする。

6ピッチ 35m 5.6

わたしがリード。中央バンドの手前から見ているとかなりの傾斜に見えたけれど、そばに行くと問題はなかった。木などにスリングを掛けながら行く。ただ浮き石は多く、あんまり快適なピッチではなかった。途中に7ピッチめのビレイ地点が有るはずなのに、行きつ戻りつしつつも見過ごしてしまい、少し上まで行ってしまった。

7ピッチ 30m 5.8

フレークのトラバースがある噂の「ノースタンストラバース」のルート。 高嶋さん、リード。このピッチから岩質がザラザラして変わったように感じた。わたしはフォロー。トラバースの手前で、少しレストして一気にトラバース。スタンスはよく見るとちゃんとあり、すっごく楽しいルートだった。これぞフリークライミングと言った感じ。最後の方、腕がプルプルしてきたけれど、最高に気持ちがよかった! 

このルートは落ちると振られるので、7ピッチの終了地点で後続パーティを30分ほど待ってみる。
壁に背を向けて坐っていると、目の前に奈良の深い山々が広がる。自分がこんなところに坐っているのも不思議だし、この目の前の風景を独占するなんて、なんて贅沢なんだろう!と思った。

上から覗くと、後続パーティは中央バンドの手前で大休憩をしているよう。陰ってきて寒くなってきたので、先に行くことにする。

8ピッチ 25m 5.9

高嶋さん、リード。「え?、これが9??10はあるわ?」と思いながら、フォロー。でもやっぱりフォローは気分的に楽チン!
あと1ピッチなので、ここでも後続を30分ほど待ってみる。またもや、風景を満喫する。さっきよりも目線が上になっている。最高の気分!!

下の方からヌンチャクのカチャカチャいう音は聞こえてくるけれど、一向に気配はない。「おーい」と声を掛けると「今、返事する余裕がありませ?ん」と返ってきた。来ていることが確認でき、待っているうちにまた寒くなってきたので、先に行こうかと高嶋さんが登りかけた時、今まで、ずっとリードしていた玉田さんがフォールした。ケガは全くなかったようだけど、声が届きにくく、下の状況がいまいち分からない。高嶋さんはすぐに懸垂して様子を見に行った。やはりケガはなかったようだけれど、リードし続けで、だいぶ腕にきていたらしく、玉田・中川パーティはそこから懸垂で取り付きまで降り、来たルンゼを登り返して駐車場に戻ることになった。

9ピッチ 30m 5.9

高嶋さん、リード。このピッチの高度感はすごいけれど、やっとこさ9らしいルートだと思って登っていたら、最後の最後ではまってしまった。「鯛焼きのしっぽまであんこが入っている」と言われている意味がやっと分かった。こんな「あんこ」ならわたしはいらない、涙! ここでもA0を駆使。なさけなや・・・。一番、力を使ったような気がする。

登攀終了後、ギアを片づけ、駐車場に向かう。駐車場までの道は、一年前の5月下旬に行った人の記録によると、森林浴がすごく気持ちよかったと書いていた。この日、なぜかすっかり5月と思いこんでいたわたしは、行く前から森林浴をかなり楽しみにしていた。しかし、当然ながら4月のこの日は、森林浴とはあまりにもほど遠いものだった。でも芽は出始めていて、5月の下旬ごろは本当に奇麗だろうな?と思う。また念願の森林浴が遠のいてしまった。

総括

サマコレは、とても楽しかったけれど、なかなか難しかった。想像以上にガバは少なく、壁も立っていたし、かぶり気味なところもいくつかあった。フリールートはA0で登れてもやっぱり面白くない。いつかは、つるべで、そして、オールフリーで・・・。もっとフリークライミングを頑張らねばと痛感した1日だった。

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