京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | CL河原・上田・角谷・竹村(光)・秦谷 |
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期日 | 2003年6月7日夜〜6月8日 |
山域 | 鈴鹿山系 元越谷 |
山行形態 | 沢登り |
文責 | 秦谷 |
梅雨が来る前に、新緑の沢を歩いてみたかった。
6月初旬、鈴鹿の沢へ行くプランがあるという。しかも、今回はしばらくの空白があっても安心な初心者向けの沢らしい。
山行前の覚悟は不要、遠足の前のようにわくわくするのは久しぶりだ。
その日が来るのも待ち遠しく、土曜の晩5人で京都駅に集結した。
京都駅から河原号に乗車。出発して2時間で鈴鹿スカイライン脇の駐車場に着く。小宴会もほどほどに1:00過ぎには眠りにつく。
遭難者を捜索するヘリの爆音で目を覚ます。滋賀県側を対象に捜索が行われているようだ。
昨夜京都を出たときは土砂降りの雨に心配したが、天気予報どおり快晴だ。
駐車場を出て間もない枝道に入り歩き出すも、入渓点が現れる様子もなく、進退窮まった時点になって上る林道を1本北にとったことに気づく。30分歩き返し本来の林道へ。ところが入口には通せんぼとばかりに1m四方はあろうかという岩が立ちはだかる。そこは少しでも距離を稼ぎたい一心で、5人で力を合わせて気合で退ける。今度こそ元越谷に入渓、先行者も数パーティいるような雰囲気だ。
沢に入るのは10月以来、初めは足下に気が集中してしまい趣を楽しむとまではいかない。
木漏れ日が新緑の木々に射し込み初夏の雰囲気は満点だ。水は適度に冷たく緊張感も応分に保てる。入渓から1時間、元越谷では最も大きい15mの滝を前に一服。さすがに直登は避けて左岸のバンドを高巻きする。
大滝より上流は穏やかな流れとなる。ゴルジュの模型のような小さな釜、滝とは行かないまでも小さな段差とナメ滝を繰り返しながら徐々に高度を稼いでいく。ナメ滝では優しく、釜では寡黙に、ゴルジュでは陰鬱に。渓相によって表情を変える水はいつまで寄り添っていても飽きさせない。願わくは歩みを止めたままで水の表情を見つめていたい。
小さな沢の分岐を何度か通過するがコンパスどおりに忠実に東に進む。水量も適度に減り、慣れてきたところで水線沿いにコースをとる。少しの勇気と慎重さを同居させて、3m〜5mの滝2本をシャワークライム。ホールドは豊富で安心だ。ようやく沢登りに来た感覚が立ち上がってきた。
一度は鬱蒼とした樹林をくぐり抜けるが、最後は明るく開ける。もう終わりなのか。名残を惜しむように最後の一滴までこの足で踏みしめる。鈴鹿は岩盤がしっかりしているのか、かなり上流まで上っても水流が絶えない。
入渓からちょうど3時間後、藪こぎもなくすんなり稜線に出た。沢で高揚した気分がさめやらないうちに山の展望を味わえるとは。ご褒美とばかりに鎌が岳・伊勢湾方面が一望される。来てよかったとこの日2度目の充実感に包まれる。
水沢峠で昼食を取り、峠道を駆け足で下っていく。昔から狩猟で使われていたという道のためか歩きやすくはあるが、ハイキングには一般的ではないのだろう、ところどころ踏み跡が不明瞭な場所がある。
下山後は「かもしか温泉」で一風呂浴びる。国民宿舎を一部改装したようで古めかしさはぬぐえないが、新調したばかりの露天風呂はきわめて快適。
聞けば、元越谷は「鈴鹿の赤木沢」とすら形容されるという。手軽で濃密なルートを発掘していただいた河原氏に感謝。
この夏も充実したシーズンになるといいな。