京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | CL 高嶋、角谷、山形、鈴木、岡川 |
---|---|
期日 | 2003年8月1日夜〜8月3日 |
山域 | 大台ヶ原 堂倉谷本谷 |
山行形態 | 沢登り |
大台ケ原の駐車場を出発し、日出ガ岳から堂倉滝に下る。
堂倉滝で装備を整え入渓、となるはずだったが、滝を巻き、いきなりの懸垂3連発。
鈴木氏の手際よい支点セットに助けられ、昼前に入渓。
下流は水量が多く、流れも速い。おろしたての沢靴で濡れた岩に立つ。水の音に耳が驚いて落ち着かない。噂にきくほど沢靴のフリクションは確かなものではない。黒い岩、白い岩、赤い岩、どれもあまり歓迎してくれない。
流れに入ると、足場はさらに少ない。濡れた岩に跳びつく、跳びつく。
高嶋リーダーの長い足は羨ましいが、私だって、四足ならば流されることはない。新しいザックはバランスが悪くて、ひやひやしながら河原に逃げる。
濡れることに抵抗し、へつってへつってしばらく歩いていたのだけれど、30mの斜瀑の前で初泳ぎ。ザックに頭を押され、溺れかける。右目のコンタクトが鼻の横にはりついていた。滝の右側をザイル登攀し、トラバース気味に乗っ越す。プルージックには短すぎるスリングに準備不足を痛感。
二つ目の滝は、滝つぼめがけて必死のカエル足。進まないオタマジャクシを、見かねたリーダーが後ろからフォロー。しかも淵を登れず。
沢は、写真で見るよりもずっと立体的だ。緩傾斜には違いないが、岩の上をゆく一歩一歩は大きく、力を使わなければならない。澄んだ流れは見た目よりも深い。
いくつかの釜を越え、「釜は、飛び込まねばならない」ことを学習。
コンタクトが外れないように着水の瞬間しっかり目をつむるという技術を、飛び込み若頭・鈴木氏より伝授される。この後、若頭は奥七ツ釜の羊になる。
一つ目の堰堤を越え、午後5時前、河原にタープを張る。焚き火をし、花火をし、満腹で満天の星空の下眠りにつく。
心配していた天気は思いのほか良好。見渡せば、昨日の行程よりもぐっと水量の少ない穏やかな沢の中にいた。朝食の後、濡れた服に着替え、濡れた靴を履き、7時に出発。
靴擦れで踵が上がらないことが幸いしたのか、「フラットに足を置けば滑りにくい」という沢歩きの感覚ををちょっとだけ飲み込む。しかし、ナメ滝では半端な技術はわずかな希望にすぎず、一枚岩の上の薄い水の膜をひやひやしながら乗っ越す。
渓相は、思い描いていたよりもはるかに表情豊かで、聞き慣れぬ鳥の声が流れの中に高く響く。清流に沈むケモノの頭蓋骨は美しく、この沢の時の流れを感じる。
上流部分にさしかかり、滝の軸を直登。初めての沢で一番楽しみにしていたシャワークライミングだが、楽しめるほどの体力は残っていない。空はどんよりしている。嬉々として登る山形さんを横目に、水飛沫の中にホールドを探る。止まっていたら指の力が抜けてしまいそうなほど水は冷たく、流れは活きているようで容赦ない。爽快だ。
昼過ぎまでにパンを2つも食べ、ようやく源頭にたどり着く。
角谷さんの読図で現在地を確認し、無事に(?)林道を抜け、駐車場に帰着。
新しい方の五色湯で、「あ、スベリ台をするのを忘れていたなあ。」と気がついた。
記憶というのは、実にいい加減なものである。堂倉谷の石楠花谷を登ったのは、何年前のことだろうか?今回、再び堂倉谷に入って見覚えがあったのは、堂倉谷の出合と最初の堰堤手前の深い淵くらいで、あとは記憶にないか、あるいはそうと思っていたが別の谷の記憶と混同していたかだった。また、ロープなんか使った覚えがないという記憶も見事に裏切られることになった。
アメリカ留学時代の恩師が40年ぶりに京都を訪れるとあって、この夜の宴会はどうしても最後まで抜けることができなかった。午後9時半にようやく終了し、10時20分に帰宅。集合は京都駅に10時半、もちろん間に合うはずもない。A子に久御山のジャスコまで送ってもらい、そこでみなと合流した。この日は酒を飲んでいたので運転できず、らくちんだ。駐車場に着いたのは2時頃だったか?一面の星空がすばらしい一日を約束してくれる。それにしても寒い。星空のもとで寝る。
6時起床。7時半に駐車場を出る。もう8月というのに、いつもの夏空はまだ来ない。それでもまずまずの好天で、気温もぐんぐん上昇した。8時に日出ヶ岳山頂を通過し、尾根道をずんずん下った。10時、見慣れた堂倉出合に到着。ここで沢支度をする。S氏は爆睡。新緑の釜に豪快に注ぎ込むこの滝は、それほど美しいわけではないが、ほてった体には非常に魅力的だ。しかしここは我慢して水に入らなかった。これは失敗。この谷はまず出合の滝の巻きから始まるが、その暑いこと。寝不足と疲れのたまった体には、酷暑の中で乾いた斜面を登るほどこたえるものはない。三度の懸垂をまじえて(少なくとも最後の2回は不要だった)、12時前にようやく沢床に下り立った。あれほど焦がれた沢だが、水は冷たく、飛び込む気にならなかった。ネオプレンのジャケットを新調したY氏が川に飛び込むのを見て思わず身震いがするほどだった。K氏を先頭に歩き始める。すぐにまた大きな滝に行く手を阻まれる。普通は大きく巻くらしいが(溯行図だけしか持っておらず、そのことを知らなかった)、左岸から落ち口に直接出るルートをとる。最後がちょっといやらしいが、いいところにハーケンが打ってあった。すでに1時がすぎ、先が思いやられる。いわゆる中七つ釜に入る。いよいよ泳ぎが始まった。沢が初めてのS氏は唇が青白くなっていて、いかにも寒そうだが、果敢な飛込みで喝采を浴びる。同じく沢が初めてのO嬢はなんと半袖だ!このときは観客だった彼女も、やがて飛び込みに「はまる」ことになる。滝はほとんど登れる。淵も飛び込みを多用して快適に溯行できる。やがてこの谷のハイライト、奥七つ釜が姿を現した。午後3時、できれば二俣と思っていた僕にとって、決して早い時間ではないが、しかしこの釜を素通りすることはできなかった。僕とY氏、O嬢とK氏がペアを組んで釜に飛び込む。寒さで打ち震えていたS氏は何を思ったか、誰かを釜へ放り込むことを提案し、じゃんけんで(予想通り)負け、自ら放り込まれることになった。これまたすばらしい写真がとれた。今日の彼は量より質で勝負だ。無駄な飛び込みを繰り返したが、日が傾いてきたさいか、さすがに寒くなり、見覚えのある堰堤手前の淵に着いたときは、すでに飛び込む気力が残っていなかった。このどこまでも深く済んだ淵は、確か前回飛び込んだような気がする。今は少し後悔している。堰堤を越えると、気持ちの良い河原が広がっていた。時間は5時をすぎていたので、ここを本日の宿とする。
5時起床。昨夜の天気予報では、今日はあまり天気が良くないはずだったが、幸いいい天気だった。午前中に稜線に抜けたいと思っていたが、そうは行かなかった。それもやはり釜を見ては飛び込みたくなり、滝を見ては打たれたくなるあの悪い癖のためだ。飛び込みの型もずいぶんレパートリーが増えてきた。二俣のどこかなつかしい景色は今回最も美しいと感じたところだ。ここで一日のんびりするのもいいかもしれない。石楠花谷を右に見送ると、水流は急に少なくなる。最後の釜でS氏は水上歩行を試みる。写真では大成功だが、実際には全く歩けなかった。僕も空中浮遊を試みるが、完成までには時間がかかりそうだ。あとはナメと滝が交互に現れ、ぐんぐん高度をあげていった。あてにならない記憶では、石楠花谷のほうが面白かったように思う。最後はヤブ漕ぎもなく稜線にたった。その向こうにあるはずの路が見当たらず、少し迷ったが、なんとか登山道にでた。まもなく雨が降り始めた。2時すぎに駐車場に到着。実は核心はこのあとで、入の波温泉までの道でK氏とS氏と僕はメロメロに酔ってしまった。