京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | シマ |
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期日 | 2005年3月19日夜〜29日 |
地域・山域 | 九州 |
ルート | 屋久島〜佐多岬〜霧島 |
山行形態 | 無雪期縦走 |
お仕事〜17:30 19:45 大坂あべの橋〜 バス車中泊 往復 ¥21000(30日以内)
7:00 鹿児島いづろ高速バスセンター着 (南埠頭まで徒歩10分)
8:35 南埠頭発〜12:30 屋久島宮之浦港(フェリー) 往復 ¥8000(10日以内)
13:00 宮之浦港〜14:30 屋久島温泉(バス) 片道 ¥1350
14:45 屋久島温泉〜(1k)14:55 尾の間温泉にて入浴 ¥200
15:30〜(3.5k)16:50 蛇の口滝分岐 東屋
1k+登山道3.5k=4.5k 1時間30分
6:20〜(7.5k)12:35 淀川登山口 〜(1.5k)13:10 淀川小屋
登山道9k 6時間50分
6:55〜(6k)10:20 宮之浦岳 10:35〜(3.5k)12:20 新高塚小屋 12:30〜(1.5k)13:20 高塚小屋 13:30〜(0.5k)13:40 縄文杉 13:50〜14:30(1k) ウィルソン株 14:40〜(0.5k)15:00 トロッコ道 15:00〜(2k)16:00 白谷歩道分岐 16:00〜(2k)16:45 白谷山荘 16:50〜(2k)17:30 白谷雲水峡駐車場
登山道19k 10時間35分
7:35〜(8k) 9:00 楠川 9:00〜(5k)9:50 宮之浦港 (コインランドリー)
13:20〜17:30 鹿児島港南埠頭 17:30〜(6k)19:00 鴨池港 (夕食)
20:20〜20:55 垂水港 ¥360 港の岸壁にテント設営
登山道8k+11k=19k 3時間45分
7:15〜 8: 7 鹿屋バスセンター ¥620 8:20〜9:44 大泊 ¥1350 〜10:20 佐多岬 ¥380
11: 5〜(21k)15:00 佐多町さたでい湯 ¥300 16:20〜(6k)17:40 砂浜
27k 5時間15分
8:20〜(15k)11:20 根占 12:00〜(11k)14:00 神川キャンプ場
トロピカルガーデン神川 ¥300
26k 5時間40分
8:20〜(12k)10:20 高須海岸 10:50〜(7k)12:00 古江 12:20〜(4k)13:00 大浜 13:20〜(6k)14:20 柊原 15:00〜(8k)16:20 海潟温泉 ¥250 海潟漁港砂浜
37k 8時間
8:00〜(7k) 9:10 9:30〜(6k)10:35 10:55〜(5k)11:35 12:10〜(7k)13:20
13:40〜(8k)15:00 国分キャンプ場
33k 7時間
7:15〜(9k)8:45 国分市 8:55〜(7k)10:15 霧島峠 10:25〜(5k)11:25 霧島大橋〜(3k)12: 5 霧島神宮
霧島神宮温泉 ¥300
霧島神宮〜(バス ¥240)霧島神宮駅〜(JR ¥820)鹿児島駅〜(路電 ¥160)いずろ
いずろ高速バスセンター 18:40〜バス車中泊
24k 4時間50分
〜 6:36 大坂あべの橋(JR天王寺駅)〜お仕事
屋久島南端の絶壁にあり登山道に近い屋久島温泉で入浴後この長い旅を始めようとしたのだが…14.3.31閉鎖。旅の始まりからつまづいた。気を取り直し、少し歩いた登山口の尾の間温泉(おのあいだ)で入浴。いい湯だ。今日は少し歩いただけで時間切れだ。ちょうどテーブル付の東屋がありその中にテントを設営。登山口から一歩入っただけで亜熱帯のジャングルだ。日中なのに非常に薄暗くうっそうとした森が続く。これが屋久島かぁ。
久しぶりの長旅やなぁ、久しぶりにフェリーにも乗ったなぁ、開聞岳がきれいやった、今度登ろう。いよいよ日本縦断の旅が始まった。いったい何年かかるやろう、屋久島からどんな夢に繋がるやろう、どんな人に会うやろう、どんな所へ行けるやろう、どんな景色に会えるやろう、どんな辛さが待ってるやろう、何回腹をかかえて笑えるやろう、やり終えたら何を感じることが出来るやろう、体力だけの俺らしい無能の旅の始まりです。俺らしくていいじゃないか…。日本横断に続いて人間らしさを、自分らしさを見つける旅の第2章の始まりです。なんかわからんけど屋久島からスタートしてよかったなぁ、そんな事を思いながら消灯。
昨日テレビでは明日は晴れと言っていた。なんじゃこりゃ…大雨だ。しかも暴風雨だ。大幅に予定変更をして小屋の中にテント設営。雨に濡れるとかなり寒い、早速風邪をひいた。屋久島は1ヶ月に35日雨が降るという。と言う事は屋久島らしい状態なのだろう。一人だった山小屋があっという間に20人程度になり大騒ぎだ、午前2時、4時と何度か目を覚ますが外はものすごい雨と風だ、食料は2食分しか持っていない。昨日の夜、綺麗に1食分食べたので夕食は少なめにして山中にもう一泊できるように調整した。明日頑張れば約15時間で下山できるのだが、この雨で歩き続けるのはつらいなぁ…進まないと食料も無いしなぁ…最悪は下山も考えなければ…。
嘘のように雨があがり日差しが出ている。屋久島で始めての太陽だ。祈りが通じたようだ。
1500m付近より少しずつ残雪が出始める。1600〜1800mの僅かな間の残雪と倒木が行く手を阻む。少しずつしか高度を上げずになかなか稜線へ出ない。アルプスの大木が倒れたものはそれをくぐったり大回りしたりして避けて通れるのだが、このシャクナゲの倒木は避けては通れない。あたり一面すべてのシャクナゲの枝が雪で折れ薮こぎならぬ枝こぎを強いられる。下山路の同じ標高付近はさらにひどく2度も道に迷い、登り返し悲惨な目にあった。
私の経験上では最悪の残雪だと思う。やっとの思いで稜線に出た。気持ちは嘘のように晴れ上がり、少し大きめのハイジになっていた。緑の笹山と巨岩の稜線は美しく、暴風の雲の合間に時々海が顔を出す。山頂で30.40分写真を撮ってくれる人が来るのを待っていた少年に出会った。何枚か写真を取り合った。今日山頂に立ったのはおそらく二人だけだろう。360度の大展望で海を見渡すのは今度のお楽しみになってしまった。下山路はほとんど雲が晴れず倒木に苦労しながらひたすら下った。大きな屋久杉が目立ち始めると屋久島らしい原始の森になってくる。鬱蒼として神秘的だ。神さんがおるんやったらこんな森やろなぁ。またゆっくり来たいところやなぁ。平日だし白谷山荘は空いているだろうと泊まる予定をしていたが予想に反し大入り満員だ。さらに下り雲水峡の駐車場にテントを張った。夜中に目を覚ますと満点星だ。
夜あんな綺麗な満点星やったのに朝はもう泣き出しそうな空だ。やっと民家に出た。フェリーの時間までかなり余裕があるのでコインランドリーを港の近くのスーパーにみつけた。コインランドリーで3日間の衣類と今着ている服を全部脱ぎ捨て洗濯をした。もう少しで女の子と母親に見つかるところだ。「屋久島でストリーキング」なる見出しを飾るところだった。今日帰るのに、まだ屋久島で何も買わず、何も食べていない。高嶋さんおすすめのトビウオを思い出した。港の近くにあるフォーラム屋久島の「一湊ストーリー」というメニューが「トマトソースのつきあげと飛魚のパスタ」だ。羽根を広げた飛魚がまるごと一匹乗っている。羽根もとてもうまい。そしていつものことだが自分への御褒美にビールをプレゼントした。プーはとても喜んでいた。短い屋久島生活は終わり船に乗った。とうとう屋久島の全容を拝むことは無かった。今日の寝床は垂水港の岸壁だ。右手には桜島。さっきまでウロウロしていた鹿児島の夜景を見ながら黒糖焼酎を頂いた。今日は御褒美三昧。プーはもう有頂天だ。
3度バスに乗り継いで佐多岬へ向かうのだが、最後は料金所でバスを降りバス代を支払う。「往復760円です。」とオバチャンは言う。「岬から歩くので片道で結構です。」と俺は答える。「それは出来ません。」困った顔のオバチャン。なんとここからは自動車専用道路なのだ。しかも佐多岬付近は個人の所有地で今年の5月末には閉鎖になる予定らしい。賢い頭で少し考えた。「夜18時の閉鎖まで待って、歩き始めてもいいか?」「私には答えられない。」オバチャンの立場では駄目と言うしかないらしい。名案が浮かんだ。「車ならいいんですね」そう言って片道のバス券を買った。そしてバスに乗り自分に言い聞かせた。「俺は車だ。」「俺は車だ。」そして「俺は車になった。」
本土の始まりは佐多岬、最終到達地点は宗谷岬。日本縦断と言う限り、どうしてもこれだけは譲れないのだ。佐多岬へ向かう最終のバス停で、地元のおじいさんと孫が夜釣りに向かうため乗ってきた。運転手さんに向かって「無事定年を迎えることが出来ました。ほんの気持ちです。焼いて食べてください。」と祝い袋に入った餅らしきものを渡していた。こんなところで3月末に定年になるM田さんを思い出した。M田さん、俺は(餅は)入りません…。
この運転手さんは老人ホームのバス停で足の悪いおばあさんが降りる時、バス停ではなくかなり離れた老人ホームの入り口横で降ろしてあげていた。とてもホノボノしたやさしい光景だ。運転手さんに「歩いて行くつもりなら佐多岬の売店のオバチャンたちにもその事を伝えて行け。」そうアドバイスを受け、「気をつけて行きなさい。」と言ってくれた。いよいよ、本土最南端佐多岬からのスタートです。本当に5月で閉鎖になるのなら俺はまさにラッキーだ。有名な岬なので俺のように何かを夢見てここを出発していく若者は多いようだ。できれば、若い人の夢が始まる岬として閉ざしてほしくないのだが…。かなりアップダウンを繰り返し車道を歩く。1時間チョットでさっきの料金所だ。俺は車をやめ人になった。20k程度歩き佐多町でお風呂を見つけ入浴。10個ほどのレモンが浮かんでいるその浴槽にはハーブ湯と書いてある。なんでやねん???。入浴後しばらく歩くがなかなかテント場が見つからない。1時間20分歩いて小さな砂浜を発見。正面に開聞岳を拝める最高のテント場だ。19時ごろ集落のおじさんが釣りに来た。しばらく世間話をして「明日の朝、そこの川では顔を洗うな。あまり綺麗じゃない。集落の水道をつこたらええ。」そう言って30分ばかり釣りをしてまた戻ってきた。「釣れましたか?」「スズキが一匹」30センチ程のやつを一匹ぶら下げていた。「鈴木君って魚???」俺が知る彼の面影は無く、鈴木君は変わり果てた姿になっていた。おばあちゃん、小中学生、なんと高校生の男の子まで歩いている俺に挨拶をしてくれる。なんかやさしい町だなぁ。指宿の夜景を見ながら消灯。
歩き始めてすぐに雨。農作業のおばあちゃんに「こんにちは」と挨拶をする。「これ持って行き」とみかんを2個もらった。雨がやむ気配も無く近くに温泉のあるこのキャンプ場の東屋にテントを張る。海水浴場で夏はいい所だ。夜23時ごろ目を覚ましテントの外に明かりがあることに気づく、しばらくじっと見ていたが2人組みで何かをしている。一人は見張りのようで、一人は海にいるようだ。夕方にも変な2人組みがウロウロしていたが、どうやら密漁のようだ。30分程度静観していたが気持ち悪いので俺のヘッドランプを取り出しスペシャル光線を浴びせてやった。見張りがもう一人を連れて大急ぎで退散して行った。人を驚かす道具としては初めての利用だ。
だいぶ疲労がたまっているようだ。足の裏が痛い。お昼に1件しかないお店でパンを買うと、お店のグレープフルーツを1個くれた。今日は温泉に入りすぐ近くの漁港の横の砂浜にテント設営。右手に桜島と江ノ島、真正面に沈む夕日を眺めながら夕食だ。あまり距離が伸びない。アスファルトは疲れるなぁ。垂水以外はほんに田舎やなぁ。
お昼頃、足が痛くて自動販売機前に座り込んでいると、おじちゃんが話しかけてきた。事情を話すと「頑張って、気いつけて行けよ」とペッボトルのお茶をご馳走になった。今日一日も桜島を眺めながら海岸線沿いをのんびり歩いた。そして、本日のお宿は桜島を真正面に見るとても大きい砂浜のキャンプ場だ。このたび初めて他のキャンパーと一緒でバイクの旅人が3名別々にテントを張っていた。九州では海沿いにテントを張るのは最後になりそうだ。
いよいよ霧島、そして九州中央山地へ入っていく。交通手段がとても不便そうなので少々不安。
最終日やっとアスファルトに慣れてきた。国分の町を抜けると霧島連山が大きくなっていく。結構くるまの往来が激しくいやな道だが、天気も良く少しずつ海を離れ標高を上げて行くと風が心地よく気分も上々。高千穂峰は綺麗なスッキリした山だ。韓国岳も大きくどっしりしている。霧島の峰峰と川沿いの菜の花畑と桜がとても美しい。車で走ればアッと言う間だが、歩いているからゆっくり眺められる風景なんだ。今回の旅の到達点は霧島神宮だ。神宮内の温泉でサッパリした後、バス、電車、路面電車と乗り継いで鹿児島いづろ高速バスセンターへ向かった。神宮温泉で一杯、電車で一杯、鹿児島の沖縄料理店で大ジョッキー一杯、バス待合所で焼酎で一杯、バスに乗る頃にはヘロヘロになっていた。そして、夜行バスで一杯。9日間も歩き京都へ帰って体重もいっぱい。座布団1枚…