京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | 中川(一)、宮川 |
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期日 | 2004年8月20日夜〜2004年8月22日 |
山域 | 北アルプス 黒部 |
山行形態 | アルパインクライミング |
文責 | 中川(一) |
今回は、初めてのアメリカンエイド挑戦と言うことで、大量の登攀具をザックに詰めて出発。月曜日から天気の心配をしていたが、まずまずのようである。しかし、「雨パラ」は過去の記録を読んでみると、雨が絡むようなので少し心配である。
久し振りの黒四ダム、トロリーバス。観光客で溢れているが、7時30分の始発に乗り込んでスタート。私達も大量の登攀具の詰まった大きなザックを持っているので、他の御客さんに迷惑を掛けているのだが、大混雑の中のトロリーバスの中でザックを背負ったまま乗っている人の多さには、閉口したので「ザックを下ろして下さい」言ってしまった。混雑の中で、ザックを背負ったまま乗車すると言う、モラル・レベルの低さには、、、、だ。
ダムから内蔵助出合の鉄塔下まで、宮川さんにかなり離されたが無事到着。体力低下を感じて少し凹んだ。テントを張って、取り付きへ向うが途中で一ルンゼの押出しを間違えて、薮漕ぎ危ないガレガレの岩のルンゼの下降等で、かなり時間を費やして本来の一ルンゼ押出しに到着。この間は、ただただ宮川さんの後を追った。
岩小舎にて、登攀準備。今日は、誰もいない貸切状態である。
大量の登攀具を身に付けてのスタート。独りで2人が担ぎ上げた量を付けるので、その量の多さに驚くばかり。ピナクルに走るクラックを直上、アングル・フレンズを用いて前進していくとラインは、「白い岩」と呼ばれるあたりから左上していく。宮川さんが、フレンズをセットする時に岩を叩いてチェツクするが、ボコボコと言う音が下まで聞こえてくる。「白い岩」を通過して小ハング上でハンギングビレー。フォローは、ユマーリングしてクリーニングしていくのである。、直線での回収は容易であるが、左上していく辺りから慣れないので回収しずらく、左上の屈曲部にセットされているフレンズを回収すると、大きく左に振られての空中遊泳。回収した登攀具の重さと壁の傾斜のきつさにドキドキしながら、感謝感謝。
ビレー点より、ブッシュの多い凹角を直上していく。大量のアングル・フレンズ・エイリアンを持ってスタート。凹角はブッシュが多くピンスカが見つけられるか心配である。今まで残置を辿って登っていたが、今回初めて支点をセットして、テステングしてエイダーに乗り、次ぎの支点をセットする。墜落したら、下にセットした支点も抜けるのかもと思ったりしながら前進。 私は、エイダーの最上段に乗っていなかったので、下部でかなりの数のアングルを使っていたので、ビレー点近くになると手持ちの登攀具の数が減ってきて心配だったので、「宮川さん―」とヘルプコール。そうすると、「エイリアン、フレンズを信用して使いましょう、気合・気合」との暖かい声。ピンスカには、エイリアン・フレンズが使えたのであった。このピッチ、ちょうどいい間隔でスカがあるので助かる。
今度は、エイリアン、フレンズをセットしてのテステング。ギシギシと軋む音がするが効いている。ビレー点直下でのフリーの一手一歩が、怖くて出せない躊躇しどうしである。何度かフリーで行こうと試みるが、正直怖いのでエイリアンをセット出来るスカを見つけてジャリジャリの砂の乗ったブッシュに突入してペッルのあるビレー点に到着。クリーニングしてくる宮川の速度は速い、ビレー点から回収の方法を勉強。今日は、ここまで。ビレー点に登攀具をデポして、50Mザイルをフィツクスして懸垂下降にて岩小舎まで。
明日は、この50Mのユマーリングから開始だ。
昨日の疲れで寝過ごしてしまった。急いで朝食を食べて一ルンゼの押出しを目指すが、筋肉痛でなかなか早く歩けない。情けないの一言である。ヘロヘロになり岩小舎に到着、ユマーリングの開始である。登攀具はデポしてあるので重さはないが、少々辛いユマーリングにてビレー点到着。
左に覆い被さるハング下の水平トラバースから、ハングの切れた辺りよりアングル、エイリアンで直上。そこから、「振り子トラバース」で小カンテを越えて登研ルートに合流。宮川さんは、豪快に壁を走って小カンテを越えていった。、フォローは自分で送り出す方法をとる。ここは、水平トラバース・振り子のフォローなので、ユマーリングは出来ない。
水平トラバースの後、アングル、エイリアンを回収してカラビナの残置された振り子の支点に到着。しっかりとセルフを取って、クリップされているザイルを解除。送り出しの為にザイルを引き込む。懸垂下降のような要領でズリズリ下降して、壁を走って小カンテ越え成功。ひと息ついて、壁を見ると「あんなとこ、振り子トラバースしてきたの、、」と言うくらい感じの悪い所だった。草付きを登って、宮川さんの待つビレー点へ到着。
距離は短いが、ブッシュの多い凹角。見上げるが残置は見当たらない、フリーの苦手な私の一番苦手なピッチである。過去の記録にも、「草付きの多い危ない壁」ともあった。
しかし、前進するしかない。最初は階段状であるが、すぐにブッシュの凹角になり岩も危ない。下で支点を取ってないので、凹角の木を掴んで躊躇しながら伸びると黄色いハーケン1本を発見、これで墜落の恐怖から解放される。ここから、少し登って左に少しトラバース。ザイルの流れを考慮して、トラバースの途中の小木でランニングを1本取って、ビレー点に到着。このころより、細かい雨を時々感じるようになってきた。「雨パラ」か、、、。
いよいよ核心である。フレンズ・エイリアン等をフルセット吊り下げてのスターヘト。
フリーで少し登り、右のチムニ−、オフウィズスを通過して登研ルートと合流してし「島テラス」を目指していく。ここは、フレンズ4番・5番を駆使してのリード。下部は、アングルを叩きこむピンスカもないので、エイリアン・フレンズでの前進となる。このピッチをユマーリングして、壁の傾斜のきつさ不安定でもろいクラック、リードして頂いた宮川さんには、本当に感謝です。このピッチのクリーニングも苦労した。登研ルートに入る辺りから左上して凹状に入るので、ザイルの流れは直線的でない。フレンズ、エイリアンはバッチリ効いている。ひとつづつ回収していくごとに身体は重くなっていくことは、このピッチの困難性を物語っている。登研ルートに合流する手前で、アングルを回収しょうとするが、なかな抜けない。そうそう簡単に抜けたら、墜落に耐えないので困るから辛い回収である。アングル等のピトンの回収は、ヤンクミーと言うワイヤーを用いて行う。ヤンクミーにハンマーで叩いても良いように安物のカラビナをつけて、ピトン類にセットしてハンマーで叩くのである。バンバンと叩くとピトン類は動き出すので、そのまま叩き続けて抜くか、動き始めたらヤンクミーをハンマーにセットして引き抜くのである。引き抜く時は、ピトン類が顔面の方に飛んでくるの注意、今回も引き抜く際にアングルが顔面を掠めていき、メガネが割れそうだった。細雨の中を登研ルートのブッシュの多い凹状をユマーリングして、宮川さんの待つ「島テラス」へ辿りついた。ダイレクトルートを2回の懸垂下降で基部へ到着。
雨の中、またしてもヘロヘロになりながら鉄塔下に到着。ここを出たのが4時過ぎだったので、5時30分の最終のトロリーバスにギリギリ間に合うかと言うところ。最初は、間に合うだろう考えていたのが甘かった。体力不足のため、ダムに到着したのが6時過ぎだったので、トンネル歩きを覚悟した。しかし、宮川さんが関電の方に御願いして頂いたおかけで、関電の方のワゴン車に乗せて頂くことが出来、涙で目頭が熱くなった。みなさんの優しさに感謝。なんと言って御礼を言っていいのやら。最近の体力不足、恥じるばかりです。
今回の一番の反省は、体力低下。悔しい恥かしいの一言であり、言い訳はしない。仕事が、忙しかったなんか言ってられない。すべて自分の責任だから。
最近、私は課題を見つけられないまま悩んでいた。アメリカンエイドは、挑戦してみたい課題であつたので、思い切って宮川さんに御願いしてみたところ、OKとの御返事を頂いた。今までは、先人の打ったボルト・ハーケンを辿っての登攀であったが、前進用の支点は自分でセットして、フォローがクリーニングすると言うクリーンでピュアな登攀。今回の登攀、本当に新鮮であり、学び教えて頂くことが多かった。ユマーリング・クリーニング、ピトンの回収・振り子トラバース等、色々と体験できた。ここで感じたことは、もっとフリーの技術を磨かなくてはならないことであった。今まで既成のクラッシックルートの登攀に慣れた私にとって、フリーをもっと練習しておけば良かったと痛感したことは今回ほどなかった。新しい課題が見つかった今から、トレーニング開始だ。アメリカンエイド、来年は屏風の「スペースマウンテン」・「フリーホール」だ。
関西岩峰会の宮川さん、本当にありがとうございます。感謝いたします。