京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | CL福澤、山川(関西岩峰会) |
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期日 | 2004年8月20日夜〜8月22日 |
山域 | 南紀 大塔川黒蔵谷 |
山行形態 | 沢登り |
文責 | 福澤 |
前日は道の駅本宮にてSTB。4時半に起床し、大塔川林道に設置された黒蔵谷出合看板付近まで車で移動。6時過ぎに大塔川本流に降り,左岸に渡って黒蔵谷に入渓。今年は台風のため、黒蔵谷入渓を2回拒まれている。今回も昨日まで断続的に雨が降っていたとのことで心配していたのだが、大塔川本流の水は濁っておらず何とかいけそうだ。空は鉛色で気が重い。
水量豊富な鮎返し滝は右岸から簡単に巻いた。下ノ廊下は適当にへつったり泳いだりで通過できたが、泳ぎの苦手な人には関門となる。岩登りはうまいが泳ぎの苦手な山川さんを2回ロープで引っ張った。ギャラリーがいればダイビングを決めたい場所が数知れずあったが、今回は2人だけでむなしいので遊びはなし。関西周辺の谷による10m斜瀑がどれなのかは分からなかった。
出谷出合で休憩を入れ中ノ廊下に入るが,4m滝に手こずってしまった。一見して右側の水流が強く,左からの方が登りやすそうに見えたので取り付いてみた。しかし,登れそうな場所まで入ると背が届かず滝つぼに引き込まれるので,慌てて泳いで戻った。山川さんをショルダーで上げるなり,カムを決めるなり試してみたが,行き詰ってしまった。超軽量級の山川さんを踏台に自分が上がるわけにも行かない。通常は空身で滝身の左を登れるらしいが,今回は水量が多すぎたようだ。試しに右に行ってみたら,簡単に登れた。ルートファインディング失敗。ここに30分くらいかかってしまった。
高山谷出合直前の大釜を持つ滝は右岸から高巻いた。高山谷出合に10時過ぎ到着,まあ順調だろう。
場所の記憶が薄れているが,高山谷出合の少し上流で,滝の左側の3mほどの壁を、ナッツにあぶみをかけて越えたところがあった。
その後も,水勢の強い滝身を登れずに脇にある巨岩を空身で上がり、荷上げするような場所が多く,関西周辺の谷のルートとはまったく違うルートをとった。淵は長いものの流れは強くないので泳ぎには苦労しなかったが,滝の水勢は非常に強かった。水量が少なければ中を行けた滝が多いと思う。
地形図記述のカンタロウ滝手前にある8mほどの滝は左側から巻いた。カンタロウ滝もろとも巻いてしまうのかとも思ったが,それではとんでもない大高巻きになってしまう。実際は小さなルンゼを渡った先から、カンタロウ滝手前に安全に降りることができた。
カンタロウ滝の水量は非常に多かった。写真を見る限りでは,この滝は上の方で一度腰を打っているはずなのだが,今回は水勢の強さ故に放物線を描いていた。
この滝は登れないので,左側のルンゼを60mほど登った後右にトラバースして,滝落ち口からせり上がってきている尾根を乗越して斜面を少し下ってみた。高巻き中,今まで降ったりやんだりしていた雨が本降りになってきて,モチが落ちてくる。クライムダウンできるルートを探したが見つからず,8mの岩壁上から15mの懸垂で下ると緩斜面に降り立ち,カンタロウ滝落ち口から20mほど上流の河原に下りることができた。これでこの谷の核心は終わりかと思い,のんびりモードに入ったのだが,果たして違っていた。
すぐ上は4m滝を奥に控えたゴルジュで,左側が悪そうに見えたので,右側6mの岩の隙間を空身で登り荷上げ。沢身には懸垂で降りて左側に渡り,そのすぐ上の5m滝の左側をへつって通過。下の4m滝は左から行った方が楽だったかもしれない。すぐ先で第3支流が右から小滝を成して合流してくる。出合の少し上流右岸に快適ではなさそうなツェルトサイトがあった。15時であるが,キャンプ地を求めてさらに遡上することにする。大岩の間を縫って落ちる5m滝の左側の高台にツェルト1張り分のスペースがあった。増水時にも安心できるキャンプサイトである。さらに進むが、上ノ廊下入り口で難儀しそうな10m斜瀑が現れたので,この突破は明日に回し,先刻のサイトにツェルトを張った。時に15時30分を回っていた。
ここ3週間ほど大雨が何度も降ったためか薪がひどく濡れていて,火付けに苦労した。
黒蔵谷は南紀と言わず、関西で1,2を争う名渓だと思う。ただし今回は空が鉛色だったので、写真で見られる美しさは見られなかった。天気が好くて通常の水量ならばより快適だっただろう。