京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | CL高嶋・SL秦谷・島 |
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期日 | 2004年11月19日〜20日 |
山域 | 北アルプス 鹿島槍ヶ岳 |
山行形態 | アルパインクライミング |
走行距離:約800km(京都駅往復で概算):16,000円
有料道路(往路):京都東〜豊科:7,350円、
有料道路(復路):中津川〜京都東:4,550円
食料費:約6,300円(6食分+嗜好品)
諸装備:約2,300円(電池・ガスカートリッジ)
合計費用:一人あたり12,000円
ある程度の藪は予想していたが、予想以上の藪だった。一の沢の頭で転進を決断したが、この判断は客観的に見て正しかったとは思わないし、判断したときも正しいとは思っていなかった。あと2時間くらいやぶをこげば、二の沢の頭に到達できた。雪も翌日には調達できるはずだった。普通に考えれば、食料も装備も日数も十分なのだから、島さんのいうように前進するべきだった。だが、僕自身は進む意味を見出せなかった。もともと東尾根に行くのは乗り気ではなかったことも大いに関係していた。もっといい季節に楽しく登りたいと思った。そして下山を始めた。下山時には雪が舞い始め、明るいうちになんとか藪地帯を抜けたい、その焦りがルートミスにつながった。なぜかこのとき、北へ北へ行かなきゃ、と「思い込んでいた」。落ち着いて地図をみれば、一目瞭然だった。遭難とはこういう状況で起こるのだろう。いまでも、どうして「北へ」なんて思っていたのかわからない。この点は大いに反省(「急がば回れ」)。気づいたときには、ちょっとのことで軌道修正はきかず、時間との関係もあって、強引におりることになった。久々の未知の尾根くだりは、僕自身にとっては刺激的で楽しかった(他のメンバーには申し訳なかったです。無理のきくメンバーでよかった)。月夜の河原歩きは幻想的だった。下りたときにはへとへとで、翌朝赤岩尾根に取り付こうという気力はなかった。日帰り山行となり、反省点も多いが、冬本番に向けていい教訓を得られた。もっとも、冬山らしいことは何一つ体験できなかったが。
11月20日、鹿島槍ピークハント班とともに計9名で行動を開始。東尾根取り付き点は赤布で示されており明快。取り付き直後から終始藪に苦戦する。一部は踏み跡らしきものも認められるが長くは続かない。目・耳・口・鼻。全方位から藪の歓迎を受け眼鏡も容赦なくもぎ取られてしまう(二度も)。
雪の断片を確認できたのは標高1650mくらいから。6時間かけてたどり着いた一ノ沢の頭でも雪はほとんどない状態。(残雪期なら取り付き点から3時間足らずで到達できる)一つ先の二ノ沢の頭にも雪が着いている様子はない。この時期にしては想像以上に雪が少ないようだ。ここで作戦会議。この調子で藪が続けば二ノ沢の頭までは少なくとも2時間は費やすだろう。しかしそこにも雪は着いていない。いま手元には行動用の2リットル弱しか水がない。雪をあてにしていたが見事に肩すかしを食らった。この時点では、今日素早く降りて明日以降どこかに転進しようという考えで、縦走班は大谷原に戻ることに。ピークハント班は一ノ沢の頭で幕営する様子。
下り始めて暫くして、本来は東南東に下らねばいけないルートを北東に下っていることに気づく。藪に足を取られまいと必死で、正しく読図しようとする余裕がなかった。ならばと東方面に復帰を試みるが藪のトラバースは尾根の藪こぎよりも神経も体力も消耗する。足場は崩れやすく、荷物を満載したザックが藪に引っかかり思うように進まない。みるみる眉間にしわが寄っていく。明らかに自分に余裕がなくなりつつあることがわかる。
荒沢の枝沢にさしかかったところで日没、ヘドランを点灯。暗闇のなか急な傾斜や滝は懸垂下降で通過。厭わずにトップで降りていく高嶋さんの手際よさと度胸がなければビバークを強いられるところだ。滝の懸垂は4本、うち3本は支点のスリングを残置した。
荒沢に降り立ちひと安心。しかしここから暗闇の沢下り。荒沢出合以降流れは強くなり、観念して膝までの徒渉を二度ほど行う。いったん濡れてしまえばあとはじゃぶじゃぶ歩くだけ。
大谷原には20時過ぎに到着。行動時間約12時間30分。フル装備を担いでの藪のトラバース・暗闇の滝の懸垂・暗闇の沢下り・冬装備での徒渉。二ノ沢の頭に行くよりもハードな体験をしてしまった。装備を完全に濡らしたうえに秦谷の装備が一部壊れてしまったこともあり、明日の赤岩尾根転進の考えはどこかに吹き飛んでしまっていた。
大町で夕食、松本で風呂、木曽福島の近くの県道脇の道の駅で仮眠する。翌日は午前中には京都に着いていた。
アイゼンをはいての薮下り、薮尾根のトラバ−ス、暗闇の懸垂下降、同じく暗闇の沢下り、渡渉の数々。
いろいろと、今後の山には良い体験でした。
あまり、望んでやりたいことは一つもありませんが、最悪そういう状況も考えられるので、無駄ではなかったと思う。
おそらく、下山開始直後に尾根を間違ったように思う。
3人で確認しながら降りなければ、間違いは起こる。
俺自身もあまり地図を見ていなかったのは反省である。
間違ったからと登り返す気力もなくなるような、ひどい薮だ。
慎重さを失えば痛い目にあうことを改めて知った。
本来の東尾根を楽しむことなく終了したが、雪をつければまた行きたい。雪稜歩きになれば、とても景色はよさそうだ。
早めにリベンジを試みたいと思う。