立山初滑りin powder(山スキー)

メンバー CL山形、SL浅野、中川は、西村
期日 平成16年11月 26日(夜出)〜28日(日)
山域 立山
山行形態 山スキー

行程

11月26日

21:50京都駅=名神北陸道経由=立山駅3:00

11月27日

6:00起床・・・悪天のためケーブル動かず、バス道の除雪を待つ・・13:00ケーブル=バス14:10室堂14:30〜15:00雷鳥平上部テン場〜雷鳥荘から雷鳥平までの滑降を楽しむ〜16:20夕食準備〜18:00夕食、宴会21:00?就寝

11月28日

5:30起床・・・天気雪、視界悪し朝食後様子を見る
7:40天気回復に向かう。雷鳥沢滑降を決定。 8:00テン場〜8:20称名川雷鳥沢取り付き点(シール登行)
10:50剣御前11:20雷鳥沢滑降11:40称名川取り付き点休憩〜12:00再びシール登行12:30テン場撤収13:10室堂へ13:40室堂ターミナル14:00バス=ケーブル15:10立山駅 温泉、夕食=北陸道、名神=京都駅22:00

ノート

○寒波の影響で1日目も2日目も出発が遅れたが、その日の行動がいち早くとれたため全体としては影響がでなかった。当初目的としていた雷鳥沢が滑れてよかった。
○ メンバーの足並みが揃っていたことが、時間をスムーズに活用できた最大の原因と思う。手際のいいスキーさばきは見ていて気持ちの良いものがある。
○雪質は剣御前付近は凍っていたが、その他はさらさらの極上パウダー。空中を滑っているようだ。待った甲斐があった。
○風邪気味で体調が優れないにも関わらず、1日目大量のアルコールを摂取したのは少し反省。2日目、ガンガンの二日酔いだった。
○これを皮切りに昨シーズンはあまり行けていなかった山スキーに乗り出す。雪稜に新しい山スキーのメンバーが増えたことに感謝。

感想

前夜京都駅に集合したメンバー4名は、通い慣れた立山に向かった。
今回の4名は、僕は一度も山スキーをご一緒させていただいたことがない。
ただ、天気予報を見ると少し荒れる様子ではあったが、一人も中止を口に出すものはいなかった。
初滑りのテンションが相当に高いものを感じる。
この夏新しく雪稜に来られた浅野氏は6年程前に小谷野さんと共に、かの御岳に行ったベルクのメンバーの一人だと聞かされて驚いた。また同じ大学のほぼ同じ時期に通っていた1年先輩という話も、距離をぐっと縮めた。
雪稜の浪漫派若武者ピンさんは、山スキーは以前からしてみたいと思っていたが、今年から本格的にやりたいということでの参加であった。西村君も冬山をこよなく愛する今回唯一の20歳台。なんとかいい結果を出したいものだ。
車は北陸道の強風にあおられながら立山駅に到着。
冷たい雨が降っている。そそくさとテントを張り仮眠。
1日目、ケーブルは朝8時が始発ということで、それまでゆっくりと準備。
7時40分に出発。浅野氏には先にチケットを買ってもらうように駅に行ってもらった。しかし・・
なんと2000m上の天気は風速20m/sが吹き荒れ、前日から降り積もった雪は1mに達し、除雪できていなく、アルペンルートの開通の目処はまったくつかないということ・・・なんということだ・・昨年は雪不足で来られなかった立山、今年は降り過ぎで取り付けないとは・・「僕も今年はついていないんですよー、夏の沢はことごとく台風にやられ、今回もこうとは・・」と浅野氏。そういえば、僕もそうである。今年の沢登りは、計画段階から本当に難儀極まった。否定的に考える僕に対し、「これも試練ですよ」とピンさん。う〜む、さすが。
仕方がないから待つことにした。立山駅の中はこの日初滑りを夢見てきている若者達がたくさんいる。みんな待っているが、目処のつかない交通手段に駅を後にするものもいた。僕たちは、たまたま持ってきた大量の岳人を読みあさって、早くも次回の山スキーの計画に胸躍らせていた。
動かなくとも腹は減る。持ってきた少し寂しい行動食を食べる。
午後1時、やっと除雪車がラッセル完了。室堂では風や雪もおさまってきたとのこと。「よっしゃ〜〜!!行くでー!」一気にテンションが上がる。

室堂は一面銀世界だった。
すばらしい・・最高のコンディションだ。時刻は2時半・・今日の行動は不可能だ。とにかくテン場に向かう。完璧に凍ったみくりが池を横に見ながら、シール登降を繰り返す。
雷鳥平では3張のテントが張られていた。
今日は夜に宴会を予定しているため、大量のお酒と食べ物を持ってきている。
ザックの半分くらいがアルコールと食べ物といった感じだ。
夜は少しやかましくなるかもしれない。ということで、雷鳥平にはテントを張らず上部の窪地に張ることに。
しかし、まだ少し時間がある・・・というか、みんな1本滑りたくてたまらないみたいだ。ここは雷鳥平まで1本行くか!ということで話がまとまり、空荷で滑ることに・・みんな思い思いのシュプールを描く。ピンさんは新雪の感覚に初め戸惑っていたが、すぐに慣れてきたみたいだ。さすが感覚派ピンさん。
つかみが早い。
雷鳥平に着くと、開いていると聞いていたトイレは完璧に閉鎖。
やはり早めの寒波を心配して、計画を早めたのだろう。
後は、夕食と宴会を頭の中に描き、それだけを楽しみに登り返す。
テント設営後、夕食の準備にとりかかる。夕食は浅野氏特製「キムチ鍋」
雪稜のまっさらのテントは早くもキムチの味が付くことに・・ムムム
鍋はできていないのに待ちきれず、「ビールいきましょうよ〜」とピンさん。
一同賛成。よく考えたら今回のパーティは全員飲み助。こりゃ、恐ろしいことになるぞー・・予想は的中、結局それから10時近くまで飲んでいた・・と思う。
キムチ鍋は「ガッテン」で放送していた通りやってみたという浅野氏。
普通のものとは違い、すごくうまかった。これは、先週の鹿島東尾根の西村君のにんにくスジ肉カレーと並ぶ美味しさだ。しかし、僕の中のNo.1はやはり、ひかちゃんのタイカレーかなー・・と心の中で・・うにに。
ビール、ワイン、焼酎、酎ハイ・・となんでもござれ。荒くた男4人集まれば山、酒、女の話で夜はふけていく。

2日目朝5時・・昨日は何時に寝たんだろう・・・記憶にない。
頭ガンガンの状態で無理矢理体を持ち上げる。とても山スキーに行くような気分ではない。くそー、調子に乗りすぎた・・アイテテテ・・自業自得。
外は・・真っ白というか、真っ黒・・いやいや雪が混じって80%のグレイといったところか・・ガスが濃い。昨夜から降り積もった雪は20cmくらいはあるだろうか・・
朝食はカレー雑炊・・二日酔いには少々きつい・・食料担当の浅野氏は気を使ってくれている。僕はなんとか小コッヘル1杯は食べられた。
明るくなってきて、様子を見るが視界約5mといったところか・・ガスは晴れそうにない。これでは滑れない。
とにかくテントの中で様子をみる。前日の朝同様、今回は待つことが多い。
「人生忍耐が必要」とピンさん。でも、昨日も待った・・と心の中で・・僕。
天気予報は昼から晴れだが、山沿いは雪の予報。まだ冬型は続いている。
「8時まで待つことにしよう。8時になって晴れなければ雷鳥沢はあきらめる。室堂ターミナルに戻って、そこで晴れていたら浄土山に登ろう」と決める。昨日飲み過ぎた罰か・・体が重い。しかし、水を飲み、時間を追うごとに動けるようになってきた。8時が近づいてきている、気になって何回も外を見に行く。
7時40分、急に視界が広がる。昨日滑った下の雷鳥平、大日の肩の稜線まで見える。「うお〜〜〜〜!よっしゃ〜!!行くで〜!」一気にテンションが高まる。今回2度目である。

そそくさと準備を整え、テントを戸締まり、昨日滑ったところ翔滑る。
「嬉しい〜〜!」
川の橋を渡ったところで、シールをつける。
いざ!いざ!、浅野氏先頭で突き進む。
雷鳥沢にはほとんど何のトレースもない。あるのは、ただただサラサラのパウダーのみ。そのパウダーを踏みしめ踏みしめ、時にはズルズルと落ちる場面も、しかしみんな気合いで前進。ほぼ2時間で剣御前に到着。稜線上はガスがかかりブリザードが吹き荒れている。ミトンを持ってくれば良かった。手の先の感覚がない。小屋前で写真を撮り、シールを外し、ここからが本番。
ブリザードが早く滑りたい意識を加速する。
剣御前周辺は凍っている。アイスバーンと岩が混じった稜線上を横滑りでクリアしたあと急傾斜の新雪バーンへ。
ここはまだガスの中だ、ほとんどホワイトアウト。コースが見えないのはやはり不安だ。たぶんここだろうと思うところを目指し、新雪の中4名が滑る。
空中を滑っている気分。自分が動いているのか止まっているのかわからなくなる。やっと視界のきくところに出た。ここからは写真をとりながら滑る。
もはやブリザードはない。ゆっくりしたペースで、みんなそれぞれのシュプールを描く。新雪は粉になり、自分の目の前に舞う。
「気持ちイイ〜〜!」
カービングスキーの心地よい乗り心地がパウダーの優しさと一体になる。
パウダーの中では力はいらない。少し体をターン内側へ傾けるだけで気持ちのよいカーブを描ける。うひゃうひゃ言いながら一気に駆け滑る
でも、気持ちの良い時間はそんなにも続かない。
2時間かけて登った斜面を15分でおりてきた。
贅沢の極地。これが山スキーの醍醐味。
称名川沿いで休憩。西村君がおもむろにビールを出す。
「そうや!剣御前で飲むって言ってたんや。」
剣御前ではまったくそんな気分にはなれなかった。
そのビールはテン場まで帰った僕たちのご褒美となった。
帰り道、振り返るとガスが晴れ、雷鳥沢が見える。そこには僕たちのシュプールが刻まれていた。
みんな、満ちたりた表情で立山を後にした。
僕も内心、今回、雷鳥沢を滑れたことにほっとしていた。
みんなの胸の中にも、この山行が良い思い出として残るに違いない。

室堂ターミナルに到着。
浄土山下部ではたくさんのスキーヤーが少しのガスの晴れ間を狙って滑っている。
予定通り、2時のバスに間に合った。そんなに急いだ訳でもないが、みんなの無駄のない迅速な行動が予定通りの行動を引き起こさせたのだろう。
いずれにせよ、今回の気象条件では厳しいと思われていた雷鳥沢を滑れたことは、一つの自信にもつながったと言えよう。
ほぼ足並みが揃ったメンバーでこそなし得られた成功と言っても過言では無いように思える。
それと同時にやはり3000m峰の11月は厳しい。気を引き締めてかかろう。
一度荒れると手がつけられなくなる。厳冬期とは違った幅の広いほんわりとした厳しさがそこにはある。その反面、最高のパウダーにも巡り会えるのだが・・
京都に帰る道中、温泉と満足感で満たされ、爆睡してしまった。

雷鳥沢を登る (1)

雷鳥沢を登る (1)

雷鳥沢を登る (2)

雷鳥沢を登る (2)

白陽の中へ

白陽の中へ

剣御前小屋で

剣御前小屋で

雷鳥荘へ登り返す

雷鳥荘へ登り返す

滑るぜ!

滑るぜ!

登る

登る

浄土山

浄土山

雷鳥沢を登る (3)

雷鳥沢を登る (3)

ポーズ

ポーズ


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