京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | CL松田・SL上田・片山・谷垣・稲野・西澤 |
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期日 | 2004年11月19日夜〜11月23日 |
山域 | 北アルプス 後立山 |
山行形態 | 積雪期縦走 |
新雪の五竜にその日初めてのトレースを刻めたこと。唐松から最低鞍部間や五竜ののぼりの後半でトップを任せてもらい、ルートを読みながら岩に着いた雪を払いのけてルート工作(というよりはラッセル?)はちょっと興奮するくらい楽しかった。最後まで体力的に余力を残せたので、気分的にも楽しかった。食事のペミカン攻撃も計画段階ではどうなるかと思いましたが、毎日美味しい食事で精神的にも体力的にも支えられました。 手間のかかる準備を入念にやってもらい、山行中もテキパキと動いてくれた食料係りに感謝。
今回の山行は好天・荒天 その中間と三通りの天気に恵まれれて、3日間の山行はとっても楽しく、おもしろい山行だった。
唐松から五竜までの行程が荒天。前年の11月に白岳の頂上から見た唐松への縦走路を気持ちの良い尾根筋と感じたので気にもしていなかったのが大きな間違いだった。
荒天の中、五竜山荘までの道程は長かった。
翌日好天の五竜岳からみる鹿島槍の姿は見飽きることの無い美しさだった。
改めて東尾根だ!!
山荘からの下山時にはブロッケン現象にも出会えたし、雲と太陽のコントラストで五竜岳が神秘的な様相をみせてくれたのには感動した。
今回登れなかったけれどG2も確認出来た大満足の山行だった。
今回の山行は、コースの難易度 気象の急変や雪の状態から当初予想以上の厳しいものとなり、今までにない、常に自分の余力を計算させられ続けた感じでした。
それだけ厳しい局面があり、変化の多い、面白いものだったといえます。
言い換えれば、各時点で自分の体力 気力をチェックしたながらのマイペースでの登山独行となり、それに伴うパーティの負担増(パーティ力の劣化)を何度も気にしながらのものでした。
したがって私にとって、身勝手ながら今までに無い、充実した山行となりました。
更に素晴らしい良きメンバーに恵まれ、助けられて何時までも想い出に残るものとなることでしょう。
しかしながら、年齢から来たであろう?自分の体力不足は、否応無く、誤魔化しがきかないものと、痛切にしらされました。
それは担架力、スピードに如実に出てきます。更に生活力にも及び、厳しい山行ほど、より大きな意味をもつものと思います。
パーティを組んでの登山では、個々の実力差は止む得ぬことながら、体力差からくるパーティへのマイナス貢献は、登山計画続行に、大きな悪影響を及ぼすだけに、今回の山行全体の足を私が引っ張った感があり、まことに申し訳なく思っています。
今後は、より各種トレーニングに努めるにしても、自分の登山限界の再検討を強く迫れた山行となったようです。
今回のプレ冬は昨年いくことの出来なかった唐松から五竜の縦走、そして五竜への頂上は五竜東面G2をぬけてピークに行くことに決まった。
正直最初は複雑だった。憧れの鹿島槍に行ってみたいという気持ちもあったからだ。
でも長期で冬山を歩きたかった私は、4日間の初の冬山山行にワクワクしていたし、緊張・不安もあった。不安だった理由は、第一に体力がついていけるかどうかとい点、第二に4日間の冬山が初めてという点、第三に岩稜を冬山で歩くのは初めてで、アイゼンワークに自信がもててなかった点からである。
プレ冬山までにボッカトレをしようと思い、愛宕山と武奈ケ岳に行った。愛宕山はさほど疲れることもなく、久しぶりの冬山靴の感触を味わった。武奈は愛宕より少し多くボッカしようと思って試みたが、予想以上にも歩き始めてすぐにバテてしまい、かなり疲れた。プレ冬にむけて不安が大きくなったのと同時に少しショックだった。
京都駅21時集合
11月15日から体調を崩し、風邪薬を毎日飲み続け、なんとか当日を迎えることが出来た。
とても不安だった。体力勝負の冬山、ボッカでもすぐにバテてしまっていて自信をなくしていたのに、さらに風邪をひいてしまい、万全な状態ではなかった。
M田号に6人(男性5人 女性1人)の冬装備の荷物を入れようとしたがさすがに荷物が多く、早く来ていた22時発のA木号に少し荷物を載せていただき、やっと6人は乗り込み21時集合組の3パーティの中で一番遅く21時45分に京都駅を出発した。5ナンバーから3ナンバーになったM田号は広いなぁと感じていたが、さすがにこのときは密度は高く、スペースに余裕はなかった。
飛騨清見Iを降りて道の駅に到着し、3時半就寝。
6時起床。朝食を道の駅でとる。道の駅には私達以外に唐松ピークハント組8名がいた。私達6名は起きてテントを片付けるとすぐに朝食をとり始めた。お湯もわかしてあたたかいものを飲みながら食べた。それとは反して唐松ピーク組は、テントを片付け、朝食をとるかと思ったら装備を分け始め、パッキングを始めたのである。朝食というとみんな片手に持ちながら食べ作業をしているのである。私は縦走メンバーを見渡してしまった。朝食をとっていたり、6人とも各々のことをしたり、いっこうに装備分けやパッキングする気配がないのである。
パッキングは?と聞くと、ゴンドラの場所へ移動してからという答えが返ってきた。
私は「大丈夫なのかな?」「時間はあるのだろうか?」「リフトが動きだすのは8時からだけど・・・」と少し不安になった。と同時に「さすがT垣さんをのぞき全員O型だ」と納得した。
そしてやっと八方尾根のゴンドラの乗り場へ移動し、パッキングをしたのである。
この日は上樺近くの雪のある所まで行く予定で、ゴンドラ、リフトと乗り継ぎ9時に歩き始めた。雪は昨年より少ないということだった。1年ぶりの2シーズン目の冬山、それに久しぶりの大人数での山行に私は興奮していた。だんだん雪の量は増え、久しぶりの雪の感触は気持ちよかった。雪上での歩き方、ピッケルのうち方等、少しづつ感覚を思い出しながら歩いた。また、ラッセルを交代しながら進んだ。ラッセルをしたのは実は初めてで、今回は雪の量が少なかったので楽しみながら歩くことが出来た。13時40分にテント場に到着し、早く就寝した。
この日久しぶりの雪の感触と、雪山でのテント設営・生活・雪景色を久しぶりに味わうことが出来た。
4時半起床。出発前に滑落停止・アイゼンの歩行練習をした。滑落停止はインドア講習で説明を受けたことはあったが雪面上の実践は始めてだった。
滑落停止アイゼンの歩行練習はとても勉強になった。滑落停止で体重をピッケルにのせたり体制を整えたりは難しかった。また、アイゼンをひっかけないように足をあげておくことなど勉強になった。昨年インドア講習で説明は受けていたが、実際に体験はしたことはなかったので、いい体験することが出来た。M田さんが講習の最後に言われた「最後まで諦めないこと」という言葉がとても印象的だった。
7時50出発。天気は晴れで気持ちの良い中14名はスタートし、9時50分に唐松山荘に到着した。唐松山荘まではけっこうあっという間だったような気がする。天気に恵まれ、本当に気持ちよかった。いよいよ唐松ピークへ。14名全員でピークを踏むことが出来、みんなで恒例の「ヤッホー!!」をした。みんなの笑顔がとても素敵だった。
11時に唐松ピーク班と別れた。今まで14名で歩いていたから6名になったとたん淋しく感じたのと、「これから五竜へ向かうんだ」と思ったら緊張が身体に走った。
唐松山荘を出て、しばらくすると鎖場にきた。緊張した。アウターの手袋をしているから滑りやすいかなと不安になったが、以外としっかり持つことが出来たし、足場もアイゼンがきっちりきまれば安心して歩くことが出来た。鎖場を歩き終えて感じたのは「怖い」という気持ちは湧かなかったのである。鎖がついていたからか、安心して歩くことが出来たし、楽しかったし、充実していた。自分でもこんなふうに感じることができて不思議だった。鎖場が終わるとしばらく下りが続き少し一息つくことが出来た。
それからラッセルを交代しながら、登り下りを繰り返し、最低鞍部に到着したのは14時半頃だった。この頃からだんだん天候は悪くなり、雪がシンシンと降り始め、しまいに吹雪き始めた。これから最後の登りが始まると思い気合をいれてスタートした。
途中、白岳を通り過ぎたかどうかを確認するために稜線に一度あがってみたりしたが確認とれず、M田さんのラッセルのもと五竜山荘に向かってひたすら歩き続けた。途中場所を確認するために止まって地図をみていたら、M田さんとはどんどん離れ、M田さんの足跡は吹雪ですぐに消えてしまいそうになったり、天候が悪かったにも関わらず、休憩時に服を着なかったためどんどん体温が下がり、精神的にも体力的にもこの天候で弱ってしまっていた。そんなことから私の歩くスピードが急におちてしまった。それがU田に低体温症になってないか心配をかけてしまった。またすでに16時近くになっていたため時間的にも余裕はなかった。「M田さんに追いつこう」「精神的に負けていけない」と思いながら歩いていた。2日目で一番この白岳から五竜山荘への最後の登りが精神的に苦しかった。するとM田さんの「山荘がみえたぞーー!」という今まで聞いたことのない太い声が聞こえた。その声が聞こえたとき、目が覚めたというか、力が湧いた。
みんな無事分岐点に到着したときは安心したのと、身体中が緊張していたのを感じた。3日目に東面G2に行くために2日目は西遠見で泊まる予定だったが、五竜山荘の脇にテントを張り泊まることとなった。
雪が降っているなか山荘の前を整地し、テントを設営し、17時半ごろテントの中にみんな入った。この時が本当に安心したのと、少し力が抜けた。
1日をテントの中で振り返っていて、鎖場での緊張、最後の白岳、五竜山荘までの登りの緊張が2日目の中で一番印象強かった。この緊張がとても充実していた。唐松から五竜へ歩いたという達成感があり、最高の1日だった。
この日の就寝は21時半だった。夜中はシンシンと雪が降っていた。
5時半起床。3日目は五竜ピークへのアタックである。朝起きると昨晩降り続いていた雪はやみ、お天気だった。頂上のほうはガスっていたが、8時ごろ出発するころにはガスもはれ眺めもよかった。
昨年もこの五竜山荘から頂上へは歩いたルートだった。しかし、登りのトラバースはとても怖かった。唐松の鎖場よりも緊張したし、怖いと感じた。「もし滑落したらどこまで滑るか」とか考えて歩くと一歩一歩が緊張し、必要以上に強く踏んでみて確かめながら歩いてしまっていた。自分の足にもう少し自信をもってあるけるようになりたいと思った。
ルート開拓をしていただいたU田さんの登りを後ろから見ると、とても力強く、安定感のある、自分の足に自信のある歩きに見えたし、とても楽しそうに歩かれているのを感じた。私には楽しむという余裕は無かった。京都に帰ってからトラバースしている写真を見ると私はへっぴり腰で、斜面にへばりついてるようだった。昨年も歩いたことのあるルートだったのに、ショックだったし、自分の足に悔しかった。今回の山行は昨年よりは自信を持って歩けるかなと思っていたのに、昨年より怖かったかもしれない。
11時半ごろ五竜のピークに到着。景色は最高だった。鹿嶋から五竜にのびてる八峰のキレット、剣 白馬 南アルプスと綺麗に山々が見えた。みんなで頂上を満喫したあと下山開始。下りは2回ザイルをはった。ザイルがあるだけで、精神的にとても安心感を与えてくれた。下りは雪もしまっていたため登りよりも怖くなかった。13時にテン場に到着。
この日もとても充実した。登りのトラバース時の一番の緊張感、下りの緊張感。この緊張感が歩き終えた達成感を強くしてくれた。満足感でいっぱいだった。
やはり紅茶が美味しかった。
テントを回収し、14時過ぎに出発し西遠見に15時45分に到着。設営し20時に就寝。この日が一番冷え込んだ。またこの日がテントの中はいびきで一番賑やかだった。
4時半起床。テント撤収し7時に出発。朝日に照らされてオレンジ色に染まり、とても力強い山に見えた。9時40分にリフト乗り場に到着。N澤君はリフトには乗らず、ゲレンデを走って降りたのである。ゴンドラにのりながら見えていたが元気だなぁと思ったのと、私も少し体験したかったと思った。
唐松から白岳の下りでは雪付の岩はアイゼンワークのよい練習になった。五竜山荘までの稜線部分は、稜線へ出るのに手前で厚手の服を着るのを忘れたせいでかなり寒い中の行動となってしまった。小屋がみえたときはホッとした。G2は行けなかったが、通常ルートも積雪が多くかなり楽しかった。雲海から突き出た白い峰々が美しかった。
雪山の基本生活・技術・アイゼンワークルーファイなど色々とためになった山行だった。今後の課題は冬のロープワーク(確保登攀のためのアンカーの取り方 懸垂下降の支点の取り方 グロープでのロープの扱い方 など)アイゼンでの安定した歩行。
G2五竜から鹿島槍はいつか突破したい。