八ヶ岳西面 (アイスクライミング)

メンバー CL鈴木、SL西澤角谷、高橋、岡川
期日 2005年2月11日〜2005年2月13日
山域 八ヶ岳西面
ルート 大同心大滝、南沢小滝
山行形態 アイスクライミング

西澤の所感

2005年2月11日

 三連休を利用しての今季のアイス納め、当初は高嶋さんをCLとして南アルプス塩沢へ行く予定であったが、体調がすぐれないため不参加となり、鈴木さんにCLをお願いして八ヶ岳に行くことになった。前日まで仕事で忙しい人が多いので当日早朝発とのことであったが、山行の準備をしたり、いろいろ雑務をこなしているといつの間にか4時過ぎになってしまった。ここで眠ると確実に寝坊するので仕方なくそのまま一睡もせずに京阪五条へむかうことに。同じ列車に乗り合わせた鈴木さんと共に京阪五条で下車。岡川さん、角谷さんのペアはまだ来ていないようだ。カップラーメンなどを食しながら待つが一向に現れそうにないので岡川さんに電話をすると「おはようございます」とのこと。寝坊だ〜!!

 保険の関係で僕は運転できないので、車の中ではひたすら睡眠させていただく。うとうとしつつ、運転席の高橋さんと助手席の鈴木さんとのギャグの応戦を聞いていると今回の山行の方向性が不安になる。三連休初日ということもあり渋滞に巻き込まれ、結局美濃戸口に到着したのは昼前のこと。駐車場は既に車で埋め尽くされていたため、車の置き場所に困る。停められる場所を探しながら散々さまよった後、近くのペンションの駐車場をお借りすることができた。準備を終えて出発したのは13時過ぎ。林道を進むと雪道にタイヤを取られた車を発見、みんなで救助する。更に時間を取られて、とりあえず赤岳鉱泉まで行って宿泊しようということで落ち着いていたが、河原奥の氷柱を遠くから発見、満場一致で一日目はここで遊ぶことに決定。

 右の氷瀑部分で鈴木さん、岡川さんがリードの練習をしている間に左の氷柱に岸壁の上からトップロープを設置、とりあえず登ってみたがムーブがめちゃくちゃ、スタンスも定まらずテンションをかけまくって登る御粗末さであった。その後ビレイを交代して鈴木さんが登るが、バイルで破壊した氷が顔面を直撃、とりあえず下ろしてみると唇の上が3pほどの切り傷となって大出血。雪面にスプラッター映画のような血痕が広がる。止血をしつつ今日で下山かなぁなどと考え、下山後の温泉を頭の中で思い描く。しかしそれしきのことではへこたれない鈴木さん、とりあえずは大丈夫とのことなので氷柱を各自二回ほど登ってから撤収し、暗闇の中を赤岳山荘まで歩きテントを張った。凍る前に飲んでしまえとビールを飲みつつ、皆のつまみをおいしくいただく。明日は大同心大滝へと行くことで落ち着き、広いテントの中でゆったりと眠る。う〜む今日の登りで本当にリードできるのだろうか・・・。

2005年2月12日

 八ヶ岳の朝は寒い、きらめく樹氷のなか赤岳鉱泉へと向かう。遠くに架かる白い滝が見えた、大同心大滝だ。本で見た写真よりかなり発達している、あんなにでかかったっけなぁ・・・。急速に萎えるモチベーション、こりゃムリっすよ。なにはともあれ、赤岳鉱泉に到着。1000円という暴利のような宿泊代を払い、腹立たしさを抑えながらテントを設営、出発の準備をする。
 大同心ルンゼに入り、積雪量が多いので一応弱層テストを行う。下のほうはしまっているが、上部数センチほどの部分に弱層あり。日陰では下部もしまってないかもなぁ・・・などと考えながら進む。規模は小さいが支谷からのデブリが何箇所もある。

 大同心大滝の下に着くと、既に二人組のパーティが取り付いていた。近くで見るとめちゃくちゃでかくて蒼い氷がそこにあった。今までは高嶋さんにリードをしてもらっていたが、今日は自分で登らないことには始まらない。かなり不安ではあったが、岡川氏の名言「氷の色、青は進めやろ!」に後押しされ登攀具の準備をする。こちらの準備の間に上のパーティが下りてきた、撤退かと思ったが、話を聞くと、上部が難しく一時的にこちらにルートを譲ってくれるようだ。
 スクリューの数が限られているので、西澤-岡川-高橋の先行パーティと、鈴木-角谷の後続パーティに別れて、先行パーティはスクリューを残置する方式で登ることにする。まずは下部の緩やかな部分を登る。久しぶりのダブルでのリードであったため、いろいろ細かい点で不慣れが出てきたが、登攀に関しては特に問題なく上部の核心の氷柱の下、右岸でピッチを区切る。それにしても気温が低いせいか氷が硬い。一度のスウィングできまることは滅多になく、逆にヒビが入り壊れてしまうことも多い。
 上部の滝の裏は空間があり、5人みんなが溜まることができるビレイポイントになりそうだ。中央から攻めるか、左から攻めるかは下から見て悩むところであったが、中央ラインは初めに難易度の高いトラバースを行わなくてはならないので、結局左のルートを選んだ。氷が非常に硬く、刺さるスクリューの数は限られるので、吟味した5本をギアラックにかける。下から見る限りではこれで十分足りるはずだ。ところが一本目のスクリューが全然きまらない、ここまで硬い氷は初めてだ。10分ほど格闘してなんとか刺さった。
 フィーフィーを使用してレストを取りながら、2〜3m間隔でピンを取りながら順調に進んでいった。滝の裏から談笑する声が聞こえる、おなかが減ってきた・・・。当初の予定より一本余計にスクリューを使ってしまい、残りが一本となってしまったので、滝の落ち口手前は打たずにランナウトぎみで登った。滝の最上部より上に顔が出て終了点が見えた、あと少しだ。ピンを取ろうと思いフィーフィーをかけようとしたが、角度が急に緩やかになっているのでうまくかけることができない。仕方なくそのまま登ろうと試みるが、なんとバイルが左右共に刺さったまま抜けない。非常にきつい体勢であったため、「あっちゃぁ、落ちるかも」と落下の心構えをしつつバイルを抜こうと必死に頑張るが、結局フォールをしてしまった。人生初のフォール、なんだかなぁ・・・。とにかくめちゃくちゃ悔しくて叫んだのを覚えているが、あとは興奮しすぎてよく覚えてない。ビレイヤーの高橋さん、止めてくださってありがとうございます。
 その後、最後のピンまで引き上げてもらい、今度は落ち口の手前にスクリューをきめ、無事に登ることができた。右岸側のボルトに終了点を取り、後続をビレイする。(このボルトは時期によっては雪面の下になるとのこと)岡川さん、高橋さんが登り、終了点を後続パーティのために空ける。その後はひたすら待つ。やはり気温が低く、その夜聞いた話では日中であるにもかかわらず−15℃程度であったとのこと。
 待っている間に同時に張り付いていた二人組パーティも中央のルートから登ってきた。どうやら、上信越の谷などの著者である豊野さんという方のようだ(と、しっかりアピールしてました)近日中に北アルプスのトポ図集が出版されるとのことです。
 皆が登り終えて懸垂下降する頃にはもうすっかり暗くなっており、一日目に引き続きヘッドライトでの行動となったが無事に回収も終え、テントにて夕飯のカレーを食べながら落ち着く。フォールのせいか、翌日はリードするより、トップロープで自分のムーブを確認したかったので、どこでも登れればよかった。とりあえず南沢小滝で昼まで遊ぶことにして寒さの中眠りについた。

2005年2月13日

 最終日、予定より一時間遅れの五時起床。行者小屋を越え、南沢小滝に取り付く。既に取り付いているパーティがいくつかいたがすぐ引き上げるところもあり、最終的に3パーティで登る形となった。のんびり休みながら何回か登り、この日は登りを楽しめた気がする。他の人の登り方を見ると自分とは確実に違う。(自分が登ってるところの写真を見ると、やっぱり汚い・・・もっと姿勢を意識して登る癖をつけよう。)
 昼過ぎに引き上げて下山、もみの湯で疲れを癒す。ここで夕飯をとることになり、僕は特別にお願いしてざるそば超大盛を出してもらった。ボリュームも味も満足、ここの食事おすすめです。

総括

河原奥の氷柱を遠くから発見、満場一致で一日目はここで遊ぶことに決定

河原奥の氷柱を遠くから発見、満場一致で一日目はここで遊ぶことに決定

今日の登りで本当にリードできるのだろうか・・・

今日の登りで本当にリードできるのだろうか・・・

赤岳鉱泉

赤岳鉱泉

八ヶ岳の朝は寒い

八ヶ岳の朝は寒い

遠くに架かる白い滝が見えた、大同心大滝だ。

遠くに架かる白い滝が見えた、大同心大滝だ。

八ヶ岳の稜線

八ヶ岳の稜線

それにしても気温が低いせいか氷が硬い

それにしても気温が低いせいか氷が硬い


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角谷の所感

 まずは、自分のことの感想。
 私は、冬山初心者ですが、2005冬合宿の時よりも行動中の重ね着の調整が上手になった気がします。
 終日、暑くもなく、寒くもなくの状態でいられました。これは、大きな成果です。
 沢に飛び込んでクールダウンすることしか知らなかったわけですから、衣服の調整に慣れるには時間がかかりました。
 シュラフでの睡眠は、1泊目は寒かったり、2泊目は暑かったりしました。
 快適に寝ることが、翌日のハッスル具合にも影響するのは、当然のことですが、まだまだ、自分のシュラフを最大限に使いこなしていないのでは?活用術が低いのでは?と感じております。
 アイスクライミングに安環付カラビナを2個しか持って行きませんでした。やっぱり、4つは欲しいです。反省。
 登攀技術は、低いのですが、前回よりちょっとましになりました。が、課題は山ほどあります。とにかく、一つずつ前進あるのみです。まだまだ、修行がたりません。
 水分補給と栄養補給は、70点位です。
 栄養補給では、朝からコロッケパンはちょっと重たかった。脂質は、夜に摂取するほうが、よいらしく、日中に摂取するとそれの分解にエネルギーをとられるみたいなので、極力脂質の多いものは避けたほうがよいらしい。よって、チョコレートなどもバカスカ摂取しないほうがよいらしい。この辺は、カロリーの問題、食べ合わせの問題等々があるので、経験を積みたい。
 水分補給、これはそれなりに足りていた。恐らくあの日八ケ岳に入山している多くの登山者のなかでも割りと足りていたほうではないかと自画自賛している。これは、雪についた小便跡の色で判断した。大抵は濃い黄色なのに対して、私のは十分白かった。それでも、午後になると徐々に黄色くなってきたので、一人なるほどと関心してしまった。後に温泉で体重をはかったが、大きな変化なかったので、安心しました。

 次に、メンバーの一員としての感想。
 鈴木さんは今回のリーダーでした。非常に安心してついて行けました。
 感心したのは、歩行中は鈴木さんは常に先頭を歩いてくれました。そして、定期的に後ろを振り返り、全員がちゃんと付いてきているか、疲れ具合などを静かにチェックしてくれたことです。私が登攀する前にもハーネスのエイトノットのチェックをしてくれました。本人は何も言わずですが、チェックされていることは感じました。ああいう行為は、自分がリーダーで自分のチームをちゃんと掌握して、何かあったらすぐに対処しようと言うリーダーとしての責務を果たそうという、強い気持ちが無いと出来ないことだと思いました。
 サブリーダーの西澤さんは、非常に前向きな姿勢で、勉強熱心であることが、がんがん伝わってきました。こっちまで熱くなりました。リーダーをサポートし、自らも更なる「高みへのスッテプ」を求める純粋な気持ちにすっかり惚れ込んでしまいました。
 高橋さん。いつも私が遠方なばっかりに、装備係りを頼んで申し訳ないです。運転も一人でしてもらった。ありがとうございます。アイスクライミングは、始めた時期にさほど差はないとのことなので、今後とも宜しくお願い致します。
 岡川さん。非常に前向きな姿勢で、勉強熱心であることが、がんがん伝わってきました。こっちまで熱くなりました。リーダーをサポートし、自らも更なる「高みへのスッテプ」を求める純粋な気持ちにすっかり惚れ込んでしまいました。んっ。西澤さんの貼り付けただけやんけ。いえいえ本当のはなしです。
 とにかく、チームとしては鈴木さんのリーダーシップとメンバーのリーダーの補助をしようと言う意識が高かったので、よりよいメンバーであったと思います。

 皆様、お疲れさまでした。
 ハッスル。ハッスル。

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