京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | Nさん、Pさん、Nざわ |
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期日 | 2005年4月8日(金)夜〜4月9日(土) |
地域・山域 | 長野県 唐沢幕岩左方ルンゼ | 山行形態 | 残雪期アルパインクライミング |
文責 | Nざわ |
5:00 起床 - 5:30 出発 - 6:50 高瀬ダム - 7:15同発 - 9:10 B沢出合 - 9:30 同発
- 10:00 F1取り付き - 15:15 F6完登(終了) - 15:30 懸垂開始
- 17:30 F1取り付き(懸垂終了) - 19:30 高瀬ダム - 21:00 葛温泉到着
今年からアイスをはじめ、いろいろ練習に連れて行ってもらったのだが、いわゆるルートはアイスの状態が悪かったり、メンバーの体調が悪くなったりと、結局一度も行けずに今年の冬を終えようとしていた。そんな折、運良く唐沢幕岩左方ルンゼのお誘いが入った。唐幕と聞いてそりゃ無理かも、と思いながら記録を調べてみると、左方ルンゼはF2の核心部さえ越えれば特に難所のないアルパイン入門コースとのこと。もう迷うことなく参加の意思を固めたのであった。
タイミング悪く出発日が雪稜クラブの総会と重なってしまったため、深夜の出発となり、葛温泉の車止めゲートに着いたのは午前3時過ぎであった。ワインで軽く中枢器官を麻痺させて眠りにつく。起きてみると既に空は明るみを帯びていた。早速準備をしてひたすら舗装道を歩く。長いトンネルにうんざりした頃、高瀬ダムに到着。早速アプローチシューズからプラ靴へと履き替え、沢沿いの道を登ってゆく。既に雪は解けてきていて、岩壁にかかる氷柱も解けて壁から離れていたりと、氷が残っているのかと不安になる。不安定なスノーブリッジをいくつか越えて、堰にかかるハシゴにたどり着くも、雪が解けてハシゴまでつながっていないため水の中を進まないといけない状態。付近の岩を投げ込み飛び石にして何とか突破。金時の滝を右岸のルンゼから巻いてしばらく進むと幕岩が見えてくる、でかい・・・。しかし今回は岩に取り付くのではないので、のんびり眺める。
ワシの滝を巻き、左方ルンゼの取り付きまで登ると、勢いよく水の音が聞こえる。核心部であるF2の滝上部で氷の穴から水が噴出しているのが見える。「沢登りかよ。。。」と心の中で突っ込みを入れつつ巻き道を探すが、Nさんは登る気満々である。下まで偵察に行き「オッケー」とコールが聞こえる。こうなりゃもう肝を据えるしかない。F1は氷は解けていてミックス状態、せっかくアイゼンを研いだのにもったいない。F1を登りきった位置から僕がビレイして、NさんにリードでF2を登ってもらうことにする。右側は文字通りシャワークライミングになるので、仕方なく垂壁部分の長い左側から行くが、意外なことに氷質は安定しているようだった。少しずつ伸ばして、見事に突破する。次いで僕が登る予定だったが、取り付きでリーシュを落として少しクライムダウン。同じ失敗を過去にもしているので、成長がないなぁと反省。取りに行っている間に先にPさんに登ってもらう事にする。二本爪ながら、うまくスタンスを取って突破。最後に僕が登る。やはりトップロープで登れるというのはプレッシャーが全然違う。思ったより安定して登れて、今期の成長を実感した。
F2を登りきると、急に日光の当たる斜面となり、春の陽気を感じる。F2を登っている間も小さな氷が上から降ってきていたので、少し不安だったが、快晴の空を見ているとそんな心も吹き飛ぶ(吹き飛んでいいのか・・・?)ここからは難易度も高くないということで、僕にリードをやらせてもらう。しかし、早速1ピッチ目で登りすぎて悪所に突っ込むもロープが足りなくなるという失敗、仕方なくクライムダウンで戻りアックスとスクリューからピンを取る。その先の悪所(氷が解け、岩のスラブが出ているためにアイゼンが効かない)は右岸のバンドからNさん再びリードで越える。やはりミックス色が強く、純粋なアイスはもう楽しめない時期だなぁと実感。
そこから再びリードを交代し、アルパインでのリードの練習をさせてもらう。初めのピッチはスクリューでランナーを取ったが、日が昇ってかなり気温が上がってきたので早めに終わらせたいということもあり、基本的にランナウトぎみで登ることにした。難易度は特に難しくはなく氷の崩壊以外では滑落しないだろうというルート、練習には適度であった。背後に高瀬ダムを眺めながら、快晴の中のクライミングは最高で、八ヶ岳などでは味わえない景色を十分に堪能する。
結局F2の取り付きから全部で6ピッチかかりF6まで登りきったが、上に行くにつれて日が当たりやすいのか氷が薄くなり、最後のほうは上に立つのも不安な箇所が多い。F6手前ではPさんが乗っていた氷盤がごっそり崩れたらしい。時間は既に15時を回っていた。撤退路は途中で暗くなってはたまらんので、そのまま来たルートを懸垂下降することにした。何ピッチか懸垂で降りた頃、上部の崩壊によって氷塊が落ちてきたりしてヒヤヒヤする。下に降りるまでにも大きな崩壊が何度か起きて頭サイズの氷が何度か飛んでいくのを見たが直撃はなく、二時間ほどで無事B沢まで降りきった。
急いで暗くなる前にハシゴまで下り、最後は結局ヘッドランプをつけて19:30に高瀬ダムに到着した。疲労の中、葛温泉までひたすら舗装道を歩き、21:00到着。やはり日帰りアタックはきつかった。京都に帰ってきたのは翌日の5時過ぎであった。
氷の崩壊の時期ではあったが氷質は思ったほど悪くはなく、快晴の中で気持ちよいクライミングができた。アルパインの練習もでき、来年につながる最後のクライミングとなった。核心部のF2を越えてしまえば特に困難のないルートである、初めが平坦で最後に核心があるほうが登っていて楽しいのだが、後半は景色がよかったのでそれはそれで楽しかった。またいつか、完全に氷結した時期にF2を登りたい。どうも声かけてくださってありがとうございました。