愛宕山(ケーブル廃線ハイク・無雪期ハイキング)

メンバー ナカガワ(ハ)他1名
期日 2005年5月3日
地域・山域 京都府 愛宕山
山行形態 無雪期ハイキング

報告と感想

 山連休、しかし、私は京都にいる。5日が勤務なので遠出は出来ない。大枝山荘さんのHPを拝見してから、愛宕山のケーブル廃線ハイクが気になっていた。一般道から登るより楽だろうと考えて、2時間ばかり干した布団を回収して10時過ぎに、避難小屋を出た。

 地下鉄を降りて、JRの嵯峨野線のホームに向う。観光の人たちで、賑わっている。駅に設置されたコインロッカーの、「空いていますよ」と示す赤色のプラスチックの番号札も、ぶら下っていない。ロッカーも満員御礼、観光の人に「もう、ロッカーはないですか」と聞かれたので、八条口の手荷物預かり所へ案内してから電車へ乗り込んだ。私のスタイルは、御案内の通り素足に雪駄。どう考えても、観光客には見えないだろう。
嵯峨野線に揺られて、普段見ない西の街並みを観賞。昔、「池上線に揺られながら、、、」と言う歌を思い出してしまった。嵯峨嵐山駅到着、岩橋さんを待つ間に日焼けを楽しむ。最初は、歩いて清滝まで行く予定だったが、今日は交通量も多いのでトンネルの通過が危ないので、タクシーで清滝まで。

 大枝山荘さんHPの案内通り、鳥居からでなく広場を目指してスタート。直ぐに階段になり、第1トンネルへ。内部は、出口から光が射し込んでいるのでヘッドランプは不要。続く第2トンネルまでは、単調に階段が続く。時々、薄い紫色の花びらが単調な階段歩きに、変化を与えてくれる。どこから、落ちてきたのかと見上げるが、花をつけた木々を見つけ出すことは出来ない。第2トンネルを抜けてから、花の妖精に出会うことができた。名前は知らないが、陽射しを浴びて輝いている。この木の花びらが、トンネルを抜けてきたのだろうか。花の妖精と風の悪戯に感激だ。
 第3トンネルは、崩壊しているので左岸を巻いて行く。親切に赤テープがあるので迷うことはない。金毘羅の踏み跡を思い出すような、ザレザレの道だった。少し登って再び、ケーブルの軌道へ進んでいく。第4トンネルは短いのでトンネルに、響く足音を楽しむことなく駆け上がり、中間の上下線が交わるところに到着。ここで昔は、車両が交わる時に手を振りあったのだろうか。
 第5トンネルも、崩壊しているので左岸から巻いていく。ここにも、赤テープあり。少し不安定な登りを終えると、林道に出合に到着。左に少し林道を辿ると、五合目の休憩所に出る。しかし、ケーブル軌道に戻るには、まだ巻き道を辿っていく。トラバースするように着けられた巻き道の途中で、古いビールの空き缶を発見した。色褪せたものだったが、踏み潰されることなく道の脇にころがっていたので、記念にカメラに収めて斜面に立てておいた。次ぎに通った登山者が、これに気付いてくれるだろうか。廃線ハイク、このような楽しみも作らなくては、、、。長い巻き道を終えて、ケーブル軌道に合流。この第5トンネルは、どのくらいの長さがあるのだろうか。最後の第6トンネルは、直ぐに現れたが短いので、なんとなく通過する。トンネルを出ると、そこには陽射しを浴びて輝く木々と白く光るコンクリートの階段が、目を眩しくさせた。ここからは、北山の眺めが素晴らしいく、五月の陽射しの中で大きくなっていく緑の木々のなかに、ひっそりと色付く白や桃色の花を持つ木々が、まだ春の余韻を残しているようだ。なんとも表現しがたい五月の色、私は「艶」と表現したいものだ。
 展望を楽しんだ後は、一直線の登りで山上駅舎跡を目指すが、昨夜は午前2時くらいまで呑んでいたので、離脱症状のように汗が出てくる。単調な登りなので嫌になるが、荷が軽いので我慢・我慢である。登るにつれて、駅舎は大きくなってきた。「まもなく、山上駅、まもなく、山上駅―」とアナウンスしてみたが、当時の音はケーブル軌道と駅舎から、響いてくることはなかった。
 山上駅舎跡は、想像していたより明るい雰囲気であり、廃屋という感じを持っていた私は驚いてしまった。建物は、2階建でかなり広い。天井からは、コンクリートの染み出しだろうか、鍾乳洞のような白いものが垂れ下がっていて、水滴も落ちている。これも、なにかの涙だろうか。
 名残惜しく駅舎を眺めた後は、愛宕神社を目指し駆け上がる、これもトレーニング。山門を潜り、境内に入ると八重桜とシャクナゲが花を開いており、楽しませてくれた。境内を抜ける風は冷たく、五月晴れの空を走る雲の動きは早かった。

(文責:時雨山房)

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