黒部五郎岳〜双六岳(山スキー)

メンバー ニシムラ
期日 2005年4月28日夜〜5月1日
地域・山域 富山県・岐阜県 黒部五郎岳・双六岳周辺
ルート 飛越トンネル手前〜北ノ俣岳〜黒部五郎岳〜双六岳〜新穂高温泉
山行形態 山スキー
文責 ニシムラ

報告と感想

4月28日夜〜4月29日

 京都駅を深夜に出発する。今日はみどりの日だから(?)、生まれて初めてグリーン車に乗る。自由席は混んでいるだろうが、グリーン車は余裕で快眠。富山駅で下車。空を見ると曇っている、晴れるはずなんだけど。富山から奥飛騨温泉口に着く。ここからタクシー、車内で知り合った二人連れの方に便乗させて頂くことになりラッキーである。二人のうち一人はオートルートの後、剱岳周遊ということだった。私と一緒だー。と驚く。その方が行くルートの方が、私よりもレベルが高そうだが同じようなことを考える奇特な人が他にもいたんだと何だか笑ってしまう。さて問題は、車でトンネルまで行けるのだろうかということだ。タクシーの運転手さんは「今年はまだ行ったこと無いけど無理だと思いますよ。」とのことだった。案の定、トンネルのかなり手前で車は進めなくなる。仕方なく下車して、まもなく雨が降ってくる。歓迎のシャワー?天気予報のうそつき。初日から先が思いやられる。準備にもたつくうちにおふたりさんは先に出発してしまう。9時半ごろ出発、まもなく追い抜く、初めはスキーを担ぐがまもなくシール登行。なかなかトンネルの有りそうな地点は見えない。1時間あまりでようやく飛越トンネルに着く。雨はすこしやむ。ここから夏道はトンネルの左を回り込んで行くのだが、スキーのトレースは右の尾根に取付く最短ルートを取っていた。やや急な上りで尾根に取付いて後は緩いアップダウンが続く。かなり人が入っているようで幾多のトレースがばっちりついている。天気は降ったり止んだりで、遂には降りっぱなしになる。うーんこんなはずじゃといった感じである。トレースを付けているうちにかなりアップダウンが少ないことに気づく。本来夏道はピークをいくつか通るのでもっとアップダウンが有るはずだ。非常によく道を知った人が付けたトレースらしく気が付けば北ノ俣避難小屋の小屋の真裏に来ていた。やっと雨から逃れられるー。到着時間は3時10分くらいだった。今日、本当は稜線でツェルト泊の予定だったのだが、雨なので日和って避難小屋泊りとする。小屋の定員は10人なので泊まれるかどうか不安だったが先客は4人のみで、後からも4人しか来なくて余裕だった。ここの小屋はいつ来ても快適だ。同宿の人にいろいろ山スキーの話を聞けて面白かった。また話では明日は晴れるとのこと。

4月30日

 今日の行程は長いので気合を入れて4時起き、6時出発である。雪面はカリカリに凍っている。初っ端からクトーを付ける。予報通りの晴天で紺碧の空の向こうに真っ白な白山が浮かんでいる。真っ白な乗鞍、黒部五郎、笠ヶ岳の山々も青空に映えている。クトーって以外と氷に刺さらないので、トラバースなどでは結構やらしいところもあったが何とか通過する。500m余りの登りだが意外とすんなり登ってしまう。そうして7時半ごろに稜線にでる。青い空の下、眼下にに真っ白な黒部源流、遠くに槍ヶ岳、まえに薬師岳がどんと構えている。周り全てが青と白の世界だ。つくづく今回来て良かったなーと思った。長い休憩で景色を満喫、ここぞとばかり写真を取りまくる。本来のルートよりやや北寄りに登ってきたので、北ノ俣岳に登り返す。8時くらい。やはりここも景色がよくて…。大満足。ここからは斜滑降で下る。いよいよ、スキーの本領発揮である。中の俣乗越まであっという間。快調、スキーってやっぱ速い。途中、赤木沢も見えたが、雪に埋もれて夏とは全く違った表情を見せていた。シールを付けるのが面倒なので少しスキーを担いで登ってからやや無理気味に滑る。滑るのも限界が来て、ここで休憩する。8時半ごろ。ここからは黒部五郎岳の登りである。300m余りの登りだが、なかなか急な登りで暑い、しんどい、あえぎながら肩に着く。10時ごろ。いよいよ今回の目玉の黒部五郎のカールが眼下にある。ここからまっすぐ降りるのはちょっと…。途中から一緒だったおじさんと少し北に行った当たりを指して「滑り降りるならあそこからしかないですよね。」とうなずきあう。山ヤとしては、やはり山頂を踏んでおかなければという事で空身で山頂に登る。10時20分ごろに山頂着。またまた風景を楽しんだ後スキーでもどる。意外なことに山頂は今日一番乗りだったようだ。肩に戻る。おじさんは先に出発していて姿が見えなかった。いよいよ滑降。やっぱ結構急でした。華麗にというわけには行かず、荷物も重いし、何とか滑りきる。後は小屋までカールの底を快適に滑降。振り替えれば先行者の華麗なシュプールと私のいまいちなシュプールがカールの壁に刻まれていた。10時45分ごろ黒部五郎小屋で休憩。避難小屋を見に行ったりのんびりと過ごす。まだ行程の半分しか来ていない。気合を入れ直して、11時20分ごろ出発。ここからしばらくは急登、日差しにガサガサになりくずれまくる雪を苦労しながら登っていく。強烈な日差しが照り付けてとにかく暑い。ようやく尾根に出て、あとは比較的緩い登りが続く。雲の平、それを囲む山々を見ながら進む。とにかく暑い。「まるで夏だな。」とおもいながらようやく2時ごろ三又蓮華岳の分岐に着く。ここから三又蓮華岳山頂に向かう。何度かここは来ているけれど山頂をきちんと踏むのは今回が始めてかもしれなかった。絶好の晴天の中、槍をバックに写真を撮った。ここってまさに北アルプスの中心的な場所にあるなと実感する。ここからは、かなりトレースが多い。軽いアップダウンを繰り返し双六岳に3時20分ごろ着く。ここの展望も良くて…。明日の滑る予定の双六谷を観察しておく。なかなか滑りやすそうな斜面だ。双六岳の稜線は土が露出しているところも有り、側面を滑る。なかなか痛快な斜面ですぐに双六小屋に着く。時間は3時半ごろだった。今日は充実した一日だったなーと思う。テント場にザックを置き、ツェルト張るのは後として、飲み物を買いに走る。暑い→ビールということを無意識に思っていたのか、思わず買ったビールをその場で飲んでしまう。もうその場で勝負は付いてしまっていたのかもしれない。どうしようか迷った挙げ句、ツェルト泊は却下。小屋に泊まることにしてしまう。今日もまた日和ってしまった。
小屋はおおにぎわいであった。

5月1日

 今日は夜からは天気が崩れるということだったが天気はまずまずである。あまり早く出発しても谷の雪の状態が心配なので7時半と遅い目の出発。双六岳への登りはいろんな人がいろんな方向から取付いていた。8時15分頃山頂につく。装備を整えて双六谷を滑降する。見た目通りの滑りやすい斜面で楽しい。下の方は少し細くなっていたが、10分ほどであっという間にそこまで行ってしまう。ここからは一部川が出ていたががたいしたことはない。トラバース気味に滑り込んで登り返し付近に付く。ガイドではスキーを担いで登るとのことだったがシール登行できるのではと思ったのでシールで行ってしまう。なかなかしんどい登りだったが9時45分ごろオオノマ乗越につく。ここからは槍を真正面に見ながらの滑降である。雪の状態はいまいちだったがまだ続くーのと思うほどの長い斜面は大満足であった。下の方はデブリだらけでピョンピョン跳ねながら11時ごろ左又林道へとたどり着く。登り返しも有ったものの雪が多いお陰でどんどんスキーで進み、ワサビ平どころか穴毛谷の正面まで行けた。お陰でスキーを担ぐのもわずかで済んで12時10分に新穂高温泉に着いた。非常に楽しい山行でした。念願の黒部五郎カールは滑れたし、他も色々滑れたし、天候に大体恵まれて最高の景色をお腹いっぱい見れたし、本当に来てよかったなーと思いました。新穂高の公衆浴場に入ってから富山へと向かう。新穂高のあたりは春の感じで桜が咲き、ふきのとうが出ていた。道端で桶いっぱいのぜんまいを水にさらしているおばちゃんが印象的だった。春だなと思った。

4月30日

5月1日


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