京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | CL Hiro、SL Kimura、Yamamoto |
---|---|
期日 | 2005年5月27日夜〜5月29日 |
地域・山域 | 富山県 立山 |
ルート | 室堂〜剱沢テント場〜別山〜雄山〜一ノ越〜室堂 | 山行形態 | 残雪期登山 |
5/28晩:炊き込み御飯・中華具だくさんスープ・柴漬け
5/29朝:餅入り雑炊、本干し大根漬けもの
積雪期装備一式、幕営用具一式、アイゼン、ピッケル 他
食料+交通費 14,765円/一人
私にとって立山は初めて登った3000mの山である。5年程前の秋のこと、山のことも知らずに風呂敷包みをぶら下げて登ったところである。快晴に恵まれ、遠く富士山もみえた。
今回は久しぶりに木村さん、お初で山本さんと雪山をご一緒させていただく。なんともにぎやかでたのしい山行になった。
2週間ほど前に現地へ問い合わせて確認したところ、稜線はすでに雪はほとんどない、との情報だった。が、出発4日前のMTがあった日に降雪があった。そして当日、その後も天候は回復せず積もった雪はほとんどそのまま残ってる状態、とのことだった。天候は曇、果たして剱は拝めるのだろうか。
立山駅駐車場で仮眠から覚めるとスッキリ青空。ひとりでは心配だったので、MTで木村さんと時刻表を確認したはずなのに始発を1時間くらい間違えたようだ。慌てて身支度し、ケーブルに乗込む。
室堂で積雪6m、玉殿湧水は雪の下。「水源は同じですから…」ということでトイレで汲む。周りの景色に気をとられ室堂平を彷徨し、思いがけないウォーミングアップ。素晴らしい快晴で風もほとんどない。
雷鳥沢からスキーヤーに混じって尾根通しで剱御前へ向かう、おもったほどハイマツは出ていなかった。大走りルートを眺めてみるが、下の方にやや雪庇が出ているものの下りれそうだった。一ノ越の向こうに槍が見える!小屋手前で10mほどのプチ雪壁、5mほどのプチリッジを越え、残りをトラバースした。別山でテントを張ろうかとも考えたが、ピークハントにゆく人もまだありそうだし、徐々に雲が増えてきて風も懸念されたので剱沢に下ることにする。
キモチ好さそうにスキーはシュプールを描いてゆく。あぁー、滑れるようになりたい!すれ違うスキーのオジサマと言葉を交わしながら剱沢小屋に着いた。でっかい剱を眼前に見上げるステキなテン場だった。今宵は我々が1張りと早稲田大のパーティが2張りだけ。彼らはザイルワークの練習をしているようだった。ダウンしている木村さんには申し訳ないが、贅沢にも剱を借景に夕餉をいただく。キゲン好く山本さんとおしゃべりしていたが、知らぬ間にじりじり焼けていたようだった。特に首がヒリヒリ真っ赤になってしまった。雲は多かったが、晴れ間も射して明日もまずまずかなぁ、とおもった。
翌朝、早稲田Pは03:30頃、剱に向かって出発した様子。
昨日ほどではないが、青空の見えるよい天気に恵まれた。後立山とおもわれる山並みも望めたがなんという山かさっぱりわからない。発つ前に大塚さんに黙祷を捧げ、ゆっくりと剱御前へ登り返す。雪は締まって、アイゼンが利いて歩きやすい。小屋から一登りするまで様子見にアイゼンでいったがはずすことにした。ここからはほとんど夏道でゆけそうだ。
別山のピークからは北アをぐるりと見渡せたが、雲がかなり湧いてきて峰々をどんどん隠していった。なんて名の山だろう…周りには誰もいない、云いたい放題、好き勝手に名前をつけていった。雷鳥夫婦も散歩しにきていた。わぁわぁ騒ぐ我々にも知らん顔、オカゲでステキな写真が撮れた。この先、雷鳥といたるところで出会う。
空は次第に曇空、先を急ぐことにする。真砂岳周辺はすっかり夏道、ピークはカットした。富士ノ折立へも夏道でゆけた。上部は岩場が増えてくる。イマイチどれがピークかわからないまま前進、ここからは再び雪上を歩く。黒部側の雪庇に注意しながらささやかなアップダウンを繰り返すと大汝休憩所がみえてきた。大汝のピークを越えたところで、念を入れてアイゼンを履く。雄山への登り返しが気になっていたためだが、雪もほとんどついておらず浮石に注意しながら登っていく。
ちょうど神社で手を合わせていたオジサマに驚いていただいてメデタシ、雄山に到着。なんと昨日、剱沢でお話したスキーのオジサマだった。お互いに写真を撮って一ノ越へ下りた。小屋の陰で一服して室堂へ戻る。スキーを眺めながら雪の上をぶらりぶらりとハイキング気分。みくりが池温泉で汗を流した(600円。石鹸あり、ドライヤーなし)。
バスターミナルは人で溢れていた。小奇麗な格好の観光客にまみれて、山姥(一部予備軍)もにぎやかに立山を後にした。
雪山初心者でもたのしめる好いルートだった。時計回り(別山→雄山)でも反時計回り(雄山→別山)でも技術的に差はない、ということだったが剱御前小屋手前や雄山の登りを考えると今回の時計回りの方が安全なようにおもえる。
条件が悪ければ、別山、雄山、大汝の各ピークハント。最悪、雷鳥沢で温泉でまったぁ〜り♪ 良ければ浄土山へ足を延ばすということも可能。
050602
室堂へケーブルとバスを乗り継いで入る。
途中で写真でしか知らなかった雪の通路を通ることができた。
室堂バスターミナルを出発し、雷鳥沢から登りに入る。
雷鳥沢の登りはかなりの急登だ。雪はたっぷりあるが、ゆるくなっていて、気を抜くとずるずる崩壊する。できるだけ先の人の作ってくれた階段にキックステップで足を乗せて歩くが、歩幅が大きくてしんどい。特に最後の一ピッチは苦しかった。ボーダーもスキーヤーも道具を担いで登っていく。
やっと剣御前小屋に着く。先に到着した山本さんが、右手の、どう地図で見ても方角がおかしい尾根を剣だと主張し始める。かなり大声でしゃべっていたので周りの人の耳にはしっかり届いていたであろう。やがて少し右に移動するとなんと左手に隠れていた剣岳がその雄姿を現したではないか!
山本さんはこのときから詐欺師を自称し始める。たいしたものだ。
つぎに廣澤さんにテンバの剣沢を訊く。あそこと指差された方角を見ると、かなりの距離を下った場所だ。また明日ここまで登り返すと聞いて、ツェルトをかぶってここでビバーグしようかと考えてしまった。
あきらめて二人に続いて下っていくと、景色もどんどん変化し、剣を一段と下から見上げる形になる。剣沢の名のとおり、周りを、剣をはじめとした尾根に囲まれ、守られている状態で、風も無い。空は真っ青。山は、剣岳は岩肌が黒くまだらにあらわになっているが、他は白い。絵に描いたようだ。無理やり(?)つれてこられて良かったと思う。リーダーも大変だ。
とりあえずテントを張る。このあたりから私の体調がおかしくなる。いつもの頭痛と吐き気だ。3000m近くに来ると、いつも一日目はこうなってしまう。申し訳ない。食料係としては失格だが,すべてを二人に丸投げしてテントのなかでころがってしまった。しばらくして少しは元気になったが、結局夜も朝も食事を採らないで、ひたすら水分のみ。
二日目なんとか回復して、テントをたたんで出発。相変わらず登りではブレーキをかけて二人に迷惑をかけながらひたすら歩き続ける。別山では私だけザックをおろしてピストン。廣澤さんは気を使いながらしっかり先導してくれる。
あちらこちらで雷鳥に出会う。見事に保護色になっていて、自然の不思議と偉大さを考えさせられる。
次第に雲が出てくる。西のほうの雲は灰色で嫌な感じだ。アップダウンを繰り返す。真砂岳、富士の折立、雪や土の夏道を歩くが、上の方は岩場が結構ある。特に最後の雄山は岩場を越えようとするところで上から年配のスキーヤー二人に驚かれてしまった。彼らは反対側の一の越から雄山をピストンして、また一の越しをスキーで下るのだという。
一の越しまでガレ場を下っていき、大事に担いできたビールで祝杯を挙げていると、また後から降りてきた二人とおしゃべり。詐欺師の山本さんにかかれば誰でも口が軽くなる。ネパールの話で盛り上がり、年末から三日までキナバルへ行く話しを聞く。参加オーケーらしい。50万くらいでキリマンジャロも行くルートがあるらしい。山本さんが名刺をゲットしているので興味のある方は彼女まで。
いったんバスターミナルに荷物を置いて、みくりが池温泉に入る。
帰りのバスでは、荷物10kg以上は300円かかる。一つくらい軽くして車内にも持ち込もうか、という廣澤さんと私をよそに、「三つとも10kg以内」と言い切った山本さんはエライ!詐欺師の面目躍如だ。彼女でなくてはこのような申告は却下されていたことであろう。
立山は登ってからの縦走も、降りてからの山々の眺めも素晴らしいものであった。さまざまな景色を目に焼き付けてまた宝物が増えた。楽しい相棒二人にもありがとう。笑いの絶えない山行でした。またお花畑にも来てみたい。
1日目快晴
これ以上無い展望にただただ感動。テント場では剣を目の前にゆっくりティタイム、なんと贅沢な一杯か。誘ってくれたメンバーに感謝。
2日目晴後曇り
室堂が箱庭のようです。それにしてもスキーヤーの多い事、好き好きにシュプールを描いて気持ち良さそうです。こんな所で滑って見たい、いつの日か。
女3人好きなだけ、しゃべり、笑い、はしゃいだ3日間でした。広澤さん、車の運転お疲れさまでした。おしゃべりのお相手ごくろうさま。ありがとうございます。木村さん おいしい食事の献立、ありがとうございます。