京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | iku(単独) |
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期日 | 2005年7月7日(木) |
地域・山域 | 奈良県 大峰山系 |
山行形態 | 無雪期ハイキング |
地形図 | 山と高原地図 56 大峰山脈 |
文責 | iku |
自宅発5:00→杉の湯駅の道7:00〜7:15→行者環トンネル西口駐車場8:05〜5:20→奥駈道出合い9:10〜9:20→弁天の森9:40→聖宝寺あと10:00〜10:15→休憩(15分)弥山小屋11:10国見の覗き11:35→オオヤマレンゲ観賞・八経ヶ岳12:20〜12:40→弥山小屋13:15→弥山頂上13:20→弥山小屋13:35→ショウキラン観賞14:50〜15:05・奥駈道出合い15:10→行者環トンネル西口駐車場15:50→帰宅20:00
梅雨の季節。毎日うっとうしい。この季節はいつも山からは遠ざかってしまう。なにもわざわざ雨の中は歩きたくない。合間を見ては、ホシダに通うぐらいが関の山だ。しかし弥山から八経ヶ岳にいく途中の奥駈道に、この季節にしか咲かないオオヤマレンゲという花が、フェンスで鹿の害から保護されているのを1998年5月に行ったときに知った。そのときは、人が柵の中に入ってはいけないものと思い、わざわざ柵の外から八経ヶ岳に登った記憶がある。そんなに大切に扱われているオオヤマレンゲとは、いったいどんな花なのか以来気になっていた。もうそれから、7年の歳月が過ぎて、ほとんど忘れかけていた。
しかし、ここ数年前から大峰の山に日帰りで行くことがあり、ガイドブックや地図を見ることが多くなってきた。最近熊野古道が世界遺産に登録されたりと、なにかと大峰も話題に出ることも多くなり、一度奥駈道を通りたいと思うようになった。どうせ行くなら、オオヤマレンゲも見てみたいと。7月のはじめに、大普賢岳から前鬼へ抜ける計画を立てたがやはり雨でお流れ。また今年もいけそうにないなぁーと思っていたら、6日の水曜日はホシダにいったら晴れてきてクライミングをしていても落ちつかない。こんなチャンスを逃す手はない。ホシダの常連から、この時期はショウキランという花も見られると聞いたので、ネットで検索してどんな花かも下調べもした。
次の7日は4時半に起きて、車に乗り込み弥山に向かった。朝は車も空いていて2時間ほどで杉の湯道の駅に着いた。ここからまだ50分ほどかかり、行者環トンネル西口に着いた。こんな日なのに車は5-6台すでに止まっていて、まだあとからも数台入ってきた。団体のツアーはなく、ほとんどが単独か2人ぐらいのパーティーなので静かな登りとなった。話すと私と同じように、天気の回復兆しでいてもたってもいられなくて来たという。登山道にはいると少し行くと沢に可愛い橋が架かっている。そこを過ぎたら急登が1時間ほど続く。シャクナゲの木が多い。まだ緑色が淡く、黄緑色で美しい。登り切ったところが、奥駈道との出合いである。右に取る。しばらくは多少のアップダウンはあるものの、楽な道だ。弁天の森と道標が出ている。苔むした岩が森の深さを物語っているようだ。みどりが優しい。しばらく行くと、右手に修験者の銅像がある。この人は誰だかわからない。ここは聖宝寺跡である。しばらく、休憩する。ここで出会った人が植物に詳しくいろいろ教えてくれるが、その人は腰痛のために下山していった。ここからはまた急登で、最後は木の階段が弥山小屋まで続いている。
ここのベンチには誰もいない。しばらく休んで、国見の覗きを覗きにいくがあいにくガスが掛かっていて展望はあまりない。小屋に飲み物を買いに行くと玄関前で宴会の最中の男性3名。6時頃に登りだし、尾根道はしんどいから橋のところから沢沿いの道を登ってきたという。沢登りではないらしい。地図に載っていないいろんな道がけっこうあるようだ。
奥駈道を八経ヶ岳に向かう。下りきったところにネットのフェンスに囲まれたところがあり、出入り口がついている。これが鹿よけだ。七年前に来たときには一カ所だったが、今回見たら、3カ所に増えていた。入るとオオヤマレンゲが迎えてくれた。みんな下を向いて咲いている。下からのぞき込んで写真を撮る。純白の花びらは、花嫁の綿帽子のよう。花嫁がまるで恥じらってうつむいているようにも見える。中には子房のようなものがある。若いと綺麗なピンク色の模様があるが、色が茶色ぽくなっているのは、咲いてからだいぶ経っているようだ。蕾は蓮の蕾と似ている。可憐な乙女のような花とか別名は天女花と説明(エアリアマップ)されていたが、くるときに見た夏椿と比べるとやはり納得できる。ネットのフェンスを出ると、少し登ってすぐに八経ヶ岳の頂上に出る。少し視界が出てきて、右手に七面山・釈迦岳が見える。反対の左には、一瞬だったが大普賢岳が見えた。八経ヶ岳は別名剣岳と仏経ヶ岳とも言うらしい。標高1914.9m。ここで、昼食を取り戻る。帰り道で、またオオヤマレンゲになかなか別れが告げられず、ぐずぐずしてしまう。弥山小屋に着くと女性に男性一名の集団がいて男性が話しかけてきた。下山の時に分かったのだが、大峰を中心の知り合いのガイドさんの山行だった。世間は狭いと思う。特に、山関係は同じような行動パターンをするのでよく知り合いに会う。
せっかく来たから、弥山小屋から5分ほど行ったところの頂上に行き、しばらくガイドをされているUさんの奥様と世間話をして下山する。帰りはかならずやショウキランを見つけなくてはならないという使命を自分に課しての下山である。
聞いていた辺りからは少し森の奥に入って探してみたりしたが、なかなか見つからない。先に下山していた男性2名に追いつく。行きも抜き抜かれつしていたパーティだ。あまりに見つからないので、花の説明をして見つかったら教えてください、とお願いする。弁天の森を過ぎて、もう出合いに近く半ばあきらめた頃、前を歩いていたこの男性ひとりが落ち葉の中を示して「あれはなんや?」目を向けると、まさしく二株のショウキランだった。半ばあきらめていただけに、感激ひとしおだった。淡いピンクのこの花びらは、落ち葉の中に埋没してしまっていて目立たない。葉っぱがないのでよけいにそうだ。高さは15センチ前後。オオヤマレンゲもそうだが虫が集まってきている。写真をとったあと、別れが惜しくてひとりでしばらく眺めていた。よくよく見ると、さすがに欄。気品に満ちている。もっと上にも咲いていたそうだが、私は見つけることが出来なかった。最後の最後に見られて、私の心も満たされて大満足だった。
他にも、いろんな花に出会えた。そのなかでも沢山あったバイケイソウの花は印象的だった。この花は高山で見かけるコバイケイソウに感じはよく似ているが、よく見るとまったく花が違う。白に緑という花には珍しい色合いで梅の花ような形をした。直径1.5センチぐらいの花を咲かせている。最初見たときはコバイケイソウだと思い込んでたので、変だなぁーと花を見ながら思っていた。よくよく見ると、この花もとても可憐である。そういえば、聖宝寺跡で腰痛だとかで下山してきたお花に詳しい人が「オオヤマレンゲは鹿が食べてしまい絶滅の危機だが、バイケイソウは毒があるので鹿が食べないのでどんどん繁殖していく」と話されていたのを思い出す。
まだまだ知らない花は沢山ある。それらは少しでも分かって身近に思えるのも、山歩きの楽しみのひとつだろう。
今回の山歩きは収穫も多く、思い切って来てよかった。山に行けてほんとうに幸せだと思う。次の出会いを思うと、またわくわくしてくる。出会いはお花だけではない、人も美しい風景も私にとっては素敵な出会いである。