北アルプス 扇沢〜船窪岳〜野口五郎岳〜折立(無雪期縦走)

メンバー ニシムラ
期日 2005年7月15日夜〜7月19日(金〜火)
地域・山域 北アルプス 船窪岳・野口五郎岳・水晶岳・薬師岳周辺
山行形態 無雪期縦走

コースタイム

0日目
京都23:00→
1日目
扇沢5:00/5:40→大沢小屋6:50→針ノ木小屋9:00/9:20→蓮華岳10:40→北葛岳12:00/12:20→船窪小屋13:40/14:20→テント場14:40
2日目
テント場5:40→船窪岳6:55/7:15→南沢岳10:10→烏帽子岳11:00/11:15→烏帽子小屋11:30/12:00→野口五郎小屋14:00→野口五郎岳14:30→水晶小屋16:30→岩苔乗越付近17:00
3日目
岩苔乗越付近4:50→水晶岳6:20/6:30→岩苔乗越7:30→雲ノ平山荘9:00→薬師沢小屋10:30/10:45→太郎小屋11:45→テント場12:00/12:25→薬師岳14:00/14:30→テント場15:30
4日目
テント場6:00→太郎小屋6:20→折立8:10→有峰口→富山

報告と感想

日本アルプスが日本海に落ち込む断崖、親不知。ここの登山道入り口の看板には「日本海から犬が岳、朝日岳を経て槍穂連峰へ」と書いてある。いつかは槍穂まで‥と思って幾年。ついに残るところは針ノ木小屋〜水晶小屋までとなっていた。ついでにまだ行ったことのない雲ノ平に寄ってということでプランは決定した。

7月15日

 さわやか信州号で京都駅を出る。八条口はバス待ちの人でごった返していた。

7月16日

扇沢には予定より早くついた。早朝からバスが続々と着き人が集まってくる。天気は曇り。アルペンルートに行く人が多いようだ。針ノ木雪渓方面は人が少ない。
快調にすすんで大沢小屋で軽アイゼンを借りる。ちょうど朝飯どきで見事な白髭を生やした小屋の主人がフランスパンにバターを付けて食べていたのが印象的だった。まもなく雪渓に出る。涼しくて心地よい。今年は雪が多いとかで渡渉の必要は無かった。雪渓の登りはただ登るだけで、見えているところになかなか着かないのでかなりしんどい。天気も崩れてきて雨が降ったりやんだり、ようやく針ノ木小屋につく。
天気は本格的に悪くなり、風とガス、雨で寒々としてくる。風雨に吹かれ、ガスでなにも見えない中、蓮華岳を通過。しばらく花が多いところが続き目を楽しませる。岩っぽくなってきたと思ったら蓮華の大下り、急坂を延々と下ってコルにつく。天気が回復してくると針ノ木岳がよく見える。針ノ木岳は土手っ腹にトンネルが通っているものの岩々してなかなか立派な山だ。北葛岳へ登り返し、また下って登り返し船窪小屋につく。
早く着いてしまったのでのんびりする。こぢんまりとしたなかなかいい小屋だ。小屋でお茶をいただく。ついでにビールを。ベンチでくつろいでいると遙か遠くの稜線に鬼瓦のような岩の固まりがドカンと乗っているのが見える。あれが烏帽子岳らしい。さんざんのんびりしたあげくテント場へ向かう、そして水場へ。船窪の水場はいい水がとれるがロープを使わないと下りられないとの話だったがその通りで水場の下の方はものすごく崩壊した谷が口を開けていた。水量は斜面が少し崩れた影響か少なくてやや残念だった。

7月17日

 今日は長丁場、早めの出発をと思いながらテント場を出たのは最後だった。奈落の底まで崩壊した谷を真下に望みながら進む。噂ほどではないがやはりロープあり梯子ありのそこそこ悪い道を通り、船窪山頂につく。雲が少し晴れて、高瀬ダムのダム湖の奥に槍ヶ岳が一瞬ぱっと見えてちょっと感動する。登山道はアップダウンを繰り返すのでなかなか疲れる。天気はしだいに良くなって、右手に黒部川、雪渓をいっぱい残した剱、立山の山々が、左に高瀬川、燕岳が望まれる。縦走気分を満喫、今日もいこうよあの山越えて〜♪的な感じだ。
岩の固まりが近づいてくる。高山植物と池塘の美しい台地を通り抜けて、南側から見ると鬼瓦は三角形の烏帽子になっていた。烏帽子のてっぺん、烏帽子岳山頂に行く。てっぺんの岩からの展望が気持ちよかった。立ち上がるのはさすがに怖いのでまたがったが。烏帽子小屋で休憩。看板があり、「野口五郎小屋は幕営禁止になりました。」えっ。今日はどこに泊まろうか。とりあえず水晶まで行くことにする。
ここから登山道はいままでとうってかわってものすごく快適。日差しを遮るものが何もないので暑くて仕方ないが、展望も最高で夏山に来たという感じを満喫する。野口五郎小屋で確認するがやはり幕営は禁止とのこと。ここからはアップダウンがある岩気味の道になる。さすがに疲れてきてなんとか水晶小屋につく。
さてどうしようか。途中で一緒だったおじさんによると黒部川最源流の岩苔乗越あたりにいいテント場があるとのこと、そこまで行こう。なるほどいいテント場があった。指定のテント場に本来行くべきなのだがさすがに疲れたのでここに張ることにする。

7月18日

 黒部源流の朝は美しかった。雪渓の向こうの三又蓮華岳はうっすらと朝焼けの色に染まり、蒼天をバックにして、ヴェールのような薄い雲が黒部五郎岳の山頂を通り過ぎていった。来た道を引き返して水晶岳山頂を踏みに行く。途中槍が岳を望み、風の強い山山頂からは流れるガスの間に、今まで来た山々、これから行く雲ノ平が眼下に、これから行く(今日中に行けるだろうか)薬師岳が見えた。
引き返して一路雲ノ平へ。木道が続きどこも展望が良く、アルプスの中にあって独特な雰囲気だった。なかでも祖母岳は広い青空の下、花、池塘、360度の山々の展望、寝やすいベンチと、静寂。時間があれば30分でも1時間でも昼寝したい感じだったが、先を急がなければいけない。木道が切れ、薬師沢からへの下りに入る、とにかく岩が滑りやすい急な下りでしかも長いので疲れる。下りきったところが薬師沢小屋。照りつける太陽に黒部川の水がまぶしかった。太郎平への登りは長かったが、思ったより急登でなかったので順調に進む。高山植物もきれいだ。
お昼に太郎平に着いた。テントを張って、一服。結構疲れてはいるものの薬師岳に行く体力はありそうだ。積雪期とは若干ルートは違うようだがとても快適な道で順調に高度を稼ぐ。展望もすばらしく、風が心地よい。山頂到着。本当に行けるのかと思っていたのでよくやった。満足、満足。朝に登った水晶岳を望みつつ、一寝入り。寝ている間にガスが出てきてやや冷えてきたので下山する。順調に下ってテント場につく。いい天気だったので小屋で買ったビールはぬるくなっていた。やむを得ない、小屋にもう一本買いに行く。

7月19日

 ガスが立ちこめて真っ白。昨日、山頂に行っておいて良かったーと思う。6時に出発する。9時のバスに乗れればいいかと思っていると、道もいいので非常に快適なペース。8時10分のバスに乗れるのではと思い。足を速める。8時ちょっと過ぎに到着。史上最速の下山だろう。
帰りのバスでは、道路で遊んでいた小熊がバスに驚いて逃げて行くのが見られて面白かった。富山駅に10頃に到着。風呂に入らなくては。ところが観音湯は1時まで開かない。24時間営業のサウナは廃業。思わぬ足止めを食らう。あとから気がついたが、この時間では宇奈月温泉に行くのが正解だったのだろう。多分な時間つぶしをして風呂、昼食、帰る。
あとから思えばこれで日本海から槍穂までつながったという感動は逃したなと思う。水晶小屋ではどこに泊まるかで頭が一杯だったし。意外とそんなもんかなと思った。

 

針ノ木雪渓から始まった

 

高瀬ダムから槍が岳

 

あの峰々の向こうから

 

烏帽子岳の空中庭園(と勝手に命名)

 

飛行機雲

 

野口五郎から

 

朝焼けの稜線

 

黒部五郎と朝の雲

 

槍へと続く

 

今日は雲ノ平に


△上に戻る

Copyright (C) 京都雪稜クラブ. All rights reserved.