【夏合宿】奥只見 恋ノ岐川(沢登り)

メンバー CL ハタヤ、SL フクザワ、タケムラ、ヤマモト
期日 2005年8月12日(金)〜16日(火)
地域・山域 新潟県 奥只見
ルート 恋ノ岐橋〜オホコ沢出合〜オホコ沢遡行〜台倉山〜鷹ノ巣
山行形態 沢登り
地形図 平ヶ岳(1:25000図)

コースタイム

8月12日(金)

 21:20 京都駅
 21:40 京都東IC付近(京都東〜小出 有料道路使用)

8月13日(土) 天候:午前は雨、午後は曇り

 4:00 銀山平ドライブイン駐車場で仮眠
 6:00 起床
 7:00 恋ノ岐橋到着、濁流につき13日中の入渓を断念
 8:30-16:00 JR小出駅周辺で時間をつぶす
 18:00 恋ノ岐橋付近
 21:30 就寝(フクザワ:ツエルト、ハタヤ・タケムラ・ヤマモト:車)

8月14日(日) 天候:未明に雨、午前・午後曇り

 5:45 起床
 7:05 恋ノ岐橋 出発
 10:00-10:15 清水沢出合
 14:55 標高1220m付近ビバークポイントにて幕営
 21:30 就寝

8月15日(月) 天候:午前は雨のち曇り、午後は強い雨

 5:00 起床
 6:55 出発
 8:00-8:20 連瀑帯を高巻く
 9:25-10:00 オホコ沢出合
 12:20-12:45 稜線(台倉山西方)
 13:00-13:10 台倉山
 13:50-14:00 下台倉山
 16:00 鷹ノ巣
 16:10 ヒッチハイク成功、ハタヤ、恋ノ岐橋へ
 16:35 ハタヤ、恋ノ岐橋到着
 16:55 ハタヤ、鷹ノ巣でメンバーと合流
 18:00-19:00 銀山平温泉
 20:40-21:30 夕食
 24:10 親不知IC(親不知〜京都東 有料道路使用)

8月16日(火)

 4:32 京都東IC

報告と所感

ハタヤの所感

出発まで

夏合宿は憧れの沢に足を伸ばせるまたとない機会である。自分がリーダーを務めるとすればどのあたりが相応しいだろうか。以前から気になっていた上信越の沢のうち、奥只見エリアの沢なら3年前の夏合宿で歩いたことがあるし、多少なりとも勘はある。手始めに、癒し渓として名高く名前も素敵な恋ノ岐川をトレースしてみることにした。

8月12日(金)

今回のメンバーはベテランのフクザワさん、沢に目がないタケムラさん、気迫溢れるヤマモトさん、のほほんとしたハタヤの4名パーティである。
北陸道〜関越道を快調にとばし小出で下車、奥只見シルバーラインをくぐり抜けた銀山平のドライブイン駐車場で仮眠をとる。ここから恋ノ岐橋まではあと22kmある。

8月13日(土)

間断なく窓を叩きつける雨音に目を覚ます。沢の水が道路から溢れ徒渉もどきの走行を数箇所で強いられる。予感はしていたが、橋から見下ろす恋ノ岐川は泥水が猛り狂っていた。まさに「カフェオレ」(by フクザワさん)の様相。飲み過ぎは身体を壊すもと、この日の入渓は潔く見送ることにする。
しかしどこで時間をつぶそうか。小千谷あたりの道の駅に併設された温泉に入るつもりで一旦JR小出駅に休憩するつもりで立ち寄る。ところが思った以上に居心地がよく待合室のベンチで昼寝をし、駅前の食堂で腹ごしらえなどして日がな一日をつぶしてしまう。折からの雨でJR上越線・只見線は運転を見合わせている。どうやら、天気の一番渋い時期に来てしまったようである。とはいえここまで来て簡単にあきらめるのも勿体ない。もう一度恋ノ岐橋に向かい、入渓できそうになければその時点でもっと易しめの沢に切り替えることとする。(この時点では、巻機山の米子沢、谷川岳の西ゼンのいずれかを考えていた)
16時に小出駅を出発、地元のスーパーで軽く買い出しを済ませて恋ノ岐橋の近くの待避所に車を停める。ハタヤ・タケムラ・ヤマモトは車で、フクザワはツエルトで寝る。車内が蒸せないように窓を少し開けておいたのが運の尽き。蚊の襲来を受け空が白む前に蚊取り線香を点火するまでほとんど眠れなかった。

8月14日(日)

せめて沢に入れますように。
祈るような気持ちで恋ノ岐橋に様子を見に行く。水勢は強そうだが水の濁りは消えている。これなら何とかなりそうだ。支度を調えて左岸から入渓する。平水なら造作なく進めそうなところでも白泡が波立っている。難儀しそうな場所を前にしては徒渉して、必要以上に神経をすり減らさないように進む。ものの本には「難所などない、ただただ癒される渓…」と記されているが、数箇所で泳ぎが入る。昨日の今日でかんたんに水が引くわけではないか。清水沢出合まで4時間をかける。ザイルを出すような場所はないものの、徒渉を重ねる分時間をかけてしまっているようである。出合から先はナメの回廊となる。しばらく雲の合間から日射しを浴びる。ここを歩きに来たんだ。タケムラさんもヤマモトさんもご機嫌のひととき。14時を過ぎて適当なビバークポイントが見つかる。オホコ沢出合までは、あと2時間はかかるだろう。無理をせずにここで幕とする。
夕食の準備が整った頃、岩魚を求めて旅に出ていたフクザワさんが帰ってくる。本日の釣果はなんと5匹。いずれも20cm強はありそうな良形だ。これらはフクザワさんの鮮やかな手さばきのあと、焚火であぶって食すことに。さて焚き火がいっこうに点かずあきらめていたのだが、どうやら生きている木を敷いていたため点かないことがわかった。見事落第。こればかりは場数を踏んで勘をつかむほかないか。
焚火も消える頃、ツエルトに入って快適に眠る。

8月15日(月)

朝方に通り雨が降ったようである。ツエルトの表面がびっしょり濡れている。オホコ沢の出合までのペースでこれからの進路を考えることにする。
朝の沢は冷たい。水は昨日より増えているかもしれない。普段は楽に直登できそうだが水勢が強く高巻きせざるを得ない滝が出てくる。上信越の藪は人影が薄い分濃く、強い。悪態をつきながら藪を漕ぎ沢床に降りる。遡行図にはなかった連瀑帯がいくつも現れ現在地点を特定できなくなってくる。水かさが増えると遡行図はまったくあてにならない。
オホコ沢には2張程度ツエルトを張れそうな幕場があった。ここでこれからの進路を考える。幕営地から2時間以内に着ければ本流に突っ込むつもりだったが、水流が強く徒渉を繰り返し、思わぬ高巻きを強いられ幕営地点から2時間30分をかけてしまっている。このペースだと今日中に源頭に詰めあがるのは厳しく沢中でもう一泊を強いられるだろう。空は相変わらず重いし、この先沢で雨が降り出すと消耗は避けられない。
多少余力のあるなか心苦しいが、支流にエスケープして本日中に下山する道を選ぶ。
オホコ沢は恋ノ岐本流に比べるとスケールは小さくなるがこの日のような状況にあっては徒渉の緊張から解放され安心して沢歩きを楽しめる。心なしかメンバーの表情も緩んでいる。巻き道にはしっかり残置ロープや踏み跡がついているので心配ない。
最後は上信越の強力な藪を漕いで木道に出る。台倉清水の一筋西の支流を上がっていたようだった。沢装備を解いてスニーカーに履き替える。歩き出すとほどなく雨が降り出す。雨足は次第に強まり、レインウェアのフードをかぶらねば辛いほどになってきた。エスケープは賢明な選択だったようだ。展望もなく黙々と、最後は林道を歩いて登山口の鷹ノ巣に出る。さてここから車をデポしている恋ノ岐橋までは奥只見湖沿いに10km以上ある。僕が先行して車を取りに行くほかないかと漠然と考えつつとぼとぼ歩き始めたところ、タケムラさんが車を停めて窓越しに何か話している。なんと、恋ノ岐橋まで乗せてくださるというではないか。薄汚くずぶ濡れで沢臭い我々がヒッチハイクなんて失礼だと最初から思い込んでいたがチャレンジしてみるものである。ここはハタヤが車の回収がてら乗せていただくことに。ごみ袋を座席と足下に敷くくらいの気遣いしかできないが、ありがたく厚意に甘えさせていただく。
「学生さんも使い走りで大変やね」
−−いや、数年前までは学生だったんですけどね。
「なんで、わざわざこんなところまで来てキケンな遊びをやるの?」
−−そうですね、何が楽しくて奥只見くんだりで雨に打たれているのか、僕もわからないんですよ。
拾ってもらった場所から恋ノ岐橋までは12.4kmあった。アップダウンもそれなりにありこんな道を歩いていたら夜中になってしまうところだった。親切が身にしみるひとコマであった。
メンバーと合流した後は、銀山平の奥にある「銀山平温泉 白銀の湯」に行ってみる。ひなびた温泉宿だろうとの予想に反して、山中に忽然と現れたリゾート地の一角を占める真新しい温泉だった。(あとで調べると、2002年にオープンしたとか)入浴には650円要るが十二分に疲れをほぐせた。次回越後エリアに来るときは要チェックである。
長岡に出て簡単な打ち上げ。みそ汁が飲み放題という珍しい回転寿司屋だった。
8号線を親不知まで流して、北陸道に乗れば京都はもうすぐだ。

まとめ

今回初めて合宿のリーダーをさせていただいた。
メンバーのフォロー、幕場での生活技術。配慮と精進が足りないと感じる場面が多かった。フクザワさんには随所で示唆に富むアドバイスをいただき感謝している。最後までメンバーにこまやかな気配りを忘れずにいてこそ、理想のリーダーといえるのだろう。
ヤマモトさん、今回の山行への並々ならぬ意気込みを感じていました。「負けてなるものか」と燃える視線を背後からずっと浴びているようでした。
タケムラさん、食料ご苦労様でした。初日の冷麺と2日目のドライカレーはいつもながら味わわせていただきました。最終日楽に車に戻れたのも、タケムラさんのおかげです。

日程の4日間終始天候には恵まれず、初日は増水で停滞、入渓して2日目で支流にエスケープという、なんとも未練の残る結果に終わってしまった。合宿を目標に山行に取り組んできた方には不完全燃焼の感が残っただろう。
むしろ、パーティに余力のあるうちに早めの判断を下して全員が無事に下山できたことを、もう少し素直に喜んでもよいのかもしれない。

 

13日は濁流、入渓は断念

 

14日、ようやく渓に入れた

 

「ようこそ、恋ノ岐へ」

 

緊張の徒渉

 

予想に反して豪快だ

 

これぞ、癒し渓

 

清水沢出合からしばらくはナメの回廊

 

いつまでも歩いていたい

 

標高1200m付近右岸で幕

今晩は岩魚の塩焼きだ

 

15日、オホコ沢出合

 

オホコ沢は歩きやすい渓だった

 

痩せた稜線を鷹ノ巣に下った

 

ここから恋ノ岐橋まで12km強ある


△上に戻る

Copyright (C) 京都雪稜クラブ. All rights reserved.