京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | ホリウチ、ユアサ、タシロ |
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期日 | 2005年8月21日(日) |
地域・山域 | 滋賀県 鈴鹿山脈 |
山行形態 | 無雪期ハイキング(読図山行) |
文責 | ホリウチ |
雨時々強雨
銚子ヶ口は鈴鹿山脈のほぼ中央を流れる神崎川(愛知川上流)の左岸にあり、県境稜線の鈴鹿縦走路と対峙し、南は鈴鹿第2の高峰、雨乞岳の北続きの稜線上にある。
一般道は杠葉尾の国道422号から登山道が付いているが今回は神崎川左岸の支流であるジュルミチ谷を使い、途中から谷尻谷流域に移り、そのまた支流を利用して山頂に立つというちょっと複雑なルートを登路とし、下山も一般道は使わず、瀬戸峠へと繋がる尾根を利用して下ることにした。
読図が目的なので、一般道は極力利用しないでそれぞれが常に現在位置を確認して体験の中から体で1:25,000地形図の感覚を身につけることが出来るよう要所要所での確認作業に時間を掛けた。
朝8時JR野洲駅に集合し一路鈴鹿山脈を目指す。東近江市永源寺あたりから山稜に黒い雨雲が垂れ込めなんだか先行き不安な天候となる。
中止したい気持ちもよぎったが、山間部に車を走らせ登山口に近づいてしまったので、意を決して登ることにする。登山口に着く前から雨となった。
駐車地でまずはここがどこか位置当てのためのヒントをユアサさん、タシロさんに教え、位置の見い出し方を実際の風景と地図との関連性から紐解いた。やはりみなさん時間が掛かる。実はこの位置で車道が地図に載っていないので、分かり難かった様子である。
位置が分かって9:30出発、まず、小尾根を下り、左から来る旧来の瀬戸峠みちに合流し、神崎川の川辺へ降りる。左岸の道を進み、途中崩壊したところを高巻きしジュルミチ谷手前の沢に降りる。
ジュルミチ谷はもう一本隣の沢で、ここで騙されないようにする。
ジュルミチ谷に入りしばらくで雨足が強くなり皆雨具を着用。これから先が思いやられる。誰が雨男か雨女か?。 少し進み谷が右に回り込んだ地点に滝がある。これは直登できないので左岸台地から回り込み落ち口に出る。さらに進み右に左に少しづつ進路が変わる。この変わり目を中景の景観からとらえるように心がける。さらに雨が降る中薄暗いゴルジュ状の気持ち悪い場所を通過し、下草のほとんど生えていない沢を辿る。
標高740m地点で分岐である。水量は1:1。上流の集水面積がほぼ同等である。さらに標高770m地点では3:1位である。目指す尾根の鞍部へと繋がる支流へは水量が
少ない方の左の支流へと入る。水量比と流域面積などが参考になる。この沢は詰めが稜線に併走気味となっているので、先頭を歩くユアサさんに、地図でよく確認してもらい、やがて頃合いをみて右に斜面を登るとちょうどうまく鞍部に乗った。しばしここで長休憩。
いままで無かった風が吹き、心地いい。
さて、ここから山頂までの後半がスタート。標高差100mを下り、北谷尻谷のだだっ広い台地に着く。沢を渡り右岸の広い広葉樹の平坦地を行く。どこでもテント適地で晴れれば別天地のようだ。ただ1匹マムシがいた。油断禁物。
沢が狭くなり水流に戻り、右に進路が変わってしばらくで、左岸から顕著な沢が合流。
今回天気が悪く、ガスもかかりだし、経過時間からしてこの沢を詰めることにする。
ユアサさんはこの入ろうとしていた沢を地図から読みとった。ユアサさんを先頭に歩くが、
沢が狭そうなのと、薄暗いので明る左岸の急斜面を沢芯より100m程度離れて平行に進む。やがて標高940mほどで水平に巻き沢に入る。雨が強いが沢の傾斜がだんだん無くなり、緩やかで穏やかな渓相になる。山頂の南東地点で沢が90度曲がり西に変わる。
ここで左岸を見ると山頂からの稜線が間近である。尾根に乗るかこのまま沢通しに進むか協議し、沢を最後まで詰めることにする。源頭はだだっ広い台地で右寄りに進み鞍部に達する。ここで水舟池方面からの登山道に出合い、これを東に歩き山頂到着。
山頂は幸いガスが掛かっておらず、イブネ方面や、今登ってきた足下の沢の位置が見える。少し移動し銚子ヶ口東峰に立つジュルミチ谷流域や先程越えてきた鞍部もよく見える。
ユアサさん、タシロさんにそれらがどこか尋ねたがなかなか答えが見いだせない。やはり少し難しいかな。距離感や高度差の感覚はやはり繰り返し地図を使う中で覚えないと困難のようだ。
さて実はこの山行でここからの下りが一番の問題である。
今までは特に難しい場所は無かったが、事前に地図を見て感じ取るのに分かり難い図形である。ここからホリウチ先頭で下山にかかる。まず、急斜面の下降をこなし、小ピークを越えた地点から鬱そうとした一様の尾根とは判断がつきにくい広い急斜面を下る。この斜面がくせ者でやがて3つの支尾根になっていく。どれも同様の傾斜、植生で一番右手の尾根が標高850m地点で緩くなり北、東どちらのの尾根へも移れそうである。真ん中は同標高あたりで西へと繋がる。左手の尾根は中央と大差ないがよく見ると西側の谷へと下っている。
中央の尾根へ乗るべく、斜面を下るが樹林で見通せない。遠景もガスで霞がかかる。
やがて谷頭の最近崩壊したての場所に出る。ここで迷ったが右へと下った。標高差100m弱下り、下る途中で一番右手の尾根にいると分かった。しかしこのまま下ると標高850m地点でどちらへの進めそうなので降りることにした。
しかし最近崩壊した谷は土壁で囲まれ、また進む尾根は次第に岩混じり、シャクナゲの薮混じりで下降困難となった。標高990m付近まで下ったことは解っているが地形図からは表現されないちょっとした岩場は無理して越えない判断をし、崩壊の頭まで戻ることにした。標高差40m程度と解っているが、初心者もいるので戻る。2人はなんだか不安そうで読図どころではなさそうだ。今日中に下山で出来るか真剣に思っているみたい。
さて、無事別の尾根を降りたが今度は中央ではなく一番左手を降りた。わざとである。
なので中央の尾根との間の小沢を渡ることになる。2人はなぜ渡る必要があるか解らないでいる様子。先程の進路変更と、残された時間的余裕と、雨とガスと薄暗い樹林の中で寒さも加わり滅入り気味の様子である。
ともあれ無事目的の尾根に乗り、薮混じりの薄い踏み跡も出て来ていくつか小ピークを越え、瀬戸峠へ。ここからわずか10分あまりで林道に降り立ち今回の山行を終えた。
帰宅後ヒルの歓迎を受けていた方もいた。
今回天候が最悪で悪条件での読図でしたので、美しい景色も見られず、寒く、雨で全身が濡れて気持ち悪い嫌な山行になりました。しかし、いいように解釈すれば困難な条件の中でも冷静に進行方向と所要時間の計算を建て、また、進路の修正を柔軟に判断する訓練を積めば、天候に恵まれたときはさらに楽しく安全な登山が出来るようになることと思います。また面白いルートを考える楽しみも増えます。
以上のように第1回読図山行は雨の中終了しました。