北アルプス 白馬岳〜欅平(積雪期登山)

メンバー ニシムラ
期日 2005年11月4日(金)夜〜11月6日(日)
地域・山域 長野県 北アルプス
ルート 猿倉〜白馬〜欅平
山行形態 積雪期登山

コースタイム

11月5日

京都0:02→糸魚川5:30/6:30→白馬8:10→猿倉8:30→白馬尻9:00→避難小屋12:00→白馬小屋12:30→白馬山頂13:10→分岐14:00→清水岳鞍部16:30

11月6日

清水岳鞍部6:00→不帰小屋9:30→林道出合12:00→祖母谷温泉12:30→欅平13:30→宇奈月15:30→富山17:00

感想・報告

後立山を越えて黒部の谷へ。通る人もまばらで長いこの道は以前から行きたいところだった。今年は時期を逸したまま10月は終わってしまい、11月となった。11月となると当然雪山を考えなくては行けないが、日程は限られているので本格的な雪山となると手におえない。この機会を逃せば時期的に来年だろう。成否は天気と積雪状態次第ということでネットや天気予報とにらめっこの日々が続いた。幸い今年も今のところ暖冬でありそれほどの積雪は考えられない。しかし、天気が悪いという予想だったのでほぼ諦めていたら、直前になって低気圧の歩みが遅くなり天気が持つと分かった。よっしゃ、行ける。
京都から「きたぐに」で糸魚川に着く。まだ真っ暗。夜が明けるのもすっかり遅くなったものだ。大糸線で白馬へ向かう。ふと目を覚ますとと車窓から見える岸壁が鮮やかな紅葉に染まって美しい。だがガスが立ち込めていて山は全く見えない。今回はやはり駄目なのか。タクシーの運転手さんに聞くと天気はいいので数百メートルも走れば山が見えるとのことだった。果たして少し走ると、上部に雪を戴いた白馬が、まだ雪のない八方尾根が青空のもとに見えた。今日は最高の天気のようだ。
紅葉真っ盛りの道を登り猿倉につく。小屋も締まり寂しい感じ。山菜取り?の団体を抜くと他に人も無い林道をそびえる山々を望みつつ快調にすすむ。白馬尻を過ぎても雪はない。やや登って雪渓に少し入るところがあるようなので登山靴に履き替える。先行のおじさんが一人だけ見えてくる。今日は二人だけの大雪渓のようだ。程なく追い抜く。一個所雪渓を横断する。雪渓は所々ぐさぐさに割れている。あとはまた雪のない日当たりのよいところを歩く。杓子の岩峰がなかなか素晴らしい。上の方は見えるのになかなか高度は上がらない。まだ1000m近くあると思うとなかなかこたえる。次第に道に雪が付き始め雪山らしくなり、さすがに寒くなる。トレースに沿って歩くが久しぶりの雪道は疲れる。ずいぶん歩いたかなと思ったところで避難小屋が見えてきてそこで長い休憩をとる。ようやくここまで来た。思ったより進んでいる、コースが変わったせいか岩小屋がどこか分からなかった。あと1時間もすると白馬小屋に着くだろう。
もう一踏ん張りとラッセルしてようやく白馬小屋に着く。下を望めはなかなかいい景色。今日はいい天気だし、風も殆ど無いし、やっぱり勿体無いかなということでパスするつもりだった山頂を空身で目指すことにする。白馬山荘辺りからはちょっと深めのラッセル。大雪渓を登った分疲れているのでゆっくりしか登れない。白馬山頂一人占め。しかも360度最高の展望。つくづく来てよかったーと思う。もっとゆっくりしたい思いだったが先を急がないといけない。景色を惜しみつつ下る。
ここからいよいよ本番といったところだ。何が待っているのだろうか?旭岳カール、柳又谷源流カールを望みつつ進む。噂通りのいい斜面が見える。何とか今シーズンにスキーで滑りたいものだ。つぼ足ははまりまくりでなかなか苦労する。旭岳をトラバースして、下る。雪で道があまりよく分からないし、まだ雪の量も少なく、固まらないので道を外すたびにハイマツを踏みぬき、あまり進まない。
そうするうちに4時も過ぎ、そろそろテント場を決めなくてはというところで平坦で雪のきれた鞍部にたどり着いたのここに泊まることにする。ちょうど清水岳手前、まあ予定通りだ。正面には他のアルプスの山々を従えて剱岳が天に突き上げるような形であり、後ろには朝日岳、頚城の山がという最高の展望だった。しかも今日は風がほとんどない。夕に朝に剱岳を拝める方向にテントを張って、疲れていたので夕食後速効で寝てしまう。寝る前に見た星空も最高だった。ああ山に帰ってきてよかったな、妙についてるしと思った。
翌朝、夕焼けのような朝焼けが山々を真っ赤に染めて素晴らしかった。昨日のような好天ではないが山々ははっきり見える。この調子だと昼くらいまでは天気は持ちそうだ。今日は黒部の谷へ下るのみ。清水岳を越えて、いまいちどこに下っているのか分からない。動物か何かの踏み後にそってうっかり進んでしまう。しばらくたってどうもおかしいと気づく。このままだと猫又山に行ってしまう。方向が正反対だ。慌てて引き返し、正しい方向に下る。展望は下の谷は紅葉、剱岳は雪をかぶっていて相変わらず素晴らしい。まもなく雪はきれ、普通の秋山歩きになる。不帰の避難小屋は情報通り冬季閉鎖されていた。窪地のあるやや複雑な地形のところで道を失う。(2万5千分の1を見ていれば明らかだったのだが)気が付けば池のようになった窪地の対岸の上の方に道が見えた。池に嵌まらないように必死でトラバースし、強引な薮こぎで這い上がりようやく復帰する。標高を下げれば下げるほど木々は色づき始め、谷は紅葉で埋め尽くされる。風が吹くと雨雪の如く落葉が舞い散り、降り注ぐ。長い長いトラバースを経て高度を下げ、ようやく道に出る。ちょうどお昼で雨がぽつぽつ降り始めた。
しばらく行くと祖母谷温泉、営業中だった。しかしたまたま近くにいた温泉マニア?の人から河原に温泉が湧いていていい感じになっていると聞いてそっちに行くことにする。しかし、雨はいよいよ本降りになり、河原には雨をしのぐところもないし、やっぱ小屋の温泉にしようか悩ましい。ま、すぐ着替えればいいやと突入する。なかなかいいお湯で河原には他に人も無く、雨に打たれつつ紅葉を楽しみ、しばし時間を忘れて惚けてしまう。紅葉に雪山景色に温泉といい山行だったなあと感慨にふける。でもデジカメを忘れたのは痛恨だったことだ。そろそろということで欅平駅に向かう。駅に近づくにつれ観光客が増えてくる。すぐ電車に乗れるか心配だったがあっさり乗れた。しかし、屋根があるが、吹き抜けの車両はかなり寒かった。寒いので宇奈月で温泉に入り直した(石鹸を置いてなかったのは痛恨だったが)。結構早く下山したのに富山に着いたのは5時を過ぎ、欅平って遠いのねと思った。富山では強風のため電車が止まり帰れるのか、はらはらした。


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