京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | ヒロ(CL・食料)、ケムンパス(SL・食料)、ヒメ(装備・気象)、ヨッシー(記録・会計) | 山行名 | 唐松岳〜5月連休の足慣らし〜 |
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期日 | 2006年4月7日〜9日 |
地域・山域 | 北アルプス・後立山連峰 |
ルート | 八方尾根スキー場〜八方池山荘〜ホンのちょっと先までピストン(?) | 山行形態 | 残雪期登山 |
文責 | ヨッシー(一部補筆:ヒロ) |
21:30 京都駅発
01:30 豊科IC
03:00 八方尾根スキー場近くで仮眠
07:00 起床
10:00 八方池山荘
10:20 テント設営開始
12:00 テント設営終了
19:00 就寝
06:00 起床
09:00 テント撤収後、ビーコン訓練未遂
11:00 八方尾根スキー場
20:00 京都
ケムがプレ春やらん?ともちかけた。
GWのトレーニングを目的に計画を立てる。ゆき先は五竜岳・遠見尾根、念のためサブプランに唐松岳・八方尾根を挙げておく。
当日まで暖かい日もあれば、雨(ご当地は雪)の日もありいかにも怪しげ。メインプランにゆきたいケムンパス、先年のプレ冬で唐松にはすでに訪れたことのあるヒメ、五竜岳東面の偵察を兼ねたいワテ、それらの思いもあってゼヒとも五竜へゆきたかったが、雪の状態は極めて不安定とのこと。その後も直前まで問い合わせるが、芳しい様子ではなく、今回は目的に専念することにして唐松岳で合宿に備えることにする。
現地に到着するころからパラパラ降り出した。屋根のあるところを求めてしばし彷徨、歩道橋の下にテントを張って03:00過ぎ:C0
目覚めれば、脇を走り去る車の音が雨を伝える。冷たくどよ〜んとした空気の中、テントを出ると雪に変身しようとしてるぼた雨が絶好調でアスファルトに降り注ぐ。ぢゃぢゃ降り。
スキーヤーに混じって八方池山荘目の前まで。道中の風はまぁまぁだったが、ガスは深くゴンドラの支柱も50mも離れれば見えなくなった。
山荘の前には登攀姿の3人パーティ、不帰3峰をやる計画だったらしいがこの悪天のため唐松ピークハントに変更。ラッセル・スカウトされる。
我々もすっかり定着したわかん姿に身支度を整え、コンパスを合わせてイザ出発。しかし、雪の烈風とホワイトアウトで早々に前進を断念、この尾根を視界不良で歩くのは避けたい。果たして100mも歩いたのだろうか。山荘前で会った3人のことは気になるが、とっとと幕とする。が、テン場を物色中にも地形がまるでわからず、よくみればすぐそこでカックンと落ちている。慎重に場所を選定し、ブロックを切り出し整地する。特に北西からの風が強い。四隅にピッケル、間はストックやスコップで留めた:C1
あったかいお茶と行動食でささやかにランチタイム。ほっこりしたところでババヌキと大富豪に興じる。猛風雪吹き荒れる外の世界とは一変して、生地2枚隔てりゃなんてのんきなんだろう…。テントの外へ出てみる、一瞬ガスが晴れると目の前に山荘の屋根とリフトが現われたときには風と雪、ガスの凄まじさを知った。
16:00になる前にゴハンにしてしまおう、とナベをツツキ始める。豚肉、水菜、白菜、こんにゃく、厚揚げ、きのこたち。うどんはあしたの朝にした。
そんな間に間にテントポールはへしゃげてゆき、側面からはどんどん雪が押し寄せてきた。4-5人用のはずが気づけば2-3人用スペースになっていた。
天気図をとり、雪かきを開始。積んだブロックの向こう側はその高さまでみるみる積もって雪の大地になっていた。ブロックの中も吹き溜まりになって空間はどんどん狭くなってゆく。なんだか茶ばんで見えるが、カッパの黄色が反射してるのか、気のせいなのか?
雪袋に水用の雪をつめてくれたが、あっという間に新雪に埋もれてしまった。入口の堀にたまった雪を使う。雪係はよっしーが引き受けてくれた。コッフェルで融けてできた水がなんとなく茶色っぽいとはおもったが、カモノハシに移すとまるで「きな粉湯」さながら。しかしコーヒーにしよッ!の一言でかたづく…。黄砂が相当降ったようだ。
寝支度を始めるが、掻いても掻いても迫りくる雪。きゅーッと4人くっついて寝る。一応あしたは04:00起きとする。
手袋はもちろん目出帽と完全武装で夜中、ケムンパスを中心にかわりばんこで雪かきに出るが、2時間も経てば元に戻ってしまっていた。テントの周りに少し溝を掘るようにしてみたが、やはり同じ状態になった。02:00ごろ、風も雪も治まりつつあった。すぐそこに山荘の明かりがみえた。
いつからか南東からと風向きが変わっていた。再び猛烈な吹雪に見舞われる。起床時間になるころには昨日よりもいっそう荒れていた。見事にへしゃげていたポールを元に戻したかにみえたが、やっぱりゆがんだモノはゆがんでいた。行動できる状況ではないので2時間遅らす。
06:00、白んできた。いつもなら真っ先に目を覚ますヒメに動きがない。アタマのあった方向を見てみると雪がこんもり乗っかっている、一度起きたときに雪かきをサボってしまったからだ。足を反対に向けたのか、ともおもったがその雪を押しのけてみると顔が出てきた。まぢでたまげた。息をしてるか心配になったが熟睡していたらしい。恐るべし。ともあれ、油断は禁物である。手を抜いてはいけない。
朝を済ませても依然、状況はよくなるどころかひどくなってゆくようだった。フライの影が真ッぷたつにはためいていた。隅に目を移せばブレードの三角影が近づいたり遠のいたり…もしやとおもいみてみると両端を留めていたピッケル2本が宙をひゅるりひゅるり舞っていた。青いゴムなど引き千切られて、生地を巻き込みぐるぐるに捩れている。中間を留めていたストックも1本は先端を風で飛ばされて、もう1本はフライを貫き裂いていた。絶好調に荒れる中、ナイフで切るのがやっとだった。テントに戻ってみると、本体も穴が数箇所開いていた。
下山するにしてもリフトは動くのだろうか。落ち着くのを待って行動するしかない。やや風の音がおとなしくなったか、役割、段取りを決め意を決して撤収にかかる。ポールはすっかり撓んでなかなか抜けない。飛んでったストックの先をケムがずいぶん向こうで発見してくれた。その頃になると風も雪も治まってき、陽が射したりしてなんとなく青空なんかに見えてくる。ガスが晴れ、ゆるくカーブする稜線も見えた。
悩んだが、快復が予想されるといえども雪煙が舞い上がり、完全にガスが晴れたわけでもない。トレーニング、と目的を絞っているコトもあるのでココはムリせずビーコン訓をすることにしよう。さらに山荘近くの建物の影でぺぇーサマ直伝の訓練法をやってみる。10m四方くらいのスペースに足跡をつけてビーコンを埋め、探索するというモノだ。まずはケムンパスから。受信に切換え、スタートッ!とおもったら違う方向に。山スキーヤーが行列をなして登ってゆく。彼らの装着しているビーコンに反応してしまったか。続々と通過してゆく彼らを見送るココロの中はグラグラしたが、今回はあきらめよう。いってしまうのを待ってみるが、またしても吹雪が襲い、トレーニングもままならず未遂に終わる。そのうち引返してくるヒトも出てきた。
モヤモヤを残しはしたが、自然のチカラには恐れ入ってしまった。この時期、高気圧がやってくるからといって決して好天とは限らないことを身をもって知った。お天気講習をしていただいたコトをもう一度おさらいしなくてはならない。カラダを突き飛ばすほどの突風、里はすっかり春でも猛烈な吹雪に見舞われる。不安定な天候、不安定な雪の状態、コレは春山の怖い要素のひとつであろう。
きっぱりあきらめ、下りのリフトに乗った。とんだ散財山行になってしまったが、今後のために貴重な経験ができたとおもう。
ゴールデンウィークの山行に向け、雪山を歩く目的で「プレ春山」の企画が上がりました。行き先は五竜岳または唐松岳。直前、リーダーが県警等に確認したところ、雪が不安定とのこと。今回は唐松岳に行くことになりました。
週間天気予報では8日は雪、9日は晴れでした。8日お天気が悪ければ無理に歩かず、ビーコン訓練や滑落停止訓練をし、9日できるだけ山頂を目指して歩ければと出発しました。
1日目の朝、天気予報通り、八方池山荘は吹雪でした。自分達以外にもう1パーティー唐松岳に向かって先に出発しました。わかんを装着し、自分達もすぐに出発しましたが、トレースは雪であっという間に消え、地形は全く判断ができないほど視界不良でした。すぐに行動を中止し、テント設営としました。その後、風が吹き始め、強風と雪が朝まで続きました。テントを圧迫する雪を繰り返し取り除く必要がありました。
2日目の朝、目を覚ますとペグの代わりにテントのフライを止めていたピッケルとストックが飛ばされ、フライが修復不可能なまでに裂け、テント本体も数箇所やぶれていました。天気は太陽が時折顔を出すこともあれば、雲に隠れ少し先も見えなくなり、強風も吹いたり止んだりととても不安定な状況でした。前日、視界がかなり悪い状況では周囲の様子が分かりませんでしたが、テントは広い尾根の端に位置していました。転倒などすると危険なこともありえた場所だと思うと、テントは大変なことになってしまいましたが、視界が悪く見えない状況で動かずに行動を中止したことは良かったと思いました。天候、視界ともに不安定だったため、山頂は目指さずトレーニングすることにしました。が、八方池山荘付近でのビーコン訓練もこの荒天では思うようにいかず、結局、下山しました。京都市内に戻ると桜が満開で、昨日、今日のことがうそのようでしたが、雪が降り各地で雪崩が起こり、遭難が多発した週末でした。