京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行 | 川迫川白子谷 |
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メンバー | L:H内 タチバナ |
期日 | 2006/8/30-8/31 |
山域・ルート | 大峰 川迫川白子谷 |
山行形態 | 沢登り |
中書島駅(23:30発)===大川口(2:00着)
大川口(7:00頃発)
川迫川白子谷出合(7:43発)
標高1000m地点二俣(鉄山に突き上げる沢との分岐)(9:40着、9:50発)
標高1150m地点二俣(遡行終了地点)(10:30着、10:50発)
標高1540m地点付近の斜面(11:55着、12:05発)
鉄山ピーク(12:35着 13:35発)
大川口(14:55着)
平日に休みが入り久々の平日登山を考えていたところ、タチバナさんが山行を同行いただけることになった。平日だけの山行で単独行でないことは僕にとって初めてとなった。
行き先を相談の結果、芦生大谷から大峰白子谷に変更する。
23:30に京阪本線中書島駅に集合し一路天川村を目指す。
快調に進み、最近開通した京奈和道に郡山から乗り、下市口より山間の真っ暗な道を進む。さすが平日とあって対向車に出会わないがそれにしても登山口に着くまで2時間近くも全く車に出会わないとは!
通い慣れた道ではあるが、途中狸のような獣を撥ねそうになり気が引き締まる。路面は最近降った雨で濡れているが空には星がある。
大川口(神童子谷の出合)に2:00頃到着しそのまま車中で仮眠。
6:00に起床すると快晴で、今日の沢に期待が膨らむ。林道を20分戻り白子谷出合の約100m上流から入渓。
川迫川を渡渉し左岸を辿る。滝となって出合う白子谷は白い花崗岩で明るく美しい。
この滝は左岸から越えられる。その後小さな滝が幾つか小刻みに出てくるが登り易い。
谷がやや左に曲がると8m滝があり水流際を直登する。爽快。タチバナさんは前回の中アの沢で低体温症になった経験があり、まだ少し怖いとのことで無理せず右岸を巻いた。
右岸からの涸沢を過ぎ、その少し先の何でもない平凡なゴーロ帯でタチバナさんが1m四方位の岩を乗り越した時、なんと同時に周辺の同程度の大きな4個の岩塊が崩れ落ちた。とっさに左前へ跳ね逃げて難を逃れたが、たまたまその時タチバナさんの方を見ていたのでまともに目撃した。擦れて火花が飛びちり驚いた。よくとっさの判断で逃げられたものだと感心したが本当に恐ろしい。無事であったので一安心。以前、台高の大和谷源流で同じような体験をしたが、運悪く岩の下敷きになったらとても無事ではすまない。
気を取り直して進むことにする。やがて明るく開けた場所になった。参考にした「近畿日帰りの沢登り」によるとこのあたりは伏流のはずだがかなりの水量がある。数日前の雨でどうも水量が普段よりも多いようである。
鉄山直下からの涸谷を見送り谷はやや右に方位を変える。いよいよ花崗岩のナメ100mが始まる。ここで少し長めの休憩をしてから水流の中を楽しく登る。時々小滝も混じるが簡単に登れる。快適に進み6m滝が見えると左岸から沢が入る。ここが二俣らしい。6m滝を越えた先もナメが少し続き終了。河床の岩が少し大きくなる。次の出合(標高1150m)で右岸からの支流を迎える。水量比は3:1位。(この先、本流は距離100m程度先で二俣となっている。)
タチバナさんは支流の急なガレ場をみて弱気になっており、引き返したいような気になっているが、ずっとガレではないはずなので前進することを勧める。どうも最近崩れて岩塊で谷が埋もれているらしい。落石や浮石に注意しながら慎重に登る。利用に適している尾根を地形図から判断し、この水量の少ない支流を標高差で50m詰める。標高1200mで左岸の尾根に取り付くのが良いと判断し、右の斜面を登るとわずか5分ほどで尾根の芯に乗った。ここから標高差340mを登るのだが藪も全くなく急登の一本調子なので意外と快調に進む。途中尾根を塞ぐ大岩は手前から左に迂回してやり過ごす。標高1520mで傾斜が少し緩み左手に水平移動し鞍部まで標高1540mの等高線沿いに進む。この巻きでは樹林が綺麗なので途中で休憩する。鉄山が正面やや右手に見え隠れしている。
鞍部に出ると弥山、行者還岳、大普賢山などの展望が一気に広がり稜線を渡る風が心地よい。しかし、やがて弥山はガスの中となり消えてしまう。
こらから先は弥山から続く登山道を利用する。赤テープが多過ぎて目障りだ。
鉄山まで急な登り降りを繰り返して20分で登頂。
やっと本格的に長い休憩とする。
バリゴヤの頭や稲村岳、山上ヶ岳なども見え、眼下に川迫川と登ってきた白子谷も良く眺められる。神童子谷の流域も見える。
ラーメンを作り果物を食べ、行きたい沢の話をしたりしてゆったりした時を過ごす。
1時間後の13:35分下山開始。急な下りと緩い下りを繰り返し、標高差約700mを一気に下る。下部では左手斜面に時々迂回しながら1時間20分で駐車地の大川口に到着。
タチバナさんは沢の中では慎重にゆっくり歩んでいたが登山道の下りはかなり飛ばし、実はすごく早く歩けるのだと分かった。計画より早く15時前に行動終了となった。
帰路、天の川温泉に入浴し、郡山では渋滞に巻き込まれ「そうだ、今日は平日だ」と改めて気付かされた。
奈良市内で晩ごはんを食べ枚方で解散。
充実した平日の沢行きだった。
前回のmeetingでH内さんが「8月中で平日に沢か読図山行を考えてます」って言ったのを聞いた瞬間、思わず「あー行きたい!!」って思った。一緒に行ったことは今まで無かったけど、H内さん=すごい人って何度か聞いたことがあって、是非いつか一緒に山へ行ってみたいと前々から思っていた。沢へ行くのは1ヶ月ぶりだ。先日の中央アルプスの沢で遭難しかけて以来、怖くて沢からすっかりご無沙汰していた。だけど、時の流れがあの恐ろしい記憶を薄れさせているのだろうか、自然とまた行きたくなってきた。だから沢へ一緒に行きたいとH内さんにお願いした。
最初は芦生の大谷へ行くという話だったが、いろいろ調べてみると、予定しているルートはけっこう距離がありそう。何とか歩けるだろうけど、私が行ったら日が暮れてしまうんじゃないかと思った。で、H内さんに相談した結果、今回は計画を変更することになった。H内さんはどこでもいいよと言ってくださった。行きたい沢は山ほどある。H内さんがザイルを出すのには慣れていないと言っていたことと、自分の技量を考えてザイルを全く使わずに行ける易しめの沢に絞り込んで探した。大峰の白子谷に行くことにした。ここに決めたのはずばり全体で100mの連続する「ナメ滝」である。あと鉄山からの景色が素晴らしいということ、沢をつめてから読図能力がけっこういるということもここを選んだポイントだ。
実習から帰ってきて準備して、しばらく寝ようと思ったのだが、何だかワクワクしてしまって寝付けない。そうこうするうちに23時になってしまった。
23時半 中書島駅に降り立ったら H内さんが改札まで迎えに来てくださっていた。
平日の夜だから、道路はすごく空いている。対向車もほとんどない。2時には大川口に着いた。
朝5時頃 周りが明るくなってきて目が覚めた。川の音と小鳥のさえずりを聞きながらしばらくうとうとし、6時になりようやく起きた。準備してご飯食べて7時頃出発した。前日に雨が降ったようで地面は少し濡れている。林道を20分ほど下り、そこから川迫川へ入った。川の中を歩いて20分程してようやく白子谷との出合いに着いた。最初からナメ滝である。期待がどんどん膨らんで行った。「今日は平日やし、二人やし、何かあったら まず助けてもらえないから慎重に行こう」とH内さん。身も心も引き締めて登っていった。前回の沢での経験が自分の中でずっしりと重荷になっていて、これでもかと言わんばかりに慎重になってしまう。H内さんどんどん水に濡れて滝を登っているなか、私はついつい巻いてしまう。水に濡れるのがとても恐ろしい。完全にトラウマになってしまっている。滝を巻いたりするときも、石橋叩きすぎかもしれないなあと思うくらい慎重になった。お助け紐も何度かお願いして出して頂いた。
途中、「後ろを振り返ってあれがバリゴヤの頭だから、これを目安に考えたらいいんだよ」とH内さん。なるほど確かに谷の向きが途中で変わると遠くの方の見え方が変わる。今までただひたすらコンパスと地形図をにらめっこして考えていたけれど、コンパスなんてなくても、後ろを振り返ってみて遠くをみれば分かるのだ。すごい!!沢は登っている最中は前方ばかり見がちだ。今度から意識してたまに後ろを振り返ってみようと思う。
どんどん沢をつめて行き、もう3分の2位遡行した頃、予期しないことが起きた。時刻は午前8時41分。な、なんと大きさは1m近くある大岩が動いたのだ!動くはずがないと思っていた岩が、飛び乗った瞬間、大きな音を立てて動き、同時に4個動いたのだ。まさかこんな大きな岩が動くなんて思ってもおらず、本当にびっくりした。とっさの判断で思わず逃げた。助かった。とっさに逃げられなかったら、岩に挟まってきっと今頃・・と考えると本当に恐ろしい。コトの一部始終を見ていたH内さんの話だと火花が立っていたとか。
気を取り直して再び遡行開始。ここから先はナメ滝と小滝が連続してとても綺麗。この沢のハイライトだ。傾斜もそれほど強くなく、どんどんナメを登っていける。が、ぬめっていて滑りやすい。ちょっとでも気をゆるませると簡単に滑ってしまう。1度転倒してしまった。が、幸い無傷。
10時半、ようやく、二俣までたどり着いた。どうも遡行図と一致しない。遡行図では二俣に着く前に6mの滝があるはずなのだがない。H内さんが偵察しに行ってくださって、現在地が分かった。ここから先、左俣へ入る予定なのだが、どうも左俣は崩れたようで、見た目は落石の巣のようなガレ場になっている。あーこんなところを登るなんて怖いなあと、引き返したくてたまらない気持ちになってしばらく途方に暮れてしまった。が、やっぱりここは行くしかないなと心入れて再び登った。H内さんがいろいろとアドバイスしてくださって無事、悪所は通過。すぐに尾根にあがることにした。なかなかの急斜面だったが、藪がないのでまだましだった。ゆっくり1時間ほど急斜面を登って標高差400m近く稼ぎ、ようやく主稜線手前の斜面に出た。幻想的な雰囲気がたちこめ、何だかほっとする。しばし休憩。そこから先、鉄山へ。朝は晴れていたのだが遡行を終えたあたりから曇ってきて、鉄山の頂上に着いた頃には雲がかかってしまっていた。それでもバリゴヤの頭や大峰の山々は見渡せた。ラーメンを頂いてしばしのんびり休憩。
下山路もなかなか急で厳しい。気をつけないと木の根っこに足をとられ転んでしまう。あちこちにつけられたテープをたどりながら、15時前、大川口へ下山した。天の川温泉に寄り、途中ご飯を食べて帰路についた。