京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
メンバー | 堀内、山本 |
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期日 | 2006年10月26日から29日 |
山域・ルート | 越後山系 |
山行形態 | 無雪期縦走 |
小雨後曇り 午後時々晴れ
銀山平8:30→9:10 1,090m峰9:25→10:20岩場取り付き点10:30→11:30 1,536m峰→13:05荒沢岳13:30→14:20灰吹山14:30→16:00灰の又山16:05→16:20源蔵山
源蔵山8:05→8:20源蔵、巻倉鞍部8:35→8:55巻倉山9:10→10:20兎岳10:50→12:20中の岳12:55→13:55檜廊下14:00→15:00天狗平15:15→16:00越後駒ケ岳16:25→16:40駒の小屋
駒の小屋6:25→7:10百草の池7:20→7:55小倉山分岐8:15→駒の湯9:45
45分遅れの急行「きたぐに」は定刻に直江津に着き、六日町経由で小出駅へ。天気は小雨。山は雨雲で見えない。予約しておいたタクシーで銀山平へ長いトンネルを幾つも抜けるが、めったに車は走っていない。
静まりかえった銀山平に着き、身支度を整える。雲が低く垂れ込め霧雨状態。紅葉の山腹の急登から始まり、湿った落ち葉を分けて息を整える。意外とあっさり最初のピークに着き、ここで長めの休憩をとる。一瞬、この先の尾根筋が霧の合間に覗き、天気の回復基調に期待する。先を進みガスの合間から現れるブナの木を鑑賞しながら緩やかな尾根を歩くが、雨具を着るかどうか微妙な強さで雨が降る。結局雨具は着なかった。
時々遠くの山並み(未丈が岳など)が見えてはまたガスで消えるといった状態だが、確実に天候が回復してきている。ガスで墨絵のようなモノトーンの世界がひろがり快晴の日とは全く違った美しさがあり、しばし見とれる。
岩場の始まり地点では行動食をしっかりとり、気を引き締める。案外長く続く鎖や梯子場は濡れていて気を使う。紅葉が綺麗だがゆっくりは見られない。1時間もかかって1,536m峰に着く。ここでガスが晴れ、下界や遠く会津駒や尾瀬方面、越後駒、守門等の山々が望見出来るようになり雨も止む。荒沢岳も初めて望めた。しばらく緩い尾根を進んでから急登になり、やがて花降岳、本城山から続く支稜線に乗り、岩混じりの痩せ尾根をがんばって待望の山頂へ。
残念ながら山頂だけぎりぎりガスの中で何も見えないが、少し下からは中の岐川流域が望める。なぜか川筋の一部の河岸は濃い鮮やかな緑色で縁取られ不思議な光景となっている。まるでそこだけスポットで原色カラーを纏っている。(画像を参照)
30分ほど過ごし、いよいよ目的の道に分け入る。がしっかり刈り分けされており、荒削りだがルートは全く問題なし。藪こぎやルートファインディングも関係なく、風景を堪能しながら進む。
進行方向も良く見えてきて、快適な稜線歩きとなる。幅1m以上も刈ってあって、よくこの山奥で維持されていることに感謝する。おかげで安全快適な登山ができる。
調子よく進み、灰吹山まで1時間で通過。その先の最初の鞍部(標高1,700弱)には池があり、その横が広く刈り払いされていてテントも張れる。その先1,716m地点は背の低い潅木で広大な風景が見渡せる。灰の又の稜線が大きく迫り、右に越後駒へ続く山並みも見渡せるし、平ケ岳も大きい。
一旦緩く鞍部に下り、広くなった尾根の1,720mあたりにも小広い刈り払いがある。さらに1,760m地点で尾根の南東斜面が望める場所に達し、そこは池溏の草原だ。午後4時前になっており泊まり場を探さないといけないがもう少し進むことにする。
灰の又に登り時間も無いのであっさり通過するが、灰の又山前後は刈り払いが無く、笹薮の藪こぎとなるがそれほど濃い藪こぎではなく、道もはっきりしている。
沈みかけた太陽と競争するように早めに歩き、源蔵山手前の草原でテント泊となった。池溏に張るのは良くないが他にはれる場所が見当たらない。薄暗い中夕食を済ませる。池溏の水を分けてもらえて水には困らなかった。夜は満点の星が煌めき、天の川がくっきりと浮かび、三日月も映える。平ヶ岳の黒い山体が良いシルエットとなっている。
翌日は意外にもガスの中で明ける。しかし日の出は明るくくっきりしている。朝食時には深いガスに包まれる。濃いガスの中出発し源蔵山の南をかすめすぐ下りとなる。深い熊笹の中を行くがここからはしっかり刈り払いされていて大いに助かる。
鞍部は気持ちいい広い草原となっていて小さな池もあり、すぐ南の沢筋には水が流れている。水筒を満たし、鞍部に戻ると少しガスが薄くなってきた。平ヶ岳は山頂部だけガスが掛かっている。
鞍部は良いテント場として整備されており、水場への標識やキジ場も整備、指定されている。これだけ行き届いているし、このルートは一般道としても十分な気がする。
さて、巻倉山への登りを頑張る。20分程で山頂へ。ここで劇的にガスが晴れ、いっぺんに360度の展望が拡がる。これから辿る中の岳への稜線や越後駒、利根川源流の山々、平ヶ岳、燧ケ岳、会津駒ケ岳などぐるりと見渡せる。さすが山深い地点で山また山の連続である。
暖かい陽の光をいっぱい浴び、今日の稜線漫歩は確実である。とりわけ正面に見える中の岳の存在が大きい。沢に残雪が光る。左右の風景を堪能しつつ緩い登りをさわやかな風を受けながら気持ちいい幸せな気分になる。「山はこれだからいいな」とついついひとりごとを言ってしまう。というのも、山本さんと2人出来ているが兎岳の登りは距離をおいているので、一人旅気分だ。たまに草原の中を行き最後に少し急な登りとなって兎岳へ。以前から行きたかった荒沢岳、兎岳間のルートを無事結んだ。地元山岳会の人達によって立派に道が維持されており、毎年刈り払いが出来るようなら一般道としても何も差し支えなさそうに思える。並々ならぬ刈り払いの苦労を考えると本当に感謝であるし、もっと利用されてもよさそうに思える。
兎岳で長く休憩とし、その間見える山々の山座同定を楽しむ。遠く日光白根も見えている。
さて一大目的は達成したのでここからは先は長いが一般道のハイキングを楽しむ。笹が道を隠しているのであまり早くは歩けない。下りで初めて人に会う。鞍部から軽く小兎山を越し、あらためて中の岳への標高差360mに挑む。さすが中の岳、4〜5人の登山者と出会う。東京から夜行日帰りの方もおられ、人気の山のようだ。昨日から辿ってきた荒沢岳から続く稜線が手に取るように見える。
ここから先まだ3時間余り掛かりそうでゆっくりしている時間はそうはない。先を急ぐ。山本さんが先に出発するが、私は地元の登山者の方と話しに花が咲く。遅れて出発。まず急な下りから始まり、やがて痩せて木の根や岩の段差が激しく歩きにくいルートになってくる。通称檜廊下だ。山本さんに追いつき、嫌な登り下りを繰り返して天狗平に到着。
ここからは本日最後の越後駒ケ岳への急登になるので久々に長めの休憩を入れる。登りでガスに包まれ何も見えなくなる。ところが山頂近くになると晴れており、ガスの上に中の岳が浮かび上がり絵を見るような光景となってしばし見とれる。
今年2山目の百名山、越後駒ケ岳に登頂。と同時に荒沢岳からの縦走も無事終了した。夕刻誰もいない山頂で夕日に染まった八海山を眺めしばらく一人で過ごす。山本さんは2度目とのことでさっさと先に下山した。陽の当たらなくなった尾根を10分の下りで駒の小屋へ到着。
水場まで往復し小屋泊まり。冬支度となっており2階から入る。管理人はもう下山している。綺麗な小屋で快適であるが他の宿泊者のいびきがうるさかった。
3日目は天気が曇りや雨の予報だったが幸い晴れている。駒ケ岳山頂部のみガスに包まれている。
中の岳や荒沢岳は今日も良く見える。どんどん飛ばし、百草の池を過ぎ、小倉山まで来ると、枝折峠からの日帰り登山者と多く出会うようになる。
小倉山からは道が悪くなり、笹が被ってゆっくりしか歩けない。下に行くほど紅葉が盛りとなりしっとりと落ち着いた美しい道になる。小倉山から標高差約1,000mを駆け下り駒の湯温泉に9時45分到着。2泊3日の山旅を終えた。
ゆっくり温泉を楽しみ、例のごとく山本さんの声掛けで小出駅まで知らない人に同乗させていいただき帰京の途に着く。だが近江塩津駅で信号故障があり特急は35分遅れ。
今回、山行は予定通りだったが、列車は行きも帰りも定刻ではなかった。
次回は谷川岳から巻機山への縦走にでも出かけようかなと止まった列車内で思案する時間が出来た。