北アルプス 涸沢紅葉見物ハイキング(無雪期ハイキング)

メンバー CL U・SL H・K
期日 06年10月6日・7日・8日
山域・ルート 北ルプス南部・涸沢
山行形態 無雪期ハイキング

天候

7日=弱い雨時々晴れ間(時雨)昼過ぎから風強く夜から雪・8日=弱い雪風有り

コースタイム

9/9

上高地6:40 明神7:30 徳沢8:30 横尾9:40 本谷橋11:00 涸沢13:00

9/10

涸沢9:30 本谷橋11:50 横尾13:00 徳沢14:10 明神15:20 上高地16:15

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報告(U)

最初の計画は3日かけて『秋晴れの槍穂』をノンビリ歩くというものだったが、フィリピンの東で相次いで発生した台風が北上してくるにつれて計画と空模様の両方の雲行きが怪しくなった。出発前日の4日に出た予報では「6日は本格的な雨・7日も雨が残る」とのことで、相談の結果、出発を1日延期しコースも槍・大キレットをカットして涸沢(屏風の頭)〜北穂〜奥穂〜前穂で2泊3日ということにした。Hさん・Kさんは休みを取っていてくれたのに申し訳ないこととなった。
6日夕方にUが山行用にプリントアウトした天気図の7日09時予想気圧配置は西高東低の冬型となっていた。はたして7日上高地から歩き出すと弱い雨が降ったり止んだりで晴れ間も出るという冬型の時日本海側で見られるのと同じ天気になった。
明神・徳沢・横尾・本谷橋・涸沢の中間とほぼ1時間おきに休憩をとり、写真タイムもはさみながらゆっくり歩いた。紅葉を愛でに来たのだが、半端な数ではない登山者が赤や黄や青など色とりどりのレインウエアとザックカバーを身に付けているので、盛りには少し早い草木の紅葉のほうが雨で紅葉した人間に負けてしまっているのがちょっと残念だ。
涸沢に着くとヒュッテのテラスに駆け上がって、紅葉を抱くように広がるカールの景色を堪能し生ビールで乾杯!なるところだが、今回は小屋のストーブで濡れたズボンを乾かしながら暖をとってホッコリとなってしまった。北穂・涸沢岳から奥穂も吊り尾根から前穂も厚い雲に覆われ、七分くらいの紅葉は雨に霞んでしまっている。強くなってきた雨と風に追い立てられるようにテントを張った。張り終えたころ横尾谷に大きな虹が架かり、少し慰められた気分でテントの人となる。
予定では休憩後屏風の頭をピストンすることになっていたが、即決で中止に。お茶を飲んで少し昼寝をして、お腹の要請にあわせて夕食の準備にかかる。外では続々と到着しているらしいパーティーがテントを張る声が雨の音と一緒に聞こえる。突風が混じるようになりテントごと押されるようになった。夕食後トイレに行ったとき見るとヒュッテと小屋をつなぐ道の上下に明かりをつけたテントが数え切れないくらい散らばっていた。
寝る前にラジオで気象情報を聞き、低気圧が予想以上に発達したことや強風注意報が出ていること知る。さきほど見た小屋の液晶表示の天気予報で松本の天気は晴れとなっていたが・・・問題は今夜。トイレに出た時は雨だった。続けてニュースを聞いていて遭難者が出ていることを知る。チューナーのダイヤルを回していたので場所は聞き逃してしまったが、岐阜・長野両県警で明日朝から捜索と言っていたので北アの稜線のどこかだろう。
夜、目が覚めるとテントに当たる雨の音がカサカサという乾いた音に変わっていて、足の指先にある石とテントの間にやわらかいにものが挟まっている。やっぱり来た。雪だ。
朝起きてベンチレーターから外を覗くと、一面の銀世界。5cmほどは積もっていそう。予感はあったものの起きてほしくない出来事だけに、3人ともなかなか次の行動に移れずシュラフから抜け出せない。それでも気を取り直してお茶の準備をする。それから食事が終わるまでラジオの気象情報も聞きながら、今日・明日の行動をどうするか話し合う。諦めて下りる、涸沢で停滞して好天の紅葉を見たい、昼まで待って奥穂高岳山荘まで上る、明日天気が回復したら一気に奥穂・前穂と登って岳沢を下山、等等考えてみたが、雪山装備がなく凍った雪には対応できないのでリーダーの一存で本日下山に決める。
相変わらずの強風と雪の中テントをたたみ、踏み固められた雪の付いた階段状の登山道を慎重に降りる。といってもひどく渋滞しているので、気兼ねなくゆっくり行ける。雪と紅葉というめったにない組み合わせになった風景を見る余裕も十分だ。
まだ登ってくる人も多く各所で渋滞もあり、登ってきた時と同じようなペースで上高地まで帰ることになった。徳沢を出て暫くして猿の群れに出合いかわいい小猿に心が和み、雪の残った明神や青い空に浮かぶように見えた常念岳・大天井岳と、飽きずに林道を歩けた。
バスターミナルに行く途中に列ができていた。平湯方面のバス待ちの最後尾とのことで早速並ぶ。40〜50分待ちになるとのことだったが、長い列になって動かない沢渡行きの列を横目に、こちらは少しずつ少しずつ進んで15分ほどでバスに乗り、暖房で冷えた身体を温めながら帰路についた。

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感想

H

今年は4日間のお休みを2回もとって槍・穂の縦走にあてたのに、また山にふられてしまった。
わたしは、蝶が岳から見た槍・穂にほれて、「わたしもあっち行きたい!」と思って雪稜に入ったのにまだ実現できない。またらいねーん・・・
今回の一番の思い出は夕暮れ時に唐沢小屋のトイレに行ったときに見た斜面にたくさん明かりがともったテントのファンタジーな世界の景色とその後自分のテントに帰れなくなって恐怖を感じたことです。みなさまも涸沢のテントの森ではご注意ください。屏風かっこよかったな・・・

K

紅葉の涸沢、南岳に泊まり、朝日、夕日を見てみたいと思い、少し不安もありましたが、初めて大キレットに挑戦することを決め、上田さんのプランに参加させてもらうことにしました。あいにくお天気が悪く計画変更となり南岳には行けず、残念な気持ちと、少しほっとしました。お天気によっては見ることのできない景色だからこそ、ますます見たい気持ちが増すような気がします。次のシーズンには是非是非行ってみたいと思います。
一日出発を遅らせての涸沢泊。話に聞いていた涸沢の三段紅葉を少し期待しつつ、お天気の回復を祈りながら目を覚ますと、一面の雪景色。明日は晴れるかも・・・とあきらめきれない私。もう下山しようとサブリーダー。リーダーの最終判断で、下山することに。突然の雪に、その週末、北アルプスでは遭難が多発しました。予定通りの出発、もう一日山にいたら・・・、もしかしたら私たちも大変な状況になっていたかもしれないと思います。偶然が重なり大変な状況に遭う場合もあれば、偶然が重なりたまたま大変な状況を免れる場合もあり、それらは紙一重のように思いました。あきらめの悪い私なので、リーダー、サブリーダーといっしょだったお陰で安全に下山できたと思います。また、どうしても荷物が重たく、使う可能性の低い道具は持っていくのをためらってしまいます。安全を考えた場合、やはり体力が大事だと改めて思いました。

U

紅葉が例年より遅れていたうえに雪まで降るとは・・・なんてツイテない。帰ってきて遭難のニュースをネットで見たが、まさに目と鼻の先で起こっていたので驚いた。もし最初の計画通り5日に出発していたら…アイゼンがあれば…と「たら」「れば」を考えると、ツキのなさも最小限で済んでまずはヨシとしなければ。


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