南アルプス 鳳凰三山 (積雪期縦走)

山行名 鳳凰三山
メンバー M田、K藤、F田、Kk、H笠、A木い、T村、M上
期日 2007/2/10〜2/12
山域・ルート 南アルプス 鳳凰三山
山行形態 積雪期縦走

コースタイム

 2/ 9

 22:30京都駅−夜叉神の森駐車場

 2/10(晴れ時々曇り)

  9:35夜叉神の森ゲート−11:00夜叉神峠小屋−15:45苺平−16:50南御室小屋

 2/11(晴れ時々曇り)

 8:00南御室小屋−9:35薬師岳小屋−10:05薬師ヶ岳−11:05観音岳−13:45地蔵岳−16:20観音岳−17:00薬師岳小屋−18:45南御室小屋

 2/12(快晴)

 南御室小屋8:05−苺平8:45−11:40夜叉神峠小屋−12:45夜叉神の森駐車場−京都

所感

M田

  今回の山行は夜叉神峠からオベリスクのある地蔵岳に行く鳳凰三山の縦走である。メンバーは最初6名であったが最終8名になった。昨シーズンの中央アルプスから冬山デビューしたK藤さん、同じく昨年5月の毛勝からデビューをしたF田さん、正月の槍ヶ岳で自力を発揮したT村さん、S診療所で高所障害用の漢方薬などをもらって参加したKkさん、カナダはバンフの登山学校仕込みのM上さんと私の6名に、終盤、今年喜寿を迎えられるA木さんと最近クライミングにはまっている寒がりやのH笠さんの2人が加わっての総勢8名である。
 この縦走路は夜叉神峠から先に、南アルプスと八ヶ岳、それに富士山の眺望が絶景のコースを持つ。南御室小屋から薬師岳小屋を経て薬師岳にのぼり観音岳へと続く樹林帯を抜けて稜線に出ると、素晴らしい自然の造形による石庭に出る。そこから先は風をさえぎるものがない地形がつづく。
 2日目の11日は、西高東低の冬型の気圧配置であった。樹林帯あり裸地の稜線ありというような地形で、風がそれなりに強く且つ晴天だったので服装と衣服内温度調節には結構気を遣った。
 今回のパーティーとしては薬師岳と観音岳までの縦走がちょうど良いところであった。そうすれば8名全員で行けたと思う。実際は観音岳の頂上直前で2名が引き返したので、鳳凰三山最北の地蔵岳まで行ってオベリスクのすぐ下で写真に収まったのは6名であった。おかげで帰路は30分ほどのヘッドランプ行動となった。帰路の後半は樹林帯で安全コースということもあって地蔵岳まで突っ込んだが、冬のヘッドランプ行動は慎むべきだと反省している。
 この山塊は京都から遠いので、やはりドライバーは各車に3人は欲しいところだった。
 今回も毎回おいしい食事でこれが毎日の行動力の源となったと思う。8名全員が1つのテントで食事をすると話も弾みとても楽しいものだ。が、いかんせん時間がかかる。時間優先のときはそれぞれのテントで生活を独立させれば食事時間は短くなるが、荷物は増える。どちらを取るかはケースバイケースだ。われわれは今回、前者を採ってみんなで食事をした。
 装備に関しては、今回は結果として言えばピッケル、ワカン・スノーシューは不要でアイゼンとストックで行ける状態であった。駐車場から実際の山の積雪状態を観察した結果、ビーコン、ゾンデを車に置いていったが正解であったと思う。また休憩時、ツェルトを2・3回使ったがやはりその効果は大きい。
 奥の薬師小屋は雪にかなり埋まっていたが南御室小屋は外部トイレも含めて一部使用可能であったがトイレ以外は、われわれも含め他のパーティー(南御室小屋でテント12〜3張)もあまり使っていなかったようだ。
 今冬は11月の唐松岳、正月の槍ヶ岳、2月の鳳凰三山とどれも好天続きの冬山である。どうなっているのかなぁ、この暖冬。世の中には厳しい冬山を期待している猛者もいるらしいので、戻って来てくれ冬らしい冬!!3月は厳しいのかなぁ。
 今回も楽しい山行を作り上げてくれたパーティーのみなさん、ありがとう!!感謝。

 

F田

  正月のサブプランとして「鳳凰三山」の話が出た時から、ぜひ行ってみたいと思っていた。夏にここに行かれた方から「展望がすばらしい」と聞いていたので、とても楽しみにしていた。山行前日、風邪をひいてしまい、最終打ち合わせとなるミーティングを休んでしまったが、食料係をしていたので何とか参加したいと思い、夜発の自動車の中では後ろでゆっくり眠らせてもらい、何とか回復した。
最初、「夜叉神峠登山口」で仮眠をとる予定だったが、手前にゲートがあり8時までそこにいなくてはならなくなった。その為スタートがかなり遅くなったが、寒い中歩き始めるのは苦手なので、良かったと思う。登山口から夜叉神峠までの道は雪がほとんど無かった。昔、父親と峠までハイキングしたことがあったらしいが、到着直前で何となくこの道を登ったことを思いだす(夏の暑い中、小学生のハイキング集団と挨拶を交わしながら、「何で連れて来られたのだろう?」と親を恨みながら歩いていたような気がする。その時よりはちょっとは成長したはず?)。峠からは、「白峰三山」が見えたが、残念ながら上部は雲に覆われていた。だが、広々とした展望のきく所でゆっくり休憩できるのは気持ちいい。その先も樹林帯が続き、また次の「苺平」の手前の展望の素晴らしい所で休憩をとった。その後は、泊地の「南御室小屋」まで30分と看板に書かれていたが、歩みが遅くなった為かかなり長い時間かかり、泊地に到着。早く歩ける人達に先に行ってもらいテント場所の地ならしをしてもらっていたが、雪が粉の為全く固まらないので困ってしまった。この連休、意外にこの山に来ている人が多く 、他にテントが6つほどあった。1日目の夜の食事はKkさん試食済みの「マーボー丼」だったが、水を入れすぎて辛味が薄まり、コックはちょっと不満模様であった。でも、おいしかったですよ!
2日目、ここにテントを張っていくことになったので、ゆっくり起床。しかし、食事・水を作るのに予想外に時間がかかり、予定出発時間をかなりオーバーしてしまった。その日もアイゼンをつける事無く歩き始め、少し急な所が続き、雪に埋もれた薬師岳小屋の横で休憩。その先、稜線上に出始めると、かなり風がきつかった。そして、花崗岩の広がる「薬師岳」に到着。雪稜恒例の「ヤッホー」と記念撮影をして、すぐに出発。しかし、風のきつさに不安を感じ、私とA木いさんは戻ることにした。途中、行きに休憩した「薬師岳小屋」のところでツエルトを広げ、休憩と食事をした。陽があたるところで、風を防ぐとポカポカ陽気になり、おしゃべりをしながらうとうとしてしまった。そこで1時間ぐらいゆっくりし、ぼちぼち帰ることにした。北岳にかかっていた雲が丁度晴れ始め、撮影タイムに。寒い中、カッコをつけながら「北岳」と「富士山」の写真を撮ってもらった。テントに戻ってからは、寒いので水を作りながら2人で暖をとっていたが、6人がなかなか戻ってこないので不安になりながら待っていた。かなり水を作ったつもりでいたが、夜の食事だけでほぼなくなってしまった。水作りは大 変だとつくづく思った。
3日目、今回のメンバーは小食で、8人なのにα米2袋の雑炊で朝食終了。前日朝支度にかなり時間がかかったので、皆行動を迅速にしたため、ほぼ予定時間に出発。前日にM上さんが左膝を痛めたということで、皆と間を空けながら下ってきたが、予定より早く駐車場に到着。最終日は晴天で、途中富士山を見ながら、又、夜叉神峠では北岳・間ノ岳等の山頂を拝むことができ、とても爽快だった。
今回、1日目は結局歩みが遅くて最後尾となり、2日目は風の中ふんばる勇気が無く途中で引き返してしまい、まだまだ体力をつける必要性を感じた。しかし、この8人で天気のいい中、すばらしい風景を眺める山行が出来て、とても楽しかった。ありがとうございました。

Kk

  心肺機能が弱いからか、高い山に行くと、大抵気分が悪くなって、調子が大分落ちます。そこで、M田さんのお薦めで斉藤先生の診療所で高山病予防に有効だといわれている柴苓湯とダイアモックスをもらいました。先生の指示に沿って、出発日の二日前から飲んでいました。ところが、頭痛もしなかったし、止まっていれば何も感じなかったのですが、やはり、高所の登りでは、息が苦しかったです。
地蔵ヶ岳からの帰りに、大分遅れを取って本隊から逸れてしまって、暫く目が届く場所に誰も居なくて、殿のM上さんとの二人パーティーになっていました。散々迷惑を掛けましたが、励ましてくれていたボディガードみたいなM上さんに感謝しています。日が暮れた後、泊地に戻りましたが、私が普通に歩ければ、もう少し早く着いたかもしれないとも思います。今回も調子が悪かったのですが、厳冬期のアルプスで2泊3日のコースについて来られただけでも、とても嬉しかったです。また、稜線上で見た夕照の甲斐駒ヶ岳の神々しさは素晴らしかったです。 

H笠

  間際に行かしてもらうことにしたため、プランニングから参加できなくて本当にすいませんでした。装備、料理、地図など全て準備していただいて感謝しています。
 前夜:22時集合が、もたもたしてバスに乗り遅れ15分遅刻。ごめんなさい。小雨降る中、中部横断自動車道 白根インターから芦安方面へ。以前なかったバイパスができており、コンビニは、少し戻る必要があるので注意。夜叉神峠登山口までほとんど雪なく、路面も凍ってさえいない。登山口手前のゲートは冬季17時〜8時まで閉鎖のため、道で仮眠。
1日目:登山口は雪なし。峠あたりまでは土が見えているところが多かった。ずっとトレースあり。南御室小屋でさらのエスパースを使用。南御室小屋は一部開放されていて、中で4,5人ならテントはれる模様。トイレは使用不可。パーティはわれわれ含めて6,7か。Kkさん作の高野豆腐のマーボー丼、シェフは納得してなかったようだけど本格的でボリュームあっておいしかった。10時就寝。
2日目:5時起床。起こしてもらわなければずっと寝てる・・・テントはそのままで8時出発。少し時間かかりすぎだ・・・水が足りずに雪から作ったのが大きな原因か。朝食メニューもとてもおいしくて罰が当たりそうですが、乾麺のうどんは少し時間がかかるので急ぐときはNGかも。
 トレースを追って森林限界超えると同時に稜線に出る。風がきつくてときおり足をとられる。薬師小屋周辺も風がきつくて日が照っていても冷える。ここでゴーグル、目出帽装着。薬師岳越えたところで、A木さん、F田さんが、迷惑をかけるといけないからという理由で戻られることになる。二人の分もがんばらなければという気持ちに。観音岳までの途中、うわさのシレイ沢を上から見下ろす。なかなかの傾斜ですぞ。観音岳を通過したあたりで時間的に微妙になるが、リーダーが時間を決めて地蔵岳に向かう。みんなで地蔵岳オベリスクの頂上下まで登り、おりる。帰り、なかなかよい休憩場所がなくツエルトを出し寒さをしのぐ。甲斐駒、千丈、北岳からはるか南のたぶん聖まで、八ヶ岳、富士山など眺望は最高。薬師岳に戻った頃には日が北岳の向こうに沈みかけ、ヘッデン必至の様相に。トレースもところどころ消えかけている夜道を歩き、テントに18:40着。A木さん、F田さん、ご心配かけてすいませんでした。6人で地蔵岳までいけて本当によかった。晩はF田さん作のゴージャスな肉じゃがでおなかいっぱい。軽くて工夫されてるメニューで参考になりました。やっぱり10時就寝。
3日目:5時起床、8時出発。テント撤収も含めて昨日よりだいぶ時間は前向きに前進。よい天気の中、景色を楽しみながら予定の13時に登山口へ。わたしは固い意志でもって後半行動食を食べないつもりだったのに、リーダーの食べるかりんとうの誘惑に折れた。帰りお風呂であったまる。ぎょえ、体重増えてる・・・
 今シーズン3回目の、厳冬期は初めてのアルプス、鳳凰は2回目の山行だった。女性陣はなんだかおなじみメンバーであうんの呼吸になりつつある気がする。全体の反省点としては、人数も多い分、水作りなどに時間がかかるので協力しあって、みんなが時間短縮の意識をすること。休憩もやっぱり短くしていく必要を感じた。次回に生かそう。個人的には、精神面の修行が足りない。物質面にしても時間の観念にしても、どうしても自分中心の思考になって、自分の首を絞めている結果になる。振り返って考えると、随分助けてもらって達成感を得た山行でした。ご一緒させていただいたみなさん、本当にありがとうございました。
 それにしてもお天気に恵まれ続けているので、冬山はこういうものだと思っちゃっていいのでしょうか、神様。
 

A木い

  共同装備のラジオ、携帯電話を置き忘れする失態から始まり大変迷惑をかけてしまった。二日目薬師岳を越え観音岳を目前に、強風の中、自ら引き返しを申し出て、皆さんの足を引っ張ってしまった。今からこの強風の中、観音岳を経て地蔵岳へ行くとすると帰りが夜になり、この強風下で万一転倒等、負傷でもすればと考えるとみなさんに迷惑かけると思い、リーダーに申し出て引き返すことにした、悔しい気持だ、F田さんもいっしょだ。風の静まる間の北岳、間の岳の展望が素晴らしく、撮影などして二人で楽しんだ。三日目、最高の天気に恵まれ、空の青、南アルプス連峰の白が眩しかった。計画書から装備のチェックなど、K藤さんありがとう。Kkさん食料の準備と地図をありがとう、F田さんおいしい料理をありがとう。そして、気配りしていただいたリーダーに感謝します。    

M上

  3日間お疲れ様でした。積雪は少なくぽかぽかした天気に恵まれましたが、2,000m以上は風に苦しめられました。ゴーグルも持参していましたが、動いているとくもるので、使わないでいるとほおに少し凍傷になってしまいましたが、鳳凰三山に行った証と思っておきたいと思います。2日目に斜面のくだりでアイゼンが外れて左ひざをひねってしまい、行動が遅くなったのと荷物をもってもらってみなさんにご迷惑をおかけしたのは、申し訳なく思っております。休憩のときにアイゼンのベルトをこまめにチェックし締めなおしておけばっと後で思っても後の祭りでした。次回に参加するときは、早め早めの対応で、これらの失敗をしないようにしたいと思います。北岳と富士山は、美しく何時間見ていても飽きそうになりません。 

K藤

  私にとっては初めての厳冬期の縦走でした。お天気は西高東低。青空でしたが、稜線は風が強く、厳冬期を十二分に体感した山行でした。泊まりの山行では初めてのサブリーダーでしたが、稜線では景色を見る余裕もなく、メンバーを見る余裕もなく・・・、1m前を見て歩くので一杯一杯でした。大きな事故がなく終わって良かったです。心身ともにパワーアップして、次の冬は、もっと余裕を持って山行を楽しめるようになりたいです。
 夜叉神峠から白根三山がとてもきれいに見えました。キャンプ地もあり、いつか必ずここに泊まって、モルゲンロートの白根三山を見たいと思いました。

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