京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 初雪山 |
---|---|
メンバー | L:H内(文)Y田 |
期日 | 2007/4/8 |
山域・ルート | 北アルプス 初雪山 |
山行形態 | 残雪期縦走 |
緑濃い立派な山容を栂海新道から見て気になっていた山だが、今回少し調べてみると、どうも登山道は無さそうだ。
そこで、今年の異常な暖冬で残雪の少なそうな三周ヶ岳〜美濃俣丸縦走を残念し、この山を登ってみることにする。
どうも小川ダムあたりから入り、長い尾根を辿るのがメインのようである。現地にいってから取り付き地点を決めることにする。
1泊2日にしたかったが前日が会の総会であるので、珍しく前日の日中に登山口まで移動し、山自体は日帰りとする。
地形図から、比高と距離、残雪状況を考慮すると残雪の状態が良くて行動時間12〜13時間の算定になる。従って藪の出かたやルート次第では登頂が無理な可能性も高い。
これらを覚悟で山行を実施する。
Y田さんと前日13:00野洲駅で待ち合わせ、東海北陸道経由で進む。大日ヶ岳は残雪少なく、初雪山の雪の量が心配である。小川ダムには21:00到着しすぐに就寝。
4月8日、朝5:00起床。天気予報では朝から良い天気といっていたが曇天。車で登山口へ移動。踏み跡が見つからず、荒れた林道を上がることにする。林道分岐で橋の掛かる場所に駐車する。
5:55出発。30分で林道終点だが南斜面なので全く残雪なし。先が思いやられる。林道終点は地形図と違っており、北東に向かって終わっている。ここは樹齢の高い植林帯で判読出来なかったようである。
さてここからは道が無い。見通しの効かない緩い斜面を北東〜北に進む。やがて標高530m地点からは・621mを目指し北西に向きを変え急傾斜の藪尾根を這い上がる。621mからは緩くなった明瞭な尾根を少し下って先の鞍部に出る。直ぐ西の沢の音が大きい。
期待していた右斜面からのルートはない。ここからは三角点を目指すつもりだったが藪で時間が掛かりそうなので最短で行くことにする。
背丈を越える厄介な藪をもがき、北北東に進み、支尾根に乗るとやっと藪漕ぎから開放され、待望の残雪が現れる。同時に南東からの薄い切り開きがある。しかし赤ペンキが無造作に木に塗られていて景観を損ねている。
ともあれ、これで登頂の可能性が高まったが、見え出した初雪山の遠さには安心していられない。2時間で2割来たかどうかである。
しかし、さすが豪雪地帯にある初雪山は白く輝いていて登行欲を掻き立てられる。
15分で初雪山から延々と続く稜線に出た。なんと登山道がある。下山後調べると小川ダム下流の右岸から新しく出来たとのことである。
また、数人の踏み跡が残雪の上にはっきりあり今日登っているようだ。
残雪の上を行くようになり、ブナの疎林の続く広く緩い尾根を快調に進む。スピードをあげ、1時間余りで大地山に着く。雪はあまり硬くないが、くるぶしまで沈む程度でそれほど問題はない。
大地山下りからは正面に初雪山が格好よく、これから先、延々と素晴らしい雪の回廊になっている。左には白鳥山や犬ヶ岳も良く見えるがやはり初雪山の存在感が大きい。
大地山からは一旦下りになり、広い鞍部に出る。ブナ林などの木も低くなり、視界が大きく広がり、快適な雪山の稜線漫歩となる。太陽も出てきて眩しい。
下りきった場所で先行のパーティーに追いつく。地元富山県氷見市の4人パーティーで、3度目にやっと登頂された方もいた。地元でも滅多に登られていない山であると教わる。わざわざ京都から来たということで4人の話題の的となった。
鞍部の先に残雪のブロックが北斜面に迫り出して危なっかしい場所があったがここ1箇所のみであった。ここだけは藪にルートを求める。
・1223mはあっさり通過し、やがて広大な二重山稜となる。残雪豊富でテント泊には良さそう。ここから見る犬ヶ岳と初雪山が格好いい。1泊2日案ならやはりここが泊地として正解である。
尾根が広く収束し、・1293mの先からはまた二重山稜になり、どちらの尾根を進んでも良い。真ん中が大きな凹地地形となっていているのが面白い。
ここを過ぎて長時間の歩行でかなり疲れているが、まだ標高差300mを登らないといけない。気合をいれてゆっくり確実に登る。山頂手前の肩からは朝日岳、駒ケ岳の山々や眼下には北又川源流が真っ白に見える。
最後の登りで急にガスが掛かってきた。もう少しで山頂の大展望なのに、残念。風も出てきて寒い。4人パーティーとほぼ同時に山頂に到着。景色は見えない。4人パーティーから手作りのおかずや漬物などをお言葉に甘えて頂いた。どれも美味しいものばかりで本当に感謝である。
雪が舞ってきた。待っていても回復しそうに無いので先に下山開始。300mを下りきるとお陽さまが照っている。さっきの寒さが嘘みたい。天気の加減で体感温度が全く違う。
風も弱くなり、また快調に飛ばす。東に迫り出したブロックは藪ごと大きく迂回した。大地山からは富山平野と日本海が光っている。
どんどん下り、ブナの森を抜け、行きに出た支尾根でどうするか検討。どうもこの先は地形図からして急な尾根を真っ直ぐに下の林道まで降りているものと思われる。林班の境界見出し標がある。
思案した結果、行きの藪尾根は止めて、この林班界を下る。予想通り一直線に急下降。切り分けてあるが道にはなっていないので下りにくい。藪の中に迂回したりしながら一気に450m程を下りきる。
17:05林道に着き、林道を歩いていると直ぐ側にカモシカがいて、こちらを興味深く見ている。こちらも負けずにカモシカを興味深く見る。こちらが首を伸ばすと、カモシカも真似するように首を伸ばす。実に面白い体験をさせてもらった。
そこに1台の車が通りかかりカモシカのことを知っておられた。その方は横のわさび田を持っている方で、山の話しや畑の話しを、会ったことは何かの縁と立派なワサビとクレソンをたくさんお土産に頂いた。
夕日が傾き、もうこの谷間には日が当たらない。長い長い1日が終わった。
今回は日帰りとしては異例の遠さで、また山自体も日帰りはぎりぎりの圏内である。登りに6時間20分、下りに5時間を要し、久し振りにハードな山行となった。
しかし、決して有名ではない初雪山ではあるが、今まで自分が行った日帰りの山としてはなかなかの風格があり、名前も何か惹かれるものがあります。
また残雪期しか登頂の機会が困難なこともあって、魅力的で有意義な山行となりました。
行程の長さは合宿で行った毛勝山大明神尾根にも届きそうで、高度差も延べ1,500mあります。皆さんも機会があれば是非行かれてはどうでしょうか。