播磨 雪彦山(無雪期アルパインクライミング)

山行 雪彦山クライミング
メンバー イナノ、ヒカサ
期日 2007/5/26
山域・ルート 雪彦山不行岳「北東壁正面ルート」
山行形態 無雪期アルパインクライミング

所感

今年も昨年に続いて相棒と雪彦へクライミングに行きたいと思い、どこのルートを登ろうかとネットで検索していた。そしたらある山岳会のHPで「温故知新」というルートが昨年開拓されたと知った。しかもトポを見るとフリー化と書いてあった。面白そうだと思い相棒にこのルートを登ろう!!とトポを添付してメールした。

「温故知新」を登ったつもりが「北東壁正面ルート」だった。
トポにフリー化と書いてあるのにぼろぼろのハーケンやボルトしかなくて登攀中からおかしいとは思っていた。京都に戻り温故知新の記録を読み直した。我々が登ったルートと記録・トポとつじつまが合うので最初は登ったと思っていたが、実際はまったく違うルートだったと判明した。なぜなら以下4点の理由から。

  1. ある山岳会の温故知新の写真を見ると支点の輝きがあまりにも違った(とても綺麗なボルト)。
  2. 開拓者からNO3終了点から10メートルほど登ったところが温故知新の取付きだと教わった。
  3. 古いハーケンボルトも残っているが新しく10ミリのステンレスのグージョンを打ち、終了点もラッペルステーションにしているので安心して登ることが出来ると教わった。
  4. 登山体系の北東壁全体のトポを見て自分達が登ったルートがわかった。

 当日別パーティのO村さん・F澤さんと一緒に5時頃京都を出発して高速にのった。途中中国道にのらないといけないのに、私と運転手F澤さんで沢の話で盛り上がってしまい気づいたら阪神高速にのってしまっていた。あれれれ??違うのでは??と気づき、京都行きの阪神高速にのりなおして途中でおりて下道をはしり中国道にのり雪彦へむかった。あ〜大変だった。雪彦についたら8時半頃で準備をした。私と相棒はフリー化と書いてあったのでシングルで登ろうと思いフリーロープ1本用意した。あとカムもいちよワンセット持っていくことにした。

不行岳へ行くのは初めて。東稜の取付き下部まではいつものように沢を渡りつめる。今回はドンピシャで東稜取付下部までいけた。そこから右へ三峰のほうへいきまわり込んで不行岳へ行く事も可能だがチョックストーン(CS)のある不行沢をつめていくことも可能ということで、我々は沢をつめることにした。ひえ〜沢登りじゃないですか!!!あれれ?東稜の取付きから簡単にCSの上部にいけることが判明。帰りはそっちから下ろう。そしてしばらく沢をつめると不行岳北壁へ到着。

(1ピッチ目から3ピッチ目までは北壁バンドへ行くルートと同じ)

1ピッチ目:ヒカサリード

フェイスでピンはそこそこあり楽しいルート。出だしスラブを登り少し右に行き左へバンドを進んで右上へ進み回り込んで終了点へ。最後回りこむ箇所が少しやらしいが、右上にガバがありそれがとれたら問題なし。シングルロープでは流れが悪かった。

2ピッチ目:イナノリード

草付まじりで岩はもろい。最初フェイスを少し登ったらテラスがあり左側から登り右上する。立木でビレー。ブッシュの中を少し登り3ピッチ目へ(NO3チムニー下へ)。

3ピッチ目:ヒカサリード

NO3チムニーの左側壁のカンテ上を登る。途中に良い支点があり一安心。終了点もトポに書いてあるとおりラッペルステーションあり(NO3チムニー終了点)。快適なピッチ。

4ピッチ目:イナノリード

(以下の内容は温故知新を登ったと思いこんでいた。実際はNO3チムニー終了点から正面ルートを登っていた。)
ここから開拓されたフリールートのはずが・・・。あれれ?ルートはどこだぁ?左上にハーケンが見えその先まっすぐ上にステビナがついたピン・リングボルトと見えるけどあってるのかなぁ?ハーケンはぐらぐらで腐っていた。なんか気持ち悪くて行く気がしないので戻る。右側から少し登って左へトラバース?ということで右側を登るが進みすぎると北壁バンドに進んでしまう。(本当は間違ってなかった)え〜わからん、また戻る。O村チームに先に行ってもらうことにした。
O村さんが左へトラバースして進むとトポにも書いてあるリングボルトを発見し、その上の立木まで進んでいった。トポによるとおそらくそこがビレーポイントらしい。先を見てO村さんは行くのをやめて戻ってきた。雨あがりということでクラックの中は濡れていて次のピンまでランナウトしているといことだ。
相棒とここで敗退するか悩んだ。とりあえず先がどうなっているか見に行き敗退するか決めることにした。トラバースは少し緊張した。途中にピンが無いので枝でランナーをとって進む。リングボルト(懸垂用)まで行きその先の立木まで行こうとしたが、濡れていてコンディションが悪く気持ち悪かったのでそこでビレーすることにした。

5ピッチ目:ヒカサリード

私がいるビレー点に来て本来のビレー点(立木)まで進んだ。しばらくそこで上を見て行くか悩んでいた。コンディションが悪いけど行く事に決めた。私のビレー点からはまったく見えないので先がどんなことになっているかわからないが、ザイルがゆっくりと進んでいった。(約30メートル カム2個使用)フォローで私が続いて登っていった。ひえ〜相棒よく頑張ったなぁ。ピンはランナウトしていて腐っているし、クラックは濡れていた。クラックに沿って登っていくと本来のビレー点(ハンギングビレー、リングボルト.3個、変形していた)があった。そこで相棒はビレーをせずにランナーをとり、先に綺麗なボルトがあるだろうと思って進んだらしいがそれらしきものは無く、腐ったスリングが付いた懸垂用のリングボルト2個でビレーをしていた。相棒からクラックを登っている時にテンションしたらあかんで!!と叫ばれた。まじですか!!支点がそんなに悪いのか。とても緊張した〜、ノーテンで登れてよかった。

6ピッチ目:イナノリード

最終ピッチ。そんな恐ろしいビレー点で休憩する気もなくすぐに登りだした。フェイスを少し登ると小さなハングがあり、右側にリングボルトが連打されていた。連打されているほうへ行くのかなぁと思ったがフリーで行けそうにないと判断し左側へ行き(登山体系によるとA1ルート)、左斜め先にある立木テラスへ向かった。そしてそこでビレーをして終了した。

下山

懸垂で終了点から5ピッチ目途中通過したハンギングビレー点まで行き、3ピッチ目終了点までいった。そして2ピッチ目途中のテラスできって取付きに着いた。
戻ってきたときに、本当に無事でよかったと思った。

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イナノ

敗退するか悩んだとき相棒は敗退しようと言うかと思っていた。しかし予想していた答えとは反対のいけるとこまで行くと言い出した。少しびっくりしたが相棒の気持ちに一緒に頑張ろうと思った。緊張は取付きに戻ってくるまで続いた。本当に無事でよかった。 登攀を終了しフリー化とはどういう意味なのか?とわからなくなったがルートを間違えていたことがわかり、あとはフリー化を確かめに再度登りに行くだけだ!!今度こそは楽しもう!!!

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ヒカサ

 うーん、思い込みとは恐ろしいものだ。トポとかなりつじつまがあったこともあったが、今から思えばボルト全部信用できなかったし、トポ上4ピッチ目の出だしは終了点から少し隙間もあるし、「露岩」は左には無かったし、懸垂しても3ピッチ目終了点におりてこれないし・・・。最大の間違いは、温故知新のトポのみを見ていたことだ。登山体系の岩全体図を見ていたらわかったかもしれない。自分のいる場所から見える範囲のみで考えていた。たまたま抜けることが出来たから良かったものの・・・。事故寸前だ。今地面を歩いていることが本当に嬉しい。 
フリー化とはフリー化なんだと再度確かめに行こう、相棒!!

 

 

 

 

 

 


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