御嶽 王滝川 鈴ヶ沢

山行名 御嶽 王滝川 鈴ヶ沢
メンバー L:I野、H内、H笠、K浴、T村、K藤、H岡(山の会TENSION)、M(下京山岳会)
期日 2007/7/29
山域・ルート 御嶽 王滝川 鈴ヶ沢
山行形態 沢登り

コースタイム

―7月28日―
京都駅22:00→中津川IC→三岳道の駅2:30仮眠
―7月29日―
起床6:00→鈴ケ沢橋ゲート→出発7:45→三沢橋8:20→入渓8:27→二俣8:30→林道9:05→大滝9:34→斜瀑10m11:23→洞穴11:46→最後の30m直瀑高巻12:30→藪こぎ→カレ地帯14:00→小三笠山付近→ 中股下降開始14:35→林道15:54→東股との二俣17:00→駐車場17:25→温泉「王滝の湯」18:00→京都23:30

記録

I野

7月28日 晴れ

メンバー全員が行けるようにと木曜晩に日曜遡行と決定したが天気が怪しい。少し心配していたが、週末になるにつれて天気は回復。やっぱ私って晴れ女やわと思いながら京都駅へ向かった(笑)H内さんが電車に乗り遅れたということで、菩提寺SAで合流し中津川ICへ走った。中津川ICからは19号線をひたすら北上する。これがまた長い。三岳道の駅に2時半頃到着して仮眠した。

7月29日 晴れ時々曇り

 6時に起きてパッキング。今回は日帰りなので荷物が超軽い。7時に道の駅を出発して鈴ケ沢橋へ向かった。先行パーティはいないようだ。ゲートを7時45分に出発して40分ほど林道を歩くと三沢橋へ到着した。
 橋の左側から簡単に沢に降りることが出来る。入渓してすぐに中股との二俣に出会う。中股は少し薄暗く、逆に東股は自然と進んでしまうほど明るく広い谷である。トップを歩いていたH笠さんに後で聞いたらまったく二俣に気づかなかったようだ。
 東股に入ると斜瀑が続き右側から巻き、さらに進むとナメが始まった。ナメ床を進んでいくと林道が見えた。林道をくぐってもナメは続き、斜瀑をシャワークライムしながら進む。そしてこの谷の見ものである3段大滝が見えてきた。滝は細いので実際の長さよりも長く大きく見える。この滝の巻きが核心で、記録によると中段まで右岸を登りトラバースと斜上を繰り返すと尾根に出て樹林帯を下ると落ち口に出ると書いてある。とりあえず書いてある通り中段まで進み、浮き石の多い傾斜を登ると尾根に出て樹林帯を下ると谷へ戻った。記録よりも意外と簡単であっという間に巻きは終わった。遡行者が多いのか巻き道は明瞭で踏み跡がばっちりついていた。
 ここからはナメとトイ状の滝がメインとなる。いくつもの大釜を持ったトイ状の滝が出てきて、何度もウォータースライダーをしようと思ったが傾斜がきつく流れが速いのと深い釜が怖くて出来なかった。ライフジャケットを持ってきたらよかったと何度思ったことか。
 斜瀑10メートル・スダレ状15メートル(1600メートル地点)を過ぎ、トポに書いてある洞穴を確認し、トイ状20メートルを過ぎると次第にゴーロとなり左側に大きな赤い壁のガレ地帯が見えてくる。(12時10分)(1640メートル地点)そして更に進むと大きな岩にぶつかった。谷が終わったのか??これが滝?大岩では?1630メートル地点から谷が3本に別れる。我々が進んだ谷は本谷であることは間違いなかった。H内さんも確信をもっていた。トポには30メートルの直瀑と書いてあったのでどんな大きな滝か期待していたが、水量はまったく無く岩から染み出しているだけだった。少し谷を戻り左岸の草付から大きく壁を巻いた。そして落ち口から少し上流地点で谷に戻った。少し進むとまた大岩があり水量はほとんどない状態だった。ここでとりあえず休憩をとり、谷を進むか中股に向けてトラバースを開始するかどちらかになった。我々は谷を詰めずに右岸の踏み跡を進み尾根を越えることにした。とりあえず尾根を越えて谷へ出ると景色が見えてくるだろうという考えだった。そして笹薮こぎが始まった。
 ある程度トラバース状に笹薮をこぎながら進み、さらに藪をこぎながら鞍部を目指し斜上することにした。(1920メートル地点)しかし藪は深く歩きにくいということで地図上のカレ地に早く出たほうが良いというH内さんの意見により、斜上をやめてトラバース状に歩いてカレ地を目指した。笹薮で倒木が見えず何度か躓いたり穴にはまりながら進むとカレ地の谷に飛び出た。もっと早くカレ地に出るべきだった。すいませんH内さん。地図読みをまたもや失敗してしまった。なんとか1940メートル地点付近の鞍部に到着し、小三笠山の北側のガレ場をトラバースして中股下降地点へ向かった。(1930メートル地点)
 中股下降は200メートルほどガレ場をしばらく下る。するとチョロチョロと水が出てきてナメが広がった。東股で遊べなかったのでナメを滑りながら降りた。(少しお尻が痛い)そして長いゴーロを下ると林道が見えた。(1475メートル地点)休憩を取り200メートルのナメ床を下りまた長いゴーロを進むと東股との二俣に戻ってきた。やれやれ。下りのほうが足元に気を使うので疲れる。日帰り沢にしては歩きごたえのある谷だった。
 小三笠山付近からは御嶽山が大きく見え、斜面はガレガレで面白い地形だった。この谷の下部はナメ・トイ状の滝・釜・斜瀑が充実していてゴーロ帯がほとんどなく高度をあげていき、上部は笹藪を越えて鞍部に出ると広いカレ地になっていてなんとも不思議な谷だった。昨年の秋に最後の沢登りに行こうと思い調べていたが行けず、今回リベンジすることが出来た。
 帰りに寄ったH内さんお薦めの温泉「王滝の湯」(鈴ケ沢の東にある溝口川の上流にある)は雰囲気がありとてもよかった。(500円/人)そしてまた長い長い19号線を走り、20時頃恵那峡SAでやっと御飯にありつけた。

H岡

 はじめて見学者として雪稜クラブの沢登りに参加させていただいた。「沢はそこそこ登っているし、体力も最近はトレーニングで鍛えているので、3級の鈴ヶ沢くらいはなんとかついて行けるだろう。」という思いと「本当に大丈夫だろうか。」という思いが交錯していた。計画書を見ると、帰京時刻は終電を過ぎる可能性が高かったので、車を出させて頂いた。(これは、正解だった。)はじめての方々と遡行を共にするのは緊張感が伴うが、その中で以前、大阪労山の冬山セミナーで一緒だったK藤さんが行かれると知り、だいぶ気持ちが楽になった。
 さて、遡行開始。はじめに出てきた20メートルの斜瀑はガイドブックによると左岸から越すことになっているのに、H笠さんは水際をきわどいバランスで上に抜けてしまった。他の雪稜のメンバーもすべてそのルートをとる。私は、安全第一で左岸の岩の登りやすそうなところを登った。このあたりからも、雪稜メンバーの意欲的なところを感じた。
 次にでてきた12メートルの斜瀑。これも左岸から巻くことになっているのに、H笠さん、I野さん共々少し岩を眺めていたかと思うとスイスイと水流横の岩を登り切ってしまった。そして上からお助けヒモをたらしてくれた。私が唖然とする中、みんな順番に登っていく。私は自信なげに取り付いたが高さ30センチほどのところでさっそくバランスをくずし、ドボン!!お尻から着水し全身濡れ鼠となった。まあ、これも御愛嬌か。2回目のトライで登れたときはホッとした。
 それからは記録にあるとおり、高巻きあり、藪漕ぎあり、ゴーロ歩きありのバラエティに富む11時間近い遡行を成し終えた。沢の詰めでのH内さんの的確なルートファインディング、メンバーのゴーロ歩きの早さなど、やはり雪稜メンバーはただものではないな、という印象を持った。しかも、遡行を終えた頃にはすっかり旧知の間柄のように和んでいた。楽しく、しかも充実した沢登りをありがとうございました。

K浴

 今回の沢は、フェルトソールを張り替えた沢靴がいかに威力を発揮するか、ということがボクにとって大きなポイントであった。製品名は忘れたが、山の店ではなく釣具店で入手した1000円ちょっとのボンド・サンドペーパー付フェルト張替セットであった。元のフェルトを剥がすのではなく、それをカッターやヤスリで削って平らにならしてから新しいフェルトを接着し、余った部分を切り取り整形する、という代物であった。フェルトを削る作業は案外手間取るもので、完全に平らにできないまま、新しいフェルトを接着した。これが剥がれないかどうかが、当初もっとも大きな関心事であった。
 さて、鈴ヶ沢はナメが美しく、登攀要素はあまり大きくない沢である。リニューアルされた靴にとって恰好の沢だと思った。歩き始めてしばらくして、小石をコンクリートで固めたようなナメが現れた。溶岩流の名残であろうか。フェルトが新しい割にはけっこう滑るモンだと思ったが、他のメンバーもツルツルしていたので、これは仕方がないかな、と思った。また新なフェルトの厚みが加わったので、若干バランスが悪いのかな、とも思っていた。20メートルの直瀑の巻道は心配したが、案外簡単に抜けられた。しかしその後いやに足元がおぼつかないと思いながら進む。途中、トイ状の滝の脇を登っているときであった。足元がツルンと滑ってウォータースライダーに。若干水を飲んだが大事に至らず、一安心。パーティのメンバーには少し心配をかけてしまった。
 その後、少しアブナそうなところ(恐らく通常はそうではないと思うが)ではI野さんにロープを出してもらい、へっぴり腰姿で通過していった。そして無事沢を登り切った。といいたいところであるが、じつはもう一度ヒヤッとした場面があったことは、他のメンバーには気づかれていないかもしれない。かなり傾斜の緩い滝の脇を登っているときであった。誰も滑るとは思っていないのでロープは出されていない。そこでツルンとやってしまったのだ。幸い、すぐさま膝当てにしているバレーボール用のサポーターが十分フリクションを発揮して、その膝で止まったのである。サポーターをほめてやりたい、というかこのフェルトはそれ以下なのであった。
 そんなヒヤヒヤな場面を何とかやり過ごし、東俣を登り切る。稜線は御嶽の中腹である。何度か山スキーで訪れたところは間近であった。夏のようすは初めてである。こんなに樹影が濃かったかな、などと思いながら展望を楽しむ。下降に使った中俣はゴーロが多い沢である。相変わらずツルツル滑りながらも、無事に下山できた。
 後日談。くだんのフェルトしっかり付いていたが、つま先部分は約1/3位にすり減っていた。たった1日で半分以下になっていたのである、そしてやけに土が目に詰まっていた。つまりボンドの心配は杞憂に終わったが、フェルトの目が粗く、土やヌルゴケなどが付きやすい構造になっていたのではないかと考えられる。あくまでも素人判断であるが。ただ、忠実に三点支持を行っていれば、スリップしても落ちることはない。さらなる言い訳になってしまうが、ここのところ肩が痛くて、手を挙げるのに若干不自由を感じていたのである。医者に行くと、スポーツをきっかけ(数ヶ月前からジムに通い始めた)とした五十肩と、軽微な頸椎椎間板ヘルニアだそうだ。ショックであった。いきなりの無理は禁物だということを思い知った。これからしばらくリハビリである。そしてこんな状況であったにもかかわらず、沢に出かけたことを反省し、また他のメンバーにはご迷惑をかけたことを詫び、サポートしていただいたことに感謝します。
 

△上に戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


△上に戻る

Copyright (C) 京都雪稜クラブ. All rights reserved.