京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行 | 北アルプス 金木戸川小倉谷(沢登り) |
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メンバー | L:F澤(文) N村 K藤 |
期日 | 2007/8/11〜8/13 |
山域・ルート | 北アルプス 金木戸川小倉谷 |
山行形態 | 沢登り |
起床6:00→第2ゲート7:00→小倉谷出合9:00〜9:20→10m樋状滝10:00→15m横向滝11:10→1470m2股キャンプ地15:00
起床6:20→キャンプ地7:20→5m滝左落ち口8:20〜9:00→第2核心部6m右向き滝9:40〜11:15→10m斜瀑(ゴルジュ終了)11:55→40m直瀑(ナメ終了)12:25→40m直瀑巻き終わり12:50→2股の滝13:20→3段40m滝14:30→30m直瀑15:00→2070m2股キャンプ地16:20
起床5:30→キャンプ地6:25→笠ヶ岳9:15〜9:40→笠ヶ岳山荘10:00〜10:25→笠新道Co2600付近11:35→笠新道Co2450付近12:30→左俣林道15:15→新穂高温泉16:15
前夜,金木戸川林道へ。3年前,入会して初めての合宿で九郎右衛門谷に行った時は第1ゲートが施錠されていたが,今回は第2ゲートまで入れたので2時間の時間短縮ができた。が,道の状態は悪く,H谷号であればオーナーから悲鳴が上がり,O村号にいたっては悶絶していたであろう。F澤号のこの辺の強さは抜群である。
ゲートより2時間で小倉谷出合に到着。小倉谷入渓のためには双六谷本谷を渡らなければならないが,いきなり泳ぎでの渡渉となった。流れは穏やかなので,これでも双六谷としては水量は少ない方だろう。
小倉谷下部は単調な河原が続く。10m樋状,15m横向きの滝があるがいずれも容易に巻ける。記録にあった右手にクラックのある滝はすぐに分かったが,時間短縮のため左側から低く巻いた。この巻きはかなりいやらしいが,ロープなしで通過。そのすぐ上にも通過困難な3mほどの滝がある。左側からショルダーでN村を上げてロープをフィクス,後続はカムと長短スリングを使って人工で上がる。
途中軽装の釣師2名を見る。魚影は濃いがここは禁漁区に設定されている。これだけ開発しておいて何故?と思わずにいられない。キャンプ予定地の1470m2股に早々に到着。
行動開始直後いきなり第1の核心部に入る。15mほどの瀞の奥に2条4mほどの滝が掛かっている。トップが空身で左手のかぶり気味の壁をへつった後,直上する。後続は荷を担いで登ってもらおうとしたが大変そうだったので空身+荷上げに切り換えた。ここは無難に通過。
そのすぐ上部にも滝があり,落ち口左側の微妙なトラバースを強いられる。トップのN村がロープを出さずに行ってしまったので,F澤がロープを出して通過後もとの場所に戻り,両側を固定してK藤に通過してもらった。上の立木から補助ロープを垂らして中間にランナーを取ったがこれはやりすぎだった。ここには時間をかけ過ぎたようだ。
やがて右岸から流下する40mほどの落差を持つ直瀑が朝日を浴びて美しく輝いていた。この奥の滝が第2の核心である。釜の奥で6mの滝が右向きに落ちてきている。ここは経験を積んでもらうため,N村に空身でトップを務めてもらった。セカンドのK藤にも空身で上がってもらったが,岩登りのセンスはよいようだ。その後荷上げしようとしたのだが,これがどんくさかった。
まず,K藤にやるべきことを説明するのを忘れていた。セカンドのK藤はランナー通過後,再びランナーにロープを通して登っていたので荷上げできない。おまけにロープに結び目がついている。写真を撮っていたので経過を見ていなかったのである。
ランナーまで登り処置して仕切り直し。ところが今度はザックが滝の水流に押されて上がらないようだ。下からも引いて方向を変えてみたが状況は変わらない。いったん荷を下ろせと指示したが,なぜか途中で止まったままそれ以上下りてこない。
荷が停滞しているところまで行って押し上げようとしたのであるが,荷によって流路が変わった水をどっかぶりでかぶる羽目になり,とても近づけない。結局,ラストのF澤がもう一本のロープを引いて登る。一見難しそうだが実はガバガバで楽しいルートだ。
荷上げの途中で手を休めるようにロープをクローブヒッチで固定していたために上にも下にも動かせなくなっていたようだ。F澤が方向を変えながら引くと荷は簡単に上がった。N村早く半マスト覚えてもう少し工夫しようね。これもよい経験だと思う。結局N村のザックはあわれ30分も水流にさらされズタボロになっていた。禁漁区であったため出番のなかった釣竿も流されてしまった。装備はすべてザックの中にしまうべし。
まだK藤,F澤のザックが滝の下にある。落ち口から左手にあるテラスにロープ確保で上がりシングルで懸垂して荷上げの段取りを行う。先ほど登ったルートを確保なしで登り,懸垂に使ったルートで荷を回収した。この左壁は1か所大きなハングがあるが,容易に荷上げできる。
これで核心は終了。上部は10m斜瀑をはじめ幅の広いきれいなナメが現れるが,長く続くことはなくゴーロで分断されている。個々のナメはうっとりするほどきれいなのに散漫な印象があるのはこのためだろう。ナメの終わりの40m大滝は左の笹斜面を巻く。踏み跡が不明瞭でブッシュがうるさかったが,落ち口にどんぴしゃで出た。
この谷の見所はまだ続く。2俣の滝は左股の滝の左手を低く巻き上がる。滝上には見事なナメの連瀑が続いており,吸い込まれるように登り始めてしまった。出合の滝上に出た後すぐに中間尾根を乗越して右股に戻れば速かったかもしれないが,この連瀑を楽しめたのでよしとしよう。実際ここが一番きれいだったように思う。右側の尾根が低くなった所で藪に突っ込む。かなりうるさい藪だが問題なく右股に戻った。
続いて3段40m滝登場。下部は右壁を攀じ,上部は右手の藪から巻く。N村が上部を直登したがっていたが,我々の力量では危険なので却下した。なお,計画を立てる上で参考にした"北アルプスの沢"ではこの滝の写真がさらに上にある30m直瀑のキャプションがつけられて掲載されているが,これは誤りである。
その30m直瀑は左から簡単に巻くことができる。やがて笠ヶ岳ピークがどーんと現れる。初めて日高のカムエクが見えたときのような感動を味わえた。
2070m2股にテント場を見出してC2とする。第2核心部でどんくさいことをやったおかげで16時を過ぎたが行動時間は想定内であった。
左の本流には15mの滝が掛かっているが,笠ヶ岳頂上が見えないのが惜しい。ここには雪渓が残っており,ビールをキンキンに冷やすことができた。
キャンプ地から水が涸れるまでは小滝が連続し,快適に高度を稼げる。水が涸れる直前の2股は水流のない右に入りクリヤ谷からの道に出ることも考えたが,左の水が出ている沢をとった。上部のガレの処理が大変だと聞いていたが,ルートを選べば問題はない。最後は頂上より30mほど左の頂稜に飛び出した。高度差850mを3時間弱で登った。360度のパノラマを欲しいまま。
笠新道の下山が核心であった。Co2400から下の斜面につけられた道は無駄にジグを切っており,一向に高度が下がらない。K藤が靴ずれに悩まされ下山に7時間近くかかってしまった。
新穂高温泉のバスターミナルにはタクシーがプールされていて,定額1万2千円で金木戸第2ゲートまで。