北アルプス 剣チンネ左稜線

山行名 夏本番!! 女二人の岩合宿・剣・チンネ左稜線
メンバー L:H笠 I野
期日 2007/8/5〜8/7
山域・ルート 北アルプス 剣チンネ左稜線
山行形態 岩登り

コースタイム

8月5日
4:50起床―6:10ケーブルカー臨時便乗車―7:23室堂バスターミナル7:40―10:00剣御前小屋―11:00剣沢小屋―12:00アイゼン装着―12:23長次郎谷出合―15:00熊の岩―16:05池ノ谷乗越―17:30三の窓―18:30夕ご飯―19:40就寝
8月6日
3:55起床―5:25出発―6:30チンネ左稜線とりつき―7:00登攀開始―12:20 9Pの核心終了―14:05チンネの頭―14:10下山開始―15:30三の窓―16:40夕ご飯―18:40就寝
8月7日
3:45起床―5:02出発―5:35池ノ谷乗越―7:20剣本峰手前のコル―7:40剣岳頂上8:00―9:00前剣―10:20剣山荘―12:00剣御前小屋―13:00雷鳥荘―14:05室堂バスターミナル―14:50高原バス臨時便乗車―16:02立山駅―17:00亀谷温泉―22:00京都

記録

H笠

<装備>

・ 登攀具にキャメロット#0.5#0.75#1
・ 雪渓用に12本爪アイゼン・バイル兼用ハンマー
・ 防寒具に薄手羽毛着
・ 雨対策にライペンテント・ポール・フライ2〜3人用
・ ムーバ携帯ラジオ兼用でシーバー省略
以上入れてわたしの荷物・18kg、パートナーの荷物20.5kgになった。
BDの45リットルザックを使用した。

<計画>

 チンネは、A1しなくてよい初級者でも登れるルートとして本でチェックしていたルートだった。昨年北岳登攀後、パートナーと今年の目標に決め、天候のよい8月1週目に実行することになった。
 ルートの検討
1. 室堂から入ってチンネ登攀後、北方稜線を抜けて宇奈月から帰る。5泊。
2. 室堂から入って熊の岩ベースでチンネ登攀。2泊+予備1泊
3. 室堂から入ってチンネ登攀後、本峰経由で室堂。2泊+予備1泊
4. 馬場島から池の谷詰めて三の窓ベースでチンネ登攀。2泊+予備1泊
1→たぶん体力的に無理。また公共機関使うのが少々めんどくさい・休みがとれないので却下。
4→ルートファインディングに自信なく却下。
ということで2か3に決定。同じルートを帰るのはつまらないので本峰を踏んで少し、北方稜線気分を味わう3に決定。天気と疲れ具合によって、熊の岩ベースや平蔵谷下降もサブプランとした。
 8月1週目、出発日に向かって台風がくることが判明。職場に無理を言って休みを強引に3日後に変更し台風が去るのを待った。結果予備日がなくなって食料も1日分減らした。パートナーいわく、体調を整えるために天気がずれてくれたらしい。なるほど、そんなことありですか・・・
 出発日まで漠然とした不安が残ったため、出発日の日中、プリントアウトしたウェブの資料・本・地図全部持って喫茶店に行き、3時間くらい納得するまで目を通した結果不安がほぼ消えた。

8月4日出発

 珍しく時間通りにパートナーを迎えに行く。北陸道を通って、富山インター手前で深夜割引を使うために広くなっているところで寝ていると、見回りの道路公団の人に、「危ないのでハザード出してくださいね〜」と起こされる。ご迷惑かけてすみません。0時1分くらいにインター通過、4620円なり。立山駅に到着、広い無料駐車場にテントを建てて仮眠。

8月5日アプローチ

 ひぐらしの声で目が覚める。ケーブルカーはたくさん人が並んでいるけど、臨時便が出ていた。ケーブルカー+高原バス往復5日間有効で4190円なり(プラス荷物運賃片道300円)。年配の登山者から「どこまで行くの、大きな荷物持ってえらいねえ。」と何度か声をかけられる。なんだか"初めてのお使い"気分。「チンネ」とか「熊の岩」とか言っても「へえー、どこにあるのそれ。」といった感じで伝わらなかった。
 室堂から地獄谷の方を選んで出発するが、失敗。温泉タマゴのきついにおいで息が止まるかと思った。雷鳥平で、知り合いの知りあいのガイドさんにお会いした。「お天気回復傾向ですよ、よかったですね!!」と言われ嬉しくなる。雷鳥坂で盛り上がっていこう!!いうことでパートナーに山しりとりを持ちかけるが、二人とも、すぐ「け」か「ね」に戻るため全然盛り上がらず。剣沢への下りで、「サマータイムブルース」を絶叫しやっと盛がり上がる。山岳救助隊の基地みたいなところで、長次郎谷と平蔵谷の雪渓の様子を伺うと、上部までつながっており問題なしとのこと。この辺まで人がたくさんいたのに、剣沢の雪渓にきたところで最後に人を見て全く人の気配がなくなる。この辺で変なテンションから緊張モードになった。ぎりぎりのところまで登山道を行き、雪渓に乗る。「あれが源次郎だ、八峰だ」と確認しながら長次郎谷へ。
天気は晴れたり曇ったりだけど、ときおり小雨がぱらついた。長次郎谷を登り始めてすぐ熊の岩を目視できた。てくてく登って予定より早かったので、15時に熊の岩に行くことができたら、今日中に三の窓に行ってしまいたいとパートナーがいう。15時丁度くらいに熊の岩の高さまできてしまったため、続けて右股を登り始める。熊の岩は雪渓が後退し始めていて、ツエルトがひとつ張られていた。水は横にざーざー流れている。途中、水をとるか悩んだけど、三の窓にも雪渓が残っているならなんとかなると思ってそのまま前進。その辺から傾斜がきつくなり、一歩一歩にとても緊張した。振り返ると剣沢が良く見える。滑ったら、真砂沢まで止まらないかも?!こわー!!!振り返らんとこう・・・池の谷乗越の手前で少し雪渓がへこんできれかかっているところあり、2mくらいの雪壁をダブルアックスで通過。(帰ってから記録を見直すと、いつもここはそんな感じのようだ。)
パートナーと違ってわたしは冬にもしたことがないぞ・・・とにかく前爪のあるアイゼンにしておいてよかった。(会長、アドバイスありがとうございました。)池の谷乗越でアイゼンを外し、下りにかかるがこちら側はガスの中で、先がわかりにくい。石とともにがらがら下りながら、右手の鞍部になっているところを2箇所ほど確かめに行くがどこも三の窓っぽくない。地図上200m以上は下るはず。だが、どれくらいなのか感覚がつかめないまま時間がいたずらに過ぎていき、17時になった。熊の岩から三の窓まで1時間半の予定だったので、もう少しだけ下ってだめなら最悪池ノ谷乗越でビバークを覚悟したとき、雲の切れ間に小窓王が見えた。パートナーと一安心、あれだ〜!!と一気に下っていった。池ノ谷乗越から1時間半も経過していた。
やれやれ・・・三の窓は幕営禁止であるけど、きれいに整地されていて、とても素敵な場所だった。だけど、話しに聞くとおり、ゴミがいっぱいで少し悲しい。結構新しいゴミも目立つ。禁止の場所に幕営するので少しばかりだがゴミを拾っておいた。水を探しに雪渓の下にもぐりこむと、筋状に水が落ちているので、プラティパスで受けた。お天気も回復し後立山全部丸見えの絶景。初日の成功を二人で喜び合った。夕食はパートナー考案のマーボーナス丼。最高でした♪夜は寒くて何度も起きた。

8月6日登攀

三の窓でハーネス・アイゼン装着しいざとりつきへ。・・・が思ったより傾斜がきつくなかなかすすめない。記録では30分のところ、交代で足跡をつけながらバックステップもしながら1時間かかった。(ここは三の窓から傾斜の緩い真下へ向かって行ってから真横にトラバースしたらよかったかな。)左稜線の本来の1P目は雪渓の下で2Pのテラスに向かって左側の雪渓から乗り移れた。快晴の中スタート。(以下トポのPに順ずる)
2Pパートナーリード。一段上のテラスでいったんきる。
2.5Pわたしリード
見ると、雪渓を女性二人組みが向かってきている。おお!やっと人がきた。
3Pパートナーリード。ピナクルの下まで。
さらに三の窓に人がいるのが見えた。おお!さらに誰かきた。一番でよかったねえ・・
4Pわたしリード。ここで思い切り間違えて右の壁に吸い寄せられて手前のルンゼにトラバースしてしまう。だって、上で稜線みたいにつながってるってわからないもーん!途中プロテクションとれずかなりやばい状況で死ぬかと思ったけど、間違えるパーティはやっぱりいるとみてビレー点あり。
この辺でお尻が冷たい!プラティパスが劣化して水漏れしてる・・・何もここで破れんでもいいのに。こぼれてしまう前にがんばって飲む。
5Pパートナーリード。本来のルートから外れてルンゼを登る。ごめんなさい。
6Pわたしリード。本来のルートに復帰。トポによるとこれをコンテですか?少し厳しくないですか?一度大きな岩を持ったら岩ごと動いたのでびびって、その後どれにも体重預けられず。
7Pパートナーリード。
8Pパートナーリード。林立するピナクルをトポ上右回り??ってことで右からトラバースするが、結構厳しくルート真ん中でピッチをきる。ここは後続の女性パーティは同じく右トラバース、その後の男性はピナクルを登って女性二人を抜いてしまっていた。
8.5Pわたしリード。ピナクルでロープの流れが悪い。
9Pわたしリード。譲ってくれてありがとう。気合を入れてフリーで抜けるが、核心でギアを使いすぎて、終了までギア足りないかも・・・20mほどで気力も果てピッチをきる。
この辺でだいぶガスってきた。最後まで待って〜!!
9.5Pパートナーリード。ああ〜ほんとにありがとう。35mはもたないわ・・・
10Pわたしリード。
11Pパートナーリード
12Pわたしリード。核心よりリッジの方が落ちたら怖い。
13Pパートナーリード。フォローで登っていくとパートナーは、「わん!!」と一声吼えて、顔をぐしゃぐしゃにして泣いている。ちょっとちょっと、まだ着いてないで〜!!!うわさのチン犬とは彼女のことか。ほんとに着いてから抱き合って成功を喜んだ。二人でフリー登攀達成!!
 さて下山開始。踏み後をたどって池の谷側の鞍部へ。ここに懸垂支点があって、1P懸垂した。そこにさらに支点ありもう1P懸垂して池の谷に降りれるがここはクライムダウンした。歩こうと思えば全部歩けるようだが結構怖い。懸垂前に左手の雪渓を渡ってクレオパトラニードルのコルに向かっていけば八峰の5・6のコル方面のようす。こっちは傾斜きつくてまだまだ緊張を要する感じにみえた。
 本によると登攀時間は3〜4時間。昼までに終わればこの日のうちに本峰越えて剣沢に泊まり、3日目は海に入って帰ろう計画だったのに甘かった。結局最初にとりつけたのに7時間強かかった。本では13Pのところ、15Pにしたことと、やっぱり高度感が凄くて怖くて時間がかかったからかなあ。後続の男性・女性パーティは熊の岩まで帰るとのこと、その後の女性パーティは後で出会った人に聞くと、なんと真砂沢ベースとのこと!!!ひえ〜・・・大丈夫だったかしら・・・
ああ、我ら三の窓でよかった。
 三の窓に帰るとまもなく雨が降ってきた。富山県側に立ちIモードで確認すると、明日はお天気回復の様子にて一安心。雨の中男性二人組が登場。ああ、雷もなってるし心強い。テントに入ると17時くらいにかなり近くで雷がなった。この日はパートナーのビビンバ・ほうれん草丼を頂いた。軽いのに、かなりおいしかった。ありがとう。雨がやんで外に出てみると、後立山との空間にとても大きな3重の半円の虹ができていた。虹の中心地に光が集まって山肌がそこだけ光っている不思議な光景を見れた。この日も寒くて、途中でおなかにカイロをはったらやっとこさあったかくなった。

8月7日下山

   3時起床・・・のはずが3時46分、、、え、やば!!と二人で飛び起きる。超特急で準備し予定の時間出発。今日もお天気よさそう♪岩小屋でビバークしている男性二人はまだ起きてこない。本日は左稜線登攀らしい。(三の窓には二人くらいが寝転んで入れる岩小屋が二つあった)
 池の谷乗越まで30分で登る。きたときよりだいぶ楽だった。その後ペンキで→のある西向きのの尾根にとりつくが、V級程度あるのでは?ロープなしではわりと緊張。その後も、岩峰を越えたり巻いたり、道から外れて戻ったりしながら本峰とのコルの上にくる。降りるのは厳しそう。支点もある。パートナーが安全に行こうとロープを出してくれたので、荷物の底からハーネスを掘り出して懸垂でおりた。そこでビバークしたらしき関西の山岳会の人にねぎらいを受け、本峰へ。コルからはあっという間に本峰頂上に着いたら、すごい人・人・人!急に人間界に戻ってきた気がした。そこから正直に言うと気が抜け、帰りのカニの横ばいは、行程の中でも相当怖く感じた。
 それから惰性でパートナーに引きずられるようにして剣御前小屋へ。荷物を運んでくるヘリコプターに遭遇し、指2本こめかみにあてて去っていったパイロットが超かっこよい。そこからすぐそこのはずの室堂が死ぬほど遠く、頭の中をソフトクリームが渦をぐるぐるぐるぐる・・・
室堂について喜びもつかの間、食に飢えているパートナーとおにぎりときのこ汁をかきこんで3日間の山の行程が終了。帰りに亀谷温泉600円に寄って、お互いの体のぼろぼろさを確認し、汗を流して帰途についた。

<総括>

 じわじわと、ほんとにいけたんだなあ・・・と実感が湧いてきた。ああ、よくがんばったなあ〜・・・登攀のスピードを上げるとか、体力をもっとつけるとか、課題はまた出てきたから、次の目標に向けてまたがんばろう。
いつもモチベーションをどっさりわけてくれるパートナーと、つきあってくれる仲間に本当に感謝。本当にありがとう。

I野

<きっかけ> 昨年の夏に相棒と初めてアルプスの本チャン「北岳バットレス」へ行き、戻ってきてから「来年の夏にチンネに行かないか。行ってみたい!!」と相棒から誘われた。当初はチンネ?どこ?て感じだった。それから下調べをして、次なる目標にむかって1年間フリーやマルチのゲレンデに相棒と行き練習してきた。

<目標>

@ クライミングの目標はオールフリーでぬけること。
ただ、危ない場合・抜けれない場合は無理をしないでA0をすること。
A 無理せず安全第一!!
 

<記録>

6日:登攀日 快晴 午後からガス 夕方16時頃雷・小雨 夜晴れ
朝起きてテントから外をのぞくと朝日が綺麗に見える。今日は快晴!!二人で盛り上がる。準備して取付きにむかった。三の窓から取付きまで30分とトポに書いてあったが、雪渓歩きに時間がかかり1時間もかかった。取付き手前では傾斜がきつかったのでキックステップでクライムダウンしてテラスにのりうつった。緊張していて数歩進むたびに息があがった。岩には私達以外のパーティはいないようだ。よっしゃ!一番乗り。青空と雪渓と緑の山々に囲まれて眼前の大岩を登り始めた。(以下トポのピッチに順ずる)
1ピッチ目:雪渓のためとばす
2ピッチ目:W I野リード
フェース登り。重い荷物を担ぎながらの登攀。まだ身体がなれてなくて緊張する。とりあえずテラスまでいってピッチを切る。女性2人組パーティがきた。私たちの踏み跡の雪渓をスタスタと歩いてくる。
2.5ピッチ目:H笠リード
テラスできったので残りをリードしてくれた。テラスの左側から登る。
3ピッチ目:V I野リード
ザイルの流れが悪くなると思いフェースからバンドまで。三の窓にまた人が見えた。
3.5ピッチ目:H笠リード
残りの岩溝を登りピナクルの裏側までいくはずが間違えてルンゼに向かってトラバースしてしまった。ハーケンが2個ありピッチをきる。
4・5ピッチ目:I野リード
本来はフェースとリッジのはずがルンゼを登る。途中1箇所ハーケンあり。ルンゼをつめると左稜線のハイマツの中飛び出た。
6ピッチ目:U H笠リード
正規ルートに戻る。快適なハイマツまじりのフェース。バックの立山連峰や雪渓など景色を楽しみながら登る。途中こんな岩壁に咲いてるかわいいお花の写真を撮った。
7ピッチ目:V I野リード
ハイマツまじりの快適な岩。上部のフェースで左側から登るのかと思ったら間違えて、少しクライムダウンして正規ルートへ戻った。ここからクレオパトラニードルがかっこよく見えた。これか!!!いつかこの頂上に立ってみたい。
8ピッチ目:W I野リード
ピナクルを右側から巻いて凹角を登る。この凹角部分がめっちゃ緊張した。ピナクルの上に上がり2個ハーケンを発見したので、いったんピッチを切った。
8.5ピッチ目:H笠リード
残りをリード。先をみるとチンネの大岩が・・・。これまじで登るの?すごい傾斜に見えて無理やろ・・・て思ってしまった。相棒に確かめる、冷静にそうだと返事が返ってきた。ひえ〜。いけるのかなぁと不安になった。核心ピッチの手前で切る。
9ピッチ目:X H笠リード
右側のリッジから小ハングを越えていく。ビレーしていても緊張した。かなりハーケンが連打されているが上部は高度感たっぷりで怖い。相棒、さすが!!OSおめでとう。
9.5ピッチ目:I野リード
残りのフェースを登る。
10ピッチ目:V+ H笠リード
クラックから左側のフェースに乗り移り登っていく。
11ピッチ目:V+ I野リード
リッジからフェース。疲れと高度感から緊張する。バランスを崩さないように。
12ピッチ目:V H笠リード
プロテクションがなく、かなりランナウト。「何にもない〜」と言いながら登っていった。ナイフエッジはフォローでも怖い。
13ピッチ目:U I野リード
最終ピッチ。気合入れて。最後もかなりのランナウト。易しいナイフエッジとかいてあるけど疲れた身体にはかなり怖い。最後のビレーをしていて相棒の姿が見えた瞬間涙がとまらなかった。初日・今朝と緊張する雪渓を歩き無事登攀できたんだと思ったら止まらなかった。嬉しくて嬉しくて終了点で相棒と喜び合った。
ギア・ザイルと全て片付けて下山開始。残置スリングがある支点が二箇所あったが、我々は1ピッチだけ懸垂下降してもう1ピッチはクライムダウンして池の谷ガリーへ下りて三の窓へ着いた。あ〜長かった!!チンネ登攀は最後のほうは「まだあるの?」って感じでお腹いっぱいだったねぇ〜。岩はフリクションが良くてとても楽しいクライミングが出来た。おもしろい!!アプローチがもっと近ければまた登ってみたい岩だと感じた。途中ガスが出てきたから高度感は半減したかもしれないがそれでも十分だった。目標のオールフリーで相棒と共に登れたことが一番嬉しかった。
7日:下山 快晴 
今日の予定は本峰を経由で室堂へ下山。雨が降ったら滑りやすくなるから嫌だなぁと心配していたが、今日も快晴でお天気は私達に味方してくれた。3時に起きて4時半出発だったが寝坊してしまい目が覚めたら3時45分だった。慌てて起きて用意をして5時に出発した。三の窓から池の谷乗越まで30分だった。意外と早かった。そこからは地図上の点線ルート。2・3級はありそうな岩壁を登って行く。しっかりしたガバにスタンスもきっちりあるが重い荷物と高度感に緊張する。それを越えるとあとは岩峰を右や左からと巻いたり登ったり下ったりしながら進で行く。
本峰手前の鞍部に下りる時に相棒とザイルを出すかどうか相談し、安全第一と思いザイルをだして懸垂で下りた。懸垂支点には数本の残置スリングがあった。そしていよいよ本峰への最後の登り。ピーク手前から人の声が聞こえ始め、ぴょんと本峰に出た。着いた!!そこにはたくさんの人がいた。初日剣沢に入ってからほとんど人に出会わず緊張感でいっぱいだったのが、たくさんの人に出会った瞬間安心感でいっぱいになった。人間界に戻ってきたと実感。
記念撮影を済ませてすぐ下山開始。剣山荘までは岩やガレ場が多いので気がぬけない。初めて「カニの横ばい」とやらを歩いた。おそろしい〜!!とギャーギャー言いながら下りた。こんな所を冬に歩くの?無理やわ。まだ私には剣の冬は早いかも・・・。アップダウンを繰り返して剣山荘を過ぎて剣御前小屋に到着した。やれやれ。やっと戻ってきて一安心した。ここからは相棒のお喋りが復活。しかし核心はまだ残っていた。雷鳥沢キャンプ場からリンドウ池をまわって室堂までがとても遠かった。階段がつらいつらい。水も行動食もなくなり二人とも半分死にかけ状態で到着した。そしてすぐに売店へ行っておにぎりときのこ汁を食べた。1時間ほど休憩してバス・ケイブルカーに乗って立山駅に着いた。
<感謝>
@相棒
精神力の強い相棒。いつも刺激をくれる。
相棒は出発時からとてもハイテンションだった。立山駅に向かう車中や剣山荘に向かう登山道で、渡辺美里の「サマータイムズブルー」を熱唱する。そのテンションに乗り遅れた私は相棒から「テンションが低い!あんたは来週沢合宿があるかもしれんけど私の夏はこの3日間で終わりやねんから!」とお叱りをうけた。テンションが低いのではなく、車中では眠く登山道ではしんどかったので少しついていけなかっただけだった。ごめんよ。そんなうるさい?いや明るい相棒も剣沢に入ったとたんに静かになりほとんど喋らなくなった。急に人気がなくなったのと雪渓に緊張し始めたからだ。わかりやすい!!!
こんな相棒から緊張のあまり弱気になってしまう私はいつも元気・パワー・自信を貰う。
Aまわりの皆様
本来予定していた日程は8月1日晩〜5日の4日間だったが、ちょうど台風が来てしまい日程をずらすことになった。私は問題なかったが相棒は職場でけっこう大変だったみたいだ。上司に感謝、ありがとうございます。そして日程を8月3日晩〜7日で行くことにした。もうこの日程をずらすことも予備日を増やすことも出来ない。あとはお天気神様に祈るのみ。(私個人的には台風がきてよかったと思った。何故なら、日程がずれた分すこし身体を休めることが出来たのとゆっくり用意することが出来たからだ。)
雪渓歩きに必要なアイゼンのことで、M田さんに直前に相談した。M田さんからは前爪があるほうがいいとアドバイスをもらう。我々は12本爪を持って行くことにした。本当に12本アイゼンで良かったと何度思ったことか。M田さんありがとうございました。後ろから来たパーティは4本爪だったようで苦労したと言っていた。
Bお天気
登攀日にもし雨が降ったら今年のチンネを諦めないといけなかった。行く直前まで天気予報を確認した。4日アプローチ日曇り時々雨 5日登攀曇り 6日下山晴れで微妙な天気予報。しかし、お天気神様が味方してくれたのか、私達の日頃の行いが良かったからか??3日間とも素晴らしい天気に恵まれ、安全に登攀・縦走することが出来た。
<核心> (個人的に感じた核心)
@ プローチ:長次郎谷の雪渓。三の窓からチンネ取付きまでの雪渓。
・熊の岩から上部はかなり傾斜がきつく怖かった。一歩一歩が慎重になった。
・三の窓からの雪渓も一歩滑らしたら三の窓雪渓へまっさかさまなので緊張した。
チンネ1ピッチ目取付き手前では、キックステップでクライムダウンして雪渓から岩にのりうつった。
雪渓にはかなり緊張させられたが、良かった点もあった。三の窓で水を調達するのにかなり下らないといけないかと思っていたが、雪渓から溶け出している水をうけることができて楽に調達することが出来た。また、「長次郎谷の上部も雪がないとガレガレでけっこう怖い」と京都に戻ってきてから行った人から聞いた。雪渓があったほうが歩きやすかったのかもしれない。
A 重い荷物:バイル・アイゼンといつもマルチで持っていかないような物を持っていかないといけない。総重量20.5キロもあった。登攀時もバイル・アイゼン・夏山登山靴を担いでクライミングしなければいけない。
<反省>
靴擦れ:持っていた夏靴が5年前の物で、劣化していたのとワンタッチ式のアイゼンに合わないということで新しい夏山靴を出発の4日ほど前に買った。靴擦れになるかもしれないと思い予防テープを買っておいた。履き慣らしをする時間が無くてそのまま剣に入った。案の定出発してそうそう靴擦れで足が痛くなった。最後の最後までその足は痛くて辛かった。もっと早くから準備しておけば、靴をならす時間があったはずだ。
<総括>
素晴しい夏山を満喫することが出来た。相棒ありがとう!!来年の夏はどこへ岩と山に行く?あ・そ・こ かな????
次の目標にむかって今回の反省点を活かして練習しよう!!

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三の窓 テン場

 

左稜線へむかう

 

2ピッチ目

 

I野リード

 

三の窓

 

2.5ピッチ目

 

3ピッチ目

 

平蔵谷

 

4.5ピッチ目

 

左稜線へ戻る

 

6ピッチ目

 

クレオパトラニードル

 

8ピッチ目

 

チンネの上部が見える

 

核心9ピッチ目

 

10ピッチ目

 

11ピッチ目

 

12ピッチ目

 

13ピッチ目

 

懸垂で下山

 

虹が綺麗

 

やった!!

 

下山日朝日

 

剣本峰へ向かう


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