京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 夏合宿 大白沢池集中 |
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メンバー | L:T嶋、I野(文)、H内、S木 |
期日 | 2007/8/16〜8/19 |
山域・ルート | 奥利根 |
山行形態 | 沢登り |
今年の夏は岩と沢の合宿に参加させていただいた。奥利根へ行くのは初めてで、どんな山域なのかとても興味が湧いた。しかも今回の沢は、まずボートに乗って水長沢に取付く。湖をボートで?そして沢に取付く?想像がつかない。これだけでも心はウキウキなのに、大白沢池で「朝夕なら又逢いたい隊」との合流という大イベントがあった。何度か合流山行に参加したことがあるが一度も成功したことがない。今度こそは成功したいものだ。
沢合宿に参加するのは2回目。今年5月に屋久島に行ったのが1回目。それに3泊4日も遡行するのは初めて。体力的に大丈夫だろうかと少し不安ではあったが、モチベーションは日に日に上がっていった。
京都駅で朝夕なら又逢いたい隊と合流しS口号とT嶋号のスペアキーを交換する。そして「大白沢池でまた会おう」と言って別れ、其々のチームの旅が始まった。我々は中央道・上信越道・関越道を進み水上ICで下りて楢俣湖に5時頃到着した。2時間ほど仮眠をとった。
さわやかな朝をむかえ朝食を食べて準備をする。シュラフをどうするかと悩み、メンバーに聞いてみると他3人はこの暑さで持っていかないという。標高もそれほど高くないし、カイロを1個持ってきているので寒かったらそれを使えばいいかと思い私も持っていかないことにした。(2日目の夕方に雨・風にうたれたときはシュラフを持ってきたら良かったと後悔したが、ツェルトに入ったら意外と無くても問題なかった)沢服に着替えて脚はんを付けようと思ったらファスナーが壊れてしまった。げ〜!!なんで??これからというのにどうしよ。なかったら寒いし靴に砂や石が入るし、困ったなぁと思っていたらリーダーから脚はんに穴をあけて細引きを通して止めたらいいとアドバイスを貰い、H内さんからマムシに噛まれた時に縛るために持ってきていたバンド2本を貸していただけることになった。なんとかなるだろうか・・・。予約をしていたタクシー会社に確認電話をリーダーがすると既に町を出たということだ。9時に楢俣湖を出発する予定だったが少し早めに出発することになった。9時過ぎに奥利根湖に着いた。どのボートに乗るんだろう。
スパッツを修理しながらしばらく待っていたら、私達を送ってくれるT柳さんが来た。そしてボートに乗り込み出発した。いくつもの谷に出会いながらどんどんと湖の奥へ進んで行く。我々が入渓する水長沢手前の泥地でボートは止まり下ろされた。ここ??と思っていたらこれ以上ボートは入れないので、水長沢まではここから歩いて行ってくださいと言われた。とても親切なT柳さんと別れてボートが帰ってしまい、広大な自然の真っ只中に私達4人だけになった。ここは、人気の臭いがまったくしない山深い場所だった。
しばらく河原状の中を進むと水長沢出合に到着した。睡眠不足でだるいがどんな谷なのか興奮していて意外にも身体は動いた。釜を泳いだり、へつったり、河原を歩いたりと何度か繰り返した。12時すぎに淵に遭遇し泳ぐ。そして12時50分ぐらいに魚止め沢を通過してゴーロを超えると大きな釜に遭遇した。リーダーは右から、私は左からと攻めるがホールド・スタンスが無く敗退して巻くことに(13:13)。その先に見えるゴルジュも併せて巻いて懸垂で沢に戻った(13:50)。その後も釜をへつり、泳ぎを繰り返して越えていくと文殊沢の出合に到着した(14:50)。今日の遡行はこれで終了とした。早かったけど寝不足の身体には調度よかった。早い晩御飯を済ませて19時すぎにはシュラフカバーに入った。
蚊が多いテント場だったので側に蚊取り線香を置いて寝たが、朝起きたら顔がえらいことになっていた。鏡なんてないからデジカメで撮ってみると本当にすごい顔だった。目があかない〜まぶたが超重い。上をみたら目がつぶれちゃう、ひぇ〜。それに顔じゅうボコボコで気持悪い。こんなひどい顔をしているのはメンバーで私だけだった。S木君もかまれていたけど、私よりぜんぜんましだった。
文珠沢に入ってすぐに大きな滝に遭遇した(7時45分)。この滝は登ることが出来ないので左側から巻くことになった。木の根などを掴みながらどんどん登っていってしまい尾根に出てしまった。しばらく尾根を歩いて沢へ戻るために下降し始め(8時23分)、大滝の落ち口にばっちり出た(8時40分)。そして釜をへつり小滝を越えていくと東の沢に合流した。
地図上では文珠沢上に「もん珠の滝」が記されているが、実際には東の沢の出合から東の沢へ少し入ったところに「もん珠の滝」がある。出合にザックを置いて見に行った(10時)。
中の沢に入ると滝が連続して、しばらく進むとナメとなり、沢はだんだん狭くなり、沢から上がり左側の笹薮を進むと1600地点の湿原にすぐに出た。その時右のほうでドサドサと音がして何かが横切っていった。おそらく熊だろう。かなり怖かった。わ〜!!素晴しい。こんな湿原がこんなところにあるなんて!思っていたよりも湿原は乾燥していた。(草原?)しばらく見渡し写真を撮り、100メートル上のもうひとつの湿原に向かうことにした。H内さんを先頭にして進む。途中に熊の糞やら熊が水芭蕉を踏んだ後やらひっかいた後の木など、生生しく残っていた。遭遇したら怖いので笛を吹きながら歩くことにした。そして13時過ぎに到着した。池塘があり花が咲いていて下よりも湿原らしくとても綺麗だった。ここでお茶を沸かしてのんびりと休憩をとった。
さぁここからが核心。目の前にある尾根を越えて大白沢池へいかないといけない。朝夕隊と無事合流できるのだろうか。どこからつめるか確認し出発した。だんだんと藪がきつくなり先頭のHさん頑張る。なんとか尾根に出て1911メートルを目指してひたすら藪をこぐ。先頭を交代しながら次に大白沢池に向かって南東を目指していかなければいけない。
ガスがでてきて雨が降り、視界が悪くて先が見えない。何度も軌道修正を繰り返しながら進む。今日は12時半より朝夕隊とシーバーで交信することになっていた。しかし、ずっと交信することが出来ず、15時半にやっと朝夕隊と交信することが出来た。といっても、相手の声ははっきり聞こえるが、我々の声は向こうに聞こえてないようだ。大白沢池にはまだ着いてないようで向かっているとのこと。雨はどんどんきつくなり時間は過ぎていき少し焦りも出てきたが、朝夕隊の元気な声を聞いたら我々も頑張らねばとパワーが出た。
そして地形を確認し大白沢池に向かって下降し始めた。藪の途中から池が見えオーイ!!と叫んだ。すると向こうからオーイ!!と返ってきた。朝夕隊だ。嬉しくて嬉しくてたまらなかった。池のほうに3人の姿が小さく見える。早くあそこに行きたいと思うが、疲れてエネルギー不足の身体は思うように動かない。最後の力を振り絞り、流れにまかせて藪を歩き、藪が終わった瞬間3人のもとへ走りだした。感動的な再会が出来た。A木君からは再会の喜びを、水鉄砲で祝ってくれた。なんて小道具!!そんなもの持ってきていたのね!!
湿原を堪能する間もなくすぐにタープを張った。雨・風で身体は冷え切ってとても寒く、何をしたらいいのか頭が働かない。身体はガタガタと振るえていた。行動食・ココアを食べながら乾いた服に着替えたら少し落ち着いた。みんなで晩御飯を食べながら、お互いの2日間の遡行について盛り上がった。やっぱり大人数って楽しいなぁ〜。天気には恵まれなかったけど、素晴しい2日目の夜を過ごすことが出来た。水は雨水と池塘を使った。虫が多くてかなりうっとうしかった。網を持っていったほうがいいだろう。
タープの下にツェルトを張って寝たので意外と寒くなかった。でも下はグショグショで、エアマットはビチョビチョだった。朝ご飯を食べた後、ビショビショの沢服に着替えないといけなかった。冷たすぎて心臓が止まりそうだった。みんなで集合写真を撮り8時20分出発した。朝夕隊が藪の中へ消えていくのを確認して、昨日十分に見ることが出来なかった湿原を見渡して我々も出発した。
しばらく沢は狭く、倒木・枝があり少し歩きにくい。だんだん沢らしくなり9時半頃1個目の滝に遭遇した。岩に残置スリングをセットして懸垂で下りた。そこからも何度かザイルを使用しながらどんどん下っていき、1500メートル地点の二俣で休憩した(10時20分)。ここからはおだやかでとても綺麗な釜・白い岩が続いて気持ちがいい。そして核心の大滝・ゴルジュの巻きが始まった。リーダーを先頭に枝を掴みながら登り稜線に出た。そこは映画「もののけ姫」に出てきそうな深〜い神秘的な森を感じた。
稜線上を歩いて急斜面を木・枝と掴みながら下り始めた。A木君からアドバイスを貰っていたのでキノクラ沢をめがけて下りていたつもりが、尾根を間違えていてアサユウ沢に向かっていた。それに気づいた時点ではもう登り返すのは大変ということでそのまま進むことにした。いったん尾根にあがりまた枝・木を掴みながら下り、最終は懸垂でアサユウ沢に下りた。そこはゴルジュ帯の中で不安になる。
休憩をとり、すぐに懸垂をしなければならないトユ滝に遭遇した。落ち口はものすごい勢いで流れているので、それに身体が当たらないようにして、足を両サイドにツッパッて歩きながら懸垂すればいいのかな?と思った。私が最初に取り付いてみたが足の長さが足りなくてつっぱれず、水流が身体にまともに当たり、その強さに負けそうで怖くなり、いったん引上げてもらうことにした。
はーはーはー。恐ろしい〜。どうしたもんかとリーダーが先に行こうとしたときに、左側に残置ハーケンを発見した。そこにスリングをセットして下りることにした。リーダーが先に下りて様子を見てくれた。ひえ〜あんなこと出来ないよう・・・。リーダーと同じようにして下りるが、右肩に水流が当たりバランスを崩してしまい懸垂が上手く出来ず、口に水が入り呼吸が苦しくなり怖かった。なんとか抜け出し無事にリーダーのもとに着いた。
水が怖くなり次に釜を泳がないといけなかったが、なかなか勇気が出ずに進むことが出来なかった。全員無事に突破することが出来て、次の大滝に遭遇した。ここも左岸から巻いた。キノクラ沢側にトラバースして沢に戻るために下って行くが、岩壁にぶつかってしまい懸垂することになった。リーダーがトップで行き2回ほど懸垂するのかと思っていたが1回で沢に着いた。
キノクラ沢を少し下るとアサユウ沢との出合に着き、そこには巻いた大きな滝があった。そしてA木君に教えてもらった朝夕隊が泊まった場所を発見して我々も同じ所で泊まることにした。砂地で平で虫もいなくて焚き火もできてとても快適だった。
今日は最終日。お天気は回復傾向。大滝とかは無くひたすら沢をくだるのみ。次から次と出てくる釜・淵・ナメに飛びこんだり、滑ったり、泳いだりしながら下る。あ〜楽しい〜。お天気も良くて最高!!10時にサルコバ沢に出合い、15分に荒山沢に出合った。まだまだ泳ぎ・飛び・浅くても無理やり流れにのって遊び、みんな童心に返っていた。
しばらく進むと沢は河原状になり、そろそろ右岸の踏み跡が見えてくるはずだが・・・。ダラダラと沢を歩いていくと魚止めの沢に出合ってしまった。おかしいなぁと言いながら無理やり右岸に上がり少し藪を踏み分けていくと踏み跡を発見した。そこからはブナ林の緑の綺麗な中を歩き、楽しみにしていた籠渡しに着いた。楽しそう〜!!興奮してしまった。そしてS口号を12時40分頃発見して私達の旅は終わった。
温泉に入ってご飯を食べて朝夕隊へ連絡したが、まだ下山してないようだった。連絡がなかなかこないので心配した。夕方5時半頃やっと連絡がきて、水上の道の駅で19時に合流できた。とてもスガスガしい満足感たっぷりの朝夕隊に再会した。全員4日間の沢を満喫できたようだ。皆様ありがとうございました。
私の中で印象的に記憶に残っているのは大白沢池に向かって漕いだ藪・読図、ゴルジュの懸垂・巻きだ。そしてなんといっても大白沢池で合流した瞬間だ。あれは本当に感動した。こんな素敵なプラン、リーダーありがとうございます。京都に戻り大白沢池の写真を見るととても綺麗な所だったんだと改めて思った。そう簡単には行くことが出来ない場所、天空の城だ。またあの山深い奥利根へ行きたい、行くぞ!!