北アルプス 黒部川 森石谷

山行名 黒部川 森石谷
メンバー L:T嶋 I野 N澤 N村 F上
期日 2007/9/28〜9/30
山域・ルート 北アルプス 黒部川 森石谷
山行形態 沢登り

【記録】

I野

 

リーダーからこの谷について紹介されたとき、ボルダー系の沢・黒部の沢ということに興味を持ったので参戦した。出発日の夕方頃から身体の調子がおかしいと感じて、念のために晩から風邪薬を飲んだ。しかも職場の送別会があり家に戻ったのは21時過ぎで出発時間まで1時間も無く、バタバタと用意をして家を出た。運転は体調不良ということで免除していただき、後ろで寝させていただいた。黒部ICを下りて宇奈月駅に登山届けを出して1時間半ほど仮眠した。

9月29日

トロッコに乗って森石駅まで行く予定だったが、当日リーダーが調べたところ森石駅に止まらないことが判り、急遽線路の上を歩いていくことになった。しかも列車の始発時間が7時半なのでそれまでに出発して森石駅に到着しなければならない。
5時に起きて朝食を済ませて6時過ぎに出発した。線路の脇に立ててある立ち入り禁止の看板の前でみんな嬉しそうな顔をして写真を撮る。なんか映画のワンシーンに出てきそうな雰囲気。こんなことをするのは初めてで心はウキウキだ。線路は石ころが敷いてあるので歩きにくい。冬季、雪が積もっても歩けるように線路の左側にトンネルが作ってあった。
中はムーっとしていて暑い。N村君は気に入ったようで、出たり入ったりしながら歩いていた。後ろからゴーっとなんか音がするなって思っていたら、一番後ろを歩いていたリーダーが「来た」と叫んだ。前を歩いていた私は何??と後ろを振り返るとリーダーが急いで冬季用のトンネルへ逃げ込もうと走っているのが見えた。私も反射的に走り出した。他の三人も急いで走って逃げ込んできた。ちょうど一番前を歩いていたN村君とN澤君が逃げ込んだ後すぐに列車が通過した。ふ〜危ない!!おそらくテスト運転をしていたんだろう。今度は前から来ないかと心配しながら歩きだした。1時間ほどで森石駅に到着し、鉄橋を渡ると沢へ下る道があった。堰堤付近で沢支度をした。
20分ほど歩くと1個目の滝に遭遇。そこにはなんと左側に鉄ハシゴがあった。あれれ?そして次に湯を引くための?コンクリートのでかい橋があった。いつになったら沢らしくなるんだろ・・・。7時40分頃釜をもった小滝に遭遇。ここからいよいよこの谷の始まりだ。ここは胸あたりまで浸かりながらへつって滝に取り付く。うげ!!寒そう。カッパを着込む。N村君とN澤君はガンガン攻める。次のチョックストーンも水を猛烈に浴びながら越えていった。そしてその奥の滝をN澤君が攻めた。微妙なへつりだ。足は細かそうだし岩はなんかもろそう。頑張れ!!もう少しというところで釜へ綺麗にドボンと落ちてしまった。右から巻くことになり、懸垂を2回で谷へ戻った。これからこんなのがドンドン続くのかと思っていたら谷は平凡になり河原歩きとなった。ちょっぴり期待はずれだった。
当初岩の上で寝ないといけないかもしれないと聞いていたが、これならツェルトを張って寝ることができるかもしれないと思った。しばらく小滝が連続して、9時50分頃395メートル地点の二俣)(森石山へ突き上げる)に到着した。ここからもN村君・N澤君の果敢な攻めにより、ザイルやお助け紐をだしていただき安心して超えることができた。体調が悪くて登ること・歩くことに必死であまりまわりの景色をゆっくり見てなかったので素晴しいV字谷の印象は無かった。京都に戻り写真を見るとこのあたりは綺麗なV字の谷だったんだと改めて思った。最後の大滝を左岸より巻いて谷へ戻ると、14時過ぎ710メートル地点の二俣に到着した。この先に泊まれそうな場所を偵察に行くが、710メートル地点の二俣が一番良さそうということで遡行を終了した。
私にとってはありがたかった。とりあえず早く寝たかったからだ。ツェルトも張ることが出来て快適だった。することも無いので16時ごろからご飯を食べて、私は一番(17時半)にシュラフに入った。他のメンバーも18時半には寝たそうだ。

9月30日

N澤君の声で起きた。6時、12時間半ほど寝た。F上君が作ってくれた雑炊、初体験。最後にとろけるチーズをのせるのがポイント。かなりgood!!美味しい。次回の沢でやってみよ〜。晩はレトルトでさびしかったけど、朝は豪華な雑炊で嬉しかった。やっぱり沢は食も重要でしょ。7時すぎに出発。730メートル地点の二俣を右へ780メートル地点の二俣を左へと進んでいき、1170メートル地点の稜線コルまでとりあえず突き上げた。途中何個か小滝があって空身で越えるなど、簡単には越えれるものばかりではなかった。だんだん源頭付近になると沢は涸れ、最後は滑りやすい泥壁のようなところを枝を掴みながら登って10時に稜線へ出た。
ここからはそのまま谷をくだって弥太蔵谷を下るか、稜線を歩いて1261ピークと1231ピークを踏み、森石山経由で最後まで尾根下降か途中から沢下降するかなどなど色々と選択はあった。とりあえず突き上げた先の谷を下降する気にはなれず、1231ピークまで行くことにした。藪こぎというか枝・木がうっそうとしている中を進む。先頭はN村君。「まぁ先頭行っていいですが・・・」とニコニコしながら歩き始めた。めっちゃ嬉しそうやん!!アップダウンを繰り返し途中で藪から抜け出した稜線で休憩をとりながら1231ピークへ11時頃到着した。
雨は次第にきつくなり身体が冷える。ここからは北の尾根をとることにした。北西ぎみに次の1160mのコルを目指した。そこで谷下降か尾根下降か最終決断を下すことにした。この尾根はさっきとは違いとても歩きやすかった。最終私とN澤君の沢下降の意見がとおり、そこから弥太蔵谷336地点の支流の620m地点へ一直線に下ることになった。しばらく水はなく滑りやすい草つきを下る。前を歩いていたF上君がけっこうこけていたなぁ。そしてようやく水がでてきて沢らしくなり12時40分頃620地点へ到着した。ここからも弥太蔵谷出合336地点を目指してひたすら下るのみ。水量もどんどん増えてくる。ようやく到着した出合(13時15分)は水量がかなり多く、谷幅も大きかった。
対岸に渡り弥太蔵谷の遡行図に書いてあった水平道(336地点から道路まで続いている)を探した。N澤君とリーダーが見に行くが無さそうということでもう少し下ることにした。するとすぐにそれらしきものを見つかった。この水平道はもっと歩きやすいものかと思っていたが意外にも悪くて集中力をきらしてはならない。トラロープが数箇所設置されていた。40分ほど歩いたら集中力が切れ始め休憩をとってもらった。ちょうど下界が見え始め、あ〜下りてきたんだと感じた。そして14時50分道路に到着した。

最初に紹介されたボルダーというものはなかったような。小滝をかわすためにもろい岩・草付を掴みながらやらしい登りが多かった。核心はどこ?と聞かれると悩んでしまう。初日のV字谷が素晴らしいことと、標高はそれほどなかったものの人気はなく山深さを感じることが出来る谷。それから沢までのアプローチが楽しい谷。志水哲也はこの谷を日帰りで行ったのか・・・。

N澤

 記録の少ないところへ行くのは楽しい。山で踏み跡などあまり見たくはない。
 そういうコンセプトにぴったりの山行計画が出ていたので、飛びつかせていただいた。

 天候はあまりよくなかったので、ひたすらV字谷の続く沢ということで、かなり恐れていた。長いトロッコごっこを終えて、沢に入ってみてビックリ。普通の沢ではないか、、、初めの滝には鉄梯子すらついている。少し期待はずれだった。しかし、その後の2〜3の滝は楽しませてくれた。先頭を行くN村さんに負けじと攻めたりするが、ちょっとヒヨって違うルート取りでごまかしたりした。3つ目の滝はへつりで越せると思ったのに、意外と続かず水にどぼんと落ちてしまった。もう一度チャレンジしたかったが、今後もコレが続くようでは突破に時間がかかる、残念ながら右岸巻きで乗り越えた。しかし、ここでも残置スリングを見てしまい、かなり残念な気分になった。前日の準備ではこんなもの見つからないことを想定していたので、重量と相談しながら残置用スリングの数まで決めていたのだ。こうなったら普通に沢登りを楽しむしかない。
 しかし、ここからは河原歩きが続いた。時々いやらしい小滝が出てくるものの、志水哲也の記述のような「ボルダリングの連続」、という感じではなかった。もうこうなったら景色を楽しむしかない。実際、極端に削られた谷は深いV字を保っており、時折左右から落ち込む小滝も谷の深さを演出していた。残雪期の鉄砲水で流されたのであろう巨木がいたるところに詰まっていて、黒部の谷の一端に触れている感じがする。
 遡行のほうはというと、削られたもろい壁にもしっかり草が生えているので、ひたすら楽しみながら登ることができた。そうこうするうちに、トポに載っていない大滝が出現、コレを左岸から越えると宿泊予定だった二股に到着した。少し迷った末にここで幕営。多少湿っていた流木も、しばらくすると勢いよく燃え出し、山行前はあきらめていた焚き火を存分に楽しむことができた。

 翌朝、起きてみると12時間もの睡眠をとっていた。みな、疲れていたのだろう。再度焚火をつけて、のんびり朝食の準備をする。おいしいチーズ雑炊を食べ終え、小雨交じりの天気の中の出発となった。昨日の天気予報を聞く限りでは、今日の天気は並行、つまり朝に雨の時点で快晴は望めなかった。まぁ、深い山には雨と霧がよく似合う、なんせ今年の山行で快晴だったことは一度くらいしかない雨男がここにいるのだ、仕方がない。二股をあとにすると、順調に高度を上げていく、とはいえ先週の兵衛谷のようなえげつのないゴーロ登りがあるわけでもなく、快適な登りを楽しんでいるといつの間にか分水嶺にたどり着いていた。ここからしばらくはヤブこぎだったが、基本は樹林帯なのであまりしんどくなく、適度に足を進めていく。
 ひたすら尾根歩きで1231のピークにたどり着くと、古い三角点が設置してあった。こんなところにまで、と昔の人に感嘆させられる。ここからは快適な歩きが続き、その北側の小ピークを過ぎた辺りで、西へ降りるなだらかな谷をルートに取ることにしてもらった。沢靴を履いた尾根歩きが嫌いなんです、、、スミマセン。そのまま懸垂することなく順調に下っていき、最後は雨で増水した弥田蔵沢にたどり着いた。ここからしばらく下山路を探すと、崩壊地点の50mほど下流で踏み跡がみつかり、これをたどることができた。こんなところによく作ったなぁと感心するような登山道を進んでいくと、突如宇奈月の集落が山間に現れ困惑させた。トロッコや車の音が聞こえ、頭の中は下界なのに、体はいまだ山の中、なんとも不思議な感覚をあじわいつつ宇奈月ダムの下の道路へ降り立った。何か難所があったというわけではなかったが、なんとなく体は疲労していた。魚津で寄った回転寿司は、そんな自分を存分に癒してくれた。
 今度は黒部の違う場所で、この深い谷と戯れてみたいと思った。

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