台高 銚子川 岩井谷

山行名 台高 銚子川 岩井谷
メンバー L:F澤 A野(文) N村 T口(亀岡山の会)
期日 2007/9/22 〜9/24
山域・ルート 台高 銚子川 岩井谷
山行形態 沢登り
 

 京都に帰ってきて11年になる。帰ってきてからやり残していたのが今回の銚子川流域である。今では高速道路ができて紀伊半島では池郷、白川又方面よりずっと便利になっている。長い付き合いになってきた福澤君に誘われて、天気もいいようだし楽しい山行になりそうだ。

9月22日

 

マンボウという道の駅で仮眠し銚子川に向かう。天気は上々、まだまだ暑いが空の青に秋を感じる。銚子川発電所への道は狭いがそう悪くはない。発電所間近に少し車の下を擦ったのが痛い。
 発電所間近に車をデポし出発(7:30)。崩れた道を越え川に下る。吊橋を渡り、体をズリズリしながら堰堤を下り入渓する(7:45)。川を泳ぎ下り岩井谷に出合った(7:55)。岩井谷は出合から豪快に滝を落とし威圧感がある。左岸から巻いて越えると巨石帯となり岩の隙間を右へ左へとルートをさがしながら進む。谷は巨岩のトンネルにさえぎられ奥には滝があるようだ。福澤君が偵察に行くと左から10m飛瀑が豪快に落ちているということ。右岸から巻き上がる。
 やがて吊橋が目の前に現われる(9:50)。三平滝が近づいてきたようだ。吊橋の上にでると、奥にもうひとつ吊橋がありその奥は岩壁になっている。さらにその奥の見えないところに三平滝があるのだろう。ここからは見えない。岩壁に囲まれたあの壮大な風景の中に小さな自分を置いてみたい衝動にかられる。その衝動をおさえ、私たちはあっさり最初の吊橋の右岸から巻きにかかった。しっかりした道を登ると尾根に出る。さらに尾根を登り進む。テープのある踏み跡を進んでいくが三平滝の位置がわからないのでどこまで行ったものかわからない。もう少し、もう少しと尾根を登りあがると右下に滝が見え下降できることが直感でわかる場所に至る。こことばかり100mほど急な斜面を降りると無難に水線に戻れた(11:10)。
 滝の飛沫が空気に満ち溢れている。霧のようにマイナスイオンで被われた美しい滝が我々を迎えてくれた。ここは左岸のロープで一段あがり急なルンゼにザイルを1ピッチ伸ばした。さらに大きく巻き上がり最後は10m懸垂下降で谷に戻った(13:00)。ここで私はスズメバチに右手人差し指を刺されてしまった。お〜痛い。毒を吸い出したが人差し指は腫れて曲がらなくなってしまった。
 小瀬谷と出合い(13:40)さらにしばらくで梅ノ木谷出合う(14:00)。本流は狭いゴルジュ帯になっている。時間的に早かったが今日の行動はここまでとなる。連瀑帯を少し偵察し明日の楽しみとした。

9月23日

 6:45出発。今日も天気はいい。最初の滝は右岸からとりつき尾根状を巻き上がる。さらに2つ目の滝もいっしょに巻いてしまう。3つ目の滝は美しい斜瀑。右岸のブッシュ帯を滝に沿って登る。4つ目は末広がりの美しい滝。左岸ルンゼからトラバスして落ち口へ。5番目の滝は左岸ルンゼから狭いチムニーを登って抜ける。6番目の滝は右岸側壁から越える。7番目の滝は左岸の草付きの壁を登り懸垂下降で落ち口に降り立った。これで連瀑帯は一段落、次はゴルジュ帯が現われる。泳いでは取りつきの連続で体が冷えてくる。1時間ほどすっかり濡らされたころ、谷が開けて川原に出た。水量も減りふつうの谷ならこれで詰めという雰囲気だが、岩井谷ではそうはいかない。休憩して少しで十字峡に着いた。
本流に入り込むと真直ぐに流れ落ちる見事な大滝が現われる。右岸から巻き上がり、最後はブッシュ壁を攀じ登って落ち口に出た。ここからまたもや滝とゴルジュの連続である。さすがは岩井谷、これでもかこれでもかを攻めたててくる。最後は大滝を右岸から巻き、やっとのことで穏やかな流れになった。掃除したように下草のない源流を詰め上がり反対側の堂倉谷林道の終点にテントを張った。

9月24日

 大雨。昨日夕刻から降り出した雨は夜中も断続的に降り続き朝にはさらに雨脚が強まった。源流にもかかわらず谷は濁流と化している。今日は反対の急なルンゼを下ってニノ俣谷を渡り林道を帰る計画であったがこの雨では作戦変更である。
 このまま堂倉林道を下り、堂倉小屋から尾根を登り日出ケ岳へ逃げることにした。しかし、そのあとどうして尾鷲側の車を回収するか…。とりあえずさっさとテントをたたんで出発(6:40)。大雨の中日出ケ岳をめざした。日出ケ岳の尾根にも水が流れるほどの大雨。尾根なのに丸で沢のようだ。沢タビがぴったりである。無事駐車場に着きタクシーを呼ぶ(10:00)。ここまで来ればもう下界だ。
 11:00タクシー着。タクシーのおっちゃんに相談すると尾鷲なら3万円でいけるということ。それならお願いしますと3時間タクシーに乗って銚子川の車のもとに戻れた(14:20)。あ〜よかった。タクシー代は3万3千円也。濁流とうとうと流れる銚子川をあとに帰京した。やっぱりお金は大事だ!最後に救ってくれるのはやっぱり銭ですわ。
 ほっと一息つくと岩井谷のことを思い出す。滝美しく、ゴルジュもすばらしい。次から次へと現われる関門を根気強く越える忍耐が今となると小気味いい思い出である。

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出合から悪い

 

三平滝巻き終り地点の滝

 

易しいゴルジュもある

 

梅ノ木谷出合の滝

 

美しい斜瀑

 

末広がりの滝

 

スリングあぶみで乗越す

 

源頭の大滝


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