京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 正月合宿 北岳に来ただけ(何回目やねん!!) |
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メンバー | L:I野 T嶋 F上 H内 |
期日 | 2007/12/30〜2008/1/2 |
山域・ルート | 南アルプス 北岳 |
山行形態 | 積雪期縦走 |
17:00出町柳→17:40山科駅→23:00八ケ岳P仮眠
5:30起床→7:55奈良田発→11:45あるき沢橋→15:00池山御池小屋
5:30起床→7:30出発→森林限界→11:45ボーコン沢ノ頭→13:30八本歯ノ頭→北岳山荘分岐点→稜線直下→北岳山荘分岐点→稜線直下→17:00北岳山荘分岐点直下泊地
6:00起床→10:00出発→10:40八本歯ノ頭→ボーコン沢ノ頭→13:00K藤チームテント14:00→15:00池山御池小屋
5:00起床→6:50出発→あるき沢橋→9:00荒川→11:45奈良田→京都
当初は巻機の越後国境稜線を狙う予定だったが、今シーズンは雪が多くて大変だろうということで転進することにした。転進先として色々検討した結果、以下の目的から白峰三山縦走にした。
@2007年11月のプレ冬で4パーティ出たが、全て違った山域に入り集中できなかった。
正月は合宿らしく会として、北岳ピークハントチームと2日間の集中・合同山行する。
A普段の山行で一緒に行くメンバーがどうしても偏りがちなので、合同山行することによりいろんな人と一緒に山に入る。
B冬山のリーダー経験をつむ。
北岳ピークハントチーム(K藤チーム:夜叉神より入山)とは入山地点が違うので、林道で出会うか最悪池山御池小屋で合流することにした。
12月29日 晴れ
28日に出る予定を悪天により1日遅らせた。早めに京都を出て仮眠をたっぷりとることにした。
12月30日 晴れ時々雪
増穂で高速を下りてから奈良田まで長かった。奈良田には既に車が数台止まっていて、パッキングをしていた。噂のゲートはあれか!!昨年1月に行ったN村君から写真を貰っていたが確かに立派なゲートだ。7時半頃からぞろぞろと出発し始める。みんなゲートを左側から簡単に乗り越えていく。最後に我々も出発。思ったより簡単に越えることが出来た。あんなに心配していたのに・・・。ゲードに鳳来で初めて会ったI井さんがいらっしゃった。もちろんI井さんは私のことを知らないが私ははっきり顔を覚えていた。ふたりでバットレスに行かれるらしい。奈良田からあるき沢橋まで約10キロをマウンテンバイクで。なるほど。あれは楽ちんだ。頑張ってくださ〜いと掛け合って別れた。彼らの姿はあっという間に消えた。我々はテクテクと歩かなければならない。プラブーツでアスファルトは辛い。案の定足裏の指の付け根付近に水脹れができた。痛くて我慢できず途中でテーピングで応急処置。山にはまったくといっていいほど雪がついてない。秋山みたいだ。池山御池小屋に雪があるのかなぁと心配になり水を担いで上がることにした。あるき沢橋の少し手前で一人2リットル確保した。1時間弱おき
に休憩をしてやっとあるき沢橋に到着した。
ここからあと3時間かぁ〜。山道に入ると雪は少ないが凍っていて滑りやすく歩きにくい。途中でアイゼンをつけた。3,4回休憩をとって池山御池小屋に着いた。ふ〜K藤チームはいるかなぁ〜。とりあえず小屋の中を見にいく。まだ来てないようだ。う〜ん、まぁ予想どおりだったのでこの時点ではそれほどビックリはしなかった。
とりあえず2テント張れるように整地して温かい紅茶を飲んで16時の天気図をとる。恥ずかしいが山で天気図をとるのは初めてで、しかも天気図を書くのは2回目。昨年Y口君の講習会で教えてもらった時に書いたのが初めて。あの講習はとても面白くて判りやすくて今回絶対山中で天気図をとって勉強しようと思っていた。天気は期待できなさそうだ。
そろそろ17時になるのにまだ来ない。少し不安になりT嶋さんが見に行ってくると言ってテントを出て行った。どうしたんだろう?残った3人で晩ご飯を作りながら、誰かがシュラフやアイゼンを忘れたのかとか交通事故でもあったのかなどいろいろ考えた。T嶋さんも戻ってこないなぁ外はもう真っ暗なのに。18時頃やっと戻ってきた。いなかったらしい。これはおかしい!!絶対何かあったにちがいない。K藤チームはシーバーを持ってないから連絡も取れないので仕方がない。明日の朝7時半まで待ってみて来なかったら出発するということで晩ご飯を食べてすぐに寝た。
12月31日 曇り雪・強風
5時起床予定がシュラフの中でダラダラしてしまい5時半に起きた。朝食を済ませてK藤チームが来ないので出発することにした。しばらく緩やかな坂道を登る。1時間ほど歩いた地点で休憩をとった。ちょうどコル手前で急坂になっていた。一番最後に出発したので踏み跡がしっかりついていて歩きやすい。コルにでるとトラバースぎみに進み、少し下って右に大きく巻いて尾根に上がった。このあたりからチラホラとテントがあった。ここはちょうど森林の中で風も雪もまともにあたらないので良い場所だ。森林限界をでる手前付近で一度休憩をとり、寒い寒い中で行動食をほうばった。しばらく進み2,3パーティ抜かして前に出て行くとだんだん踏み跡がやわらかくなり沈みやすくなる。森林限界を抜けてボーコン沢ノ頭への登り手前でT嶋さんとトップを交代した。視界が悪くなったらルートを間違え易い場所だ。そしてボーコン沢ノ頭に到着してアイゼンとハーネスをつけた。風がとてもきつくて薄手の手袋で支度をしていたら指がめちゃめちゃ痛くなってしばらく何もできなくなってしまった。そして八本歯の頭を目指した。八本歯の辺りから時間的・天候的理由から引き返すパーティが多く、我々と
3人パーティの2パーティだけが進むことになった。八本歯ノ頭やそこからの岩場の下降は難しい箇所は無く、梯子やロープが出ていたので問題にならなかった。鞍部からまたまた登り返し。風・雪ときつくかなり辛かったが、ひたすら稜線を目指してT嶋さんトップで進んでいく。やっと北岳山荘との分岐点2970地点に到着した。M田さんから北岳山荘へはここをトラバースするよりいったん稜線へ抜けたほうが良いとアドバイスをいただいていたので稜線を目指した。しかし、途中でトレースがルートを外れていたので少し右往左往した。分岐点に戻ろうとしたときにルートらしきものを発見した。もう少しで稜線だろうということで先を見に行こうとしたが、耐風姿勢をとっていてもバランスをくずしてしまうぐらい風がきつく進めなかった。しばらく耐風姿勢で止まっていたがいっこうに弱まることは無く、これ以上進めないと判断して少し下った所でビバークすることにした。2970より少し下にテラスがあったので整地してテントを張った。4,5テンぎりぎりの大きさだった。3人パーティもこの天気で諦めた様子で、登ってくる姿はなくどこかでビバークしたんだろう。この日にピークに立ったパーティはいなかったようだ。
寒くて寒くてテントに入ってしばらく何も出来ず、暖かい紅茶や梅酒を飲んで落ち着いた。H内さんの美味しい筑前煮を食べてこの日も早く寝た。
1月1日 風・雪・曇り
早く起きても天気は回復されてないだろうと思って起床時間を遅くした。シュラフが濡れていて足元が冷たくほとんど寝れなかった。辛い夜だった。今日どう行動するかみんなで相談した。T嶋さんが昨夜から頭痛がして薬を飲んでいて少し辛そうだし、この天気でメンバーのモチベーションは低下していた。この様な状況の中、最終判断9時時点で、風・雪はあまり回復されておらず稜線の風はもっとキツイだろうと判断して下山することにした。
F上君はピークに行きたそうだったし、少し妥協しているようで申し訳なかった。彼を見ていて昔(昔といっても山岳会に入って4年)の自分を見ているようだった。昔の自分ならピークだけでもいいから行きたい!という気持ちが強かっただろう。今回は色んな状況で判断したが、あまりピークにこだわってなかった。チャンスがあればまた来ることが出来る、登ればいいという気持ちだった。何が変わったんだろう。31日の稜線直下で突っ込まず引き返した判断は自分としては良かったと思っているが、1日の朝の判断は良かったんだろうか。31日に詰めた稜線直下まで登ってみて、風・雪・天気を再度確認してから下山するか決めたほうが良かったのかもしれない。どうなんでしょうか?みなさんならどうされますか??
あの3人パーティは朝になっても登って来なかった。八本歯の手前でピークへ向かう5人パーティとすれ違った。八本歯を上り返してボーコン沢の頭へ向かってる時に前から「I野さ〜ん」と呼ばれた。もしかしてK藤さん?うわ〜やっと出会えた。どうしてたん?と聞くと初日はハプニングが起こってあるき沢橋で泊まったらしい。2日目は森林の中で泊まり、今からピークを目指すということだ。K山さんは腰痛でテントキーパーということでM田さんとKさんと3人だった。我々はピークを踏まず下りてきたというと今から一緒にどうか?となったがもう登り返す気力もなかった。ピークへ行きたかったF上君に聞くと、一緒に行くということになり、私、T嶋、H内で先に池山御池小屋へ下山することにした。F上君達と別れてK山さんがいるテントを目指した。13時頃にK山さんと合流して、お湯をテントの中で頂き、今回のいくつかのハプニングを聞いた。詳しい内容はK藤さんが報告してくれるだろう。15時頃池山御池小屋に戻ってきて、天気図をとり、水を作って晩御飯を食べた。本当は31日に食べる物だが1日出発がずれたので1日になったが、ニシンの年越し蕎麦とご飯。とても美味しかった。18時
頃F君は戻ってくるかなぁと予想していたが、その時間になっても来ないので19時頃かなって思っていたら予想通り無事帰ってきた。ピークを踏めたようでよかったよかった。風は31日ほどではないが厳しかったようだ。素晴しい景色は残念ながら見えなかったが、ピークを踏めたことで達成感はあっただろう。F上君も戻ってきたことでデザートのプリンを食べて20時頃寝た。
1月2日 晴れ
初夢はあまり良いものではなかった。さっさと朝ごはんを済ませてテントを撤収して下山。またあの長い林道を歩かないといけない。あるき沢橋へ下りてきたらI井さん達の自転車はなかった。夜叉神へとの分岐点でK藤パーティへ手紙を書いて枝に貼り付けておいた。後で聞いたらちゃんと見てくれたらしい。よかった。荒川のアイスの状況を見ながら歩き、途中でM川さんとN原さんに出会った。これから北岳に入られるらしい、いいなぁ〜。バットレス頑張ってください!!(後で成功された報告を聞いた。)奈良田に着いて温泉に入って諏訪SAでご飯を食べて帰ってきた。
今回の山行はピークも踏んでないし縦走も出来なかったけど、あの天気の中を歩いたこと、判断したことなど私にとってとてもプラスになった。リーダーをさせていただいて、ありがとうございました。
反省としては、@稜線を目指している時にルートを見失った。地図を見直してみると途中から尾根をはずれていることを確認できた。下調べ不足によりあの天候の中、右往左往してしまい体力消耗へ繋がった。A同じ山域に入る場合は、両パーティともシーバーを持っていくべきである。
ピークを踏めなかったことより縦走できなかったのがちょっぴり残念だったかなぁ。1月1日に停滞していたら縦走できたかもしれない。ただ、この山域の天気は難しく判断がつきにくかった。また、メンバー全員の縦走への強い想いが少なかったかもしれない。
今シーズンチャンスがあれば、3月にどこか縦走をしたいなぁ〜。
南アルプスは氷以外ではあまり縁のないところである。ピークを踏んだと言えば北岳、仙丈岳、甲斐駒ヶ岳くらいのもので、それぞれ岩、氷、沢のついでに登った。今回はこうした空白部を埋めるよい機会だった。結果的には頂上直下まで行ったものの、稜線まで到達することさえできなかった。ただ悪天時に行動できた分、内容的には充実していた。が、その代償として僕を含めて3名が軽い凍傷になった。もう1日日程がずれるか、もう半日頂上直下で踏ん張っていれば、天候の回復により縦走できたであろう。個人的には長い冬山ブランクのあと、徐々に冬山の感覚を取り戻しつつあるようという感じである。パーティ全体に関して言えば、みんな悪天のなかよくがんばったと思う。 生活もてきぱきとこなせていた。反省点として、食料を一部担当したが、かなり手抜きをしてしまったこと、頂上直下でビバークした夜、頭痛になり、翌朝みんなに心配をかけたことを挙げておきたい。またH内さんの感想を読んで思い出した点を補足しておくと、2日目の最後、僕は先頭でかすかな先人のトレースを追って歩いていたが、突如傾斜が厳しくなり行き詰まった。 最後は尾根からはずれてトラバース気味に稜線に出るのだが、あの雪と風のなか5万分の1の地図ではそこまで読み切れなかった。結局、そこをあきらめて引き返し、その途中で「登山道」を発見、幾ばくもいかないうちに強風のため稜線を目前にして撤退ということになった。この日は悪天候のため誰も頂上に立つことができなかった模様で、正規の道には人が通った痕跡が見られなかった。時間があれば予定通り北岳山荘まで強行することもできたが、強風と疲労を考えると正しい判断だったと思う。
二度目の正月合宿になりました。今回もたくましいリーダー、メンバーの方たちにお世話になりました。ありがとうございました。遭難のニュースもでたこの正月、強風と吹雪、厳しい寒さ(と凍傷)、ビバークを体験でき、それでもって無事に山行を終えられたことは貴重な経験になりました。 やっと体力的には余裕も感じられた今回ですが、寒さには参りました。行動中はまともに休憩した気分にならず、テントの設営・撤収でもまだまだメンバーの方に一歩出遅れた行動になってしまったと思います。やはり森林限界を超えたところでは厳しい世界になりますね。体感温度では−30度あったのではないでしょうか。厳冬期にはそれに堪えうる装備を持たないといけないのでしょうね。自分の装備の限界が見えたかもしれません。 今回もリーダーやベテランの判断は非常に勉強になりました。2日目は北岳山荘が近いと思われましたが、強風を冷静に判断してビバークを決断したところや、3日目は稜線からは山頂まで歩けるか漠然とした不安がありましたがアタックができたのも、「稜線に出るともっと風が強いだろう。天候の改善を待つ方が賢明なのですばやく適地を見つけよう」「ここは稜線の出口を抜ければ風はマシになる」というベテランの知識・経験があればのだと思います。また、北岳へのアタックでは先頭をさせていただきましたが、ルートファインディングなど不安なく力を発揮できたのもそういう方が一緒にいるという安心感のおかげだと思います。 反省としては、装備係を初めて担ったのですが、ミーティングで受け取れずリーダーの方にしていただいたのもあったりと、会装備の確保に不手際がありました。今後はもう少ししっかりコミュニケーションをとってきちっと確保するようにします。 いつもそうなのですが、年齢のこともあり行き帰りの車では全くお役に立てずすみません。帰りなどお腹を壊して横たわっているだけでした。長時間運転してくださったI野さん、T嶋さん、本当にありがとうございました。
実はあまり冬山の3000メートル級の縦走はほとんど経験がないため、今回どんな様子か楽しみにしていました。天気予報では強い冬型の気圧配置がしばらく続くとのことで、当分天気は期待できないと覚悟しての出発となりました。出発が1日遅れになり準備は助かり、また睡眠も取れたが、入山1日目はどうも調子が悪くしんどかった。 2日目の池山御池小屋からは楽になり楽しく登れましたが、樹林帯を抜け、ボーコン沢ノ頭からは厳しい風雪が待っていた。真っ白な中、不安に思っていた八本歯越えも大したことなく通過したがその後の登りでルートが分かりにくくなり、風が強まって山頂は無理だと感じた。がそれまでI野さん、T嶋さんが先頭でがんばっていただいたのが印象に残っています。ただ今回、池山尾根は初めてなのに地形図を読んでくることを怠ったのと、風雪が激しく地図を見ることをリーダー任せ、また先頭の人任せにしていたので、ルートを見出すのに時間が掛かってしまい、やはり事前の準備不足を痛感した。尾根のテント泊では端に寝たので頭が風で抑えられ、なかなか眠れなかった。夢は大量に見たのでどの物語が初夢か見当がつかなかった。 3日目は朝から風雪で風は少しましになっていたが、「山頂にいってもどうせ何も見えないので行っても寒いだけ」と簡単に登る気を失っていた。F上君は行きたそうなので申し訳なかったが、自分も以前なら見えなくたってがむしゃらに行ってたのにここでも山のマンネリ化が出てきたのかな。下山途中でピークハントの3人に会ったが、このときも山頂に行きたい気が起こらなく、おっさんになってきたのかと実感した。 4日目 朝早く出発し、下り出しの尾根では、朝日が森の中の雪面をピンク色に染めている場面に出くわした。「ハッ」としたその瞬間が本当に綺麗だった。すぐに今まで行ってきた山の朝の光景が頭の中を駆け巡り、普段忘れている過去の山行の朝の光景が蘇えってきた。時々思わぬ場所で出会うこうした自然界の光景が見たくて山行に来ているのではと思ったりすることがある。それほど今回の山行では心に響いた。 最後はまた長い林道を歩くが往きよりは短く感じた。またいつか、いや近いうちに、雪山3000級の縦走を是非やってみたい。もちろん紺碧の青空の下で。 みなさん、風雪の中、ありがとうございました。