京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 南アルプス 鋸岳 |
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メンバー | L:H岡 S木(文) F上 |
期日 | 2008/2/9〜2/11 |
山域・ルート | 南アルプス 鋸岳 |
山行形態 | 積雪期縦走 |
駒ヶ根SA→伊那IC→戸台駐車場09:30→第二堰堤10:20→角兵衛沢出合11:30〜11:50→看板「大岩小屋へ」13:30→大岩下ノ岩小屋15:15
出発06:30→角兵衛沢のコル08:40〜09:05→鋸岳(第一高点)09:40→小ギャップ09:55→鹿窓10:45→中岳(第三高点)11:20→大ギャップ11:30→第二高点12:45〜13:05→中ノ川乗越13:25
発07:05→熊ノ穴沢出合09:20〜09:35→角兵衛沢出合09:45→戸台駐車場11:55
高の原に3人が集合し、H岡さんの車で伊那へと向かう。途中混んでいるところも僅かにあったが、駒ヶ根SAに到着しそこで3人とも仮眠を取る。
3時間ほどの仮眠を取った後、SAの食堂へ行き持参した朝食を食べる。しかし、車から降りて食堂へ向かうとき物凄く寒く感じる。SAでこんなに寒いのに稜線ではどうなるのか…。伊那ICで降り、国道361、152号を進んで戸台方面の道へ入る。看板もあり分かりやすい。奥へ進むにつれ道は狭くなり落石の跡もある。戸台駐車場の直前には50mくらい凍結した箇所もあり四駆でスタッドレスではないと通れなさそうである。駐車場には既に10台ほどの車が止まっており、山ヤにまじってハンターもいた。
装備を整えて出発。実は予定より2時間ほど出発が遅れている。まずは長い林道&平坦な登山道歩きである。3連休とあってトレースはばっちり付いており歩きやすく、テープもこれでもかというぐらいたくさん付けられている。途中何回か渡渉をし、堰堤を二つほど越える。駐車場から約2時間で角兵衛沢出合らしきところに到着するが、道標は見つからなかった。ピンクのテープが巻かれたケルンが右岸にあるが、沢の出合より少し上流のほうにあり吹雪の時などは分かりにくいかもしれない。渡渉は水量少なく問題ない、石の上を飛んで渡る。
角兵衛沢もトレースがついている。出合に来る途中ですれ違った登山者が、鋸方面に上がったパーティがいると言っていたので彼らのトレースだろうか。沢の中のトレースは歩きにくい。左岸を行く先行パーティの人がおり、テープが付いていると言っていたので、そこに夏道があるようだった。すぐに我々の歩いていたトレースもそちらに合流した。そこからはずっとピンクテープに沿って続く単調な樹林の中のトレースを歩いていく。途中「角兵衛沢一合目へ」「大岩小屋へ」という二つの看板があった。積雪が30cmほどしかなく、木の根や石などの上に足を置くと滑りやすくとても歩きにくい。あまりに歩きにくいので途中からアイゼンを付ける。アイゼンを付けるとけっこう歩きやすくなった。しかしこのペースではとても角兵衛沢のコルまでは行けないと判断し、大岩下ノ岩小屋で泊まることにする。15時過ぎに岩小屋に着くと、既に2パーティが幕営していた。一つはツェルトだった。ハングの下になっている辺りを整地してテントをはる。
晩御飯はF上くんお手製の親子丼。生卵も持ってきてくれていた。
山では必ずお酒を飲むというH岡さんだが、この日は行動中からよく足がつってしまうようで、禁酒した。テント内でも何回もつって辛そうだった。皆眠たかったので19時半には就寝した。
4時起床。朝食はスープパスタ。ベーコンやコーンなども入っており朝から充実したメニューだった。
昨晩からそんなに積雪は増えてないようだった。出発するとすぐに沢の中の急斜面を直登する。一瞬雪崩がコワいかなと思ったが、先行パーティはどんどん登っているようだったし、積雪量も多くなく昨日からの増加も少ないし前進する。登るにつれ眺めが良くなり、仙丈ケ岳が望める。
角兵衛沢のコルに着くと先行していた2パーティが登攀具を身につけ出発しようとしているところだった。我々もハーネスやギア類を装着し目出帽もかぶる。我々が出発するとそれまで良かった天気が一転、ガスに包まれてしまった。コルからはすぐに険しい登りになるが、木々も多く慎重に登っていけば問題ない。先行パーティのおかげでルーファイに苦労することもなく進む。途中雪庇が発達しているところもある。
鋸岳山頂で写真を撮ってもらい少し進むと小ギャップらしき場所に出た。先行パーティが懸垂下降の準備をしている。懸垂の支点は鎖のようだ。我々も先行パーティと同じく鎖を支点にして下降する。鎖は新しく安心できる。下降した後は急な岩場の登りだ。所々木々もホールドにしながら慎重に登る。
小ギャップから20分ほど歩くと右手にぽっかり穴が空いた場所に来た、鹿窓である。こんな険しいところに鹿は来るのだろうか。続いて大ギャップの懸垂下降である。ここも順番待ちである。トポ等では30mの懸垂と書いてあったが、見たところ20mほどである。支点はちょっと頼り無さそうな枯れ木である。捨て縄がいくつも巻いてあるので、皆この枯れ木で下降しているのだろう。下降しているとトポに記載のあった2回に分けて懸垂する場合の下の支点があった。
懸垂を終える頃になると天気が回復し、太陽の光が降り注いできた。コルからは長野側にルンゼを少し下り、トラバースして第二高点への支尾根に乗り、それを登る。先行パーティが必死にラッセルしているのが見える。
第二高点へ着くと360度の大展望である。甲斐駒ヶ岳が間近に見え、仙丈ケ岳、北岳など南アルプスの山々の他、八ヶ岳もはっきり見える。20分ほど休憩した後、中ノ川乗越に向け出発する。メンバーの体調、ラッセル等の状況を考慮し、この日は中ノ川乗越で幕営することにし、明日はそのまま熊ノ穴沢を下降することにした。
中ノ川乗越へは、尾根を真っ直ぐ下り出すが、すぐに左の小さな沢の中へ入る。雪が適度に深く、滑り下りる感じで快適に歩ける。
先行していた2パーティは甲斐駒方面へ行くようなことを言っているようにも聞こえたが、熊ノ穴沢を下りて行ってしまった。ということで中ノ川乗越には我々だけが幕営することになり、ハングした感じの岩の下にテントを張った。まだ時間があるのでビーコン捜索の練習をする。つい先日岳連の救助訓練に行ってきたF上君に最新ビーコン捜索方の話を聞く。その後はF上君の希望で弱層テストの練習をする。ハンドテストを行ったが、その結果、上から30〜40cmの辺りに肘で動く層があった。
16時から炊事とF上くんが天気図を取る。晩御飯はS木のペミカンカレーである。
この日もH岡さんはお酒を我慢し、皆19時半には就寝した。夜は星がとても綺麗だった。
4時起床の予定だったが、寝坊してしまい4時半起床となった。天気は良い。朝食はS木のマルタイラーメン。具は一切無しという手抜きである。
一応アイゼンは付けて出発する。すぐに樹林帯に入り、テープもある。夏道に沿って続くトレースを進み、快調に標高を下げる。かなり暑くなってくる。熊ノ穴沢出合に来ると空が開け、雲一つない快晴だった。熊ノ穴沢の出合付近はルーファイに失敗すると崖に出てしまうとのことだったが、テープに沿って夏道を忠実に行けば問題ない。
熊ノ穴沢出合から駐車場に向けて歩き出す。少し行くと、「至 鋸岳(熊ノ穴沢コース)」と書かれた道標があった。しかし、その後もう一度探してみたが、角兵衛沢出合には道標は見当たらなかった。その後は初日に通った道を戻っていくだけである。駐車場の直前で、ハンター達が何やら道の脇でゴソゴソしていると思ったら、しとめた鹿を処理しているようだった。この日は2頭しとめたらしい。皆で刺身にして食べるらしい。
駐車場に戻るとまだたくさんの車があった。
その後、高遠桜ホテルで入浴&食事(セットで1300円)をし、帰洛の途についた。
今回の山行は、とにかく体力(脚力)の不足を感じた。普段トレーニングをしているにもかかわらず、足がつったりしたテイタラクは自分としては恥ずかしい。それでも縦走できたのは、F上さんとS木さんのおかげである。
5月の白馬主稜、鹿島槍・東尾根を経験していたが、5月のしまった雪と冬のふわふわ雪とでは体力の消耗度がかなりちがうこと、また技術的にも、冬のほうが難しくなることを実感した。
いつもハイドレーションシステムで水分補給をしながら歩いている私にとって、今回は歩行中に水分が取れないので、疲れがたまりぎみになった。それが、脚のつる一因になったとも考えられる。冬にもハイドレーションシステムが使えるよう工夫したい。(飲み口のところが凍結しない工夫が必要)
今回の反省を踏まえ、今後さらに合理的トレーニングを積んで、どんどん冬のバリエーションにチャレンジしていきたい。
今回の鋸〜甲斐駒縦走計画は、予定通りは進まなかったものの十分達成感は残すことができました。遥かな景色をバックに沢を詰める快感は先日の堂満ルンゼと同じく、ルンゼ詰めが癖になるかも。足運びに注意しながらリッジを歩き、手袋をしたまま懸垂で難所を越える。冬の懸垂は初めてだったが、アイゼントレで練習していれば大丈夫だと思う。ただ本番ではルートファインディングと支点選びが重要ですね。今回は先行パーティーに助けられた部分も多かったので、自分たちの力でもこなせるかはまだ不安が残ります。
反省点は@嗜好品が少なかった(砂糖が必要、目安は500g程?)A装備調達の不手際などパーティー行動におけるものも幾つかありますが、個人的にも慣れない靴(オークションで頂いたプラ靴)で歩いたため、実力を発揮できなかったところがあり残念です。特にアプローチの林道歩きは苦痛でした。まだ工夫次第で改善できるとは思いますが、履き易さを優先させるなら革靴だと思いました。また、天気図を山で初めて採りました(実践したのは中学の授業以来)が、思いのほか上手くできませんでした。天気図用紙と放送順など、また復習と練習が必要だと思い知らされました。今回、初日には小さい二つ玉低気圧が通過したのですが、角辺衛沢のコルまで進むかどうか天気を見て判断できたわけではないので、天気との判断も今後勉強が必要だと思います。結果論では雪崩が起こるほどの降雪はなかった(20cm程)ようですし、風についても耐え得たかもしれません。
もうすぐ三月になり下界では春が近づいて来るでしょうが、まだ冬山で学びたいと思わせられる山行でした。メンバーの皆さんありがとうございました。
今回は、懸垂下降が2回ある、南岸低気圧が通過するということから入山直前少々ビビっていた。しかし、天気が心配された一日目もそれほど降雪がなかったし、相変わらず体力の面では何ら問題なく、他のメンバーのサポートにも回れたので良かった。
しかし、ルートファインディングにしろラッセルにしろ、先行パーティにかなり助けられた山行だった。僕が快調に先頭で歩けたのも、わかんを付けた先行パーティがラッセルをしてくれたおかげだったし、稜線歩きの際も先行パーティの的確なルート選びによって安心して進めた。懸垂の支点もしかりである。もし今回僕らのパーティだけだったとしたら、まずラッセルでかなりの苦労を強いられただろう。メンバーは3人、しかも軽量化でわかんを持って行かなかったのだ。ルーファイについても、僕はずっと先頭だったのだが、先行パーティのトレースにただ付いていくだけになってしまったので、もっと「自分だったらどこをどう行くか」ということを考えながら歩けば良かったと思う。
また、二日目に樹林の無くなったルンゼをつめる際も、雪崩が頭をよぎったけれども、先行パーティがどんどん進むのにつられてそのまま歩いていってしまった感じなので、結果的には大丈夫だったけれども、もう少しパーティ内で意見交換して結論を出してから行っても良かったかなと思った。
反省点をまとめると、一日目の出発時間が遅くなったことと、わかんを持っていかなかったこと、自分が先頭だったときに、ルーファイについてもっと自分なりに考えながら歩けば良かったこと、だろうか。
冬山は奥が深い。まだまだ経験を積まないといけないと感じた。いろんなところにいろんな人と行きたいと思う。もちろん今回のメンバーとも。皆さんありがとうございました。