京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 大日ヶ岳〜丸山 縦走 |
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メンバー | L:H内(文) Y本 |
期日 | 2008/4/12〜4/13 |
山域・ルート | 大日ヶ岳〜丸山 縦走 |
山行形態 | 積雪期縦走 |
石徹白川流域は白山山系の最南に位置し、積雪量が多く、残雪期には普段藪に覆われ通ることが出来ない稜線が残雪を利用すれば容易に歩ける場所であることが多い。
今回は石徹白川流域に入る時によく使う桧峠から入山し、石徹白川左岸の分水嶺を一般登山道が通る神鳩宮避難小屋へと歩くことにする。
06:10 桧峠
08:15〜25 水後山
08:55〜09:05 鎌ヶ峰
10:00〜15 大日ヶ岳
10:50〜55 天狗山
12:05〜25 天狗山、芦倉山との最低鞍部
13:45〜14:00 芦倉山
15:00〜10 ・1669m
15:40 1680m峰と丸山の最低鞍部(荘川側の平坦地)テント泊
前日道の駅「白鳥」で仮眠し桧峠の登山口へ。他に車はない。6:10に出発。直ぐに残雪があるが踏み跡が無い。5分も歩くと温泉の駐車場に出た。駐車場の奥からスキー場のゲレンデの中をゆっくり登る。登山道は西側に付いている。標高差200m位から残雪の上を歩くようになり、7:30にスキー場最上部のリフト終点に着く。そのまま登山道を上がると雪に覆われた・1391mだ。小白山、野伏ヶ岳やこれから向かう鎌ヶ峰が良く見える。残雪の上にはかすかに人が歩いた跡が残っているだけだ。有名な山なのでトレースがあるものと思っていたがちょっとした誤算。快適に進んで水後山へ。この先一旦下ってから上りとなるが、このあたりから残雪が割れているのでルート取りに気を使うのと、それとなにより前日に雨が良く降ったせいか、ワカンを着けていても深く沈むところが多くて時間が掛かる。・1666m手前の峰は鎌ヶ峰という標識があり、これから向かう大日からの尾根筋が良く見えている。鎌ヶ峰先の下りは急で、転倒しないよう気をつけて下る。鞍部から大日ヶ岳へ登り標高差120mをゆっくり辿るが、水後山からは既にトレースの痕跡もない。
大日ヶ岳山頂へ3時間50分掛けて到着。今まで辿ったコースと違って続々と登山者が登ってきている。15名の団体や単独行の方など大勢の登山者でいっぱいだ。皆、ダイナランドスキー場のリフトを利用してとのこと。風が少し強く寒い。山頂からは白山本峰や別山の真っ白な姿や御岳山、もちろん石徹白流域の山々が望まれる。ただ、目指す丸山は背後の大きな白山の山塊に重なって冴えない。
賑わう山頂を後に、いよいよ縦走開始。まずは天狗山を目指す。数日前らしいトレースが幾筋か付いている。山頂にいた団体も天狗山まで往復とのことで少し後に続いている。
山頂からは広い尾根で快適。緩やかなアップダウンを3〜4回で天狗山へ。正面に芦倉山が近づく。天狗の直ぐ先の峰は北側をトラバースし、次のコブも手前から巻く。・1596m手前では単独の人に会う。・1596mから南西に伸びる尾根を上がってきたとのこと。この峰からは完全にトレースが無くなる。相変わらず広い尾根を辿るが・1596mからは石徹白側は植林、荘川側は見事なブナ林となり、対照的だ。この綺麗なブナ林は芦倉山の登り標高1550mまでずっと続いている。
最低鞍部に昼過ぎ到着。ここで20分余り休憩。荘川側のブナ林が美しい。出発から6時間歩いて来たので夜行疲れもあり、これから芦倉山までの登り標高差370mがきつそう。
この尾根は以前芦倉山からの下山に使ったので様子は分かっている。ほぼ市界(旧町村界)をトレースする。途中2回休憩し、鞍部から時間をかけてゆっくり疲れないように登る。標高1600mあたりからは、これから向かう・1669mの南面が望める。どうも地肌が出ていて、荘川側は崩れ損ないの途切れ途切れの雪面が急斜面にへばり付いている。ピークの頭には3m位の雪の垂直な壁を持った残雪ブロックが乗りかかっていて崩れ落ちそうに見えている。今日の一番の問題箇所のようだ。
芦倉山山頂へは最低鞍部から1時間20分掛かった。雄大な景色が見渡せる。天気は薄曇りになってきた。前回登った西側の尾根からトレースが付いている。今日、何人か登って来ていたようだ。
行動開始から7時間半以上経って、かなり疲れている。計画書より30分遅いがまだ時間が早いので予定通り先に進む。まずは北東へ急な下りからスタート。標高差30m程度はピッケルを使い慎重に降りる。その後広くなった尾根を少し上り下りし、問題の・1669mの登りだ。
ずっと着けていたワカンを外し、少し藪尾根を掻き分け、先ほど芦倉山の登りで観察していた山頂から初河谷側に細く続く雪の面へ入るべく、・1669m直下20〜30m手前から初河谷側に距離80m程度水平にトラバースする。
山頂へ続く残雪は近づいてみると遠くから見た程には傾斜がない。それでもここでスリップしたら止まらないので一歩ずつ確実に登る。Y本さんは少し緊張しているようだ。Y本さんの足取りを振り返りつつ前進する。傾斜が落ちてきて・1669m山頂へ。ここからは越えてきた背後の芦倉山が格好良く見える。
・1669mからは最初少し藪があるがすぐに抜け出し、あとは緩く広い尾根を辿るだけだ。次の山頂の北西と南西にはテント地に良さそうな鞍部が地図から分かる。しかし地形図からするとこの1680mの峰と先程の・1669mを取り巻く1620mと1630mの主曲線は明らかに違うようだ。この2本の等高線の間隔は前後の標高のそれより2倍程広く、計画段階ではこの間隙の緩斜面を利用してピークを巻くことも案として考えていた。しかし現地で見るとどこにもそのような緩斜面は見当たらない。このルートで縦走の計画をされる方は少しこの点に注意が必要だ。地形図と合わない等高線の間隔の位置にある当初予定していた北西の・1625mに延びる尾根との鞍部でテントを張ることは止め、丸山との鞍部に向かう。 すぐ降り着いた場所には荘川側に10mほど下がった場所にうってつけの平坦地があり、絶好のテント地だった。
ここは地形図から想像がつく。周りには大きなブナやカンバの木が生えている。15:40本日の行動終了。風も無く静かな夜を過ごす。
06:35 テント地
07:10〜20 丸山
08:25〜55 神鳩宮避難小屋
10:05〜20 石徹白の大杉
10:30〜11:10 大杉登山口
11:40 大杉林道途中で車に便乗
今日の朝は曇り空だ。すぐには降り出しそうにはない。5時半頃起床し、外を眺めながらテント内で朝食。日の出はなかった。
6:35出発。前日、テントを張った後に単独行の人が先を進んでいったのでトレースが出来上がっている。稜線からは初河山が近くに見えるが背後の小白山や野伏ヶ岳などはガスで見えない。丸山は見えている。次第に傾斜が強くなる雪の稜線を進む。急傾斜の斜面に取り掛かる頃には濃霧に包まれる。風は無いので寒くはない。最後の急登を頑張り山頂へ。立派なダケカンバの木が霧の中に浮び幻想的だ。山頂からは何も見えない。ここから360度の展望を期待していたが残念。
山頂には北から複数のトレースが付いている。どうやら丸山へピストンしたパーティのようだ。
ガスが掛かって見通しが効かないがトレースがあるのでルートファインデングは必要ない。時間があるのでガスの中、時々Y本さんに読図の要点を説明しながら進む。
前から人の声がしてきて、聞くと大垣から来られた大垣山岳会の夫婦の方で、丸山へピストンとのこと。今日は天気が悪く、この夫婦と出会っただけとなった。
途中1680mのピークは北側のブナ林を水平にトラバースする。・1572mの手前に突き上げている北側からの浅い源流は綺麗なブナ林に覆われている。・1572mの肩に上がると小屋が見えた。ここからはトレースを離れてまた水平にトラバースし、小屋の前で尾根に乗る。越えてきたピークや丸山はガスで見えないがちょうど今いる標高から下部はガスが無く、石徹白川流域が淡く眺められる。
これで今回の縦走は無事に終了。縦走のルート取りで少し注意が必要なのは芦倉山、丸山の中間あたりの・1669mの南面の登り位で他は何の問題もなかった。
神鳩宮避難小屋の中で休憩。小屋に書いてあるデフォルメされた面白い地図を見て今度はどこに行こうかと早速思案。いろいろ話をしていたら30分も経っていた。
残雪の尾根を大杉に下る。単調に下り天然記念物の「いとしろ大杉」に着く。すぐ横を水が流れており、新鮮な水にありついた。さすがに大きな杉だ。ここから急坂をわずかで大杉林道の通る登山口に降り付いた。
コーヒーを沸かし、ゆっくりとする。舗装された林道を上在所に向け歩く。林道を30分余り歩いた頃、丸山の先で今日唯一出会った大垣山岳会の方の車に乗せていただく。願教寺山に昨日登ったことや、その他山の話をしているうちに、30分くらいで桧峠へ戻った。今回も例にもれず、山に行く度に山で出会った方のお世話になり、感謝しながら充実した山行を終えることが出来ました。