京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 前穂高北尾根 |
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メンバー | L:I野(文) O村 N村 |
期日 | 2008/4/26〜4/29 |
山域・ルート | 前穂高北尾根 |
山行形態 | 積雪期岩登り |
八ケ岳西面の岩稜に行けたら、前穂高北尾根に行きたいと思っていた。今シーズン冬、小同心・中山尾根に行く事ができたので、残雪期に是非行ってみたいと思っていた。そして、GW前半にメンバーが集まり行く事になった。
出発15:30→平湯バス停20:30→仮眠
当初予定していた登攀日27日が雨予報になったので、N村君提案で1日遅らせて出発することにした。15時に京都を出て、N村君が前から行きたいと思っていた自然薯屋で晩ご飯を食べた。三重県の鈴鹿 御在所の帰りに寄った店と同じだなぁと思っていたら姉妹店だった。平湯バス停に20時半頃到着し、少し宴会をして仮眠した。雨は一向に止みそうになく、本当に回復するのかなぁと不安だった。
起床5:00→上高地7:30→横尾10:25→本谷橋12:00→涸沢14:00
雨は朝方まで降っていた様だった。平湯バス停でパッキングしてあかんだな駐車場へ行って上高地へ向かった(往復1800円/人)。雨あがりであまりお天気も良くないせいか人は少なかった。登山届けを出してさぁ出発。明神館から徳沢、横尾と林道を3時間歩いた。徳沢、横尾でのんびり休憩をとった。プラブーツで林道歩きは辛い。案の定足の裏に水脹れが出来てしまった。横尾からは雪のついた登山道となる。本谷橋まではそれほど雪は無く快適に進む。すっかり空は青空で陽射しがきつい。登山客は多くて耐えることなかった。
本谷橋から谷は二俣に分かれて左へ進む。そして右にカーブすると少し傾斜がきつくなり、涸沢ヒュッテが見え始めた。予定通り14時頃涸沢に着いた。秋に一度来たことがあったが、紅葉の時期はと違った山景色に感動した。カールもスキーヤーがつけたシュプがかっこよかった。快晴の中、涸沢岳・奥穂高・吊尾根・翌日登る前穂高北尾根が綺麗に見えていた。素晴らしい山々に囲まれた涸沢、気持ちの良い素敵な場所だと改めて感じた。テントはもっと多いのかと思っていたが意外と少なかった。小屋もあいていて、水・トイレがあって快適だった。(テント場代500円/人・泊)
早めに晩ご飯を済ませて、明日の登攀に備えた。しかし、緊張しているせいかなかなか寝れず辛い夜だった。夜になると風がきつくてテントがバタバタとうるさく、本当に明日はお天気なんだろうかと不安だった。
起床3:00→出発5:00→5,6のコル6:20→登攀開始6:40→四峰頭7:30→三峰登攀開始8:05→前穂高岳11:25→奥穂高岳14:05→奥穂高山荘14:50→涸沢16:00→就寝
やっと起床時間になり3時過ぎに起きた。稜線にはガスがかかっていて空は薄暗かったが、快晴になることを信じて5時に出発した。
既に2パーティが出発しているのが見えた。1組は素直に谷を詰めるコース、もう1組は6峰の基部を巻いてから谷を詰めるコースを歩いていた。我々も少しどのコースをとるか前のパーティに惑わされて右往左往したが、素直に谷を詰めることにした。うっすらトレースは残っていたが踏み跡は無かった。26日の天気は、下界で雨・山では雪だったのか、雪の状態が悪い為、27日は登攀禁止と小屋に張り紙されていた。27日は誰も北尾根に入ってなかったのだろうか・・・。
途中からN村君に先頭を変わってもらって、ものすごい勢いで踏み跡をつけてくれた。さすがN村君、ありがとう。先行2パーティを追い越し、5、6のコルに一番に到着した。テント場から1時間ほどで着いた。登攀準備をしていると、次から次へと人が登ってくるのが見えた。5,6のコルを出発するときには、我々以外に3パーティほどいた。目の前の五峰を見るとばっちり踏み跡が着いていたので既に先行パーティがいる様だった。
N村君を先頭に登りだした。五峰は怖い箇所は無くすんなり4,5のコルに着いた。前の男女2人のパーティは、コルでザイルを出す準備をしていたので先に行かせていただくことにした。トポにはザイルを出した方が良いとも書いてあったが、とりあえず我々は出さずに行くことにした。トポどおり最初の岩峰を奥又白側から巻き、次に涸沢側から巻いて四峰のピークに着いた。ザイルを出すほどではなかったが、一箇所緊張して慎重になったところはあった。四峰のピークから核心の三峰が大きく見えた。あの岩場をのぼるのかぁと興奮した。ちょうど先行2パーティが取り付いていた。3,4のコルまで下りて順番待ちをした。3,4のコルにはビバークした跡があって、風をよけるのにちょうど良かった。
三峰は3ピッチあって、最初1ピッチ目をN村君がリード、2・3ピッチ目を私がリードした。1ピッチ目は左からの凹角(V級)側から登った。残置ハーケンが何個かありランナーをとることができた。トラバースするところは、高度感があって気持ちよかった。ホールドはしっかりした岩で雪もついてなかったので安心して登ることが出来た。終了点の位置がビレー点から左側に大きく巻いた位置にあったのでコールが聞こえにくかった。また、ランナーを長めにとってなかったのでザイルの流れが悪くなり少し苦労した。2ピッチ目は、右へ少しトラバースして雪がたっぷり着いた凹角を登っていく。凹角の中はランナーを取る箇所はなかった。ザイル残10メートルと確認してランナー2箇所とって上部の岩を越えた。ザイル50メートルギリギリでビレー点作成した。
コンテで進んで3ピッチ目はワンムーブのボルダーで三峰のピークに着いてピナクルでビレー。二峰は、三峰の頭からナイフリッジをとおり、岩部分は無く雪稜。コンテでも可能だったがザイルをだして登った。50メートルいっぱい出して頭に着く。一峰の取付きは、二峰の頭からナイフリッジを慎重に歩いて4,5メートルクライムダウンをするとコルに着く。クライムダウン地点には、残置スリングがあって懸垂も可能。ホールド、スタンスがきっちりあったのでクライムダウンすること出来た。一峰も雪稜でコンテ可能。我々はザイルを出して頭でボディービレー。そして5時間の登攀を終えて前穂高岳のピークに着いた。
先行パーティは既に吊尾根を歩いて奥穂高に向かっていた。3人でピークで360度の雪景色を楽しみ、登攀の余韻に浸った。さぁここからが私の核心だった。吊尾根・そして奥穂高から涸沢までの下山。緊張感はまだまだ続いた。一番緊張した箇所は、前穂高岳から紀美子平の下りだったかもしれない。アイゼンにひかかってこけたら滑落、慎重にゆっくり歩いた。そしてアップダウンを繰り返しながら奥穂高岳に2時間かかって着いた。途中で先行パーティ3組に追いつき、追い越して一番に奥穂高に着いた。感動はピークに達した。登攀・縦走と満喫し、緊張感から少し開放されたからかもしれない。メンバーと強く握手を交わした。
奥穂高岳からはばっちりトレースが着いていて歩きやすく、奥穂高山荘からもトレースの着いたザイテングラードをおりてきた。色とりどりのテン場、涸沢が見えた。素晴しい一日を振り返ると涙がでた。メンバーに感謝の気持ちだった。夜は小屋でビールを買い足して、登攀・縦走成功を祝った。
起床4:30→出発6:45→上高地11:45→平湯温泉→国八鉄板焼き→京都19:30
ゆっくり起きて下山。河童橋まで戻ってくると観光客がたくさんいて賑わっていた。
2年前から行きたいと思っていて山に行けた。素晴しい山行が出来た。
行きたい山に行けるのは幸せだ。メンバーに感謝したい。ありがとうございました。