京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 上越 中の岳〜鳩待峠 |
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メンバー | N村 |
期日 | 2008/5/4〜5/7 |
山域・ルート | 上越 中の岳〜鳩待峠 |
山行形態 | 山スキー |
GWは奥利根横断を考えていたのだが、雪が少なくかなり状態が悪いとの情報を直前に得て、確実そうな尾根ルートに変えた。このルートはGW前半の状態が流れていたし、雪が多かった年の記録を見ていたので楽かなと思っていたのだが。
しかし、甘かった。ここまで雪が無く、スキーが使えず、藪こぎがあり、雪の状態がこれほど酷く、その上を通らなければないとは。奥利根は雪が少ない年で時期が遅いと大変ということのようで。
京都駅23:30→熊の川道の駅3:30→仮眠
GW前半と後半の間は何だか忙しく、前半の疲れも取れないままだった。満員の夜行列車の自由席で山に向かうのはあまりにもしんどいので、一日出発を送らせることにした。「きたぐに」で京都を出発。六日町で朝食を調達しようとするが、近くにコンビニがなく、レーションで済ませ、タクシーで十字峡に向かう。初夏のような、日差しと暑さ。きっと登山以外のアウトドアには最適だろう。でも当分雪が無さそう。登山口には雪の気配は全くなく、スキーと兼用靴を担いでのスタートとなる。 ここから1600mの登り、どこからスキーが使えるのだろうか。先が思いやられる。緑が美しく、花がきれい(特にイワウチワというのが)。絶好の天気の中、汗をかきかき登る。2合目くらいで靴を履いてスキーを使ってみるが一瞬で終わる。とりあえずスキーだけを担いで登る。5〜6合目にかけては緩い下りの地形でここだけはスキーが使えた。ここで別のパーティーと会う。彼らは丹後山から来たらしい。これ以降は急登で、雪面にはたくさんの切れ目が見えて不気味だ。やばいところは登山道沿いに登ったりして着実に進む。遠くを見ると中の岳〜兎岳の間にやばそうな雪庇の下にトレースが付いている。あんな所を明日は通らなければならないのか。時に雪崩の音が聞こえる。稜線近くになると雪の裂け目がとても多く、時に裂け目のそばを通ることになる。 中の岳山頂を通って避難小屋に着く。前も来たことがあるが立派な小屋だ。時刻はまだ3時半、日の長さを考えればさらに進むことも考えられたが、疲れたので、結局ここで行動を止める。強い日差しのもと、外でのんびり過ごす。空を見ると雲が西に流れている。ひょっとして天気悪くなるのか?ラジオの電池が切れていたが、幸い携帯が入った。寒冷前線の通過で、明日は全国的に天気が悪くなるらしい。午後は雨か曇り、夕方は確実に雨だ。悪天候は一日で済むらしいが、進むべきか、行くべきか結構悩む。雨が降った後は更に雪の状態は悪くなるだろうから、停滞するならば下山せざるを得ないだろう。明日はツエルト泊なので多量の雨が降ると苦しい。微妙だが明日、尾瀬への分岐点の大水上山で考えることとする。
中の岳避難小屋4:30→兎岳6:00→大水上山7:00→藤原岳9:20→にせ藤原岳11:30→剱が倉岳の台地末端泊地16:30
珍しく早朝に出発する。とはいっても夜明けの時間が早いので明るい。天気は曇り、昨晩はあまり気温が下がらなかったらしく、雪が全くクラストしていない。中の岳からの下りは一部スキーが使えそうだったが、クラックがありそうで不安なので担ぐ、シール登行ができ、快調にすすむ。兎岳からの下りはあまり状態が良くなくて担ぐ。大水上山には予定していた時間よりも早く着いたので何とか今日中に安全な所に抜けられるのではという期待感から先に進むことにする。
しかし、ちょっと前から谷底からガスが上がってきていて視界が悪い。尾瀬への尾根はここからかなり下るのだが、どう下るのか下の方が見えない。尾根を外せば結構急な斜面のようだ。結局、それらしいところを選んで亀裂だらけの斜面を下る。非常に心臓に悪い。下りきると細尾根でトレースはあるが、亀裂の真横を進むこととなる。崩れたらたまらんなと思う。しばらく行って、藪のピークを登る、藪の中を降りる方向を間違えたことに気づき、コンパス、GPSを駆使して藪を掴んで這い上がり復帰する。藪の尾根がしばらく続き、藤原岳手前あたりで藪がきれたのでスキーを使う。天気も回復してきて、奥利根の山々やこの先の山々が見えてくる。スキーが使えるので快調に進む。藤原岳から鞍部まではスキーで下れた。なかなかいいペースで平が岳まで行けるのでは、とこの時は思っていた。
鞍部を越えてにせ藤原岳のピークに向かう。今までの藪こぎと違って背丈くらいの本格的な藪こぎにはなる。藪をかき分けて進む。なるべく背負っているスキーが引っかからないようなコース取りをするように注意するが、すべて避けきれるものでもない。背の高さくらいの木があるとどうしても引っかかってしまう。スキーが引っかかるのを外すと、今度はストックが引っかかる。これを何とか振り切って進む。少し行くとまたひっかかり、はずすのを繰り返す。にせ藤原岳は藪に囲まれたピークだった。ピークで方角を確認して再び登る。
さらに行くが藪のひどさは相変わらずで、藪がましな所でも細い尾根でスキーなどとても使えない。いったいスキーを担いで何しに来たのやら、初めから藪こぎ山行のつもりなら納得なのだが。GW前半から相当雪が解け、かなり雪庇が落ちたらしく、トレースが空中で消えている箇所もあった。苦戦するうちに雲が西から流れてきて天気がどんどん悪くなってくる。視界は再び悪くなり、ついに雨が降り出す。笹藪はぬれると滑りやすくなり苦労する。藪こぎになってからあまりに進まないので距離感覚がおかしくなってきて、途中現在位置が分からなくなり、視界がなくて時に進む方向に悩む。GPSは正しい位置を示していたのだが、いつまでたっても剱が沢岳に辿り着かない、もっと進んでいるはずなのにおかしいとずっと思っていた。
そうするうちに時間は3時を過ぎ、そろそろ幕営場所を決めないとまずくなってくる。しかし、笹藪だらけで雪が少なく、雪は斜面にしか付いていない。スキーをポール代わりに使いたいし、水の確保の都合もあるのでなるべく雪のところに張りたいのだがいいところがない。ようやく、剱が沢岳の手前の台地の手前に辿り着く。風が強くなってきたので台地上に張るのは無理だ。下部もいまいち不安だ。すこし笹藪を登った所の雪の緩斜面を掘り下げてそこに張ることにする。なんとか風は防げそうだ。なんとかツエルトをはって落ち着く。濡れた衣類を替えて寝る。雨はやまず、風もあるががツエルトの防水性が意外とあるようで助かる。快適に寝れた。
泊地6:00→剱が倉岳7:00→平ヶ岳8:50/9:00→白沢岳9:40→大白沢山の先11:40→フタマタ沢合流12:30→左又出合12:45→山の鼻14:00
寒冷前線は通過したらしく、よい天気だ。 結構景色の良い所に幕営していたことに気づく。藪こぎを少しして、ようやく雪の開けた斜面に出る。気温が下がったらしく雪はクラストしていた。シールで登行も可能そうだったがすべると面倒なので引き続き、スキーを背負って進む。昨日と比べてとても快適。景色も最高。利根川源流を囲む山々を望みながら、横断ならおそこ辺りを通るのかなとか思いつつ。順調に高度を稼いで剱が沢岳山頂に辿り着く。平ヶ岳が近い。ここから下って登り返すところが少し悪かった。我慢のかいがあってやっと一面真っ白な雪の山になる。平ヶ岳って本当に平らだ。平ヶ岳手前ピークでスキーをようやく使う。気持ちいい。ゆるい登りの後に平が岳ピークにつく。まさに360度の展望だ。越後三山が三つ並んでいた。三角点もよったがいまいち展望はなかった。ここからスキーの本領発揮。ピークから一気に滑り降りる。やはりスキーって早い。白沢岳あたりでは登り返し、なるべくトラバースぎみに登る。大白沢山手前でも登り返す。ところが本来のルートに行くにはススガ峰方面に行くには尾根を登り越えなくてはいけないのだが、トラバースし過ぎて大白沢山を過ぎる所まで行ってしまう。 もどるのも面倒なのでそのまま下る。とりあえず、右へ右へと滑る。藪スキーを堪能する。ところどころ雪が割れ、水流が出ているのをかわしながらワル沢、二股沢と滑って本来のルートに合流する。ここから猫又川沿いにすすむ。川沿いのトレースは何箇所か川の中へと崩れていて、そのたびに高巻を余儀なくされる。すんなり快調に進むと考えていたのだが、時間がかかる。平原が次第に開けてきて、尾瀬らしくなってくる。雪に埋まった湿原の上を進む。雪が解けたところからは水芭蕉が顔をのぞかせていた。強烈な日差しでうだるよう中、山の鼻についた。2時だったの至仏山に登るのは明日にすることにした。しめった装備を乾かし、ビールを買って小屋の前で昼寝する。緊張が解けたのでよく寝れた。水も便所もあり快適なテント場だった。
山の鼻5:50→至仏山7:20→山の鼻8:20/8:40 →10:00鳩待峠10:10→戸倉10:40/11:10 →温泉付きそば屋→13:45沼田駅
今日はスキーの日、至仏山を目指す。荷物がないとこんなにも身軽なのかと感動しながらシールで快適に登る。取りつきがいまいちよくわからないが、適当に登る。尾瀬ケ原の背後にそびえる燧ヶ岳を振り返りながら、快調に高度を稼ぐ。ムジナ沢の方から登るか尾根にそって登るか迷うが尾根を登る。最後の最後のほうで雪がきれてスキーを担ぐ。まあこの山行に相応しいか。少し登って至仏山山頂につく。山頂からは越後の中の岳、平ヶ岳といままで通ってきた山々が見え、はるばる来たもんだと思った。奥利根の山々も一望できた。ここから滑降、ムジナ沢を滑るが雪が切れていて途中結構担ぐ。あとは快適な滑降を楽しむ。山の鼻に戻って片づけて、鳩待峠に向かう。最後くらいはスキーを使ってやろうとずっとスキーで進む。木道をスキーで歩いたりと結構無理があったがなんとかスキーのままで鳩待峠まで行けた。鳩待峠の看板をみてようやく辿りついたよーと思った。