南アルプス 大井川倉沢

山行名 南アルプス 大井川倉沢
メンバー T嶋、I野、S木、N村、T岡   
期日 2008/8/13〜8/16
山域・ルート 南アルプス 大井川倉沢
山行形態 沢登り

I野の記録

8月13日

京都駅23:00→南アルプス登山指導センター5:30 仮眠

飯豊大又川の計画をたてていたが秋雨前線により雨予報、ということで急遽南アの沢へいくことになった。所の沢か倉沢ということで計画をたてなおして京都を出発した。倉沢、所の沢は南ア屈指の悪沢と言われているらしい。さぁどちらを遡行するか。倉沢のほうが登れる滝が多いということで倉沢へいくことになった。東京から参加のT岡さんと待ち合わせの登山指導センター駐車場へむかった。


8月14日

起床7:00→バス9:00→椹島ロッジ10:20→出発10:30→倉沢出合10:55→11:15ゴルジュA11:40→11:50ゴルジュB12:30→12:40ゴルジュC→戸間ノ滝沢15:05→沖ノ滝沢15:30→ゴルジュD→泊地16:00→就寝20:00

9時のバスに乗るために7時起床。まだT岡さんは到着してないようだ。朝ごはんを食べながら待っていると7時半過ぎにT岡さんがやってきた。高速下りてからの林道の運転がしびれたらしい。確かにここの運転は辛かった。バスに乗り込み椹島へ着いた。天気は良好。大井川へおり川沿いを進むこと30分ほどで倉沢出合に着いた。
出合からゴルジュAまではすぐだった。左側からへつりながら超えていく。岩は磨かれていて滑りやすい。釜に飛び込み倒木を使って超えたり、空身で肩をかりてボルダリングや水しぶきを浴びながら直登とお助け紐をだしながら進んだ。ゴルジュAをぬけると少し穏やかに。次なるゴルジュBが楽しみだ。ゴルジュBに入ると5メートルの滝に遭遇し右岸から超える。次なる釜を持つ小滝を右側から泳ぎ越えた。谷は河原となり平凡に。1185地点で右から滝となって入ってくる支流を見送り谷は左に曲がる。そしてゴルジュCが始まった。10メートルのヒョングリの滝は滝の裏側から通り抜け滝の右側から登りバンドを横切り簡単に超えることが出来た。すると次なる滝が現れた。滝を直登して超えるかと思ったが、右側に残置スリングがぶら下がっているのが見えた。あれを使って超えることに。
T嶋さんがリードでいく。残置ハーケン一つ使ってトラバースをするが、残置ハーケンだけでは物足りずカムでランナーをとる。そして途中でナッツをかまして2,3メートルほどトラバース。そこから1メートルほど直上するが、ヌルヌル滑りスタンスがなく、カムをかましてスリング鐙で超えた。ひぇ〜。続いてプルージックで登る。高度があって怖い。この谷で一番緊張した箇所だった。全員が超えるのに4,50分かかったような。またまた次の直登出来ない滝を右岸より巻いて懸垂で下りた。ゴルジュの中に下りないように避けようとするが、支点からまっすぐ下りて無い為、少しバランスを崩すと振り子の様にブーンと振られて岩へ激突。その後も滝が次々と現れた。やがて左から大きな支流戸間ノ滝沢に出合い、すぐに沖ノ滝沢が100メートルの滝となって入ってきた。見事だ。谷は右に曲がりゴルジュDに入った。早々2条15メートルの滝が現れ右岸より巻いた。えらい高巻きになるかと思ったがS木君のルーファンによりそれほど巻かず30分ほどで谷に戻ることができた。
時間は16時。歩き出した時間は遅かったが寝不足で辛い。今日の予定地(上ノ倉沢と下ノ倉沢出合)まで進まなければと思っていた矢先、リーダーからお〜いと止められた。泊地に良い場所だった。この辺りで泊まるか翌日のことも考えてもう少し進んでおくべきか相談。私の強いお願いで本日終了となった。わ〜い。先にはチョックストーンのある10メートルの滝が見えていた。
そうとなれば焚き木を集め、寝床を作り、楽しい晩御飯となった。S木君の牛丼をいただいて20時頃寝た。虫はまったくいず、とても快適な夜を過ごすことができた。シュラフをもっていったが暑くてシュラカバだけでもよかったぐらいだった。


8月15日

起床5:00→出発6:35→ゴルジュD→ゴルジュE→二俣9:15→上ノ倉沢遡行9:30→大滝35mS字13:45→登山道出合14:30→椹島ロッジ18:30→お風呂→就寝22:00

朝起きてご飯ができるまでに寝床を片付け、早く出発できるようテキパキ動く。そして予定時間より30分早く出発することができた。しかし、早々S木君がルベルソをポチャンと落とした!少し流れがあるところで見えにくい。朝一から濡れながら必死に手探りで探す。手伝うが冷たくて長時間つけてられない。T岡さんがエイト環と袋で水中眼鏡を作るが役立たず、探し続けること15分ぐらいだったか見つかった!!よかったよかった。さぁ再度出発。今日は高巻きの連続だ。
まずは泊地からみえていた10メートルのチョックストーンの滝だ。ここは右岸から巻く。N村君がトップでいくが足場が悪く落石が多くやらしそうだ。N村君はザイルを持ってなかったので続いてT嶋さんが登りザイルを張る、そして続いてN村君がトップでザイルを張りルンゼをトラバースする地点でザイルがたりずいったんストップ。そして3人目、4人目と登り、N村君にザイルをのばしてもらいルンゼを超えて少し尾根を下った地点から懸垂で谷へ戻った。そして釜を泳いで超えるとすぐに10メートルの滝が現れた。後ろから続いてくる気配がないと思い振り返ると、N村君がT嶋さんの腕をまっすぐあげて肩をはめているのが見えた。T嶋さんが脱臼したようだ。もしや・・・前回と同じ肩だ。なんとか肩ははまり歩けるとのこと。まだ遡行し始めて1時間しかたっていない。今日の行動時間は長い。大丈夫だろうか。とりあえず谷を進むことに。
次なる滝は左岸より越えた。いったん尾根にあがり少し下ると脆そうな岩壁にぶちあたる。ザイルを出すまでもなかったが落石に注意しながら登り、樹林帯の中を進み、谷に戻れそうな箇所を探しながらトラバース。ゴルジュEとよばれる箇所だ。「トンネル状ゴルジュ」と呼ばれていて、不気味な恐ろしいゴルジュに見えた。早く谷に戻ろうとしたが、ゆっくりと見定めてちょうど二俣出合いに懸垂で下りた。ふ〜早く谷に戻らなくてよかった。やれやれ、これで厳しいゴルジュ帯を抜けた。あとは左俣の上ノ倉沢を進み、穏やかな連続する小滝を越えていくのみ。問題になるような箇所はなかった。
10メートルの滝は右岸のルンゼをつめて尾根を越えて谷へ戻り、しばらく小滝を越えながら小さく巻いた辺りでT岡さんが蜂に頭や腕や胸の3箇所刺されてしまった。今回マムシが多いと記録にかいてあったので救急セットでもってきていた吸引器(エクストラクターポイズンリムーバー)で毒素を吸った。頭は毛があり上手くいかなかったが腕は毒素を吸い込めたようで痛みが和らいだらしい。持ってきておいたよかった。下山時の尾根ででもS木君が腕を刺されてしまい使った。そしていくつもの滝を越え、大滝S字35メートルを高巻いて谷に戻るとすぐに水は涸れて谷は大きく開け、ガレ場となり登山道に出合った。不思議な地形だった。当初は稜線まで詰める予定だったが時間もないので登山道出合いで終了とした。お疲れ様!!集合写真を撮り椹島へ向かった。
椹島から駐車場までバスに乗るには、どこかの小屋に泊まらないといけないということで、1000円追加(出発時に3000円を払ってバスに乗り込む)して椹島の小屋に泊まった。お風呂が19時までということで大急ぎで入ってすっきりしてから合宿の打ち上げをした。うーんなかなかこんな山行もいいなぁ。いつも下山して慌ただしく帰ってくるので、のんびり山の中で余韻に浸りながら宴会するのも楽しい。お酒もまわったところで就寝。


8月16日

起床6:00→バス8:00→駐車場9:30→せんず駅→川根温泉→松葉→中田島砂丘→京都

翌朝6時に起きて朝ごはんを済ませてバスに乗り込み、のんびり温泉に入り、静岡といえば鰻(2100円鰻重上)を東名浜松IC入り口すぐの「松葉」でいただき、海で遊んでから帰ってきた。 3泊4日の長い沢旅 飯豊にはいけなかったが、1泊2日のハードな濃い時間を過ごすことができた。悪沢とかいてあったが、水量が少なかったおかげで比較的遡行しやすかった。とても刺激になる山行だった。T嶋さんが肩を脱臼されたことは残念だったが、大きな事故に繋がらなくてよかった。リーダーお疲れ様でした。メンバーの皆様、ありがとうございました。充実した合宿となりました。


T岡の感想

リーダとメンバーの皆さんのおかげで充実した山行ができました。天候にも恵まれ南アルプスの奥深い山域を味わうことができた。個人的には以下の課題を残した。まず、懸垂支点近辺で足を滑らせ危うく落ちそうになった。一見なんでもないところで事故が起こり得るということを改めて実感した。またプルージック登りの出だしでプルージックを手繰るとき両手ばなしになり足を滑らせ2m落ちた。幸い怪我はなかったが、実はプルージックの練習が足りなかったことに気がついた。装備について、(わかっていたことだが)サングラス(メガネ)の度に不慣れがあって歩きづらかった。シュラフカバーとインナーシュラフで寒くはなかったが、重量的にメリットはなかったと思う。軽量化の組み合わせを考えたい。頭と腕の2箇所を蜂に刺されたがT嶋さんのポイズンリムーバーがあったので腕の方は毒抜きができて良かった。救急セットに加えていい装備と思った。最後にリーダーとメンバーの皆さんに感謝します。ありがとうございました。

△上に戻る

 

倉沢出合

 

ゴルジュA

 

ショルダーで突破

 

ゴルジュB

 

滝の下をくぐる

 

核心の巻き

 

ゴルジュC

 

幕営地

 

二俣

 

スラブ状滝

 

 

S字状大滝

 

登山道合流点で「つるぽー」


Copyright (C) 京都雪稜クラブ. All rights reserved.