京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 立合川 |
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メンバー | L:I野 F上 S見 N村 |
期日 | 2008年9月13日〜14日 |
山域・ルート | 大峰 立合川 |
山行形態 | 沢登り |
南紀の沢をパラパラと読んでいたときにふと目にとまった。遡行図をみるとゴルジュが次から次へと続いていた。レベルを見ると上級者向き、技術・体力が要求される難しい谷と書いてあった。上級か・・・私にはまだ無理かもしれないが挑戦してみたいと思った。F澤さんやT嶋さんに聞いてみるともちろんお二人とも遡行済み。ん〜誰か一緒にいってくれる人はいないかなぁ。8月合宿明けにF上君とS木君を誘ってみたところF上君が行けるとのこと。よし!!敗退でも構わない自分達で頑張ってみようと思い計画をたてた。S見君、N村君と続いて加わり4人で挑むことになった。
デポ用にマウンテンバイクを持っていくことになり、私の家まで迎えに来てもらった。さぁ長いドライブの始まりだ。
早く入渓したかったので暗い中起きて、自転車をデポする上葛川登山口へ向かった。自転車を木にくくりつけてパッキングしてから立合川橋へ戻った。東野トンネル入口の左側のスペースに車を置いて出発した。南紀の沢(本)には立合川左岸の小道を辿ると書いてあったが、ネットで調べた記録で読んだとおり駐車スペースのすぐ横にある梯子を使ってルンゼを下り谷に入渓した。梯子はザックがひかかりそうだったので、空身でおりて8メートルの補助テープスリングで荷物を下ろした。
入渓するとすぐにゴルジュ(第一)が始まった。(日本の渓谷97を参照した)ふじんぼ滝4mは左岸から巻き、次なるよりきや滝8mは右岸を巻くとナメがひろがった。ここまではあまり記憶にないので、巻きもあっさり終わったんだろう。
さぁここから第二ゴルジュがはじまる。泳いではま松滝4mの右から登った。すると左岸に残置ハーケンがあった。確かに岩はツルツルでクライムダウンは難しい。ハーケンに補助テープをセットして1メートルほど懸垂をした。続いて泳いで7mの滝を直登して、またまた泳いで進んでいき釜に飛び込んで2段4mの銚子滝も越えた。すると覆いかぶさった大きな岩壁が目に飛び込んできた。素晴らしい地形だ。大滝35mのおでましだ。圧倒されてしばらく足がとまってしまった。さてさてこの大滝を巻かなければいけない。トポによると銚子滝まで引き返し左岸を高巻くと書いてある。取付き箇所を探しながら戻り大高巻きが始まった。根っこや木や枝を掴みながら巻き始めた。途中、足を滑らせてたのか掴んだ木が腐っていたのかS見君が転がる様に2,3メートル落ちたときはドキっとした。運よくすぐに木にひかかって止まったが心臓が止まりそうだった。落石も多くてかなり緊張した巻きとなった。どんどん登ると小道に出た。おそらく立合川橋の左岸にあった小道だろう。傾斜がきつくなり足元がわるい箇所で8mの補助テープを張った。とりあえず休憩をとり小道を進むと大滝という看板に出合う。この看
板のところから木を掴みながら谷に戻った。そしてぬたの滝6mを右岸からあっさり巻いた。
すぐにまた両壁が覆いかぶさり第三ゴルジュが始まった。5mの大釜に出合う、直登できず右岸から巻く。ツルツルとした岩を登り、落ち口へ戻りたいが戻れず上へ追い上げられ、木や根っこを掴みながら登っていくと石垣がある旧木道に出た。斜面を下り次なる8m滝の上流に降り立った。巨岩帯を抜けると40mのクラに出合い(第四ゴルジュ)、左岸から登り滝を越え、狭い100mの廊下を泳いだりしながら通過すると美しいナメがひろがった。ふ〜心がやすまる。河原で休憩をとった。11時40分。今日中に予定どおり第五ゴルジュを超えれそうだ。休憩の後もナメを楽しみながら進み、左岸から簡単にまけるトイ状5mをF上君とN村君が泳いで突破し、河原・ゴーロをもくもくと進むと遡行図に書いてあった栃の巨木に着いた。12時50分。そしてすぐにうしお滝40mに出合い、右岸のルンゼから高巻いた。
またしばらくゴーロを進むと第五ゴルジュが始まった。大滝をもった滝8mを左岸から巻き始めた頃から雨がポツポツと降り出し、しまいに雷が鳴りきつく降り出し、空は暗く谷は真っ暗になってしまった。不気味だ。とりあえず急いでゴルジュを抜けなければ。ナメ滝を泳いで突破して廊下を進むと5mの滝に出合い、泳いで取付くが滝を直登できないので滝の右から越えた。流れがきつく、沢から這い上がる際にかなりの力が必要だったので荷揚げをして空身で超えた。谷は平凡となりナメが続き泊地を探しながら進むと敵地を発見。タープを急いで張って、雨がやまないかと思いながら少し早い晩御飯を食べることにした。食べ終った17時頃、ちょうど雨がやんだので焚き火をすることにした。枝や木が濡れてしまいなかなか火がつかなかったが暖をとることが出来た。
今日も暗い中起きて準備して予定どおり7時頃出発することができた。しばらくすると釜をおよがなければいけなくなった。朝からは寒くて辛い。すると2段の滝があらわれ、CSをもった滝20mだ。第六ゴルジュの始まりだ。左岸から巻いて超えた。ガシガシと木や枝を掴んで登れば問題ない。ナメに降り立ち知らぬ間にヒジキ谷と出合い、続いてケヤキ谷に出合った。そして2m、斜瀑5mを超えると、大きな釜をもった滝4mに滝7mと続くがトポどおり左岸より巻いた。この巻きも難しくない。そしてスラブ滝8mに出合い、これも左岸より巻いた。登りだしは簡単な岩登り、もろいので掴んだ石がはずれないか確認しながら慎重に登った。少しトラバースして超えて谷に戻るとしばらくナメが続いた。
第八ゴルジュに入る前に休憩をとり、最後のゴルジュに挑んだ。乗込みムーブで小滝を空身で上部を越えるとちょうど木が橋のように架かっていたのでその上をとおり進んでいくと滝12mに阻まれた。登れそうにない滝を右岸から大高巻をして越えた。高巻を始めるとすぐに岩峰に突き当たり、基部をトラバースしながら上へ上へと登っていくと尾根にあがり急な斜面を下って谷に戻った。懸垂して谷に戻ってる記録もあったが我々は2ピッチほど補助テープでくだり、最後の3メートルほどザイルを出して懸垂した。それなら上から懸垂してもよかったか。蛇崩山に突き上げる支流を見送り、廊下を通過して、ナメ斜瀑で滑り台をして遊んだ。全員で釜にはいって記念撮影をして楽しんだ。ちょうどトポの栃の巨木があるあたり。そして最後の滝17mに出合って左岸よりルンゼを登って超えた。谷には今までのゴルジュとはうってかわって平凡となり、右俣谷を過ぎて八丁河原を超えて植林小屋を右手にみながらひたすら進むと二俣に到着した。11時13分。
八丁河原あたりで伏流となり、二俣を右にとって進んでいくと次第に傾斜がきつくなり身体にこたえる。ライジャケも暑くて着てられない。ひーひー言いながらルンゼをつめていくと滝に阻まれて尾根においあげられ、うっすらついてる踏み後をたどって笹薮をかきわけて高度をあげていくと稜線に抜けた。ふ〜やれやれ。ゴルジュが終わり最後の滝17mを超えてからの谷の変わりように少しびっくりさせられた。そこから約2,30分ほどで笠捨山に着いた。無事遡行できたことを喜びあった。にしても2泊かかるかと思っていたが1泊で早く抜けることが出来た。出発前は緊張と不安でいっぱいだったが、意外にもあっけなく2日間が終わってしまった。
どの記録にも書いてあったが、確かに変化に富んだ谷であり伏流になるまでは飽きることなく、次から次へと遭遇するゴルジュ阻まれる滝に興奮させられた。そして上葛川登山口へむかって下山した。下山口においてあった自転車で車を回収しにいった。自転車は我々以外に3台木にくくりつけられていた。車をとりにいくと立合川橋の右側に2台車が止まっていたらしい。後続パーティがいたようで、先に谷にはいって遡行できてよかった。
湯泉地温泉にいって十津川郷道の駅で打ち上げをした。
朝方寒くて目が覚めた。シュラフにもぐりこみ再度夢の中へ。5時頃今度は蚊に起こされる。もう少し寝ていたかったが5時半頃起きて朝ごはんを済ませて京都へ向かった。途中、24号線沿いのかもきみの湯に寄って帰ってきた。
自分達で挑戦し完遡行できたことはとても嬉しい。個々人の力が発揮でき、協力し合う事が出来たと思う。ただ、ザイルを張るかどうかの判断が甘かった。
ダメもとでリーダーのIさんに参加を打診してみたところ、「体力があれば多分大丈夫」とのこと。私は体力だけはちょっと自信があるので、背伸びして挑戦してみることにしたのだ。
長い長いドライブを経て、Iさんのマウンテンバイクを上葛川の下山口にデポして車で立合川橋まで戻り、いよいよスタート。トンネルのような鉄梯子はクモたちの格好の住処になっていて、突っ込むにはちょっと怯んでしまう。Nさんが何のためらいもなくスルスルと下りて「露払い」してくれた。この梯子にヘルメットやザックが引っかかって下降に苦労した旨の記録をネットで読んでいたので、ダイニーマ製の8メートルのお助け紐で荷を下ろしたところ、スムーズに下降することができた。軽くて強くてすぐに取り出せるこのお助け紐には、今回ずいぶんお世話になった。
川床に下り立ってすぐに、第1ゴルジュが目に入ってきた。門のように両岸に立ち塞がる岩壁に圧倒される。第2ゴルジュ、第3ゴルジュ・・以下第8までを数えるよく発達したゴルジュ帯を有する点が、この大渓谷の最大の特徴であろう。
切り立った岩壁に囲まれたこの谷には直登できる滝は多くはなく、大巻きを強いられることが多い。「巻きが核心だと思う」とIさんが言っていた通りだ。第2ゴルジュを巻いている途中、大丈夫と思って体重をかけた木が折れてしまい、おそらく2メートル以上落ちてしまった。たまたま着地したところがふかふかの土の上で、うまい具合に止まって全くの無傷で済んだのだが、場所によっては大怪我か、最悪滑落死していてもおかしくはなかったと思う。後ろを登っていたFさんはずいぶん肝を冷やしたらしい。申し訳ないです。
巻きの多い谷ではあったが、長い淵があちこちにあるので、泳ぐ機会も結構あった。ライフジャケットを持っていくかどうか迷って結局家に置いていったのだが、泳ぎがあまり得意でない私には、一応あったほうがよかったと思う。
第5ゴルジュを過ぎたところで1日目は打ち止め。途中から降ってきた雨の中、大急ぎでタープを張って、温かいレモネードでひと息ついた。タープがあると、雨が降っていても断然快適だ。私は今まであまり使ったことがなかったが、泊まりの沢の必携品かも知れない。
Fシェフ特製のドリアを美味しくいただき、お酒も軽めに楽しんで就寝。夜半にも断続的に雨が降ったが、タープのおかげでさほど気にならなかった。
2日目。第6ゴルジュ、第7ゴルジュともに直登できる滝はなく、左岸を巻く。平流は河原を歩くが、この谷の石はとにかくツルツルとよく滑り、何でもないところを歩くのにも少々神経を使った。
最後の第8ゴルジュは小滝を越えてから右岸を大巻きして、岩稜を回り込んで下降。立木とお助け紐を使ってかなり下のほうまで下りることができたが、最後数メートルは懸垂。50メートルのロープは、ここで使っただけだった。
自身初の5級沢、しかもSLというのに今回ほど準備不足の沢も珍しかった。もっと下調べをしてモチベーションを高めていけばよかったと後悔が残る。大きな二俣などが少なく、地形図で現在地を知ることがかなり難しかった。巻きなどのルートファインディングは皆で議論しながら進められたのでとても勉強になったと思う。初日は寝不足の上に滑落や落石の危険に怯えてしんどかった時もあったが、水が冷たくなく、大いに沢を楽しんだ気がする。最後の下山で遂にヒルの攻撃を受けてしまった。今シーズン初だ。いずれにしても、苦もあり楽もあり楽しい3日間でした。リーダーをはじめ皆様、本当にお世話になりました。またチャレンジしましょう!でもその前に試験試験・・"