京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 朝日連峰 荒川中俣沢 |
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メンバー | L 福澤 西村 |
期日 | 2008/9/20〜9/23 |
山域・ルート | 朝日連峰 荒川中俣沢 |
山行形態 | 沢登り |
「朝日の沢いかんか。」と福澤さんからお誘いがあった。朝日の沢は前々から行きたかったので、行くつもりだったが、返事はぼちぼちと思っていた。しばらくメールを見られず、久しぶりにメールを見たら、事態は差し迫っていて、慌てて行きますと返事を出した。メンバーは結局2人であった。
直前に台風が来襲。前途は多難であった。直前まで様子を見ることとなったが、台風は太平洋側を進むようで日本海側への影響は少ないのでは?駄目ならば温泉巡り??ということでとりあえず出発となる。
各自50mロープがいるので用意したが私は9mmしか持ってないので結構重い。あと寒そうなので服を多めに、シュラフもと入れていくと結構な荷物になってしまい、見事に軽量化失敗。前途は多難であった。
当日、京都駅前のバス停には私は結構ぎりぎりについたが、福澤さんが見当たらない、「どのバス停にいったら良いの?」と電話があり、直前まで現れずハラハラする。最後尾の座席だけ4列シートで寝つきが悪いまま新潟に着く。新潟は、晴れ、電車の時間までかなりあるのでファミレスでのんびり時間を潰す。小国駅下車、タクシーに乗り五味沢の登山口には昼前につく。はるばると来たものだ。
とてもよい天気で気持ち良い。登山道を入渓点へと向かう。足場が木一本しかない橋がなかなかスリリング。入渓点にはツエルトが張ってあった。今日は河原歩きだけで天気も良いしのんびりいく、水の色が美しい。釣りの団体さんとすれ違う。先行パーティーが一つあるとのこと。早めに設営して、福澤さんのプラティパスから漏れたウィスキーでぼとぼとになったツエルトを乾かす。福澤さんは釣りに、私は昼寝する。肌寒くて目が覚める。このとき寒気が入ってきていて後の天気の変化へと繋がったようだ。福澤さんが帰った。珍しくボウズだった。上流の景色がとても美しいとのことで楽しみだ。初日だからビールを飲み、焚き火で快適に過ごす。夜は星空がとてもきれいだった。明日の好天を疑えないほどに。
朝方雨が降っているようだった。まさか‥。6時に起きたが断続的に降り続けやむ気配は全くない。水量はさほど増えているようには思えなかったが全く知らない川でもありゴルジュ内で増水すると危ないので、慎重に考えようとのことで、どうするか悩む。角楢沢への転身、停滞とかを考える。9時頃ようやく雨もようやく止んできたようなので出発とする。曇天であまりさえない。ナメや複雑形をしたナメ滝が連続して、話の通りなかなか綺麗だ。最も天気の良かった昨日は水の色が映えてもっときれいだったとか。「本州の沢では一番かもしれん。」と福澤さんが珍しく絶賛していた。いくつか大きな滝が支流から入り、
しばらく行って曲滝に出会う。大きくそそり立つ。絶対登れるわけなく、天気も悪いので陰惨な感じ。今日最初の難関。福澤さんリードでロープを出す。右岸から巻く。チムニー状から登り、つるつるの草つきに移るが雨のせいもありズルズルして悪そうで慎重に登って行った。フォローで行く。残置があり、福澤さんがハーケンを打ちたしてあったがA0で抜けるが、ハーケンを抜くのを忘れてしまう。もう一段上ってから沢に下る。しばらく平和なところが続く。
次に綾滝が現れる。もっと苦労するかと思ったが、滝裏のルートからすんなりと抜けてしまう。荷揚げも順調に行った。
これでまあ安心かと思ったらまだ先があった。ゴルジュを少しいって記録では左岸の悪いまきのところに出る。ちょっと見た感じどう巻くのかいまいち分からない。先を見てきてといわれたので、見に行く。降り出した雨の中、ゴルジュの淵を泳いで滝に取りつくが水流が強く足元も滑りやすくなかなか取り付けないわ、水はすごく冷たいわで散々。やっと上って先を見に行くがゴルジュの中に大きな滝がありとても行くのは無理とわかり、引き返す。戻ってきて言葉も出ないくらい寒かった。福沢さんリードで巻きに入る。悪いのでロープを出す。見るからに悪く、しかもランナーのせいでロープの流れが非常に悪くなりとても大変そうだった。ビレイ解除のコールでほっとした。フォローで行くが、下部は岩登りで一段上ったところが本当につるつるでホールドがない。その上は相当悪い草つきで草以外掴むものもランナーを採るようなものがない。フォローでも相当怖く、よくこんなとこいったなと思った。しばらく行くとこんどは反対側への大まきがあったバンド上から岩の切れ目の悪いチムニ―状のところを登るが、先行のパーティーがなければ見つけるのが困難だっただろう。藪こいで草つきトラバ
ースして、45mの懸垂で川へと降りる。すぐに幕営適地があった。
出発が遅かったので日がくれるまで1時間ぐらいしかない。よい場所はすでに先行パーティーが使っていた。仕方なく草の中を整地してツエルトを張る。まもなく日が暮れて、焚き火を起こし食事を作り始める。ようやく落ち着いてきたと思ったら、雨が降り出す。雨は一向にやむ気配がなく、たまりかねてツエルトに避難する。よく考えれば、今年はこんなことばっかりだ。結局雨は朝まで止まず。じめじめした不快な夜をすごした。
目覚めても雨は弱くはなったが降っていた。水量はあまり増えているようには見えない。エスケープして、東俣に抜けるか、本来の中俣を抜けるかまた今日も思案しながら待機する。雨がようやく止んで、天気も回復の兆しを見せたので出発する。順調に進み。4mチョックストーンの滝のところで先行パーティーに追いつく。先行パーティーは左をまいているようだが結構悪そうだ。ガイドでは特に巻くようなことは書いてなかったところだが、直登は難しそうだ。我々も福澤さんリードで取り付きチョックストーンの上からロープを下ろしてもらい、荷揚げ、プルージック登攀をする。スリングが太すぎて体重をかけると滑り苦労し時間をかけてしまう。
このあとは順調に進み、いよいよ今日の難関20mの滝ではないかと思われる滝が現れた。20m側壁を登るのだが、見た感じそんなに難しそうではない。でも位置的に考えてこれのはずもっと厳しいと思っていたのでほっとする。中段からロープを出す、ちょっと体を外に出すようにして上るところがあったそんなに難しくはない。難関を越えてほっとする。水が少ないからか、地形が変わったからなのかえらく感じが違うと話し合う。次は二股を右に行ったがちょっとした滝が悪かった。一段目で苦労したのでロープを出し福澤さんに代わったもらったのだが、1段目の上はつるつるでホールドに乏しかった。ロープもつけずに上らんでよかったと思った。
あがってから草つきにのり二股の左へと懸垂で降りる。正面に山並みが聳え立つのがみえて、まもなく左の沢へと入る。ここからは草つきやなんかつるつるの小滝が連続する。7mの滝はちょっと大きいかと思ったがロープもつけずに取り付く、なんとなくホールドスタンスがあるので適当に上っていったら、手の力で強引に上へと乗り込んだら滑り、片手だけで支えるような状態になり非常にびびった。とりあえず上に行くしかなく何とか一段上に上がるとちょうどハーケンが打ってあり、セルフをとってほっとする。ロープをだして、確保してもらってのぼる。そんなに難しいところではなく、着実に登ればいけたのだが、強引に行ったのとロープを出さなかったのはまずかった。また順調にすすむ、天気はよくなってきて、高度を上げてきて見晴らしがよくなり向かいの山の稜線がとてもきれいだった。トイ状のチムニー滝をで登り、沢はほぼ終わった。天気もよくなってきてなかなかよい景色だった。あとは稜線へとつめるだけとなった。右か左かどちらの沢に行くか迷った挙句右に行くが、枝尾根にでてしまい、登山道まで笹薮こぎを強いられた。ようやく登山道に出ると、色づいて秋の風情の朝日岳
と山小屋が見えた。おだやかな稜線の感じがなんともきれいだった。いやー長い道のりだった。少し登って山小屋に着く。
小屋は人でいっぱいだった。福澤さんはお休みモードに入り、一人で山頂に行く。山頂は陽が当たって暖かで朝日連峰のほかの山々や飯豊、東北の山々や光る海が雲の間から見えた。夜、ほかの登山者が豪華な夕食(肉を焼くにおいが!!)を食べる中、僕らは山岳カレーとわずかなお酒を楽しんだ。外にでると夜景と星空がとてもきれいだった。
次の日の朝、風が吹き荒れ、ガスがでて荒れていた。ゆっくり出発する。小屋の管理人の人が寒河江まで送ってくれるとのこと、下で待っていてとのことだった。下の山小屋で風呂を浴びて、追いついてきた管理人さんに寒河江まで送ってもらう。山形ではいよいよ米沢牛をおもっきり食べるぞと思うが、山形駅では米沢牛の店が見つからない。山形牛というのがあったのでそれにする。肉をがっつり、ビールをがっつり飲んで、大満足で京都へと向かう。ところが、東京までは座れずしんどかった。