谷川連峰 衝立岩中央稜

山行名 衝立岩中央稜
メンバー L I野 S木  
期日 2008/10/4
山域・ルート 谷川連峰 衝立岩中央稜
山行形態 無雪期岩登り

I野の記録

昨年相棒と初めて谷川岳へ登攀に行った。関西からは遠いのでなかなか登りに行くことが出来ない。谷川岳、土合駅辺りには沢登りで2回訪れる機会があり、この辺りに来るのは今回で4回目となる。しかし、何度来ても親しめない。異様な独特な雰囲気をいつも感じてしまう。今回は昨年残したルート「衝立岩中央稜」と「幽の沢V字状岩壁右ルート」を登りに行くことにした。相棒と行く予定にしていたが腰の調子が悪く、S木君と行くことになった。彼は谷川岳デビューとなる。

10月3日

出町柳21:30→水上IC→土合橋駐車場4:30 仮眠

谷川まで京都から約600キロ、夜中にふたりで運転はきついが仕方がない。早く出発したかったが、京都東ICをのったのが22時だった。前半、眠眠打破を飲んでS木君が頑張って運転しくれて、気がついたら更埴JCあたりまできていた。この辺りの夜景はとても綺麗。後半は私が運転して途中の横川SAで給油したときに止まっただけで水上ICまで頑張った。4時半頃到着して1時間仮眠することにした。


10月4日

起床5:30→ロープウェイ駐車場出発6:30→登山指導センター→一の倉沢出合7:45→衝立岩中央稜取付9:00→登攀開始9:20→登攀終了→取付→一の倉沢出合17:20→指導センター18:30→ロープウェイ駐車場→水上道の駅 泊

1時間弱の仮眠はあっという間だった。一の倉沢出合の駐車場まで移動しようと車を走らせると、登山指導センター付近で通行止め看板に遭遇。10月1ヶ月間通行止めらしい。(週末のみ、ちなみに8月も)げげげげ、仕方なしにロープウェイの駐車場に車を置いて6時半出発した。昨年の登攀は9月だったので一の倉沢出合いまで入れたのか・・・。林道1時間ほど歩いて出合いに着いた。ザック一つに荷物をまとめて衝立岩中央稜取付へ向かう。
昨年南稜へいったので取付点、アプローチについてわかっているので気が楽だ。昨年と同じ靴だったが覚えてないが今履いてるアプローチシューズはフリクションが悪く、濡れた石の上ではよりツルツル滑って怖い。よつんばいになって、残置ロープを握り締めてスラブ状の岩を登っていく。昨年こんな怖い思いしなかったのになぁ・・・。1時間ほどで取付に着いた。コールの声が聞こえる、先行パーティが核心ピッチ付近にいるのが見えた。S木君と初めてのマルチ、コミュニケーションをしっかりとることを意識した。

1ピッチ目 S木リード 30メートル

階段状の岩場を左上ぎみに登っていく。ぐんぐん快適に登っていき、最後の乗越が少し立ってる様な感じだが、しっかりしたホールドがあって安定して登ることが出来る

2ピッチ目 I野リード 20メートル

少し左へトラバースして凹角に入る。ザラザラしたルンゼ状で浮石に注意しながら登った。トポには続いてフェースを登ると書いてあったが、フェースに入る直前に支点(懸垂支点後で新しいスリングがたくさん着いていた)を見つけた為ピッチをきった。

3ピッチ目 S木リード 30メートル (間違え)

2ピッチ目残りのフェースを登り、稜上の小テラスを通過し直上。実際は小テラスから右へ1メートルほどトラバースして衝立岩正面壁へ戻らないといけなかった。しっかりとした支点があり、小テラスから覗き込んで見ないと気がつきにくい。トポには2ピッチ目で一気に正面壁の支点まで登るとザイルの流れが悪くなる為、一旦ピッチをきったほうが良いと書いてあった。

4ピッチ目 I野リード 5メートル(間違え)

もう少し稜状の左側凹角を登ってから正面壁側に戻ると思いそのまま直上する。残ハーケンや懸垂支点跡と思われるスリングがあるが、かなり古くボロボロ。若干傾斜があって、古いハーケンだけでは怖いのでクラックにカム1番と0.3番をかまして超えて小テラスについた。(ボロボロの懸垂支点跡があった)その上はハング気味の壁。壁の左側のクラックにハーケンが2箇所打ち込んであるのが見える。これだけか・・・。
アンダーにカム0.75番をかましてレイバック気味に登る。左足を置きたいがカチすらない。スメア?何度か格闘したが怖い。残ハーケンにスリングをたらして鐙?!恐ろしくてハーケンを信用できない。ルートを間違えてはないか?と思いトポを見直しS君と相談する。おそらく正面壁に戻れてないことがわかった。ヌンチャク・カムを回収してテラスにもあった懸垂支点でロワーダウンしてS木君のビレー点を通過し、先ほど稜上にあったテラスまで戻った。そして右の正面壁を覗き込むとしっかりとした新しいテープスリングの着いた支点があった。ここだ。S木君は懸垂で戻ってきてもらった。

3ピッチ目 I野リード 25メートル

やれやれ。えらい時間をくってしまった。日が暮れるのが早いから少し時間に焦る。しっかりしたガバホールドでスタンスも豊富。凹角を抜けてテラスでビレー。高度感があって最高!!一の倉沢がよくみえる。

4ピッチ目 S木リード 30メートル

核心ピッチ。右へ少しトラバースしフェースを登り、上部はチムニーなっている。フォローでザックを背負っていたのと、ザックにつけていたハンマーがひかかりテンション。リードのS木君は上手く身体をふって登っていっていた。

5ピッチ目 I野リード 25メートル

特に問題点なる箇所はなく、上部の凹角を抜けてビレー。ここもビレー点から景色最高。

6ピッチ目 S木リード 40メートル

高度感のある快適なフェースをグングン登る。気持ちよいピッチ。安定したテラスでビレー。

衝立の頭まで数ピッチあったが草付からルンゼとトポに書いてあり、あまり面白そうじゃなかったのと、後続もいなかったので同ルートの懸垂下降で取付に戻ることにしたので上部は登らず終了とした。休憩する間もなくすぐに懸垂の準備開始。50メートル懸垂で2ピッチで4ピッチ目終了点まで戻る。1ピッチで3ピッチ目の取付についてザイルダウンをするがひかかって落ちてこない。ぎょぎょぎょ。どうにもこうにも動かないので登りかえしとなった。3ピッチ目終了点までとりあえず登りザイルをひっぱる。動いた〜よかった。3ピッチ目終了点からやり直して、あとは問題なく取付きまで戻ってきた。もう一度登攀終了を喜びあって下山準備。核心はまだ続く。今朝苦労して登ってきたスラブを下らないといけない。緊張は続き一の倉沢出合いまで1時間ほどで戻ってきた。本当にお疲れ様でした。やっと緊張感から開放された。ふたりで衝立岩をバックに写真を撮って終了した。
コールが何度か聞こえにくいこともあったが、ザイルの流れなどで相手の動きをよみとることができ問題なることはなかった。初めてS木君と組んで相手の特徴を判り合う事ができたのではないか。トポをしっかり読みルーファンの力、ザイルワークのスピード力、支点作成地点の判断力等、これからの課題を見つけることが出来た。また、葉がちょうど紅葉していて素晴らしい景色の中でクライミングを楽しむことができた。
とりあえずご飯を食べにいき(水上ICおりてすぐのコンビニ7イレブンの向かいのお食事処。この店は美味しくて量が多い。谷川にきたらいきつけになってる)、あまりにも疲れていたので温泉に入る気力もなく翌日の幽の沢の予習をして20時に寝た。

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10月5日 赤城山 紅葉ハイキング

起床7:00→川湯温泉→赤城山 黒檜山登山口11:20→黒檜山12:10〜駒ケ岳→駒ケ岳登山口13:40→伊香保温泉15:15→水沢うどん→渋川・伊香保IC→京都東IC0:30→家0:50

予定の4時を過ぎ4時20分に目が覚めた。慌てて起き上がるが行くぞ!!という気になれなかった。身体がかなりの疲労を感じていたからだ。どうしようかと悩んでしまった。S木君に天気予報を確認してもらう。昨晩しらべた時と同様、天気は午後3時からくだりざか。おそらく登攀中はぎりぎり雨にうたれることはないだろうという状況だった。行くかどうか悩みS木君と相談した結果辞めた。この疲労で初めての岩場(アプローチからすべて初めて)にいく気力がわかなかった。今振り返って辞めてよかった、後悔はしてない。
そうと決まれば2度寝することにした。次に目がさめたら7時で、さすがにもう寝れないので、ぐーぐー寝てるS木君を悪いが起こした。雨も降ってないのでこのまま京都に戻るのはもったいないと思い、わざわざ登りに来ることなんておそらくない群馬の百名山へハイキングにいくことにした。山は上毛三山(妙義山、榛名山)のひとつ赤城山にした。ハイキングの前に川湯温泉に入って昨日の汗を流して、沼田市街にでてエアリアマップを購入してから黒檜山登山口へむかった。赤城山は最高峰の黒檜山1826m、そして駒ヶ岳、長七郎山、地蔵岳、荒山、鍋割山、鈴が岳などの総称で、今回のコースは黒檜山から駒ケ岳縦走をすることにした。さすが百名山ともあって家族連れ、若者、あばおじちゃまハイカーとたくさんの登山者に出会った。高度をあげていくと葉は黄・赤と色づいていて紅葉がはじまっていた。黒檜山から駒ケ岳間の登山道の脇にはススキや笹があり綺麗な木の階段が整備されていて穏やかな雰囲気の中を歩き心が癒された。2時間20分ととても短かったが充分楽しめた。
ハイキングの後は、群馬県の四大温泉のひとつ伊香保温泉露天風呂へむかった。伊香保の温泉の源泉地につくられていて、伊香保温泉街の一番奥にあった。やはり有名な温泉だけあって人は多かった。温泉のあとは三大うどん(讃岐、稲庭)のひとつ水沢うどんを食べて京都にむかった。
当初は2日間の登攀予定だったが、疲れた身体にはハイキング・温泉・食とのんびりと過ごすのもよかった。来シーズンまた谷川岳へ登攀に行こう!!

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S木の記録

四国の生まれで、今は関西で暮らしている自分としては、馴染みのない山域である谷川岳。しかし、昨年の釜川、今年7月のナルミズ沢に行き、上信越の山の魅力に取り付かれてしまった。そして今回、I野さんに誘われ、初めての谷川岳にアルパインで来ることになった。多くのクライマーが命を落としているとあり、少し不安な面もあったが、映画「クライマーズハイ」でも登場した岩場を登れるという楽しみのほうが大きかった。
アプローチはレンタカー。片道約550kmを2人で運転というのはしんどかった。しかし、眠眠打破やヴァーム、カフェオレ、おにぎり、豚串など飲食物には投資を惜しまず眠気防止に努めた。
谷川岳は、標高2000mに満たないとはいえ、アルプスとはまた違った迫力ある独特の景観だ。豪雪地帯ならではの侵食された地形だろうか。
一日目は衝立岩中央稜を登ったが、個人的に大きな反省点が2つ残った。一つ目は、3P目をリードしているとき、ルートを間違えてしまったこと。これは、事前にいろんな記録に目を通していれば防げたであろうミスだった。これによりだいぶ時間をロスしてしまった。2つ目は、登攀終了後に同ルートを懸垂下降しているとき、落石を起こしてしまったこと。I野さんには当たらず、その後も普通に懸垂することができた。しかし帰宅後、わずかだがロープ(S木)の損傷が分かった。暗くなるまでに早く降りなければ、という焦りがあったと思う。「焦らず急ぐ」というのを実践したい。この他にも、懸垂の準備やビレイ点構築など、一つ一つの作業を素早くするというのも大きな課題だと再認識した。経験が浅い自分は事前にイメージトレーニングを入念にしておくのが重要だ。
二日目は、幽ノ沢V字状岩壁を登る予定にしていたが、一日目の疲労と帰りの運転のことを考えて中止、いや「延期」にした。自分の中でどうしても行くパワーが出てこなかった。やっぱり一日目の夜の時点で「明日登りに行く」という気持ちになってなかったのかもなぁ。その代わり、二日目は日本百名山の赤城山を登って伊香保温泉につかり、水沢うどんを食べて帰った。たまにはこういうのもいい!(結局帰宅は日付変わったが笑)
最後に、こんな未熟な僕とザイルを組んでくれたI野さん、ありがとうございました!是非来年幽ノ沢リベンジしましょう!

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衝立岩中央稜

 

1ピッチ目

 

1ピッチ目終了点

 

2ピッチ目 フォローのS木君

 

3ピッチ目(誤) 直上しすぎた

 

3ピッチ目(正) バックに一の倉沢

 

4ピッチ目 出だし

 

5ピッチ目 凹角を登る

 

6ピッチ目

 

懸垂開始

 

一の倉沢出合にもどる


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