京都雪稜クラブ - 若さ溢れるオールラウンドな活動 −京都岳連加入−
山行名 | 旭の川中の川 |
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メンバー | (CL、装備)A木の、(SL、食料、文)F上、(食料)K阪(KPUMAC) |
期日 | 2008/10/29〜10/3 |
山域・ルート | 大峰 旭の川中の川 |
山行形態 | 沢登り |
沢好きが多い雪稜の中でも10月上旬で終わりとする方がほとんどだが、熱烈な沢ファンのA木さんによるお誘いで紅葉の沢を遡行してきた。旭の川中の川は今年行きそびれていた沢の一つである。大学山岳部の後輩であるK阪とともに沢収めとなった。
当初T村さんも参加の予定だったが、体調不良でキャンセルとなってしまった。21時に長岡天神駅に集合・・したのだが、K阪のドタバタによって結局京都を出たのが23時だった。A木さんの実家号にて大峰を目指す。五條からは国道168号に入る予定が、落石により迂回せよとのこと。より西側の県道、国道を繋ぐのだが、これがなんとも悪い道で1時間近く余計にかかったと思う。大塔にて168号線に合流、旭の川林道に入る。ここは最後がダートだった。中の川は割りと立派な滝で宇無川に注いでいる。
2時間ほどしか仮眠できなかったのでとても眠い。出発してつり橋を渡り、入渓する。覚悟はしていたが、寒い!水にも増して風が冷たいのだ。頑張って歩く。一ヶ所水流を渡るのに注意した他は最初平凡な渓相であったが、F4地獄滝は立派だった。岩盤で滝つぼが見えない。ここは左岸からやや大きく巻く。取り付きからトラバース、下りと残置ロープが丁寧に張ってある。先月行った立合川と全体的に雰囲気が似ているが、ロープのおかげで巻きがあまり難しくない。
リッジを乗り越え沢に戻るとまたしばらく小滝やナメが散在するようになる。そして正面のF5極楽滝35mに出会う。飛沫があがっていて寒い。滝身左のスラブにトラロープが張ってあるが、そこの取り付きが悪そうだ。上部は左壁を登るとしても、下部はもう少し右岸のブッシュまで登ってからトラバースした。登ってみると易しかったが、やはり高度感があった。A木さんトップで落ち口まで、さらに対岸へ渡ってF6の先まで2ピッチ、F上とツルベでザイルを出した。積もる落ち葉で滑りやすいのでやや緊張した箇所だった。
少し進むと十字峡だ。ここで小休憩をとる。次のF7牛鬼滝は右岸をまく。噂に聞く長淵は暗く不気味だった。夏なら入ってもいいけど・・。2ピッチの懸垂で沢にもどり、モジケ小屋まで快調に進む。全く予想していなかったのだが、魚が多い。釣り好きの人なら楽しめるだろう。
モジケ小屋は今でも現役で使われているようだ。やはり大峰らしく汚い一升瓶が散乱している、まったく。少し休憩して先を急ぐ。6mナメ滝のあとの2段6m滝はよく写真でも紹介される、綺麗な滝だった。ヒジキ滝10mはガイドでは2条になっているが、水量が少なく右岸側は涸れていた(A木さん、K阪はそこを登った)。ヒジキ谷に続き滝を持って出合う天狗谷も水量は少なかった。その先で崩れた木橋を発見、植林へ向かう道のようだ。左岸を見ると、何とかまだ歩いていけそうな状態だった。このころから晴れ間も見えてきて、滑って濡れてしまった体を乾かしながら進むことができた。それでもF12からのゴルジュは極力濡れないよう右に左に巻く。一度凹角を登るのにロープを出したが、ルートを選べば歩いて巻けたようだ。ここでも落ち葉に気をつけながら、ササモト谷の大滝に出合う。
まだ14時過ぎだったので、黒滝の上まですすむことにする。黒滝はさすがに迫力があった。右側は断崖絶壁となり、水しぶきにうっすら虹が映っている。左岸の草つきからルンゼにさしかかったあたりまで登り、バンドをトラバースする。高巻きだが普通にしていればロープは不要だ。F17の手前で右にちょうどいい台地があったので、そこで泊る。乾いた薪がふんだんに得られ、K阪特製の豚汁とつまみを食べながら、夜半まで沢納めにふさわしい宴会ができた。
予想したほど寒くはなかった。シュラフを持ってきたおかげだ。出発後早速の滝を巻くが、結構恐い。次の斜滝も体が暖まっておらず、フリクションにも不安があったので慎重に登る。黒ナメ八丁からF19を超えたあたりからは幕営適地が随所に見られた。給水し、最後の三俣は一番左を進む。七面山西峰の北に出るつもりだったのだが、しかし結果的にはその西側に出てしまった。地形図ではわかりにくかったので、間違えてしまった。しんどいゴーロ登りにロープが必要な岩場(残置ハーケンあり、マイクロカムが効かず難渋した)も出てきてばててしまった。F上は途中から右のリッジに上がって進み、残りの2人は極力谷筋を詰めた。
西峰の山頂で沢装備を外し、空身で東峰へ行ってみる。大岸壁はお目にかかれなかったが、七面山にわざわざ来ることはないと思うので、ピークを踏めてよかった。ここからが長い下山だ。12時20分に出発。参考にしていたネットの記録ではここから4時間半かかっている。
七面尾の登山道を進み、途中で登山道と分かれて尾根を忠実にたどる。林道が横切るので、そこから林道沿いに延々歩く。日陰に入ると風が寒い。動物の種についてなど、マニアックな話をしながら作業道へと急ぐ。地形図の道であろう地形はわかったが、少し進むとケーブルの軌道が立派にあったので、それを伝いながら急坂を降りていく。軌道は油っぽい上に冷たいので手袋があった方がよい。なんとかモジケ小屋に着いたころには16時になっていた。そこからは所々崩れて歩きづらい道を辿っていく。途中ロープウェイの着点があったが、そこでマムシに遭遇しK阪はたいそう喜んでいた。なかなか高度が下がらず、むしろ上がっていく感触さえあって、最後は焦ったものの階段に助けられて車へ戻ることができた。もうあと10分遅ければヘッ電が必要だった。
水は冷たくても、紅葉の明るさが癒してくれた沢だった。一番浸かっても腰以下なので、十分沢納めを楽しめた。立合川と雰囲気が似ているのでどうしても比べてしまうのだが、ちゃんと渓の要素は散りばめられているので、3級の沢としてよい沢だと思った。残置ロープがなければルートファインディングも楽しめたけど。下山がぎりぎりになってしまったのは反省点だ。男三人でこの時間だったので、当初の見込みだと明らかに日没になってしまっていたと思う。できればもう一台の車を七面山登山口にデポしたいところだ。地形図にギザギザと刻み込まれている宇無ノ川も気になるなぁ。夏に泳ぎ目的で行ってみたいところだ。今回は168号線が通行止めでえらい時間を食ってしまったので、早期復旧を願っております。