京丸山から高塚山、竜馬ヶ岳縦走

山行名 京丸山から高塚山、竜馬ヶ岳縦走
メンバー H内  
期日 2008/12/6〜12/7
山域・ルート 京丸山から高塚山、竜馬ヶ岳縦走
山行形態 無雪期縦走

記録

所謂南アルプス深南部の最南端がどのあたりまでか定かではないが、以前に山住峠や山犬段方面から眺めて、また、山の位置が春野町の気田川の一支流の京丸川の奥という奥深い位置でアプローチが悪いこと、地勢図、2.5万図も都合悪く継ぎ目にあたり判りづらいことで、恐らく「登山者があまり目を向けない山域=自然度が高い」だろうと想像しているうちに行ってみたくなってきた。
今回はあえて単独山行とした。なんと8ヶ月間も単独山行から離れていて、今回久しぶりに山中ひとりきりの山行が楽しめそうだ。(もちらん会の仲間と行くのも大いに楽しいが)
思ったとおり今回の山行では誰にも会わない静かな山行となった。

12月6日 晴れ時々曇り 行動時間6時間20分

石切林道ゲート7:45→林道離れる8:10→架線跡9:05→林道9:10→9:35林道展望台9:40→9:55林道終点10:05→11:05京丸山11:20→11:45最低鞍部11:50→・1,416m峰12:45→・1,414m峰13:00→ガレの頭13:45→14:05高塚山

夜明けの気田川沿いに車を走らせ、小石間トンネルを抜け、発電所の手前から石切方面に曲がる。狭い道となり、石切集落の最後の民家の前からは砂利の林道となる。林道は20分くらいで二俣となりどちらにもゲートがある。ここで出発準備を整える。風が強く寒いが快晴だ。
7:45出発。右に下る林道へと歩き始める。洞木沢を渡り、地形図の破線路の降りてきている少し先で左山腹に斜めに上がっていく山道に入る。赤や白の目印がたくさんある。山道に入ると朝の日差しが暗い樹林に斜めに差し込み美しい。1時間程の急登で架線跡を過ぎて直に林道に飛び出した。ここからはしばらく林道を進む。尾根の左山腹を進むが、林道により崩壊したガレ場からは下流の方向の山々が見渡せる。一本の林道で多くの斜面がガレて荒れているのは痛々しい。
やがて右に回り込むと京丸川流域が見渡せる展望広場に着いた。京丸山自体は見えないが高塚山、竜馬ヶ岳、岩岳山などが見渡せて気持ちいい。ベンチがあり少し休憩する。林道はさらに続き、並行する登山道も尾根にまだしっかり付いている。尾根の傾斜が急になる地点で林道終点。風が強く寒い。
やっと登山道だけとなった。右に時々竜馬ヶ岳を見ながら急な尾根を進む。やや左に山腹をトラバースし、尾根の芯に乗ると、あとは忠実に尾根を進む。風が山の木々を揺らして騒がしい。尾根にはしっかり笹が生えており、縦走で笹薮が深かったら時間が掛かりそうだ。
やがて待望の京丸山山頂に着く。だだっ広くなっており、山頂は藪も無いが、夏なら樹林で展望は無さそうだ。今日は風が強いので寒い。また面白いことにこれから進む高塚山への稜線を境に北側は曇りで小雪が舞っているが南側は晴れていて、典型的な冬型の天気の境目になっている。
さて京丸山よりいよいよ縦走開始。背丈位の笹の中にはっきりとした道が続いている。これなら問題なく歩調が進む。ザーザーと北西の季節風に笹がしなってうるさい。ゆったりと広い尾根を北東に降り、・1,388mは忠実に頭を越える。なお広く、ときには二重山稜となった尾根を、笹の間に付けられた道を進むが次第に人間の付けた道か、鹿の道かは判然としなくなってきた。幾筋か道があるので適当に繋いで歩く。標高1,280mの広い鞍部に着く。小広く開け、笹に囲まれ風も当たりにくい絶好のテントサイトだ。ただし水は無い。しばし寝転んで休憩。
さらに広い尾根を今度はゆったりと登っていく。樹林の間から竜馬ヶ岳や岩岳山が覗いている。
途中で樹林の間から望む高塚山が綺麗だ。山頂は樹氷に覆われていて白く光っている。
・1,416mでまたまた休憩。明るい林の南側斜面は風が当たらず暖かい。順調に進み、次第に笹も低くなってきて、また密度も低くどこでも歩ける状態となった。京丸山から高塚山まで3時間以上掛かると思っていたが早く着きそうだ。・1,426mを過ぎ、やや急な登りとなって10分程で地形図にあるガレマークの頭に出た。京丸川を隔てて竜馬ヶ岳、岩岳山が接近して見える。足元には崩壊したガレが遥か下まで続き、時々ガラガラと崩れる音がしている。ここから少し進んで広い段のある尾根となる。このあたりで、明日行く方向の竜馬ヶ岳へと続く尾根が分かれるが、出だしは斜面状で尾根らしくなく、狙った尾根に忠実に乗るにはよく地図を見る必要があり、明日進む方向を偵察する。ここから5分で高塚山に到着した。京丸山からここまで黄色の新しそうなテープがところどころあり、ルート自体も分かり易い。明るく広い山頂は北西側からの強風が当たり、綺麗な樹氷を纏っている。
北の方角の山々は暗灰色の雪雲をまばらに纏っていて寒々しく見えている。東の方には富士山が頭を出している。まだ14時5分で時間があり過ぎるが夜行疲れもありさっさとテントを張る。山頂の北東側でほんの少し低くなった場所は風が当たらずに快適だ。しかし風の音はすごい。テントに入って風の音を聞いていると山に居ることが実感できる。3時から少し昼寝を楽しむ。今回は水を4L持ってきているので水には困らない。
夜になっても風は一向に収まらない。ラジオからは明日は穏やかに晴れる予報が聞こえる。ひとりで泊まる山の中で次の山行を計画するのが好きで、北アルプス総図を眺めているうちに寝てしまった。8時過ぎ山頂に立つと町の明かりが意外にも長く南の方向一帯に連なり美しい。この夜は冷え込みが強く寒かった。

12月7日 晴れ時々曇り 行動時間5時間50分

高塚山8:05→稜線離れる8:10→9:00最低鞍部9:05→9:35竜馬ヶ岳10:05→西南尾根分岐10:20→・902m地点11:05→11:45京丸川渡渉点(吊橋)12:05→12:25林道に上がる12:30→12:40京丸集落12:45→13:55石切林道ゲート(駐車地)

 しまった、寝過ごした。素晴らしい快晴というのに日の出を見逃したのは残念。でも朝の透明な斜光で山頂部の木々が赤く染まり美しい。
 さて今日はまず竜馬ヶ岳へと続く尾根に乗るべく、昨日観察した下降点から稜線を離れる。はじめは尾根らしくない広い斜面を、方向を見定めて下る。標高差150mあまり降りると右手に地形図にあるガレの縁に出た。ここからは京丸川流域が見渡せ、京丸山も快晴の青空を背景に見えている。相変わらず崩壊音が聞こえてくる。スズ竹の間に続く細い踏み跡を追い、最低鞍部を目指す。二度程上り下りし、最低鞍部へ。京丸山へと続く山稜が明るく綺麗に見えている。左には蕎麦粒山が大きい。尾根は痩せてきて、道も明瞭となった。鞍部からは急登となるが明るく小笹の生えた快適な上りだ。山頂直下では立派な角を持った大きな雄鹿がゆっくりと行く手を横断していった。急登が終わり少し進んで山頂へ。
竜馬ヶ岳山頂自体は狭く樹林に包まれている。山頂の南東側は下草のないかなり広い空間となっており、浅く窪んでいるので全く風が当たらない。テント泊にはうってつけの場所だ。頂上台地の北端からは蕎麦粒山、バラ谷山、黒法師山、さらには遠く、雪で白く輝く聖岳、赤石岳方面が見渡せる。
30分余り展望や日光浴を楽しんだ後、下山開始。山頂からすぐに今度は右手が大崩壊したガレの縁に出る。見事な展望が開け、昨日辿った京丸山の山稜が見渡せる。南に続く低山の重なりが明るく広がっている。だだっ広い尾根を好きな場所を選んで緩やかなくだりを続け山頂から15分で目的の南西に伸びた尾根の分岐に着いた。薄っすら踏み跡があり、目印に赤テープも時々ある。たまに利用者があるようだ。今日は天気が良く、方位を定めるための目標とする山が向いに見えているので読図は容易である。途切れ途切れの薄い踏み跡は気にしないで好きな部分を選んで下降する。
変化の少ない尾根は樹林に包まれ展望がないので順調に高度を下げる。途中10時50分頃、右手がガレた場所から青空を背景に高塚山が望めた。やがて傾斜が緩むと今度は広い平坦地となり、植林帯に入った。広い平坦地を抜け・902mの先で左の尾根に入る。ここからは急になりしばらく降りにくい落ち葉の積もった尾根となり、尾根末端の京丸川に降り着く前は急激な降りとなっている。
標高差約900mを1時間40分で降り着いた。川には古い吊橋が架かっており、踏み板は薄く緑色に苔蒸している。ワイヤーは錆ついている。渡ろうと真ん中まで進んだが踏み板はボロボロで、ところどころ抜け落ちており、時折ビシッと妙な音もするので怖くなって元に戻る。下の川原に下り、川を渡るが水量は少なく濡れることなく飛び石で渡った。
20分程休憩し、対岸の斜面を登るが久しく管理されていない道なので、道形が消えていて斜面と同化している。えらく急な斜面を直登とジグザグを繰り返し、標高差130m程で上の林道に登り着いた。林道からは京丸川の一番奥に高塚山が格好良く望める展望地となっている。ここから約15分で京丸集落に寄った。こんな山奥だが、一軒だけの立派な大きい家だ(歴史ある藤原家住宅で京丸山登山の解説によくでている)。この家は高塚山〜竜馬ヶ岳の稜線からも見えていた。
この京丸集落から先は地形図の破線で下の林道に出ようとしたが、どうも上に登って行き、地図と合致しない。仕方なく元に戻り、下の林道に出た。その後は単調に林道を辿る。1時間余りで元のゲートへと辿り着いた。駐車しているのは自分の車だけだ。2日間天候に恵まれた静かな山行が終了した。

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林道広場より竜馬ヶ岳と西南尾根

 

京丸山、高塚山間の最低鞍部の小広場

 

ブナ林の間から高塚山を望む

 

高塚山手前のガレ縁より竜馬ヶ岳

 

高塚山でテント泊

 

高塚山、竜馬ヶ岳間の最低鞍部より京丸山

 

京丸川に架かる吊橋

 

林道より高塚山を振り返る


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